続・あなたのプレゼン 誰も聞いてませんよ!
とことんシンプルに作り込むスライドテクニック
著 | : 渡部欣忍 |
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ISBN | : 978-4-524-25128-5 |
発行年月 | : 2017年10月 |
判型 | : A5 |
ページ数 | : 184 |
在庫
定価3,080円(本体2,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
好評書『あなたのプレゼン 誰も聞いてませんよ!』の続編。本書では、著者がこれまでに磨き上げてきたプレゼンにおけるスライド作成技術の原則から具体的な修正方法までのすべてを解説している。多くの実例が講演の紙上再現という形式で紹介されており、好みのスライドの型が獲得できるはずである。ポスター作成の前提と実践も収載しており、読者の必要に応える内容となっている。
第1章 プレゼンの極意:わかりやすい学会発表のためのスライド作り10ヵ条
I 自己紹介
II スライドとは,プレゼンとは
III プレゼンの大原則
IV わかりやすいプレゼンのためのスライド作成10ヵ条
原則1 大きいことはよいことだ
原則2 読ませる書体と見せる書体を区別せよ!
原則3 “箇条書き”を撲滅せよ
原則4 シンプルな背景を使う
原則5 4つの色を決める
原則6 グラフの強調
原則7 入れ子の箇条書きは“表”にする
原則8 表は項目を減らす
原則9 ホワイトスペースを大切にする
原則10 印象的な写真を使う
第2章 スライド Before and After
I スモール・グループでの症例報告
a 現病歴とROS(review of systems)
b その他の病歴
c 主訴・病歴からの鑑別診断は?
d 鑑別診断リスト
e 身体所見
f 鑑別診断を絞る
g 検査結果と確定診断
h 治療
II 結節性紅斑をきたす疾患の鑑別診断を中心としたケースカンファレンス
a 現病歴
b 問診
c 身体所見
d problem list(プロブレムリスト)
e 結節性紅斑の解説
f 血液検査結果
g 入院後経過
III 2型糖尿病における慢性腎臓病とメタボリック症候群の血管障害リスク因子
a 研究背景と目的
b 対象および方法
c 結果のグラフ
IV 漢方薬による薬物性肝障害を疑う症例
a 病歴
b 身体所見
c 入院時血液検査所見
d 肝炎ウイルスと免疫系検査
e 入院時プロブレムリスト
f 画像検査
g 入院後経過
h 最終診断
i 考察
j 薬物性肝障害に関する一般的知識
第3章 よく使うテクニック
I タイトル画面の工夫
a 袋文字を使う
b 不透明度を設定したスクリーンを写真の上に貼りつける
c 写真の縮小やトリミングで文字領域を確保する
II 検査データの作り方
III アライメントを整える
IV グループ分けを明確にする
V 比率を考慮する
第4章 ポスター発表
I 一般的なポスターと研究発表のポスター
II ポスター作成の前提と目的
III ポスター作成の原則
原則1 大きな文字を使う
原則2 フォントを区別する
原則3-1 (長い文や句が入った)箇条書きを撲滅する?
原則3-2 図にできないかを考える
原則4 シンプルな背景を使う
原則5 4つの色を決める
原則6 グラフの強調は明確に
原則7 入れ子の箇条書きは“表”にする
原則8 表は項目を減らす
原則9 ホワイトスペースを大切にする
原則10 印象的な写真はあまり活用しない
IV ポスターを修正してみよう
a 正方形(縦100cm×横100cm)のポスターの場合
b 横長(縦84cm×横118cm)のポスターの場合
c 縦長(縦150cm×横100cm)のポスターの場合
d 症例報告のポスターの場合
索引
序文
昼の長寿番組『笑っていいとも』の放送が終了し、消費税が5%から8%に増税され、『レット・イット・ゴー〜ありのままで〜』が巷で流行し、夏には上戸彩の不倫ドラマが流行り、秋には米倉涼子が大きな病院内を闊歩した2014年。
あれから3年…経ちました。
拙著『あなたのプレゼン誰も聞いてませんよ!−シンプルに伝える魔法のテクニック』を上梓した時には、これほど注目されるとは夢にも思いませんでした。この3年間に、臨床雑誌『内科』(南江堂)、雑誌『整形・災害外科』(金原出版)、メディカルトリビューン社のホームページで、プレゼン関係の連載を受け持つという貴重な経験もしました。多くの称賛と、少しの辛辣な批判もほどよくバランスがとれていたように思います。
大学、企業、学会・研究会から講演依頼もいただきました。講演内容をビデオで撮らせてほしいとか、講演に使ったスライドをくださいなどの要望が、勉強熱心な若手医師、看護師、学生などから毎回ありました。デジタルデータをお渡しすると、著作権などでいろいろな問題が出てくる可能性もあるので、丁重にお断りしてきました。
何とか要望に応えらないかと考えた時、講演内容をそのまま書籍にしてしまえばよいのではと思い立ち、本書を上梓しました。「第1章 プレゼンの極意:わかりやすい学会発表のためのスライド作り10ヵ条」は、私が行った講演の内容を再現したものです。私は講演のプロではありませんので、毎回同じ話をすると飽きてきます。そのため、講演を重ねると内容が少しずつ変化してきました。通常は1時間ほどの講演なのですが、第1章の内容を普通に話すと1時間半くらいになると思います。「第2章 スライド Before and After」は、臨床雑誌『内科』で18回にわたり連載した『あなたのプレゼン誰も聞いてませんよ!〜秘密の特訓編〜』を加筆・修正した内容です。「第3章 よく使うテクニック」は、メディカルトリビューン社のホームページで30回にわたり連載した『欣ちゃんのプレゼン道場〜グンとよくなる驚きの技』の中から抜粋し、修正・加筆した内容です。第4章は、おまけでポスター発表についても言及してみました。
多くのスライド例を掲載したので、きっとみなさんの参考になると思います。前著同様にみなさんが楽しんで読んでくださるとよいのですが、どうでしょう。最後に、ねばり強く原稿が完成するのを待ってくださいました南江堂編集部のみなさんに深謝いたします。
2017年10月
渡部欣忍
皆さんに質問します。先生方はどのように講演や講義のスライドを作成していますか? バックグラウンドは何色? フォントは? そのサイズは? 図の配置は? 何となく自分の好みと感覚で作成していませんか? しっかりと指導されたこともなく、あまり根拠もないにもかかわらず…でも、いいたいことはできるだけわかりやすく書き込んでいるつもりだ…そんな先生方もきっと多いはず。かくいう私がそうでした。この本はそのような曖昧な気持ちが吹っ飛ばされるくらいのインパクトのある名著です。
本書は帝京大学整形外科教授・渡部欣忍先生の魅力的なプレゼンスライド作成のための指南書ですが、ただ単なる指南書ではありません。何をどのようにしたら自分の伝えたいことを相手に伝えることができるのか? 相手にわかってもらうとはどういうことか? 著者のphilosophyが感じられる魂の名著といえるでしょう。本書は『あなたのプレゼン誰も聞いてませんよ!−シンプルに伝える魔法のテクニック』の第二弾です。前書は2014年に南江堂から発刊され大好評となったベストセラーですが、前書を読む機会のなかった私は、前作、本作と続けて一気に読み進めました。読んだ後の感想は、「しまった、もっと早く読むべきだった 今週末の講演のプレゼンスライドどうしよう…」です。私も聴衆(特に学生)を引きつけるような講義や講演のむずかしさはいつも痛感しています。講演の内容やストーリー、私の話し方などにも大きな問題もあると思われますが、そもそも聴衆に内容を簡潔に伝えるようなスライドが作成できていなかったことも大きな問題であったようです。本書に掲載されているダメスライドの例、まさに自分がいつも作成しているようなスライドです。なんと恥ずかしいことでしょう…。
著者は前作上梓後、プレゼンテーションに関する多くの講演を依頼され、臨床雑誌『内科』(南江堂)、雑誌『整形・災害外科』(金原出版)などいくつかの雑誌でプレゼン関連の連載を担当されました。多くの聴衆や読者から大好評であったそうですが、本書はそれらの講演や連載の内容を惜しげもなくまとめあげた至極の書となっています。
本書は4章からなる構成となっています。第1章では「プレゼンの極意−わかりやすい学会発表のためのスライド作り10ヵ条」として、多くのスライド作成の実例とともに記載されています。「大きいことはよいことだ」、「読ませる書体と見せる書体を区別せよ!」、「“箇条書き”を撲滅せよ」などなど、著者の言葉に「目から鱗」が何枚落ちたかわかりません。
第2章は「スライドBefore and After」として実際のスライドの変更が、どのようにインパクトを与えるかを明らかにしています。私がいつも作成するようなダメスライドが、著者にかかると徐々にたいへんわかりやすいスライドに変化していきます。その変化を十分に楽しんでください。
第3章「よく使うテクニック」では、プレゼンをより効果的に魅力的にするためのテクニックが数多く示されています。
最終の第4章ではおまけといわれつつも、ポスター発表について書かれています。講演と違ってポスターは長時間学会参加者の目に触れることになり、ポスター作成には講演スライド作成と違ったプレッシャーがあることは皆さんよくご存じですね。国内のみならず海外での発表でもポスター発表は重要な意味をもちますが、さまざまなテクニックが記載されており、たいへん興味深い内容となっています。
著者は整形外科において、特に外傷や外傷後合併症分野の第一人者です。ただ単なる講演上手な整形外科医ではなく、たいへんしっかりした臨床および基礎研究に基づいた講演をされる科学者といえるでしょう。そのアカデミックレベルの高い講演のすばらしさは有名です。アカデミックな研究成果をいかに聴衆に効果的に伝えるか、著者の知識と技術を惜しみなく披露した本書をぜひ一読していただきたいと思います。前著『あなたのプレゼン誰も聞いてませんよ!−シンプルに伝える魔法のテクニック』をお読みでない先生方はぜひ2冊併せての購入をおすすめします。効果倍増、いや3倍増であること間違いありません!
臨床雑誌整形外科69巻5号(2018年5月号)より転載
評者●広島大学整形外科教授 安達伸生
続編はツマラナイという常識を打ち破る“続編”
「あなたのプレゼン 誰も聞いていませんよ! シンプルに伝える魔法のテクニック」(著:渡部欣忍)は素晴らしい書籍である。この好評のオリジナル作は、プレゼンテーションの極意とスライド作成のコツを、読者にわかりやすく伝授してくれる珠玉の一冊である。この書籍の続編が登場したと聞いたときに自分はある種の不安を感じた。続編はコケる場合が多いからである。その傾向は映画で明らかで、「ヒット作の続編は失敗する」というジンクスを乗り越えた作品は少ない。第一作の緊張感を愛する映画ファンの期待は裏切られることが通常である。オリジナルに比べ、アイデアが新鮮でなくなることが一番の理由である。
しかし、「続・あなたのプレゼン 誰も聞いてませんよ!」を実際に読んでみて、自分の懸念は完全に払拭された。著者がこれまでに磨き上げてきた、プレゼンにおけるスライド作成技術の原則から具体的な修正方法までのすべてが解説されている。第一作を超える素晴らしい点は、多くの実例が講演の紙上再現という形式で紹介されていることである。完成形だけを呈示するのではなく「before and after」という形で、スライド修正の過程が手に取るように示されている。その修正の理論的背景も解説されているのはありがたい。パワーポイントを使いこなして、一段レベルの高い表現をしたいという要求にも応えてくれる。さらには、スライドだけでなくポスター作成についても実践的に紹介しており、読者のニーズを完全に満たす内容といえる。
映画の世界で評価の高い続編の代表は「ターミネーター2」であろうか。オリジナル作品ではT-800型ターミネーター(シュワちゃん)は恐怖の対象であった。続編では、このT-800が最新型T-1000と激しい戦いを繰り広げるだけでなく、コナー親子の護衛につき交流のうちに感情を覚え、良き父親として描かれるのである。この意外性のある展開が続編を際立たせている。この渡部欣忍先生のプレゼン本の続編は、「ターミネーター2」ばりにオリジナル作品を超えている。「シュワちゃん」に匹敵する書籍を執筆する渡部欣忍先生には、医学の世界にとどまらない映像・画像の表現者としての素養が天性の才として備わっているのであろう。
本書は、発表を間近に控えた方々や、発表法について指導すべき立場の方々にお薦めしたい。そして、ある程度は発表にも慣れ、自分はプレゼン上手であると自負する方々にぜひともお薦めしたい一冊である。一層グレードアップした発表が可能となるであろう。何よりも、オリジナルの第一作を既読の方には、なおさら本書をお薦めしたい。なぜなら続編はツマラナイという常識を打ち破る“続編”だからである。
臨床雑誌内科122巻3号(2018年9月増大号)より転載
評者●天理よろづ相談所病院循環器内科部長 中川義久