ホップ・ステップ・ジャンプで進めるがん治療の薬薬連携(CD-ROM付)
保険薬剤師・病院薬剤師のための外来抗がん薬の業務ガイダンス
編集 | : 日本臨床腫瘍薬学会 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-25865-9 |
発行年月 | : 2016年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 190 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
「備蓄のない支持療法薬の処方せんが突然来たら、どうすればよい?」「支持療法薬を提案するタイミングはいつ?」など、保険薬剤師や病院薬剤師からの疑問や悩みを段階別(ホップ・ステップ・ジャンプ)に掲載。付録CD-ROMには、病院から保険薬局への情報ツールとして使用できる「お薬手帳シール」や調剤時に便利な「副作用チェックシート」のデータを収録。明日からの業務に役立つ知識とツールが満載。
I 外来抗がん薬の業務ガイダンス
Hop
A.保険薬剤師編
1.目標
2.Q&A
Q1.備蓄のない制吐薬などの支持療法薬の処方せんが突然きたら,どうすればよいか?
Q2.保険薬剤師が,がん患者へ服薬指導するときに必要な薬剤(製品)や一般的な治療方針などの情報をどう調べればよいか?
Q3.がん患者への服薬指導は,まずどのようなことに注意しながら始めるべきか?
Q4.副作用とその対処方法を患者へ説明する意義は何か?
Q5.がん患者とのコミュニケーションには,何に気をつければよいか?
Q6.来局時に臨床検査値の情報がない場合はどうすればよいか?また,患者にどのような服薬指導をすればよいのか?
Q7.「抗がん薬の治療費が心配」という質問には,どう対応すればよいか?
Q8.抗がん薬の粉砕指示があった場合は,どう対処したらよいか?
B.病院薬剤師編
1.目標
2.Q&A
Q1.「がん患者指導管理料3」は薬剤師であれば算定できるのか?算定するうえでの注意点や工夫は何か?
Q2.がん化学療法のアドヒアランスは,一般的によいのか悪いのか?ノンアドヒアランスはどう解決していくか?
Q3.支持療法薬(抗がん薬の副作用に対する薬剤)を提案するタイミングはいつか?
Q4.抗がん薬や支持療法で添付文書の記載と異なる処方があるが,処方の妥当性を評価するために有用な資料としてどのようなものがあるか?
Q5.患者のニーズに合わせた副作用説明を行うための工夫には何があるか?
Step
A.保険薬剤師編
1.目標
2.Q&A
Q1.病院の注射抗がん薬の副作用管理も薬局が行うべきか?
Q2.1回目の服薬指導でうまく伝えられなかった場合や質問に答えられなかった場合は,どうすればよいか?
Q3.薬局側から病院側へ連携をアプローチするために,まず必要となるものは何か?
Q4.患者情報は,病院から薬局へ一方向に提供されるものがすべて?
Q5.薬薬連携することで,調剤報酬点数は得られるか?
Q6.薬局にとって,薬薬連携や多職種連携に積極的に関わる目的は何か?
B.病院薬剤師編
1.目標
2.Q&A
Q1.薬薬連携は必要か?
Q2.どのような情報を保険薬局へ提供すべきか?
Q3.どのような検査値を提供すべきか?
Q4.情報提供に患者の同意は必要か?
Q5.病院と薬局,相互の情報提供(共有)を推進・発展させるためにはどのような方法があるか?
Q6.保険薬局からの疑義照会などの問い合わせ先は,どこに設定すればよいか?
Jump
保険薬剤師・病院薬剤師共通
1.目標
2.Q&A
Q1.病院での説明と相違ないよう指導するコツは?
Q2.医療連携の成功例はあるのか?
Q3.次回診察までの副作用のフォローアップや継続的に薬物治療の評価を行うには,どのような方法があるか?
Q4.多職種との情報共有をシームレスに行うには,どのような手段があるか?
Q5.がん領域の薬薬連携におけるプロトコルに基づく薬物治療管理(PBPM)とは?
Q6.がん医療で理想的な薬薬連携を実現するために,何か指標はあるか?手本となるような病院と薬局の地域連携システムの事例を紹介してほしい
3.日本臨床腫瘍薬学会外来がん治療認定薬剤師
II レクチャー編
A.病院と薬局に関わる診療報酬の考え方
B.副作用の主な症状と支持療法の具体例
1.下痢
2.手足症候群
3.高血圧
4.悪心・嘔吐
5.骨髄抑制
6.便秘
7.末梢神経障害
8.EGFR系阻害薬による皮膚障害
9.その他
1.口腔粘膜炎
2.ニューモシスチス肺炎
3.脳浮腫
4.眼障害
5.アリムタ(ペメトレキセドナトリウム水和物)の副作用対策
6.ランマーク(デノスマブ)の副作用対策
C.検査値・腫瘍マーカーの読み方
1.生化学検査
2.血液学的検査
3.腫瘍マーカー
4.化学療法の個別化に関係するバイオマーカー
D.がん化学療法の目的
E.B型肝炎キャリア
F.オンコロジックエマージェンシー
III ツール編
A.副作用チェックシート
■使い方
1.アフィニトール(エベロリムス)
2.アレセンサ(アレクチニブ塩酸塩)
3.イレッサ(ゲフィチニブ)
4.インライタ(アキシチニブ)
5.ヴォトリエント(パゾパニブ塩酸塩)
6.グリベック(イマチニブメシル酸塩)
7.ザーコリ(クリゾチニブ)
8.ジオトリフ(アファチニブマレイン酸塩)
9.スーテント(スニチニブリンゴ酸塩)
10.スチバーガ(レゴラフェニブ水和物)
11.スプリセル(ダサチニブ水和物)
12.ゼローダ(カペシタビン)
13.タイケルブ(ラパチニブトシル酸塩水和物)
14.タシグナ(ニロチニブ塩酸塩水和物)
15.タルセバ(エルロチニブ塩酸塩)
16.ティーエスワン(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合)
17.テモダール(テモゾロミド)
18.ネクサバール(ソラフェニブトシル酸塩)
19.フルダラ(フルダラビンリン酸エステル)
20.ユーエフティ(テガフール・ウラシル配合)
21.ラステットS(エトポシド)
22.ロンサーフ(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合)
B.お薬手帳シールの活用法
C.各製薬企業作成のお薬説明書の紹介
付録
A.体表面積表(Du Bois式)
B.服薬のタイミング
C.がん関連のガイドライン・書籍・ウェブサイト
D.CD-ROMに含まれるデータ一覧
E.主な支持療法薬剤
序文
昨今、がん治療では、外来化学療法が主流となってきています。また、新しい作用機序を持つ新規抗がん薬の承認も目まぐるしく、多くの種類の経口抗がん薬や副作用に対する支持療法薬が処方されるケースが増えてきています。これに加えて治療スケジュールの煩雑化や副作用の多様化にも薬剤師が対応する機会が増え、時にその対応に難渋することも少なくありません。医薬分業に加え、かかりつけ薬局や高度薬学管理機能を持つ薬局により、病院と保険薬局の医療連携を充実しなくてはならないにもかかわらず、今もなお、薬薬連携の進展には地域や施設間の差が大きいのが現状です。人員不足や連携に必要なツール不足、設備投資等のハード面と、がん患者の対応経験の不足や抗がん薬治療の知識不足のソフト面が障害となってしまう状況をよく聞きます。
本書『ホップ・ステップ・ジャンプで進めるがん治療の薬薬連携』の編集にあたっては、病院薬剤師と保険薬剤師がチームを結成し、日常業務の中から連携の障害となる問題点を洗い出し、連携に必要なスキル、ツールについてお互いの立場と目線でディスカッションを重ね、一冊の書籍に作り上げました。
本書は、抗がん薬治療を支えるためのスキルを掲載した「第I章外来抗がん薬の業務ガイダンス」と、連携や患者介入を行うための知識を補う「第II章レクチャー編」、連携に必要なツールを提供する「第III章ツール編」に分かれています。第I章では、安全な抗がん薬の投与管理方法を提供する〈ホップ編〉から、患者介入を中心とした〈ステップ編〉、患者の情報をお互いに連携し、その情報を診療に活かす〈ジャンプ編〉まで病院・保険薬剤師からの疑問や悩みを段階別に紹介しています。第II章では、主に副作用の症状と支持療法の処方意図について解説しました。第III章では経口抗がん薬ごとの副作用チェックシートを掲載しました。また付録CD-ROMにはレジメンごとのお薬手帳用シールを収載し、簡単に印刷して活用できるように工夫しています。抗がん薬治療患者への対応に困った時、薬薬連携の推進を図ろうと考えている時に必須な内容を、本書は全て網羅しています。
最後に、本書を多くの病院・保険薬剤師の皆さまに活用していただくことで、シームレスな薬学的介入に繋がり、多くのがん患者に安全で安心な外来がん化学療法が提供できるよう願っております。
2016年3月
日本臨床腫瘍薬学会地域医療連携委員会委員長
松井礼子