実践!パーキンソン病治療薬をどう使いこなすか?
著 | : 武田篤/柏原健一/織茂智之 |
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ISBN | : 978-4-524-25871-0 |
発行年月 | : 2018年12月 |
判型 | : A5 |
ページ数 | : 168 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
パーキンソン病領域の第一人者である著者らが、非専門医を対象に、パーキンソン病薬物治療のHow toを伝える。治療薬の基本事項から、治療の実際(運動症状、非運動症状への対応)、さらに問題症例の解説を加えた構成。『パーキンソン病診療ガイドライン2018』の内容を反映した上でガイドラインでは触れられない実践的な部分まで、具体的な処方例を交え解説。薬剤の選択、複数薬の併用方法、減薬方法、副作用への対応など、患者一人ひとりの症状・状況に応じたきめ細やかな薬物治療について学べる一冊。
口絵:パーキンソン病治療薬一覧
第1章 パーキンソン病治療の考え方
1 パーキンソン病治療の考え方
第2章 これだけは押さえたい!パーキンソン病治療薬のキホン
1 最初に選択すべき薬剤は何か
2 薬剤の選択基準は何か
3 維持量はどのように決定するか
4 薬剤の効果が減弱してきた場合はどうするか
5 手術や検査のときはどうするか
6 注意が必要な副作用とその対策
7 併用に注意が必要な薬剤と投与禁忌
8 薬剤により発症するパーキンソニズム
第3章 達人に学ぶ!パーキンソン病薬物治療の実際
A.運動症状の治療
1 治療導入はどうするか
2 進行期パーキンソン病の治療はどうするか
3 難治性運動症状の治療はどうするか
B.非運動症状の治療
1 うつ
2 認知機能障害
3 幻覚・妄想
4 睡眠障害
5 自律神経症状
6 感覚症状
第4章 これで名人!問題症例にどう対処するか?
症例1 起立性低血圧が先行した例
症例2 嚥下障害が徐々に進行した高齢者の例
症例3 衝動制御障害で家族が困った例
症例4 自動車の運転が必要な例
症例5 脳深部刺激療法(DBS)でよくなった若年例
症例6 急に生じるオフ(unpredictable-off)の例
索引
序文
いまだ根治的治療法が確立されていないものの、パーキンソン病についてはこれまでに多くの治療法が開発され症状の緩和が可能となっている。しかし治療法の選択肢・組み合わせの多様性が飛躍的に増加した結果、個々の症例の治療選択についてどうすべきか悩むケースも少なくないと思われる。パーキンソン病の治療は長期にわたり、その全経過を通して有益性の積分値が最大限化されるように初期治療からの工夫が求められる。しかし有益性の尺度が個々の症例の年齢・性別・生活環境、さらには人生観によっても異なってくる可能性があり、長期的視野からのテーラーメイド治療が求められる。一方で、未曾有の超高齢社会に突入したわが国では年々パーキンソン病患者が増加しており、最早一部の専門医だけではとても対応しきれない状態である。本書はこうした状況から、パーキンソン病治療に関するup to dateな情報をコンパクトにまとめることを意図して企画された。
筆者らはいずれも「パーキンソン病診療ガイドライン2018」の作成に委員として参加してきた。ガイドラインはあくまでエビデンスに基づいての記述が求められる。しかしながら特にパーキンソン病のように多様な症状への対処を求められる疾患では、臨床的に重要であっても十分なエビデンスのない部分も多い。そこで、本書は基本的には「パーキンソン病診療ガイドライン2018」に準拠しつつ、ガイドラインには記載できない診療のコツのような部分まで含めて筆者らの経験を盛り込むことを試みた。筆者らは長年にわたりパーキンソン病診療に携わってきた。出身大学、研修先、その後の勤務先についても接点はないが、学会活動などを通してパーキンソン病治療についてのディスカッションを重ねてきており、互いに最も信頼する専門医である。本書の内容はそれぞれが分担執筆したあとに相互に査読し、全員の合意を得たものとなっている。本書がパーキンソン病診療に携わる多くの医療関係者にとって有益な内容を含み、パーキンソン病診療の向上に役立つことができれば筆者らの存外の喜びである。
2018年10月
武田篤
柏原健一
織茂智之