やさしい生理学改訂第7版
編集 | : 彼末一之/能勢博 |
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ISBN | : 978-4-524-25417-0 |
発行年月 | : 2017年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 342 |
在庫
定価2,860円(本体2,600円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
医療系学生のために生理学の基本的な内容について、文献的考察は極力省略し、一般的に認められていることを分かりやすく、かつ簡単に解説したテキスト。改訂第7版では半分以上の章を全面改訂し、とくに運動療法にかかわる「代謝」「体温」「筋」の章をアップデート。また全ページフルカラーとし、視覚的理解を促進する紙面構成とするとともに、各章冒頭に「Starter Question」を設けて学習内容を俯瞰できるよう工夫している。
第1章 生理学とは
A 生体の機能
1 細胞の構造と機能
2 組織
3 生体の機能系と器官
B 生体の特性
1 生体の恒常性
2 刺激と興奮
3 刺激と適応
C 生理学と人間生活
1 生理学と環境
2 生理学と健康
第2章 血液と体液
A 体液の区分と組成
B 血液の成分と血液量
1 血液の成分
2 血液量
3 血漿の組成
C 血液細胞とその機能
1 赤血球
2 白血球
3 血小板
D 骨髄
E 止血機構
1 血小板凝集
2 血液凝固
3 凝固異常・抗凝固剤
4 線維素溶解
F 血液型
1 ABO式血液型
2 Rh式血液型
3 交差適合試験
第3章 循環
A 循環の概念
1 循環の役割
2 循環系の構成
B 心臓の役割
1 心臓の機能的解剖
2 心臓の電気的活動
3 心電図
4 心臓の血液拍出の仕組みとその調節
C 血管系の役割
1 大動脈
2 細動脈
3 毛細血管
4 リンパ系
5 静脈
D 動脈圧の調節
1 神経性動脈圧調節(動脈圧受容器反射)
2 液性(ホルモン)動脈圧調節
第4章 呼吸
A 呼吸器の構成
1 肺,気道,胸郭系
2 呼吸筋
B 呼息と吸息
1 呼吸と肺内圧,胸腔内圧,肺弾性圧の関係
2 肺の弾性と肺胞表面活性物質
C 肺容量
1 呼吸気量
D 肺胞換気と肺胞内ガス組成
1 肺胞換気
2 肺胞内ガス組成
E 血液によるガス運搬
1 血液による酸素の運搬
2 血液による二酸化炭素の運搬
F 血液のpH緩衝作用
G 呼吸中枢
H 呼吸の化学的調節
1 化学受容器
2 血中PCO2,PO2変化に対する換気応答
I 低酸素症
1 低酸素性低酸素症
2 低酸素性低酸素症以外の低酸素症
第5章 消化と吸収
1 消化器系の構成と働き
A 消化器系の構成
B 消化と吸収
C 消化管壁の微細構造
D 消化管壁の筋肉の働き
E 消化液分泌
F 神経とホルモンによる消化管機能の調節
1 神経による調節
2 ホルモンによる調節
G 消化器系の血液循環の特徴
2 食物の消化と吸収
A 食物の流れの時間経過
B 口腔内消化
1 咀嚼
2 唾液の分泌
3 嚥下
C 胃内消化
1 胃の運動
2 胃液の分泌
D 小腸内消化と吸収
1 小腸の働き
2 膵液と胆汁の分泌
3 肝臓の構成と働き
4 絨毛の微細構造と栄養素の消化と吸収
E 大腸内消化と吸収
3 食欲の調整
第6章 尿の生成と排泄
A 腎の構造と機能
1 肉眼的構造
2 ネフロン
B 糸球体における濾過
C 尿細管における再吸収と分泌
1 尿細管における再吸収
2 尿細管における分泌
D 尿の濃縮と希釈
1 対向流増幅系
2 対向流交換系
3 対向流系による希釈尿,濃縮尿の産生
E 腎血流量とその調節
1 腎血流量の自動調節
F クリアランスによる腎機能の測定
1 糸球体濾過量の測定
2 腎血流量の測定
G 腎における酸と塩基の調節
1 酸性尿の生成
2 アルカリ性尿の産生
H 体液の調節
1 腎臓による体液の調節
2 飲水による体液の調節
I 尿の組成と排尿
1 尿の組成
2 排尿
第7章 代謝
A エネルギーのバランス
1 エネルギー平衡
2 エネルギー平衡の調節
B 代謝量
1 基礎代謝量
2 活動代謝
3 エネルギー必要量
4 代謝量に影響する活動以外の要因
C 代謝量の測定
1 直接熱量測定法
2 間接熱量測定法
3 呼吸商
第8章 体温
A 体温調節の基礎
1 体温
2 体熱バランス(熱収支)
3 体温調節機構
B 内因性に体温レベルを決定する因子
1 発熱
2 概日リズム
3 性周期
C 運動時の体温調節
1 運動時の体温上昇に影響する要因
2 体温上昇と運動能力
3 行動性体温調節と温熱的快適感
第9章 内分泌
A 内分泌一般
1 ホルモンと内分泌
2 ホルモンによる情報伝達
3 ホルモンの種類とその合成
4 ホルモンの放出と分泌の調節
B 内分泌器官とホルモンの作用
1 視床下部と下垂体
2 副腎
3 膵臓
4 甲状腺と上皮小体(副甲状腺)
第10章 生殖
A 女性の生殖機能
1 女性の生殖器の解剖
2 女性の生殖に関係するホルモン
3 月経周期の調節
4 妊娠と分娩
B 男性の生殖機能
1 男性の生殖器の解剖
2 男性の生殖機能の調節
3 精子
C 性分化・思春期・老化に関係するホルモン
1 生殖腺の性分化におけるホルモン
2 思春期の発来
3 生殖機能の老化
第11章 筋収縮
A 骨格筋
1 骨格筋とは
2 骨格筋の構造
B 収縮の仕組み
1 骨格筋の興奮収縮連関
2 さまざまな収縮
3 神経筋接合部
4 収縮の加重
5 長さ.等尺性最大収縮力関係
6 骨格筋収縮のエネルギー源
C 心筋と平滑筋
第12章 神経系の基礎
A 神経系の分類
1 ニューロンの構造とその機能
B ニューロンの興奮(静止膜電位,活動電位,興奮の伝導)
1 静止膜電位
2 活動電位
3 興奮の伝導
C シナプス(神経伝達物質と受容体,シナプスの種類,シナプスの可塑性)
1 神経伝達物質と受容体
2 シナプス後反応
3 シナプスの可塑性
D グリア細胞とその機能
第13章 自律神経系
A 末梢自律神経系の構成
1 節前ニューロンと節後ニューロン
2 交感神経系
3 副交感神経系
B 自律神経活動の特徴
1 効果器との接続
2 緊張性活動(トーヌス)
3 二重支配
C 自律神経系の伝達物質と受容体
1 伝達物質
2 受容体
3 伝達物質の除去と再利用
4 共伝達物質
D 自律神経系による内臓支配
E 自律反射
1 内臓.内臓反射
2 体性.内臓反射
3 内臓.体性反射
4 軸索反射
F 脳幹・視床下部
1 血管運動中枢・呼吸中枢
2 体温調節中枢
3 食欲の中枢
4 情動行動
G 概日リズム
1 リズムの形成と視交叉上核
第14章 脳
A ヒトの脳の全体像
B 大脳
1 左半球と右半球
2 大脳皮質の構造
3 大脳皮質の機能
C 記憶
1 記憶の分類と関与する脳の部位
2 記憶の生理学的基盤
D 言語
1 言語中枢
2 言語の獲得
E 睡眠と覚醒
1 脳波
2 睡眠とは
3 ノンレム睡眠とレム睡眠
4 睡眠のメカニズム
5 睡眠覚醒リズムの調節機構
6 睡眠の発達と老化による変化
F 情動
1 情動と感情
2 情動の脳内メカニズム
第15章 感覚
A 感覚とは
1 感覚の種類
2 刺激の受容
3 刺激の強さと感覚の大きさ
4 順応
B 視覚
1 光の経路
2 網膜
3 色の感覚
4 視野と視力
5 視覚伝導路
6 視覚情報処理
C 聴覚
1 音の経路
2 音の受容
3 聴覚伝導路と聴覚情報処理
4 音色
5 音源定位
D 平衡感覚
1 半規管
2 耳石器
3 前庭経路
E 体性感覚,内臓感覚
1 皮膚感覚
2 深部感覚
3 内臓感覚
4 体性感覚,内臓感覚伝導路
5 皮膚分節
F 味覚,嗅覚
1 味覚
2 嗅覚
第16章 運動の調節
A 運動に関係する脳部位
B 運動神経と運動単位
1 運動ニューロンと筋肉の接続
2 力の調節
C 脊髄
1 筋紡錘と腱器官
2 伸張反射とγ系
3 さらに複雑な反射
D 脳幹
1 姿勢反射
2 歩行
3 脳幹によるその他の反射
E 大脳皮質
1 一次運動野
2 他の運動関連皮質部位の役割
F 運動学習と自動運動(大脳基底核と小脳)
1 大脳基底核
2 小脳
G 運動関連脳部位間の接続
第17章 骨の生理学
A 骨の構造
B 骨の成長とモデリング
C 骨のカルシウム代謝とリモデリング
D 関節
E 骨・関節の異常
1 椎間板ヘルニア
2 腰部脊柱管狭窄症
3 変形性関節症
より深く学びたい学生のための参考書
索引
改訂第7版にあたって
本書は昭和44年に初版が刊行され、岩瀬善彦先生と森本武利先生のご尽力で版を重ねてまいりました。第5版の改訂に際し、岩瀬先生に代わって私が編集を担当させていただくことになりました。また第6版の改訂では、森本先生が次の世代の方に是非バトンタッチを、とのことで能勢 博先生に編集者としてご参加いただきました。このたびの改訂第7版では生理学の最前線でご活躍の若手の先生方に執筆者として新たにご参加いただきました。
生理学は解剖学と並んで生体(人体)を理解するための基礎となる学問です。近年、健康への関心が高まる中、また、スポーツ、福祉、栄養など、生理学の知識を必要とする分野で働く人の数が増えてきています。本書は医療・コメディカルの分野に加え、そのような分野の人たちにもわかりやすく知識を伝えることを目的に書かれています。「健康の維持には運動が大切」とよく言われますが、実際にはなかなか定着しないのが現状です。そこで、体育・スポーツ以外の分野の読者にも、運動と健康の関係を理解していただきたいとの趣旨から、各章末の「治療・予防」の項では「運動」の効用を多くの章で紹介しています。
からだの仕組みはすべて「生きる」ためにあります。本書で勉強しようとするさまざまな現象は、結局は「生きる」ための何かであるに違いありません。生理学の大きな目標はこの「生きるための何か」、つまり生存上の機能的意味を理解することです。ですから、あるからだのはたらきを勉強するときには「何でやろ(Why)?」という問いを常にもってもらいたいと思います。なぜそのような形をしているのか? なぜそのような反応が起こるのか?
何億年もの進化をくぐりぬけて来たわれわれのからだの「なぜ?」を知って、「なるほど」と感ずることが生理学を学ぶ面白さです。また、目次の最後のマップにありますように、からだの各機能はそれぞれ他の機能と密接に関係しています。読者の皆さんには是非ともこのような関係の全体像つまり「生きること」を理解していただきたいものです。
改訂第7版では読者からのご要望が多かった全ページのフルカラー化が実現し、よりわかりやすく魅力的なものになったと自負しております。また、各章の最初には学習するポイントをつかんでいただくためにStarter Questionを新たに追加いたしました。
およそ50年の長い歴史をもつ本書をさらに良いものにすべく、編集者、執筆者一同これからも力を注いでいきたいと思います。読者の方々のご指摘、ご意見、アイデアを是非お寄せくださることをお願い申しあげます。
平成29年8月
編集者を代表して
彼末一之