教科書

シンプルシリーズ

シンプル免疫学改訂第5版

共著 : 中島泉/高橋利忠/吉開泰信
ISBN : 978-4-524-25446-0
発行年月 : 2017年9月
判型 : B5
ページ数 : 314

在庫あり

定価3,190円(本体2,900円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

栄養系、看護系をはじめ、薬学系、臨床工学系の学生にも好評な免疫学の教科書。フルカラー化によりますます視覚的に理解しやすくなった。今版では、免疫学の全体像を理解する「基本編PartI」、より具体的な内容を学ぶ「基本編PartII」、臨床免疫学を扱う「展開編」の三部構成とし、さらに「基本編」を充実させた。初学者にもわかりやすく、学生の学習状況に合わせて使いやすい一冊。

基本編 Introduction
基本編 PartI
 1.免疫の原点
 2.食細胞とリンパ球
 3.自然免疫と獲得免疫
 4.生命科学と免疫学の関係
1 免疫系全体の枠組み
 I 免疫のしくみの探求:免疫学の創世と展開
 II 免疫系の器官・細胞のアウトライン
  A 免疫系の基本
  B 免疫系の発生
 III 免疫系分子のアウトライン
  A 抗原(異物)識別
  B 細胞接着と細胞間シグナル伝達
  C 細胞内シグナル伝達
 IV 免疫系のはたらきのアウトライン
  A 自己と非自己の識別
  B 免疫応答
  C 免疫のエフェクター活性
  D 免疫制御
2 自然免疫
 I 自然免疫の基礎
  A 自然免疫とは
  B 自然免疫から獲得免疫へ
 II 自然免疫を担う器官・組織
  A 消化器と呼吸器
  B 皮膚
  C 骨髄,胸腺,脾臓,リンパ節
 III 自然免疫を担う細胞
  A 食細胞と抗原提示細胞
  B ナチュラルキラー(NK)細胞とその仲間
 IV 自然免疫を担う分子
  A 自然免疫において自己と非自己の識別にかかわる分子
  B Toll様レセプター(TLR)
  C 自然抗体
  D 補体
  E 炎症の化学メディエーター
  F 自然免疫を担うその他の抗原非特異的因子
3 液性獲得免疫:B細胞免疫
 I 液性獲得免疫を担う器官・細胞・分子
  A 骨髄
  B B細胞(Bリンパ球)
  C 抗体
  D 抗原
  E Fcレセプター
 II 抗体産生(B細胞応答)
  A 抗体産生応答の基礎
  B 抗体産生応答のダイナミクス
  C B細胞などの活性化にかかわる細胞内シグナル伝達
 III 抗原抗体反応
 IV 液性免疫エフェクター活性
4 細胞性獲得免疫:T細胞免疫
 I 細胞性獲得免疫を担う器官・細胞・分子
  A 胸腺
  B T細胞(=Tリンパ球)
  C T細胞レセプター(TCR)
  D 主要組織適合(MHC)抗原
  E 抗原
  F 細胞接着分子
  G サイトカインとサイトカインレセプター
 II T細胞応答
  A T細胞免疫の基礎
  B 抗原の提示
  C T細胞応答のダイナミクス
  D T細胞応答にかかわる細胞内シグナル(情報)伝達
 III 細胞性免疫エフェクター活性
5 免疫系の制御
 I トレランス(免疫寛容)
 II 細胞死のシグナル伝達
  A 細胞死のシグナル伝達の主要経路
  B 免疫制御にかかわる細胞の生と死のシグナル伝達
 III 免疫系の内的な制御
  A 免疫系の発生・応答段階での制御
  B 免疫のフィードバック制御
  C エフェクターレベルでの制御
 IV 人体高次制御システムの中の免疫系
  A 人体高次制御システムと免疫系
  B 神経系と内分泌・代謝系による免疫系の制御
  C 免疫系による神経系,内分泌・代謝系の制御
  D 人体高次制御システムの免疫系による傷害
  E その他の器官系と免疫系のネットワーク
 V 薬物などによる免疫の調節
  A ワクチンの接種
  B 薬物による調節
 VI 食と免疫
  A 食と免疫の関係
  B 適正な免疫力を保持するための食
基本編PartII
6 感染免疫
 I 感染に対する免疫のしくみ
  A 感染免疫のあらまし
  B 上皮によるバリアー
  C 自然免疫の液性因子
  D 自然免疫の細胞性因子
  E 早期誘導免疫
  F 獲得免疫
  G T細胞の活性化
  H B細胞の活性化
 II 免疫反応と免疫記憶
 III 感染の部位によって違う免疫のはたらき
  A 腸管免疫
  B その他の器官・組織の感染免疫
 IV 病原微生物の種類と感染防御機構
  A 細菌
  B 真菌
  C ウイルス
  D 原虫
  E 寄生虫
  F 毒素
  G 新興・再興感染症
 V 免疫による感染のコントロール
  A 自然免疫の維持と増強
  B 獲得免疫の増強
7 免疫不全症
 I 遺伝子の異常による代表的な免疫不全症
  A パターン認識レセプター欠損症
  B 急性反応蛋白質不全症
  C 補体系不全症
  D 食細胞系不全症
  E NK細胞不全症
  F B細胞の欠損または機能異常症
  G T細胞の欠損または機能異常症
  H 重症複合免疫不全症(SCID)
 II 後天性免疫不全症候群(AIDS)と免疫障害
  A AIDS
  B AIDS以外の感染症による免疫障害
  C 腫瘍に伴う免疫障害
  D 加齢に伴う免疫不全
  E 慢性疾患に伴う免疫不全
 III 免疫不全症の治療
8 アレルギー疾患
 I アレルギー疾患発症のしくみ
  A アレルギーによる組織傷害のエフェクター因子
  B アレルギー(疾患)の型
 II 代表的なI型アレルギー疾患
 III アレルギー疾患の予防と治療の基本
9 自己免疫疾患
 I 自己免疫疾患発症のしくみ
  A 自己免疫疾患とアレルギー疾患の関係
  B 自己免疫疾患発症のしくみ
 II 代表的な自己免疫疾患
  A I型アレルギーによる自己免疫疾患
  B II型アレルギーによる自己免疫疾患
  C V型アレルギーによる自己免疫疾患
  D III型アレルギーによる自己免疫疾患
  E IV型アレルギーを含む複合した機序による自己免疫疾患
  F その他の自己免疫疾患
 III 自己免疫疾患の治療の基本
10 個体の識別と移植
 A 輸血と血液型
 B 臓器移植
11 がんと免疫
 A ヒト腫瘍関連抗原の検出
 B 免疫監視機構の考えの提示と実証までの行程
 C 宿主免疫応答により腫瘍増殖が抑制されるメカニズム
 D ヒトの腫瘍抗原とがんの免疫療法の基本
展開編Introduction
6-2 感染免疫の展開
 I 感染に対する免疫のしくみの展開
  A 自然免疫
  B 早期誘導免疫
  C 獲得免疫
 II 病原微生物の種類と感染防御機構
  A 細菌
  B ウイルス
  C 毒素
 III 免疫による感染のコントロール(展開編)
  A アジュバント
  B 新規の技術を用いたワクチンの開発
7-2 免疫不全症の展開
 I 遺伝子の異常による免疫不全症の詳細
  A パターン認識レセプター欠損症
  B 急性反応蛋白質不全症
  C 補体系不全症
  D 食細胞系不全症
  E NK細胞不全症
  F B細胞の欠損または機能異常
  G T細胞の欠損または機能異常症
  H 重症複合免疫不全症(SCID)
 II 後天性免疫不全症候群(AIDS)と免疫障害
  A AIDS
  B AIDS以外の感染症による免疫障害
  C 腫瘍に伴う免疫障害
  D 加齢に伴う免疫不全
  E 慢性疾患に伴う免疫不全
  F 薬物療法に伴う免疫不全
 III 免疫不全症の治療
8-2 アレルギー疾患の展開
 A 感染症に伴う炎症とアレルギー反応
 B 薬物とアレルギー
 C アレルギー疾患の予防と治療
9-2 自己免疫疾患の展開
 A 自己免疫疾患とHLA
 B 自己免疫疾患の動物モデル
 C 自己免疫疾患の治療
10-2 個体の識別と移植免疫の展開
 A 臓器移植の臨床
11-2 がん免疫の展開
 A マウスを用いた腫瘍免疫の研究
 B ヒト腫瘍の腫瘍抗原
 C がんの免疫療法
12 血液・免疫細胞の腫瘍
 A 白血病
 B 骨髄異形成症候群と骨髄異形成・増殖性腫瘍
 C 悪性リンパ腫
13 免疫系の検査法と診断
 A 抗体および抗体に反応する抗原の検査法
 B T細胞およびNK細胞の機能の検査法
 C 皮膚反応検査
付表
 付表1.よく用いられるヒト血液細胞の表面抗原
 付表2-A.ヒト血液細胞表面抗原のCD分類
 付表2-B.NK細胞など血液細胞に発現しているKIRとILT/LIR/LILR
 付表2-C.接着にかかわるヘテロフィリック分子
 付表3.サイトカインとそのレセプター
 付表4-A.ケモカインとそのレセプター
 付表4-B.ケモカインレセプターのリガンド特異性と主な発現細胞
 付表5.日本人のHLAアレル遺伝子頻度
索引

改訂第5版の刊行にあたって

 このたび改訂第5版を刊行することとなった『シンプル免疫学』は、1997年10月の初版刊行以来版を重ねて現在にいたった。本書は、医学や医療、あるいは基礎生命科学を学ぶ学生や若手研究者が、日進月歩の免疫学の理念と知識をコンパクトに学習するための教材として刊行されたものである。
 今回の改訂では、本書を教科書としてご活用いただいてきた先生方からの貴重なご意見にも沿って構成と体裁を大きく見直した。
 まず、前版の基礎編と展開編の基本構成を刷新し、「基本編PartI」(基礎免疫の基本:1〜5章)、「基本編PartII」(臨床免疫の基本:6〜11章)、「展開編」(先端臨床免疫への誘い:6-2〜11-2、12、13章)の3部構成とした。「基本編」では、基礎免疫(PartI)と臨床免疫(PartII)の基本の効果的な学習を重視する内容とし、「展開編」は、進展著しい先端臨床免疫への誘いを目的とする章として位置づけた。
 「基本編PartI」の1章で、「免疫系全体の枠組み」を、器官・細胞レベルと分子・遺伝子レベルの構造およびそれぞれのはたらきのあらましを体系的に説明したうえで、2章:「自然免疫」、3章:「液性獲得免疫:B細胞免疫」、4章:「細胞性獲得免疫:T細胞免疫」、5章:「免疫系の制御」に分けてその基本を説明し、「基本編PartII」では、6章:「感染免疫」、7章:「免疫不全症」、8章:「アレルギー疾患」、9章:「自己免疫疾患」、10章:「個体の識別と移植」、11章:「がんと免疫」、の各章で臨床免疫の基本を説明した。「展開編」では、「基本編PartII」の6〜11章に関連する先端的な事項を6-2〜11-2章に移し、これに12章:「血液・免疫細胞の腫瘍」、13章:「免疫系の検査法と診断」を置いた。また、巻末にはすべての章に共通して参考となる詳細な付表をつけた。この新しい構成によって読者が1章において免疫系全体の枠組みを体系的に縦糸の位置づけで理解し、その理解のもとで2章〜11章で基礎免疫と臨床免疫の基本を横糸の位置づけで習得できるものと期待する。加えて、先端臨床免疫を学習したいと希望する読者は、展開編を利用することで新たな道が開かれるものと考える。
 改訂第5版はまた、全体をフルカラーとして体裁を一新するとともに、理解を深めるための他章の参照すべき関連事項の位置をできるかぎり詳しく本文中に示すようにした。特に、最初に学習する「基本編PartI」の2〜5章には、理解を促進する目的で免疫学の基本的な用語が説明されている箇所を欄外見出しに繰り返し示すこととした。必要に応じて活用されたい。

2017年8月
著者を代表して
中島泉

9784524254460