脳動脈瘤手術
基本技術とその応用
編著 | : 上山博康/宝金清博 |
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ISBN | : 978-4-524-25018-9 |
発行年月 | : 2010年10月 |
判型 | : A4 |
ページ数 | : 370 |
在庫
定価25,300円(本体23,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
上山組が総力を結集した、“現時点での脳動脈瘤に対する外科的治療技術のすべて”。基本的な治療戦略とそれを実現するための戦術および技術をくまなく解説。また、各部位の手術の実際をステップごとに詳細に解説した。脳動脈瘤手術の指南書として、脳神経外科手術基盤技術書として最適の書。
●脳動脈瘤治療の現在・過去・未来
●脳動脈瘤手術−学ぶ・極める・伝える−
第I章 脳動脈瘤クリップの基礎
A.動脈瘤の分類
B.クリッピングの基本技術
(1)クリッピングの考え方
(2)閉塞線(closure line)
(3)クリッピングデバイス(クリップ、クリップ鉗子)
(4)一般的なクリッピングの技術
C.クリッピングの応用技術
(1)戦術的クリッピング
(2)開頭、アプローチ
(3)不良なクリッピング
(4)safe wayと破裂時の対応
第II章 脳動脈瘤手術の基本技術
A.開頭術
(1)前頭側頭開頭術
(2)両前頭開頭術
(3)外側後頭下開頭術
B.頭蓋底技術
(1)前床突起切除術
(2)側頭開頭術(経錐体骨アプローチ)
(3)経後頭顆アプローチ
C.バイパス手術
(1)STA─MCAバイパス
(2)ECA─M2バイパス
RAグラフト
saphenous veinグラフト
(3)OA─PICAバイパス
(4)ACA─ACAバイパス
D.くも膜下腔の確保
(1)シルビウス裂開放
(2)半球間裂剥離
E.動脈瘤処理
(1)動脈瘤の剥離
動脈瘤剥離の基本技術
破裂動脈瘤の完全剥離
動脈瘤と癒着した小動脈の剥離
(2)動脈瘤クリッピング
戦術としてのclosure line
クリップ操作技術
視軸と操作軸と術野の関係
(3)suction and decompression
F.くも膜下腔洗浄
第III章 内頚動脈瘤
A.海綿静脈洞部動脈瘤
B.傍前床突起部内頚動脈瘤
C.内頚動脈─後交通動脈瘤
D.内頚動脈─前脈絡叢動脈瘤
後交通動脈が太い例
前脈絡叢動脈が複数ある例(1)
前脈絡叢動脈が複数ある例(2)
E.内頚動脈先端部動脈瘤
12mm大の壁の厚い動脈瘤
細いmedial LSAが分岐するもの
Heubner反回動脈が関係するもの
A1からの穿通枝が関係するもの
F.内頚動脈背側動脈瘤
急性期(1)(動脈硬化例)
急性期(2)(術中に動脈瘤が取れた例)
慢性期
第IV章 前大脳動脈瘤
A.前交通動脈瘤
interhemispheric approachの実際
破裂瘤における剥離手順と母血管確保
closure lineとapplication angle
trans-sylvian approachによるクリッピング
B.前大脳動脈水平部動脈瘤
手術のポイント
手術の実際
C.前大脳動脈末梢動脈瘤
手術のポイント
手術の実際
第V章 中大脳動脈瘤
A.中大脳動脈瘤クリッピングの基礎
中大脳動脈瘤の特徴
手術のポイント(動脈瘤とM1部)
upward long M1 type
M1 segmentの動脈瘤
broad neck大型〜巨大動脈瘤
B.特殊な中大脳動脈瘤
血栓化巨大動脈瘤
中大脳動脈末梢部動脈瘤
第VI章 脳底動脈瘤、椎骨動脈瘤
A.脳底動脈瘤
B.椎骨動脈瘤
第VII章 特殊な脳動脈瘤
A.巨大動脈瘤
手術のポイント
傍前床突起部巨大内頚動脈瘤(1)
傍前床突起部巨大内頚動脈瘤(2)
巨大内頚動脈瘤(主要動脈が動脈瘤に含まれる)
巨大内頚動脈瘤(穿通枝確認困難例)
巨大中大脳動脈瘤(破裂例)
巨大中大脳動脈瘤(クリッピング不可例)
B.血栓化動脈瘤
C.解離性動脈瘤
D.後大脳動脈遠位部動脈瘤
第VIII章 手術のセットアップ、手術器具
A.セットアップ
B.手術器具
基本的事項
開頭セット
マイクロセット
図題一覧
索引
「序」より
これから手術をする動脈瘤は、非常に大きなものや難しいものばかりになると予想される。紆余曲折を経て、たくさんの失敗を繰り返しながら今日に至った我々の世代と違って、これから手術を目指す若い先生達は、我々の失敗の歴史をワープして、コイル塞栓術の成績を凌駕する結果を求められることになる。極めて厳しい!と言わざるをえない状況である。だからこそ、この本が出版される意義は大きいと考えている。
上山博康
本書は、脳動脈瘤手術に関わってきた僕達が研究し尽くした究極の戦型を示したものである。自然科学の中には、ポアンカレ予想やリーマン予想のように、多くの天才の挑戦を跳ね返し、絶望させてきた「超」難問がある。解離性動脈瘤、巨大動脈瘤や血栓化動脈瘤などの治療も、そうした超難問である。それは、血管内外科にとっても解の出ない超難問である。しかし、本書では、ある意味、開頭手術をするものからのこの超難問に対する一つの「解」が示されたような気がする。
宝金清博