ナースビギンズ
今すぐ看護ケアに活かせる心電図のみかた
編集 | : 藤野智子 |
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ISBN | : 978-4-524-25951-9 |
発行年月 | : 2019年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 174 |
在庫
定価2,640円(本体2,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
ナースの書いた心電図の本だから“読める”だけではなく、読んだ結果をどのように報告し、看護ケアにつなげるかがよくわかる。波形の読みかたの6つの基本ステップをふまえ、緊急度別に分けた27の不整脈に対して、どう気づき・どう迷わず・どう動き出すか−事例をおりまぜながらナースの目線で具体的に解説。あわてないためのルーティンを身につければ、もう心電図はこわくない!
第1章 心臓の動きと心電図の関係
A 心臓のしくみと動きを再確認
心臓の電気刺激の流れ
B 心電図でわかること
1.心電図で何がわかるか
2.心電図波形は何を意味しているか
P波
PQ時間
QRS波
ST部分
T波
U波
C どのような患者に心電図を装着すればよいのか
1.致死性の不整脈の既往がある
2.頻脈や徐脈がある
3.心房性の不整脈の既往がある
4.ペースメーカーを使用中である
5.血清カリウム値が異常である
第2章 心電図モニターと標準12誘導心電図
A 心電図モニターと標準12誘導心電図の共通点と違い
1.心電図モニターの特徴
2.標準12誘導心電図の特徴
3.心電図モニターと標準12誘導心電図の共通点
4.心電図モニターと標準12誘導心電図の異なる点
B 心電図モニターと標準12誘導心電図はどんな患者に必要か
1.心電図モニターはどんな患者に必要か
致死性不整脈や狭心発作の患者
ペースメーカーを挿入している患者
循環器疾患以外の患者の適応
2.標準12誘導心電図はどんな患者に必要か
狭心発作や心筋梗塞発症などの診断
異常な心電図変化がある場合
心機能の評価
C 心電図モニターと標準12誘導心電図の装着
1.共通する看護師の役割
2.心電図モニターの装着
心電図モニターの装着手順
心電図モニターの注意点
3.標準12誘導心電図の装着
標準12誘導心電図の装着手順
胸部電極の貼り方のポイント
標準12誘導心電図の注意点
D 心電図の誘導方法
1.双極誘導
2.単極誘導
3.双極肢誘導,単極肢誘導,胸部誘導
E 心電図モニターの3点誘導と5点誘導
1.3点誘導と5点誘導の違い
2.5点誘導の特徴
F 心電図モニターの管理上の注意点
1.セントラルモニター(無線式)とベッドサイドモニター(有線式)
2.ベッドサイドモニター(有線式)の特徴と注意点
G 標準12誘導心電図の各誘導の観察部分
第3章 心電図の見かたの基本
A 心電図を見るための基礎知識
1.心電図の波形の理解
2.目盛りとマス
3.心電図を記録するときの条件:感度と紙送り速度
記録条件の見かた
波形が見えにくいときの裏ワザ設定
4.普段から確認しておくとよいこと
B 心電図を見るための基本ステップ
読みたい波形を見つけたら
1.ステップ1:全体のリズム(RR間隔)を見る
2.ステップ2:P波を見る
3.ステップ3:QRS波を見る
異常Q波
4.ステップ4:T波を見る
5.ステップ5:STを見る
6.ステップ6:PQ時間(P波とQRS波の関係)を見る
C 心電図の正常波形と異常波形
1.正常波形を知ろう
2.心電図のどこに異常があると,患者に何が起きていると考えられるのか?
3.異常波形に気づこう
リズムの異常
P波の異常
QRS波の異常
T波の異常
STの異常
PQ時間の異常
4.異常を見つけたときの対処
D 不整脈と心拍出量の関係
第4章 不整脈各論
超緊急事態の波形
心静止(asystole)
無脈性電気活動(PEA)
緊急事態の波形
心室期外収縮(PVC)
ショートラン(short run)
心室頻拍(VT)
心室細動(VF)
準緊急事態の波形
洞房ブロック
I度房室ブロック
II度房室ブロック
右脚ブロック
左脚ブロック
房室接合部調律
心室調律
完全房室ブロック
心房粗動(2:1以上)
要注意の波形
心房期外収縮(PAC)
心房細動(AF)/発作性心房細動(PAF)
発作性上室頻拍(PSVT)
発作性心房頻拍(PAT)
洞徐脈(sinus bradycardia)
洞頻脈(sinus tachycardia)
そのほかの波形:電解質異常,薬剤由来
ジギタリス中毒(ジギタリス効果)
高カリウム血症
低カリウム血症
高カルシウム血症
低カルシウム血症
付録 正常と異常で迷う波形に出合ったら
洞調律と心房粗動
洞徐脈と房室接合部調律
洞徐脈とblocked PAC
洞性不整脈(サイナス・アリスミア)
心電図の読み違えによる危ない事例
序文
数ある心電図書籍の中で、この本を手にとっていただきありがとうございます。 この本は、救急領域や集中治療領域、循環器病棟で臨床経験を重ねてきた急性・重症患者看護専門看護師と集中ケア認定看護師の4名が、臨床の看護師目線で構成を検討し執筆いたしました。
看護師の多くは心電図に苦手意識を感じている、ということを耳にします。かくいう私の家にも、何冊もの心電図の本があります。しかし、よく考えてみると、心電図は何年経っても同じですし、“2020年度版の心電図!”というものは存在しません。心臓の位置や肝臓の位置が変わらない解剖学の本と同じ類なのです。ということは、さまざまな書籍をあたるよりは、1つの本で基礎をじっくり理解するほうが得策なのです。
では、なぜそれほどまで苦手意識があるのかというと、実際の心電図波形は、教科書のように“キレイな波形”ではありませんし、アーチファクトも多く、わかりにくいものです。さらに心電図が警告するアラームは英語表記も多く、かつ緊急度を示すアラームは看護師の焦燥感をあおります。つまり、現場の心電図はわかりにくいのに、なにやら「キンコンキンコン」音を立てて急がせるので、何かわからないまま医師へ報告したり、報告しても対応してもらえず残念な思いをしたり、そういうことを繰り返しているうちに、どんどん心電図への苦手意識が高まってしまうのではないでしょうか。
この書籍では、それぞれの心電図変化ごとに、(1)心電図の意味、(2)心電図の見かた、(3)緊急度別の行動、(4)ISBARCを使った報告の仕方、(5)心電図変化をきたした患者への看護ケア、の順に記載しています。
まず、正常洞調律以外の心電図に遭遇したら、どの波形に該当するのか探しましょう。判別するガイドとして、心電図波形の見かたを6つのステップに分けました(.35ページ)。段階を追っているのでこのとおりに確認してみてください。
さらに、緊急事態なのか経過観察でよいのかも看護師が判断に困るところですので、緊急度別に行動を3段階に分けました(着目すべき状況の把握、症状の有無の確認、バイタルサインの変化の確認)。また、「報告したのに医師が来てくれない」という声もよく聞きます。その理由の1つに、相手に緊急度が伝わりにくいということが考えられます。そこで、相手に伝わりやすい「報告の方法」をISBARCにて記載しました。
最後に、心電図変化をきたした患者へどのような看護ケアが必要か、ということも記載しています。「こういう心電図変化のときは、個室移動を検討しましょう」「こういう不整脈の場合は、末梢ルート確保が必要です」など看護師に必要なケアがわかります。
この書籍が、みなさんの臨床実践の一助となれば幸いです。
2019年3月
藤野智子