NEWテキストシリーズ
NEW予防医学・公衆衛生学改訂第4版
監修 | : 岸玲子 |
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編集 | : 小泉昭夫/馬場園明/今中雄一/武林亨 |
ISBN | : 978-4-524-25116-2 |
発行年月 | : 2018年11月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 434 |
在庫
定価6,930円(本体6,300円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
医学部学生のための予防医学・公衆衛生学の好評テキスト。現状と最新の課題、方法、将来像を最新の統計データを豊富に盛り込み解説。今版では、「第6部 健康危機管理」を新設し、全6部構成へと変更。統計データ・数値も更新し、最新情報を網羅した予防医学・公衆衛生学テキストの決定版。
1部 総論
第1章 衛生学・公衆衛生学の現状と歴史,基本的方法,活動分野
A 医学の中の公衆衛生学・予防医学の位置
B 変貌する社会環境と国民の健康状態
C 公衆衛生・予防医学の歴史(世界と日本)
D 事例から学ぶ公衆衛生・予防医学の役割
E 公衆衛生・社会医学の新たな展開
F 公衆衛生学・予防医学の基本的方法
G 公衆衛生・予防医学の活動分野と教育・訓練
第2章 健康と疾病の概念,ヘルスプロモーションと社会・行動科学
A 健康と健康障害の概念
B 疾病予防の概念と方法
C 健康増進・ヘルスプロモーション
D ポピュレーションストラテジーとハイリスクストラテジー
E アドボカシー
F 医療とメディア
第3章 医の倫理
A 医の倫理と医師の義務
B 医師と患者および家族との関係
C 終末期患者への対応
2部 人口統計,疫学と生物統計
第1章 人口統計と保健統計
A 人口静態統計
B 人口動態統計
C 年齢調整死亡率と標準化死亡比(SMR)
D 疾病分類と原死因
E 主要死因の動向
F 生命表
G 疾病統計
第2章 疫学と方法
A 総論
B 情報収集における注意点と疾病量の把握
C 記述疫学
D 分析疫学
E ゲノム疫学
F 無作為化比較試験(RCT)
G 臨床疫学
H メタアナリシスとシステマティック・レビュー
I 健康医療におけるビッグデータの活用
第3章 生物統計
A 総論
B 統計学的検定と推定
C 相関と回帰
D 疫学の統計手法
3部 生涯を通じての健康
第1章 現代社会と子どもの健康,女性の健康
A 子どもの発達と健康に影響を与える環境要因
B 女性の労働と健康
C 母性保健とハイリスク妊娠
D 子どもの疾患と予防医学の現状(保健統計)
E 母子保健対策と子育て支援
F 出生前診断と遺伝相談
第2章 学校保健と思春期の健康
A 学校保健の領域
B 学校保健の仕組みとかかわる職種
C 学校保健における保健管理
D 保健教育・保健学習
E 学校給食と食育教育
F 学校環境衛生
G 学校安全
H 児童生徒の健康の現状
I 学校精神保健
第3章 生活習慣病の疫学と予防
A 総論
B 悪性新生物(がん)
C 脳血管疾患,高血圧
D 心疾患,脂質異常症
E 糖尿病・肥満・メタボリックシンドローム
F 骨粗鬆症・骨折予防
G 身体活動・運動
第4章 高齢者と健康
A 現状と動向
B 高齢者の精神的活動・身体的活動の維持と健康
C 加齢と疾病
D 高齢者の健康寿命とQOL,ADL
第5章 社会と健康
A 社会疫学
B 子ども
C 高齢者
第6章 口腔保健
A 母子における口腔保健
B 学校における口腔保健
C 職域口腔保健
D 成人・高齢者の口腔保健
4部 環境と健康
第1章 感染症の疫学と予防
A 総論
B 主要感染症の動向
C 予防対策
D 世界の感染症
第2章 環境保健
A 環境と適応
B 地球環境の変化と健康影響
C 環境汚染の発生原因と現状
D 上水道と下水処理
E 公害の健康影響と対策
F 環境汚染の評価と対策
G 廃棄物処理
第3章 産業衛生
A 産業保健の歴史
B 産業医制度
C 産業衛生管理
D 労働災害
E 過重労働
F 健康診断
G 産業保健に関する国際協力
H 職場のメンタルヘルス
I 化学物質による健康被害
J 物理的要因による健康障害
K 労働負荷
L 曝露限界
第4章 栄養と食品保健
A 食品保健の目標と現状
B 日本人の食事摂取基準(2015年版)
C 国民栄養
D 保健機能食品,特別用途食品
E 食中毒
F 食品安全基本法と食品安全委員会
5部 社会保障と保健医療政策
第1章 保健医療行政
A 保健医療行政の概要
B 保健・医療・福祉・介護関係法規
C 地域医療計画と介護保険事業計画
D 地域包括ケアシステム
E 地域精神保健福祉
F 高齢者保健と福祉
G 終末期医療
第2章 社会保障と保健医療制度,医療経済
A 保健医療の財源と医療経済
B 保健医療福祉介護の資源
C 医療保険制度と医療費
D 保健医療と医療経済評価
E 社会保障と社会福祉
第3章 社会と保健医療介護
A 保健・医療・福祉・介護の仕組み(在宅ケアを含む)
B 医療組織における経営と管理
C 医療の質と安全の確保と向上
D 医療事故と医療過誤
E 個人情報保護法と医療情報
F 先端医療技術の社会との調和
第4章 国際保健
A 国際保健とグローバルヘルス
B 世界の健康格差
C 健康格差の背景にあるもの
D 開発途上国における健康観の転換
E MDGsからみたグローバルヘルスの現状と課題
F SDGsからみたグローバルヘルスの現状と課題
G 国際援助・協力の仕組み
H 国際協力・グローバルヘルスの実施機関
6部 健康危機管理
第1章 諸局面における健康危機管理
A 危機管理概論とリスクコミュニケーション
B 感染症と危機管理
C 災害医療と危機管理
D 災害時の地域における健康危機管理
E 食中毒と危機管理
参考書,参考ホームページ
索引
改訂第4版の序
私たちは、2003年に本書初版を刊行した。2006年には改訂第2版を、また2012年には改訂第3版を出版した。さらに初版から15年を経て、ここに改訂第4版を発行することができた。
明治以降、わが国では“生命・生活を衛る”という意味で疾病予防・健康増進の学問は「衛生学」と呼ばれてきた。加えて第二次世界大戦後の連合軍占領下の保健医療政策の中で、現場における公衆衛生活動が重視され、各地の医科大学には公衆衛生学講座が設置されることになった。地域社会における組織的な取り組みが強調されたものである。本書で予防医学を冠したのは、疾病や健康障害の予防がQOL(生命・生活の質、ひいては人生の質)を高める重要な要素だからである。今世紀初めから、各地で公衆衛生大学院が設置され、いっそう、公衆衛生学が現代社会の多様なニーズにこたえる時代になってきている。そこで本書は医学部学生を主たる対象としながら、種々のバックグラウンドをもつ公衆衛生大学院の学生や、これから社会医学系専門医資格の取得にチャレンジしようとする医師など、広範囲の対象者の存在を念頭におき、予防医学・公衆衛生学の基本的な理念を大切に、現状と課題、さまざまな手法、将来像などが身につくように構成した。
1部「総論」では、世界の衛生学・公衆衛生学の歴史とその基本的事項を解説しており、代表的な事例を通して予防医学や公衆衛生学の役割を学ぶとともに、過去100年余りの変化からわが国の公衆衛生学的な諸問題とその背景を理解するのに役立つよう構成した。ヘルスプロモーションにはアドボカシーや医療とメディアの項目を新設した。2部「人口統計、疫学と生物統計」では大規模(ビッグ)データとゲノム疫学も追加した。3部「生涯を通じての健康」では働く女性の健康に焦点を当てたほか、高齢者と子どもの社会疫学研究の知見を初めて取り入れた。また福島第一原子力発電所の事故以降、すでに7年が経過しており多くの公衆衛生に関わる事象が生じているため、4部「環境と健康」の電離放射線の中で現状を記した。5部「社会保障と保健医療政策」では、保健医療行政と、社会保障・医療制度・医療経済に分けて再編し、近年の改革の背景と現在の仕組みを容易に理解できるように工夫した。近年、地震や風水害による甚大な自然災害が頻発し、新興感染症もときに猛威をふるい、食中毒の発生も止むことはなく、国民の健康を脅かし、危機管理が重視される時代となっている。そこで今改訂では新規に6部「健康危機管理」を設け、各健康危機におけるマネジメントを詳述した。
現在、わが国では少子化、高齢化など人口基盤が激変しつつある。さらに地球環境問題の進展や、世界経済の激動をみれば、人々の健康と安全・安寧の問題への取り組みがますます重要になってきている。そのもっとも基礎になるのは人々の人権への配慮と当事者(国民)の参加である。それらの潮流を確かに感じとりながら、皆さんが本書を学んでくださることを希望している。
最後に、第4版改訂に熱意をもって尽力された執筆者と編集作業に携われた南江堂出版部の諸氏に心より感謝する次第である。
2018年7月
監修・編集者一同