日本肝臓学会肝臓専門医認定試験問題・解答と解説 第4集
監修 | : 日本肝臓学会 |
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ISBN | : 978-4-524-25478-1 |
発行年月 | : 2016年10月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 170 |
在庫
定価6,050円(本体5,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
日本肝臓学会の監修により、肝臓専門医認定試験の過去問題とその解答・解説をまとめた第4集。問題は2009〜2012年に出題された中から、重複を避けて93問を精選。様々な疾患の可能性を考えられるように、第4集では「画像」「病理」等の章を新設した。これから専門医をめざす医師のみならず、第一線の肝臓専門医にとっても知識の再確認に有用な一冊。
1 代謝・生化学
1.血液凝固
2.尿素サイクル異常症
3.ビリルビン代謝
4.胆汁酸,アンモニア,アルコール
5.生化学検査,血清鉄,血清銅
6.ICG試験
7.肝実質細胞,肝非実質細胞
2 肝炎ウイルス・肝炎
1.A型肝炎
2.B型慢性肝炎
3.B型肝炎ウイルス(HBV),母子感染
4.B型肝炎ウイルス(HBV),de novo肝炎
5.核酸アナログ製剤
6.C型肝炎ウイルスキャリア
7.E型肝炎
3 薬物性肝障害
1.薬物性肝障害
4 急性肝不全
1.初診時に黄疸と羽ばたき振戦を認めた症例
2.急性妊娠脂肪肝
3.発熱,下痢,呼吸苦,意識レベルの低下と著明な肝機能障害で搬送された症例
4.同種骨髄移植後の免疫抑制剤投与中に肝機能障害をきたした症例
5.意識障害と肝機能障害にて緊急搬送となった症例
6.R-CHOP療法後に肝障害をきたした症例
7.de novo肝炎
8.B型肝炎再活性化
5 自己免疫性肝疾患
1.自己免疫性肝炎(AIH)
2.原発性胆汁性肝硬変(PBC)
3.皮膚掻痒感と肝機能障害で受診した症例
4.原発性硬化性胆管炎(PSC)
6 代謝性・遺伝性肝疾患
1.脂肪肝
2.NASH,NAFLD
3.アルコール性肝障害
4.物忘れや幻覚が出現したアルコール多飲者
5.Wilson病,ヘモクロマトーシス
6.Wilson病
7.ヘモクロマトーシス
8.遺伝子変異,SNP(一塩基多型)
9.自覚症状のない軽度黄疸症例
10.特異な顔貌と黄疸の既往を有する症例
11.Alagille症候群
7 肝硬変と合併症
1.肝性脳症
2.栄養代謝
3.栄養療法
4.腹部膨隆と微熱,腹痛で来院したC型肝硬変症例
5.小児肝硬変
8 門脈圧亢進症
1.Budd-Chiari症候群
2.特発性門脈圧亢進症(IPH)
3.吐血にて救急搬送された症例
4.腹部膨満と意識混濁で来院した肝硬変症例
9 肝腫瘍
1.肝発癌(成因)
2.肝細胞癌(HCC)
3.肝癌分子標的治療
4.腫瘍随伴症候群
5.早期肝細胞癌の病理像
6.肝細胞腺腫(1)
7.肝細胞腺腫(2)
10 肝臓外科
1.肝切除術(1)
2.肝切除術(2)
3.肝切除術,肝解剖
4.肝切除術,合併症
5.肝切除術,出血制御
6.大腸癌肝転移
7.外傷性肝損傷
11 肝移植
1.肝移植(1)
2.臓器移植
3.肝移植(2)
12 胆石,胆嚢・胆道疾患
1.急性胆管炎
2.発熱と右上腹部痛を主訴として来院した症例
3.胆道癌,危険因子
4.膵・胆管合流異常
5.胆道癌
6.胆道癌,胆管癌
7.胆道閉鎖症
13 感染症
1.日本住血吸虫症
2.肝膿瘍
3.発熱,下肢痛で来院し,抗菌薬によりショックをきたした症例
4.生魚の摂取後に壊死性筋膜炎を発症した肝硬変症例
14 画像
1.focal spared lesion
2.多血性結節,乏血性結節
3.肝細胞癌,EOB-MRI,ソナゾイド造影超音波
4.肝解剖(亜区域分類)
5.超音波所見
6.SPIO-MRI
7.EOB-MRI
8.造影超音波検査が診断に有用であった症例
9.健診のエコーでみつかった肝内占拠性病変
10.RFA治療後に発熱をきたした症例
11.糖尿病教育入院の際にたまたま発見された肝腫瘍
12.肝内の低エコー結節を指摘された症例
13.EOB-MRIが診断に有用であった肝占拠性病変
14.肝移植ドナー
15 病理
1.高度肥満者の肝病理像
2.膵頭十二指腸切除後に肝障害をきたした症例
3.SVR後に肝障害をきたした症例
4.腫瘍マーカー陰性で,エコーで発見された肝腫瘍
序文
このたび、『日本肝臓学会肝臓専門医認定試験問題・解答と解説 第4集』が刊行されることになりました。第4集では、2009年から2012年までの肝臓専門医認定試験にて出題され、年から2015年の間に日本肝臓学会機関誌・雑誌「肝臓」に解答・解説と共に掲載された問題がまとめられております。まずは、問題と解説の作成をご担当いただいた試験問題作成委員の先生方に、厚く御礼申し上げます。
前回の第3集の刊行から3年が経過しておりますが、この間にも肝疾患診療は大きく進歩しており、それに応じて肝疾患の疾病構造も変化しつつあります。例えば、C型肝炎の治療もパラダイムシフトを迎え、インターフェロンフリーのDAA製剤による治療が主流となり、大多数の患者さんが治癒する時代となってきました。それに伴い、DAA製剤によるウイルス排除後の肝発癌のサーベイランスが議論されるようになっています。また新たな線維化マーカーや超音波やMR(magnetic resonance)を用いた肝臓の弾性度の計測法の導入により、非侵襲的に肝線維化を評価することが可能となり、肝発癌のリスクを考えるうえで有用性が期待されております。
さて本問題集は過去の専門医認定試験問題を取り上げる関係上、上記のような直近の肝疾患診療の進歩には触れておりません。むしろこれまでに一定の評価が得られた診断法や治療法を中心とした問題構成となっており、専門的な判断が要求される状況において、肝臓専門医としてどのように対応していくかをトレーニングできる内容と考えております。
このように本問題集は、肝臓専門医認定試験のための参考書としてのみならず、肝臓病診療に携わる先生方にとっても実臨床に直結してお役に立てるものと確信しております。先生方のニーズに沿った形でご活用ください。
2016年9月
日本肝臓学会肝臓専門医制度審議会・肝臓専門医試験委員会委員長
佐々木裕
日本肝臓学会監修の『日本肝臓学会肝臓専門医認定試験問題・解答と解説 第4集』が刊行された。この第4集では、2009〜2012年までの肝臓専門医認定試験に出題され、2013〜2015年の間に日本肝臓学会機関誌『肝臓』に解答・解説が掲載された問題が、領域ごとにまとめられている。肝臓は代謝の中心臓器であり、代謝・生化学の基礎的な事項から各疾患の病態・診断・治療とバランスよく記載されている。とくに各問題の解説は簡潔にまとめられており、お忙しい先生方にとり非常に参考になる。
医学・医療の進歩には目を見張るものがあり、肝臓疾患の領域でも新しい診断マーカー・画像診断や有効性の高い治療薬が開発されただけでなく、疾患の概念が変わった疾患もあり、前回の刊行から大きな変貌を遂げている。C型肝炎の領域では従来のインターフェロン治療からインターフェロンフリーのDAA製剤による治療に大きく変わり、C型肝炎ウイルス排除率は非常に高くその治療効果も大きく改善したが、これらの薬剤の投薬にあたっては副作用や薬剤耐性など多くの専門的な知識が要求される。これらのウイルス肝炎治療については、治療薬剤が高価であり、その治療普及のため日本では医療費助成制度がある。その助成の申請のためには肝臓学会専門医などの診断書が必要な場合もあり、この専門医の取得を希望される先生も多い。
この第4集では、これらの進歩の最新の情報がまだ完全には網羅されていないが、肝疾患診療の基本的な考え方や専門的な判断に必要な事項が記載されており、肝臓専門医認定試験の参考書として利用されるだけではなく、初期研修の先生や肝臓・消化器領域を将来専門にとお考えの先生に、肝疾患の診断や治療のトレーニングにもぜひご利用いただければと考える。
現在、日本では高齢者の増加に伴い医療制度が大きく変貌を遂げようとしており、専門医制度に関しても日本専門医機構が中心となり2017年4月からの新専門医制度の見直しが行われている。総合内科医のように内科全般を診療できる医師も必要であるが、肝臓や消化器などのより専門性が高い専門医の育成も重要な課題である。日本は肝疾患が多い国であり、肝疾患の診断や治療に専門性の高い判断が要求される時代には肝臓専門医がぜひ必要であり、どのような専門医制度になっても認定試験対策にこの試験問題集をお役立ていただければと考える。
臨床雑誌内科119巻4号(2017年4月増大号)より転載
評者●関西労災病院院長 林紀夫