シンプルシリーズ
シンプル微生物学改訂第6版
編集 | : 小熊惠二/堀田博/若宮伸隆 |
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ISBN | : 978-4-524-25483-5 |
発行年月 | : 2018年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 474 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
正誤表
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2024年04月09日
第1刷〜第5刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
ミニマムな解説を骨子としつつ、新知見、展望などのAdvanceまでをしっかりとおさえている微生物学の教科書の第6版。医療系学部学生から医学部学生まで幅広い支持を得ている。シンプルで分かりやすい解説により、覚えることの多い微生物学を理解しながら学ぶことが可能。さらに今改訂ではフルカラーに変更し、より視覚的にわかりやすい紙面となった。
第1編 微生物学序論
1.微生物界を構成するもの−その生物界における位置
A.微生物とは
B.微生物の生物界における位置
2.病原微生物学−その領域と意義
3.病原微生物学の発展
A.感染症学の起源
B.顕微鏡による微生物の観察と記録
C.現代微生物学の礎
D.予防医学の夜明けと免疫学の確立
第2編 細菌学総論
1.細菌の分類と命名法
A.生物の系統分類の歴史と細菌の分類学的位置
B.細菌の分類法と命名
2.細菌の形態
A.基本的形態と大きさ
B.細菌の構造
C.細菌の観察方法
3.細菌の増殖
A.増殖に影響を及ぼす栄養素と各種の因子
B.培地による培養
C.代謝と増殖
4.細菌の遺伝子発現,変異と修復,伝達(水平伝播)
A.遺伝子の発現調節による環境変化への応答・順応
B.順応と変異
C.遺伝子の組み換え,修復機構
D.遺伝子の伝達(水平伝播)と可動性遺伝因子
5.感染と発症
A.感染と発症
B.感染症の推移
C.感染症成立の要因
6.細菌による発癌
A.癌と微生物
B.H.pyloriと胃癌
C.S.Typhi(チフス菌)と胆.癌
D.大腸癌における腸内細菌叢の偏倚
7.細菌感染症の診断
A.菌の分離,同定の手順
B.菌の生化学的性状
C.免疫学的検査
D.分子生物学的検査
8.化学療法と細菌感染症の治療
A.化学療法の定義と歴史
B.選択毒性
C.抗菌薬の構造と作用機序
D.抗菌薬耐性
E.抗菌薬の副作用
第3編 感染防御と免疫
1.免疫系の概要
A.免疫系とは何か
B.感染における免疫応答
C.免疫系の構成
2.自然免疫
A.微生物感染から遮蔽する体表面のバリア的因子
B.液性因子
C.細胞性因子
3.獲得免疫
A.獲得免疫の概要
B.抗原特異性
C.多様性の獲得と自己寛容
D.B細胞・T細胞の成熟化(クローン増大・エフェクター細胞・免疫記憶)
E.獲得免疫の相互作用と感染応答
4.免疫系の病理と応用
A.免疫不全症
B.免疫系の過剰反応とアレルギー
C.免疫寛容と自己免疫反応
D.免疫応答の医学的側面
E.ワクチン
第4編 細菌学各論
1.グラム陽性通性嫌気性および好気性球菌
A.スタフィロコッカス科
B.レンサ球菌属,その他
2.グラム陰性通性嫌気性桿菌
A.腸内細菌科
B.ビブリオ科
C.エロモナス科
D.パスツレラ科
E.その他
3.らせん菌群
A.カンピロバクター科
B.ヘリコバクター科
C.その他のらせん菌群
4.グラム陰性好気性桿菌および球菌
A.シュードモナス科と類縁菌
B.モラクセラ科
C.レジオネラ科とコクシエラ科
D.ナイセリア科
E.アルカリゲネス科
F.フランシセラ科
G.ブルセラ科とバルトネラ科
H.その他
5.グラム陽性好気性および通性嫌気性桿菌
A.有芽胞菌
B.無芽胞菌
6.偏性嫌気性菌
A.嫌気性グラム陽性球菌
B.嫌気性グラム陰性球菌
C.嫌気性グラム陽性桿菌
C-1.芽胞非形成菌
C-2.芽胞形成菌
D.嫌気性グラム陰性桿菌
7.マイコバクテリウム属
8.アクチノマイセスとノカルジア
9.スピロヘータ
第5編 ウイルス学総論
1.ウイルスとは−歴史から学ぶ
A.ウイルスの発見とウイルス学の黎明
B.ウイルスと癌
C.新興・再興ウイルス
D.ウイルスワクチンと抗ウイルス薬
E.ウイルスの生命科学研究への貢献
2.ウイルスの一般的性状
A.ウイルスの構造と分類
B.ウイルスの増殖
C.ウイルスの変異
3.ウイルス感染の諸相
A.ウイルスの感染様式
B.ウイルス感染と生体応答
4.ウイルスによる発癌
5.ウイルスの伝播経路と予防
6.ウイルス感染症の検査法
7.ウイルス感染症の治療
第6編 ウイルス学各論
1.DNAウイルス
A.ポックスウイルス科
B.ヘルペスウイルス科
C.アデノウイルス科
D.パピローマウイルス科
E.ポリオーマウイルス科
F.パルボウイルス科
2.RNA ウイルス
A.オルソミクソウイルス科
B.パラミクソウイルス科
C.ラブドウイルス科
D.フィロウイルス科
E.ブニヤウイルス科
F.アレナウイルス科
G.ボルナウイルス科
H.レオウイルス科
I.ピコルナウイルス科
J.カリシウイルス科
K.アストロウイルス科
L.トガウイルス科
M.フラビウイルス科
N.コロナウイルス科
O.レ卜ロウイルス科
3.肝炎ウイルス
A.肝炎ウイルスの定義および分類
B.肝炎ウイルス各論
4.遅発性ウイルス感染症とプリオン病
A.遅発性ウイルス感染症
B.プリオン病
第7編 真菌学
1.真菌の一般的性状
A.真菌とその構造
B.真菌の増殖と形態
C.真菌の分類
2.真菌の検査法
3.真菌疾患と病原因子
A.真菌による疾患
B.真菌に対する感染防御機構
C.真菌の病原因子
D.アレルギー
E.マイコトキシン中毒症
4.真菌感染症の治療と予防
A.治療法
B.予防法
5.深在性真菌症(輸入真菌症を含む)
6.表在性皮膚真菌症
7.深在性皮膚真菌症
第8編 原虫学・蠕虫学
1.原虫学・蠕虫学概論
A.分類学的位置
B.生活環と宿主
C.感染経路
D.診断
2.原虫学総論
A.原虫の定義および形態
B.原虫の分類
C.原虫の発育・増殖
3.原虫学各論
A.経皮感染症(昆虫媒介性感染症)
B.経口感染症
C.接触感染症
4.蠕虫学総論
5.蠕虫学各論
A.線虫
B.吸虫
C.条虫
第9編 感染症の予防と対策
1.滅菌と消毒
A.滅菌と消毒の基礎
B.滅菌と消毒の実際
C.滅菌方法
D.物理的消毒方法
E.化学的消毒方法(消毒薬)
2.医療関連感染とその対策
A.医療関連感染
B.医療関連感染の過程
C.医療関連感染対策
D.抗菌薬耐性への対策
E.医療関連感染のアウトブレイクへの対応
3.感染症の予防と対策
A.感染症法
B.予防接種法
C.その他の法:検疫法,学校保健安全法,食品衛生法
D.新興・再興感染症と人獣共通感染症
E.先天性感染症(垂直感染)および母子感染症
第10編 微生物学における遺伝子工学的手法の応用
1.遺伝子工学的手法の確立
A.制限酵素の発見(DNAを自由に切断する技術)
B.ベクターの開発(DNA断片を多量に得る,あるいは遺伝子産物を大量に得る技術)
C.遺伝子の宿主細胞への導入方法の確立(人工的な操作を加えたプラスミドを宿主細胞内へ導入する技術)
D.PCR(polymerase chain reaction)法の確立
E.ハイブリダイゼーション
F.DNA塩基配列決定法(サンガー法)
2.全ゲノムデータ解読法の進歩
3.微生物学研究の成果が応用された新たな遺伝子工学技術1CRISPR/Cas92TALEN
4.病原微生物の検出と感染症の遺伝子診断
5.病原微生物の分子疫学
巻末資料
付録 代表的な抗菌薬
索引
改訂第6版の序
本書は、1990(平成2)年の初版刊行以来、改訂を繰り返すごとに病原微生物学ならびに免疫学の最新の知見と感染症対策を取り入れながら、微生物学の学習の一助となってきた。長きにわたり改訂を重ね、このたび改訂第6版の刊行に至ることができたのは、ひとえに編者らの意図を汲んだうえで質の高い内容を執筆くださった各分野の専門家である執筆者の熱意とご協力によるものである。その甲斐あって、本書は多くの学生諸君に教科書あるいは参考書として支持され続けている。このことは編者らにとって大きな喜びであるとともに、その責務への思いを新たにさせるものである。改訂第6版も前版同様、各分野の進歩に後れをとらない教科書あるいは参考書として、微生物学学習に役立つことを確信している。
今改訂でも、初版から続いているminimum requirementの内容を骨子としつつ、新知見およびより深い内容は「Advance」で解説する、という方針に変わりはない。難解すぎない内容を心がけ、より理解に結びつくよう配慮した。教育現場からの要望に応え、微生物学を他分野との関連で多角的にとらえられるような構成になるよう工夫している。「Advance」では前版よりさらに新しい知見と理論を盛り込み、「Tea Time」にはさまざまな興味深いコラムを追加して、楽しみながら理解できるよう配慮している。また、フルカラー化に伴って新規の図表や写真を追加して、いっそう理解しやすく、学びやすくなるようにした。
さまざまな工夫を凝らしたものの、広範にわたる微生物学を学生諸君に理解してもらうためには、本書にはまだ、さらなる発展の余地があると思われる。学生諸君、教育現場の方々から忌憚のないご意見やご教示をいただければ、この上ない幸いである。前版までと同様、変わらぬご指導を賜りたい。
改訂第6版を刊行するにあたり、貴重なご意見を寄せてくださった教育現場の皆様に御礼申し上げるとともに、執筆者各位のご尽力に対し、改めて感謝の意を表したい。
2018年 早春
編者ら識す