心臓血管外科専門医認定試験 過去問題集2012〜2015
監修 | : 3学会構成 心臓血管外科専門医認定機構 |
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編集 | : コア・カリキュラム委員会 |
ISBN | : 978-4-524-25266-4 |
発行年月 | : 2017年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 194 |
在庫
定価6,600円(本体6,000円 + 税)
正誤表
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2017年11月09日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
心臓血管外科専門医認定機構(胸部外科学会・心臓血管外科学会・血管外科学会の3学会で構成)監修、コアカリキュラム委員会編集の心臓血管外科専門医認定試験の過去問題・解答集。2012〜2015年の4年間で実際に出題された過去問題から選定された約450問と解答を掲載。さらに正答率も掲載した受験者必携の一冊。
発刊にあたって
コア・カリキュラム作成および問題選択の基準
コア・カリキュラム一覧
必修問題
選択問題
1.先天性
2.弁膜症
3.不整脈
4.腫瘍
5.虚血性心疾患
6.補助循環
7.心膜疾患(病因/症候/診断/治療)
8.心臓その他
9.大血管・末梢血管疾患(血管内治療を除く)
10.大血管・末梢血管疾患(血管内治療)
解答
発刊にあたって
心臓血管外科専門医認定機構は新専門医制度への移行を好機としてとらえ、制度の大幅な改定を目指すことを決断しました。改定案の一つの骨格は心臓血管外科専門医は関連する全ての領域(成人心疾患、小児心疾患、大血管疾患、末梢血管疾患)を学び、知識と一定の技術を持つべきということ、二つ目の骨格は修練をカリキュラム制からプログラム制に変更することで、先が見える制度とすることです。これまで平均10数年かかっていた修練期間を短縮し、初期研修終了後、最短5年までで完了するモデルケースプログラムを想定しているなか、これらの課題を克服するには研修を効率よく行う必要性が求められると同時に、専門医の質のレベルを下げないということが求められます。修練期間の短縮は募集数を症例数に基づいた定員制とすること、修練の場を施設群とすることで広い領域を効率よく、平等に行う環境にすることで克服します。専門医としての必要な知識は全ての領域を修練する義務化で学ぶ機会は得られますが、昨今の膨大な量の専門知識を日々忙しい診療の合間に効率よく学ぶことは容易ではありません。心臓血管外科専門医試験は現行では相対的評価で合否が決められています。新制度では一定の知識を持つ受験生は全て合格とする絶対的評価に変えることが決まりました。そこで、多くの受験生に合格ラインに達していただくためには手助けが必要となります。それには専門医として知っておくべき知識を修練医の皆さんに提示することが必要と考えました。まずはコア・カリキュラムを作成し、学ぶべき内容を示すということが決まりましたが、それだけではかえって混乱を招き、成績向上には結びつかないと考えました。
これまで、心臓血管外科専門医試験問題は多くの関連学会評議員が中心となって問題作成を担当し、日々の診療、経験から必要な知識として考え抜き、長年にわたり作成してきました。その問題の中から心臓血管外科専門医認定機構内の試験問題作成委員会が吟味して出題問題を選択し、必要な場合には修正を加えて出来上がったものが出題問題として使用されてきました。毎年、試験問題の作成を依頼することで学ぶべき多くの領域がカバーされるに至り、かつ専門医として知るべき知識も明らかとなってきました。そこで、心臓血管外科専門医認定機構では過去の問題で識別指数、正解率の良いいわゆる良問を皆さんに提示し、学んでいただくことが最善策であるという判断をいたしました。日本心臓血管外科学会評議員・日本胸部外科学会評議員・日本血管外科学会評議員、心臓血管外科専門医認定機構の努力・成果の結集、専門医として知るべき知識の集結がこの過去問題集です。問題集は必修問題(80%の正解率を求める)と選択問題(70%の正解率を求める)に分けられ、それぞれコア・カリキュラムに基づいて細分類されています。この問題集を中心に勉強することで着実に専門医試験合格が見えてきます。後は皆さんが努力し、必要な知識と一定の技量を持った立派な心臓血管外科専門医となられることを願うばかりです。
2017年2月
心臓血管外科専門医認定機構 代表幹事
(東京慈恵会医科大学心臓外科主任教授)
橋本和弘
今回発刊された『心臓血管外科専門医認定試験過去問題集2012〜2015』は、心臓血管外科専門医認定機構がはじめて出版したオフィシャルの問題集である。心臓血管外科専門医認定試験は、必修問題を30問、選択問題は110問中70問を選択し、全100問の解答が求められている。合格最低点は公表されていないが、公表されている不合格者個人の成績より判断すると、平均点から−0.5SD以上下回らないことが合格の要件となり、過去の合格率は70.7〜76.5%と公表されており、受験資格を考慮すると厳しい試験といえる。
本書には、2012〜2015年の4年間に実際に出題された過去問題から選定された約450問が、心臓血管外科専門医認定機構で作成されたコア・カリキュラムに従って掲載されている。必修問題は、受験者全員に求められる心臓血管外科医の基本的知識を問う問題で、1。心臓血管外科に必要な解剖、2。心臓血管外科に必要な生理・病態生理・検査、3。心臓血管疾患の常識的疫学、4。補助循環(人工心肺、PCPS、IABP、人工心臓など)・術後呼吸管理、5。診療材料:人工血管、人工弁、縫合糸など、6。薬物治療:主な薬物の薬効機序や分類、副作用など、7。医療安全、8。医療倫理、9。医療保険制度、10。外科医教育および専門医制度、11。看護師および臨床工学士との連携、12。呼吸器外科一般からなり、80%程度正答するレベルが求められている。選択問題は、臨床経験から得られた専門的知識、臨床判断力、問題解決力を問う高いレベルの一般問題と臨床問題で、1。先天性、2。弁膜症、3。不整脈、4。腫瘍、5。虚血性心疾患、6。補助循環、7。心膜疾患、8。心臓その他、9。大血管・末梢血管疾患、10。大血管・末梢血管疾患の血管内治療に分類されている。各分野の専門医師であれば70%程度正解できるレベルであるが、実際の試験では上記分野に関する110問中70問を選択することから、一つの領域だけで70問を満たすことは困難で、複数の領域の専門的知識が求められている。
心臓血管外科専門医認定機構のコア・カリキュラムに合わせて編集したオフィシャルの過去問題集は、何をどのように学修すればよいか悩んでいる受験生にとって、出題範囲、出題傾向や難易度がわかるため、学修の目標を定めるための待望の書である。しかしながら、本書に正解は掲載されているが、医師国家試験の参考書のような解説はなく、自らから学び修得するprofessional autonomyが求められている。受験生は本書を糧に、心臓血管外科専門医修練カリキュラムの一般目標(General Instructional Objective:GIO)に掲げられている、患者によりよい医療を提供し、国民に信頼され、健康・福祉の増進に寄与する心臓血管外科専門医であるための知識を学修することが肝要である。
胸部外科70巻7号(2017年7月号)より転載
評者●東邦大学医療センター大森病院心臓血管外科教授 渡邉善則