病態を理解して組み立てる 薬剤師のための疾患別薬物療法 I 悪性腫瘍改訂第2版

第1章　肺がん
解説
　I.肺がんの疫学・病態生理
　II.肺がん患者に対する検査
　　1．集団検診の有用性
　　2．肺がんの検出方法
　　3．質的画像診断
　　4．確定診断
　　5．分子診断
　III.肺がんの国際病期分類
　IV.病期分類に基づく肺がんの治療
　　1．非小細胞肺がん
　　2．小細胞肺がん
　V.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成15
第2章　乳がん
解説
　I.乳がんの病態生理
　II.乳がん患者に対する検査
　III.乳がんの病期分類
　IV.乳がんの治療
　　1．手術療法
　　2．放射線照射
　　3．薬物療法
　　4．非浸潤性乳がんに対する標準治療
　　5．浸潤性乳がんに対する標準治療
　　6．高齢者乳がんに対する治療
　V.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成27
第3章　卵巣がん
解説
　I.卵巣がんの病態生理
　II.卵巣がん患者に対する診断と検査
　III.卵巣がんの治療
　　1．手術療法
　　2．初回化学療法（first-line chemotherapy）
　　3．維持化学療法（maintenance chemotherapy/consolidation chemotherapy）
　　4．腹腔内化学療法（intraperitoneal chemotherapy：IP療法）
　　5．再発卵巣がんの化学療法（second-line chemotherapy）
　IV.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成
第4章　前立腺がん
解説
　I.前立腺がんの病態生理
　II.前立腺がん患者に対する診断と検査
　　1．PSA，直腸診，超音波検査
　　2．前立腺生検
　　3．病期診断
　III.前立腺がんの治療
　　1．内分泌療法
　　2．去勢抵抗性前立腺がんに対する治療
　　3．骨転移に対する治療
　IV.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成
第5章　食道がん
解説
　I.食道がんの疫学・病態生理
　II.食道がん患者に対する診断と検査
　　1．診断
　　2．検査
　III.食道がんの治療
　　1．非薬物療法
　　2．薬物療法
　IV.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成
第6章　胃がん
解説
　I.胃がんの疫学・病態生理
　II.胃がん患者に対する診断と検査
　　1．診断
　　2．検査
　III.胃がんの治療
　　1．非薬物療法
　　2．薬物療法
　V.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成
第7章　大腸がん
解説
　I.大腸がんの病態生理
　II.大腸がん患者に対する検査
　III.大腸がんの治療
　　1．術後補助化学療法
　　2．切除不能進行・再発大腸がんに対する化学療法
　IV.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成
第8章　肝がん
解説
　I.肝がんの疫学・病態生理
　II.肝細胞がん患者に対する診断と検査
　　1．肝細胞がんのサーベイランスアルゴリズム・診断アルゴリズム
　　2．肝障害と進行度の評価
　III.肝細胞がんの治療
　　1．治療アルゴリズムによる治療法の選択
　　2．肝動脈（化学）塞栓療法〔TA（C）E〕
　　3．穿刺局所（局所壊死）療法
　　4．化学療法（全身化学療法・肝動注化学療法）
　IV.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成108
第9章　膵がん
解説
　I.膵がんの疫学・病態生理
　II.膵がん患者に対する診断と検査
　　1．膵がんの検査
　　2．膵がんの病期分類
　III.膵がんの治療
　　1．補助療法
　　2．化学放射線療法
　　3．化学療法
　IV.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成
第10章　血液腫瘍
A　白血病
　1　白血病総論
　　I.病態生理
　　II.臨床検査
　　III.白血病の治療
　　IV.白血病あるいはその治療に合併して起こりうる病態と症状
　2　急性骨髄性白血病（acute myeloidleu kemia：AML）
　　I.病態生理
　　II.臨床検査
　　III.治療
　3　急性リンパ性白血病（acute lymphoblastic leukemia：ALL）
　　I.病態生理
　　II.臨床検査
　　III.治療
　4　慢性骨髄性白血病（chronic myelogenous leukemia：CML）
　　I.病態生理
　　II.臨床検査
　　III.治療
B　リンパ腫
　I.病態生理
　II.臨床検査
　III.ホジキンリンパ腫（HL）の治療
　IV.非ホジキンリンパ腫（NHL）の治療
C　多発性骨髄腫
解説
　I.病態生理
　II.臨床検査
　III.治療
　IV.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成
第11章　脳腫瘍
解説
　I.脳腫瘍の疫学・病態生理
　　1．髄膜腫（メニンジオーマ）
　　2．神経膠腫（グリオーマ）
　　3．下垂体腺腫
　II.脳腫瘍の診断と検査
　　1．症状
　　2．検査
　III.脳腫瘍の悪性度分類
　IV.脳腫瘍の治療
　　1．対症療法
　　2．原発性脳腫瘍の治療
　V.症例
症例解析
　1．問題リストの作成
　2．SOAPチャートの作成
　3．経過表の作成
付録　薬剤師による患者フォローとSOAPチャートの作成（全巻共通項目）
　1．患者情報の収集
　2．問題リストの作成
　3．問題点ごとの薬物療法の評価と立案（SOAPチャートの作成）
　4．治療経過のフォローアップ（経過表の作成）
索引

改訂第2版序文

　がん治療は、医学的にも、政策的にも、大変目まぐるしく変化しています。たとえば、10年前にはほとんど見向きもされなかったがん免疫を標的とする薬物療法が、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブの開発を皮切りに、現在では多くのがん種で標準療法になりつつあります。また、2007年に策定された「がん対策推進基本計画」は、2017年10月に第3期計画が公表されました。個人に最適化された患者本位のがん医療実現のために、「がんゲノム医療の推進」が取り上げられるなど、がんの治療戦略も新たなステージに向かおうとしています。このようながん治療の変化に、薬のプロフェッショナルとして持続的に対応していくために、「がん専門薬剤師認定制度」が約10年前に発足し、2018年1月時点では、約600名の日本医療薬学会がん専門薬剤師が認定されています。
　さて、2010年に医療薬学会から刊行された『病態を理解して組み立てる薬剤師のための疾患別薬物療法』シリーズは、医療薬学のアドバンストな教科書を作成するという目的で出版されました。このシリーズのうち、『I。悪性腫瘍』を参考書として、がん専門薬剤師を目指した薬剤師も多かったのではないかと思われます。しかし、月日の経過とともに、当時アドバンストであった内容は、一般的な情報（あるいは非標準療法）へと変貌していきました。そこで第2版では、第1版のがん種に血液腫瘍と脳腫瘍を追加し、がん治療の最前線で活躍されている薬剤師の先生方に、最新の標準的がん薬物療法を軸に全面改訂していただきました。
　内容は、大きく「解説」と「症例解析」に分かれており、基本的な知識から踏み込んだ情報までがコンパクトにまとめられています。したがって、がん薬物療法の広さと深さを効率的に習得するためには、最適の教科書となっています。本書が、がん薬物療法に関わる薬剤師や薬学生の学習の助けになり、最終的にがん患者さんのアウトカム向上に直結すれば、編者としてこの上ない喜びです。
　最後に、本書出版の趣旨にご賛同いただき、ご多忙のなか、原稿をご執筆いただいた薬剤師の先生方と、内容をご確認いただいた医師（執筆協力者）の先生方、本書編集の機会を与えて下さった峯村純子出版委員長、ならびに厳しいスケジュールのなか、編集作業にご尽力いただいた株式会社南江堂の猪狩奈央、鳥海知子、矢�ｱ純子の諸氏に深謝いたします。

2018年3月
I巻 悪性腫瘍 編集
渡部一宏
寺田智祐
三浦昌朋