ナースビギンズ
初めての人が達人になれる使いこなし人工呼吸器改訂第2版
著 | : 露木菜緒 |
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ISBN | : 978-4-524-25476-7 |
発行年月 | : 2016年8月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 172 |
在庫
定価2,530円(本体2,300円 + 税)
正誤表
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2016年12月28日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
新人でも「一通りわかる・できる」知識と技術の習得を目的とし、人工呼吸器の組み立てからその仕組み、モードやグラフィック、ケア・管理まで、新人が戸惑いやすいディテールをやさしくビジュアルに解説。誰もが理解できる人工呼吸管理本の決定版。今改訂では、人工呼吸器を新たに3機種紹介したほか、2015年に作成されたウィーニングのプロトコルを掲載。口腔ケア、早期離床の記述も増やした。
第1章 人工呼吸器のしくみを知って使いこなそう
A 人工呼吸器とは
B 人工呼吸器の種類
C 人工呼吸器回路のタイプ
D 加温加湿器回路
1.加温加湿器回路のしくみ
2.加温加湿器回路の構成
3.加温加湿器
4.チャンバ
5.温度プローブとエレクトリカルアダプタ
6.ウォータートラップ
E 人工鼻回路と人工鼻
F そのほかの回路部品
1.Yピース
2.バクテリアフィルター
3.フレックスチューブ
4.アーム(人工呼吸器回路支持アーム)
第2章 人工呼吸器の回路を組み立てよう
A 加温加湿器回路の組み立て方
B 人工鼻回路の組み立て方
C 人工呼吸器回路の再チェック
D 人工呼吸器回路の始業点検
第3章 メインパネルの見方
A メインパネルに表示される用語の理解
B 人工呼吸器のメインパネル
第4章 人工呼吸器のモードと設定
A 最低限おさえておきたいモードの知識
1.人工呼吸器のモードとは
2.従量式と従圧式
B モードのしくみと管理の実際
1.基本モードのしくみ 強制換気
2.基本モードのしくみ 補助換気
3.基本モードのしくみ 自発呼吸
4.知っておきたいモード
5.最新モード 自動ウィーニングシステム
C 設定内容を理解して使いこなすコツ
1.人工呼吸器の設定の基本的な考え方
2.モード設定の考え方のステップ
3.モード別 おさえておきたい基本設定と考え方
D こんなときはどう設定するといい?
E 患者状態別(病態別)設定の実際
第5章 グラフィックモニタの見方・考え方
A グラフィックとは
B グラフィックの3つの曲線と2つのループ
1.換気量−時間曲線
2.気道内圧−時間曲線
3.流量−時間曲線
4.気道内圧−換気量ループ
5.流量−換気量ループ
第6章 アラームの設定と管理
A アラームとは
B 種類別 アラームの原因と対応
1.緊急事態アラーム 人をよんで手動換気
2.救命アラーム 患者→回路→設定の順に確認
3.合併症予防アラーム 事前に察知して予防的対応
第7章 わかりやすい気道管理の実際
1.気道管理はなぜ必要なのか?
2.気道管理には何が必要なのか?
A 先輩も迷ってる!ちょうどいい気管チューブ固定
1.テープによる固定の基本的な考え方
2.アセスメントによる固定法の選択
3.チューブ固定(テープ交換時)の実際
4.デバイスを使った気管チューブ固定方法
B 先輩も知らない!カフ圧管理がうまくいく秘訣
1.カフ圧管理の実際
2.適切なカフ圧管理のための手技の実際
3.新しいカフ圧計
C 先輩も納得する!気管吸引の適切な考え方
1.気管吸引実施のためのアセスメント
2.気管吸引の手技の実際
D 先輩も答えにくい!加温・加湿は実際どっちを選べばよい?
1.人工鼻回路と加温加湿器回路の特徴・違い
2.回路選択のためのアセスメントの実際
E 先輩もあいまい!口腔ケアの合格点がもらえる秘訣
1.人工呼吸器を装着している患者の口腔ケアの実際
2.口腔ケアの準備
3.口腔ケアの手技の実際
F 先輩も知らない!体位調整の適切なタイミング
1.人工呼吸管理中の患者の目的別体位調整
2.体位調整の手技の実際−仰臥位から前傾側臥位への場合
3.早期離床
第8章 患者マネジメント
A 患者の全身管理
1.人工呼吸器が全身に及ぼす影響
2.人工呼吸管理中の栄養管理
3.鎮痛・鎮静の実践
4.人工呼吸管理中の全身管理・観察のポイント
B 患者アセスメントの実際
1.人工呼吸管理患者のアセスメントとは
2.アセスメントの実際の手順
3.異変時の対応の実際
4.モニタリングによる評価
C 動脈血液ガス分析評価
1.動脈血液ガス分析で何を評価しているの?
2.ガス交換の評価の実際
3.酸塩基平衡の評価の実際
D ウィーニング(離脱)
1.ウィーニング(離脱)とは
2.人工呼吸器離脱のプロトコル
E 人工気道からの離脱(抜管)
1.人工気道からの離脱とは
2.気道評価の方法
3.抜管前・後の準備と対応
4.流れでつかむ,ウィーニングから抜管までの実際
序文
人工呼吸器はクリティカルケア領域だけでなく、一般病棟や在宅領域にいたるまで、幅広く活用されるようになりました。つまり私たち看護師は、どの分野であろうと人工呼吸器管理に携わる機会があるということです。それは、ビギナーであっても、明日にでも人工呼吸器を装着した患者ケアと機器管理をしなければならない時があるということですね。では、ビギナーでも人工呼吸管理の仕事が『こなせる』ようになるには、何からはじめたらよいでしょうか。
まずは、モードやグラフィックを理解したくなるかもしれません。グラフィックは知っていると“カッコイイ”と思うかもしれませんし、人工呼吸器が作動する要になるモードは管理に欠かせません。しかし、ビギナーから達人への道を本当に歩もうとするなら、基本的に欠かせない条件は「実践に強くなること」だと筆者は強く感じます。
では、人工呼吸管理の実践的なスタートはなんでしょうか。臨床の現実を思えば、人工呼吸器を組み立て、作動できるようになることです。そのために、人工呼吸器がどのようなしくみになっているのかを最低限理解することです。そして、実際に触れて、動かし、徐々に慣れながら、使いこなしていくことが、最善の実践方法だと思うのです。
しかし、ここで言う最善の実践方法とは、それを裏付ける正しい知識をはじめとした他者をも納得させられる根拠があってこそ成り立ちます。真っ先にハウツー(how to)へ進むことは、ややもすると患者にとって早まったケアを提供することにもつながりかねません。そこで、本書はしっかりした裏付けをもって、いち早く人工呼吸器を使いこなせるようになるにはどうすればよいかを臨床の中からみていくことを構成の軸としました。初めて人工呼吸器に携わる看護師や、2〜3年目くらいの看護師に、さしあたって知っておいてほしいことは網羅したつもりです。ベテランの方々にとっても、臨床現場で、各モードの注意点や患者アセスメントなどを確認するときに、ポイントを押さえるノート代わりに役立ててもらえる内容になったと思います。達人になれば、本書では足りない知識も多く出てくると思いますし、実践的なケアについては、きっと各施設でやり方も異なると思いますが、人工呼吸管理のスタートである、とにかく動かし、使えることに関しては、困らないように仕上げました。兎にも角にも本書を片手に人工呼吸器を見ながら、実際のしくみや回路の構造などを確認してもらいたいです。
人工呼吸管理は、日々進歩しており、人工呼吸器の種類も増えてきています。そこで、今回本書の改訂にあたり、代表的な人工呼吸器の紹介を追加しました。いち早く使いこなせるためにパネルの見方には写真を載せて解説を加えました。また、ここ5年の間に、日本集中治療医学会、日本呼吸療法学会、日本クリティカルケア看護学会の3学会合同の「人工呼吸器離脱プロトコル」や、日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン(J-PAD)が公表されました。その内容は、それぞれテキストなどを確認していただきたいのですが、前者のフローチャートなど一部は紹介しました。このように、本書はできるだけ新たな知見を加えさらに内容を充実させたつもりです。本書は、筆者の多くの経験の中で、臨床における場面では、きっと患者にとって最善と信じている事柄を選んでいます。もちろん、その方法が100%正しいという結論ではありませんし、これから先、もっと違う、または新しいエビデンスもでてくるかも知れません。読者のみなさんがそういった考えや知見から、この方法のほうがもっといい、もっとこうしたほうがよいという点は、ぜひ実践していただくと同時に、本書に忌憚のないご意見、ご提案をいただければ幸いです。
最後に本書の刊行にあたって、初版では企画の組み立てから大きな視点による考え方の示唆を下さり、さらに拙書の推薦文までを引き受けてくださった道又元裕氏、本書の企画から刊行までご尽力いただいた南江堂看護編集部のみなさまに御礼申し上げます。
2016年7月
露木菜緒