抗酸菌検査ガイド2020
編集 | : 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 |
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ISBN | : 978-4-524-24979-4 |
発行年月 | : 2020年1月 |
判型 | : A4 |
ページ数 | : 130 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
日本結核・非結核性抗酸菌症学会による、最新の抗酸菌検査のためのガイドブック。結核菌に加え、患者が増加傾向にある非結核性抗酸菌(NTM)に対する指針を示す。CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute、臨床・検査標準協会)の検査指針改訂を反映し、また最新の薬剤耐性検査(ベダキリン等)や遺伝子検査、質量分析にも対応した。
1章.抗酸菌検査概要
2章.用語の定義・略称
3章.抗酸菌検査関連法規
4章.抗酸菌検査のバイオセーフティ(検体収集〜輸送〜検査〜保管〜滅菌・廃棄)
5章.検査材料
6章.抗酸菌塗抹検査
7章.抗酸菌分離培養
8章.抗酸菌の同定
9章.抗酸菌の遺伝子検査
10章.抗酸菌の遺伝子型別解析
11章.薬剤感受性試験
(1)結核菌
(2)非結核性抗酸菌
12章.精度保証
索引
序文
抗酸菌検査には抗酸菌症診療上必須の情報を提供する役割があり、近年の科学的エビデンス重視の方針から、その重要性は弥増すばかりである。日本結核病学会では、1950年の「結核菌検査指針」の刊行以降、新しい基準や方法に対応した検査指針のアップデートを続けている。2000年には「新結核菌検査指針」が刊行され、2007年には「結核菌検査指針2007」に改訂されて、迅速検査体制の構築を念頭にした液体培養の推奨や、精度保証体制の強化のための記述の追加・改訂が行われた。さらに2016年には、非結核性抗酸菌症の検査にも一部対応した「抗酸菌検査ガイド2016」を上梓している。
抗酸菌検査の技術は日進月歩であり、特に核酸増幅法検査の領域での進歩が著しい。この領域では、これまで結核菌あるいはMycobacterium avium-intracellulare complexの定性的検出が主であったが、最近の検査試薬には定量性を有するものもあり、さらに網羅解析に対応する試薬も開発されつつある。特に精度的飛躍が著しいのは菌種同定検査の分野であり、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI-TOF MS)の精度向上でこれまで簡便に同定できなかった稀少菌種も同定可能となっている。感受性試験の分野でも、非結核性抗酸菌の領域で米国CLSI M24が第3版となり、感受性試験法の内容や解釈が改変されている。
以上のような状況を考慮し、上梓から4年を経過して一部内容的に旧くなった部分をアップデートすることを目的として、改訂を実施した。方法的あるいは臨床解釈上旧来通りの点については特に変更を加えていないが、2016年版で記載に不備のあった部分などは修正している。今回の改訂により臨床現場での利便性が増すことを期待している。
本書の改訂にあたっては多くの多忙な先生方にご協力いただいた。再度深甚なる感謝を申し上げる。今回の改訂は予定より2年ほど遅れたが、従来の間隔よりは迅速であったと考える。世界的には新しい検査法が数多く承認され、臨床応用されている。日本の抗酸菌検査体制も、ゲノム情報の利用などを含めて、さらに迅速な対応を必要としている。
2020年1月
一般社団法人 日本結核・非結核性抗酸菌症学会抗酸菌検査法検討委員会 委員長
御手洗聡