病態を理解して組み立てる 薬剤師のための疾患別薬物療法 V 感染症／呼吸器疾患／皮膚疾患／感覚器疾患改訂第2版

A　感染症
　第1章　細菌感染症
　解説
　　I．細菌性肺炎の病態生理
　　　1．分類
　　　2．原因菌
　　II．細菌性肺炎における臨床症状と身体所見
　　　1．臨床症状
　　　2．身体所見
　　III．細菌性肺炎の治療
　　　1．重症度評価
　　　2．原因菌の検索方法
　　　3．市中肺炎の治療
　　　4．院内肺炎/医療・介護関連肺炎の治療
　　IV．結核の病態生理
　　　1．結核の感染
　　　2．結核の発病：一次結核と二次結核
　　　3．結核の感染・発病・排菌の相違
　　V．結核の臨床検査
　　　1．結核菌を検出する検査（細菌検査）
　　　2．結核菌の感染を判定する検査
　　　3．病巣の存在を確認する検査（画像検査）
　　VI．結核の治療
　　　1．抗結核薬の分類
　　　2．抗結核薬の標準投与量
　　　3．抗結核薬の標準投与期間
　　　4．腎機能低下時の抗結核薬の用量調節
　　　5．抗結核薬の警告・禁忌・副作用
　　　6．抗結核薬の副作用と対応
　　　7．抗結核薬の薬物相互作用
　　VII．症例
　症例解析
　　1．問題リストの作成
　　2．SOAPチャートの作成
　　3．経過表の作成
　第2章　ウイルス感染症
　解説
　　I．インフルエンザウイルスの病態生理
　　II．インフルエンザウイルスの感染経路
　　III．インフルエンザワクチン
　　IV．感染対策
　　V．インフルエンザの臨床検査
　　VI．インフルエンザの治療
　　VII．インフルエンザ曝露後予防投与
　　VIII．帯状疱疹の病態生理
　　IX．水痘ワクチン
　　X．神経症状
　　XI．帯状疱疹の臨床検査
　　XII．帯状疱疹の治療
　　　1．抗ウイルス薬
　　　2．急性期疼痛の管理
　　　3．PHNの薬物療法
　　XIII．症例
　症例解析
　　1．問題リストの作成
　　2．SOAPチャートの作成
　　3．経過表の作成
　第3章　真菌感染症
　解説
　　I．深在性真菌症の病態生理
　　　1．主な真菌の種類と特徴
　　II．深在性真菌症の臨床検査・診断法
　　　1．マンナン抗原，ガラクトマンナン抗原，クリプトコッカス莢膜多糖抗原
　　　2．β-D-グルカン
　　III．深在性真菌症の治療
　　　1．カンジダ症
　　　2．アスペルギルス症
　　　3．クリプトコッカス症
　　IV．症例
　症例解析
　　1．問題リストの作成
　　2．SOAPチャートの作成
　　3．経過表の作成
　第4章　HIV感染症
　解説
　　I．HIV感染症に関する概略
　　II．HIV感染症の治療
　　　1．病態把握と抗HIV療法開始の考え方
　　　2．日和見疾患に関連するマネジメント
　　　3．CD4数の低い患者における注意点
　　　4．抗HIV療法
　　III．症例
　症例解析
　　　1．問題リストの作成
　　　2．SOAPチャートの作成
　　　3．経過表の作成
B　呼吸器疾患
　第1章　気管支喘息
　解説
　　I．気管支喘息の病態生理
　　II．喘息の管理・治療目標
　　III．喘息に対する身体所見の評価と臨床検査
　　　1．身体所見
　　　2．臨床検査
　　IV．長期管理における段階的薬物療法
　　　1．喘息治療の4ステップ
　　　2．その他の治療薬
　　V．急性増悪（発作）への対応
　　VI．気管支サーモプラスティ
　　VII．喘息のリスクファクター
　　VIII．症例
　症例解析
　　1．問題リストの作成
　　2．SOAPチャートの作成
　　3．経過表の作成75
　第2章　慢性閉塞性肺疾患
　解説
　　I．COPDの概念と病態生理
　　II．COPDの身体評価と臨床検査
　　　1．身体所見
　　　2．呼吸機能検査（スパイロメトリー）
　　　3．動脈血液ガス分析
　　　4．パルスオキシメータ（経皮的動脈血酸素飽和度：SpO2）
　　　5．画像所見
　　III．COPDの治療と管理
　　　1．安定期の管理
　　　2．増悪期の管理
　　IV．症例
　症例解析
　　1．問題リストの作成
　　2．SOAPチャートの作成
　　3．経過表の作成
C　皮膚疾患
　第1章　アトピー性皮膚炎
　解説
　　I．アトピー性皮膚炎の病態と疫学
　　　1．病態
　　　2．経過と予後
　　　3．疫学
　　II．アトピー性皮膚炎の診断基準
　　III．アトピー性皮膚炎の重症度分類
　　IV．アトピー性皮膚炎の治療
　　　1．治療目標（日本皮膚科学会ガイドライン）
　　　2．薬物療法
　　　3．悪化因子の検索と対策
　　V．症例
　症例解析
　　1．問題リストの作成
　　2．SOAPチャートの作成
　　3．経過表の作成
　第2章　褥瘡
　解説
　　I．褥瘡の定義と疫学
　　II．褥瘡の病態と重症度分類
　　III．創傷治癒に関与する局所環境因子
　　IV．褥瘡の治療
　　　1．外科的手術療法
　　　2．陰圧閉鎖療法
　　　3．薬物療法（主に外用薬による治療）
　　　4．創傷被覆材（特定保険医療材料）による治療
　　　5．安定した薬剤の効果を得るための創保護と創固定
　　V．褥瘡の予防
　　VI．症例
　症例解析
　　1．問題リストの作成
　　2．SOAPチャートの作成
　　3．経過表の作成123
D　感覚器疾患
　第1章　緑内障
　解説
　　I．緑内障の概要
　　　1．定義
　　　2．病態
　　　3．緑内障の分類
　　　4．緑内障の疫学
　　II．緑内障の検査
　　　1．問診
　　　2．眼圧測定
　　　3．細隙灯顕微鏡検査
　　　4．隅角検査
　　　5．眼底検査
　　　6．視野検査
　　III．緑内障治療の総論
　　　1．治療の目的−QOVとQOLの維持
　　　2．治療の原則
　　　3．病型・病期の決定
　　　4．リスクファクターの評価
　　　5．薬物療法
　　　6．手術療法
　　IV．緑内障の治療プロトコール
　　　1．原発開放隅角緑内障
　　　2．原発閉塞隅角緑内障
　　V．症例
　症例解析
　　1．問題リストの作成
　　2．SOAPチャートの作成
　　3．経過表の作成
付録　薬剤師による患者フォローとSOAPチャートの作成（全巻共通項目）
　1．患者情報の収集
　2．問題リストの作成
　3．問題点ごとの薬物療法の評価と立案（SOAPチャートの作成）
　4．治療経過のフォローアップ（経過表の作成）
索引

改訂第2版序文

　日本医療薬学会編集「病態を理解して組み立てる薬剤師のための疾患別薬物療法」第V巻では、感染症、呼吸器疾患、皮膚疾患、感覚器疾患を取り上げました。
　感染症として本書では、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、HIV感染症を解説しています。近年、国際的に抗微生物薬への薬剤耐性（antimicrobial resistance：AMR）が大きな問題として認識されています。この問題に立ち向かうための一つとして感染症治療における抗微生物薬の適正使用が非常に重要です。本書では、最新のガイドラインを反映させ、適正使用のための考え方を解説しましたので、臨床現場で活用できる内容となっています。
　呼吸器疾患では、気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患を取り上げました。気管支喘息は小児から成人まで幅広い年齢層で罹患する疾患であり、慢性閉塞性肺疾患はWHOの予測で2030年に世界の死亡原因の第3位になるとされている疾患です。両疾患とも吸入薬を用いた治療が主となり、薬剤師の役割が非常に大きくなっています。
　皮膚疾患では、アトピー性皮膚炎、褥瘡を解説し、感覚器疾患では、緑内障を解説しています。地域包括ケアが推進されるなか、在宅医療において褥瘡に遭遇することは、より多くなると考えられます。アトピー性皮膚炎、緑内障は治療が長期にわたることからアドヒアランス向上が重要であり、これらの疾患では特にチーム医療が重要と考えられます。
　それぞれの疾患に関する病態生理、診断、薬物療法については、第一線で診療と薬剤業務に取り組んでいる臨床薬剤師と専門医の先生方に協力して解説していただきました。
　本書が、日本医療薬学会の認定薬剤師やその他の団体の認定薬剤師の資格取得を目指す薬剤師や学生の学習の助けとなり、「患者中心のファーマシューティカルケア提供」の向上に役立つことを切に願っています。
　最後に、本書の趣旨にご賛同いただき、ご多忙のなかご執筆いただいた薬剤師の先生方、内容をご確認いただいた医師の先生方に深謝いたします。

2018年3月
感染症／呼吸器疾患　編集　北原隆志
皮膚疾患／感覚器疾患　編集　大谷道輝