柔道整復
医療の中の柔道整復
監修 | : 公益社団法人全国柔道整復学校協会 |
---|---|
著 | : 有沢治 |
ISBN | : 978-4-524-24898-8 |
発行年月 | : 2019年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 86 |
在庫
定価2,530円(本体2,300円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
2018年から開始された新しいカリキュラムに盛り込まれた「柔道整復術の適応」を教授する教科書。患者の病態を適正に把握するために柔道整復師に求められる知識をまとめている。病態の解説はもちろん、もし、そのまま放置してしまった場合に起こりうる可能性のある事項を列記。医療安全の観点からも、これからの柔道整復師にとってより求められるようになるであろう知識を得ることができる。
1 柔道整復術の適否を考える
2 損傷に類似した症状を示す疾患
A 内臓疾患の投影を疑う疼痛
1 背部の痛み
2 胸部の痛み
3 腹部の痛み
4 肩の痛み
5 上肢の痛み
B 腰痛を伴う疾患
1 腰痛を伴う疾患
2 腰痛のred flag
3 見逃してはいけない整形外科疾患
C 化膿性の炎症など
1 急性化膿性骨髄炎
2 皮膚の細菌感染症
3 結晶誘発性関節炎
D 軟部組織の圧迫損傷
3 血流障害を伴う損傷
1 動脈損傷
2 骨折
3 脱臼
4 末梢神経損傷を伴う損傷
1 腕神経叢麻痺
2 骨折
3 脱臼
5 脱臼骨折
1 肩関節脱臼骨折
2 肘関節脱臼骨折
3 股関節脱臼骨折
4 足関節脱臼骨折
6 外出血を伴う損傷
1 開放性骨折
2 開放性脱臼
7 病的骨折および脱臼
1 病的骨折
2 病的脱臼
8 意識障害を伴う損傷
1 頭蓋骨骨折
2 脳挫傷
3 外傷性クモ膜下出血
4 急性硬膜外血腫
5 急性硬膜下血腫
6 急性脳内血腫
7 慢性硬膜下血腫
9 脊髄症状のある損傷
1 頸椎損傷
2 非骨傷性頸髄損傷
3 胸椎,腰椎損傷
4 非骨傷性胸椎,腰椎部脊髄損傷
10 呼吸運動障害を伴う損傷
1 胸部外傷
11 内臓損傷の合併が疑われる損傷
A 骨折
1 肋骨骨折
2 骨盤骨折
B 脱臼
1 胸鎖関節脱臼
2 股関節脱臼骨折
12 高エネルギー外傷
1 外傷性ショック
2 播種性血管内凝固症候群(DIC)
3 脂肪塞栓症候群(FES)
4 深部静脈血栓症(DVT),肺血栓塞栓症(PTE)
索引
序文
従来の医療モデルは、最初に医師が患者に対応し、その後、他の医療スタッフに照会するという形式である。しかしながら救急現場や、スポーツ外傷の現場では、医師や理学療法士、看護師等が一人で医学チームの役割を担う場合がある。もちろん柔道整復師もこの中に含まれる。それぞれの専門家は複数の分野における知識と技術を向上させる必要があり、いわゆるこのマルチスキルは専門家が一人しかいない場合は特に重要である。そのため医学チームの全員が自分の力量と限界を認識し、お互いに患者の治療に最適な環境をつくり上げていく必要がある。医師も柔道整復師も最初に患者に接した場合には、適正な病態の把握が重要であり、適切な初期治療の後、必要な場合は、早急にほかのメンバーや医療機関への照会が求められる。
適正な病態の把握は、診断、治療に密接し、その後の身体活動、日常生活活動に大きな影響を与える。これらは柔道整復師のみならず整形外科医を含めた医学チーム全体に求められるものである。運動器疾患における急性外傷は言うに及ばず、腰痛、背部痛を主訴とする慢性疾患、変性疾患や、炎症性疾患、腫瘍性疾患、さらには神経障害、循環障害、意識障害等、初期対応が生命の危険にも影響する病態が存在することを十分に認識する必要がある。
本書を執筆するにあたり、病態の説明と放置した場合の合併症、危険性を併せて記述した。柔道整復師を目指す方々や柔道整復教育の発展に少しでもお役に立てれば幸いである。
医療現場における柔道整復師の役割は、多岐にわたり、重要性は高い。今後も整形外科医を含めたチームスタッフとの連携が重要である。柔道整復師と整形外科医が連携して、運動器疾患の治療にさらなる貢献ができるよう願っている。
最後に執筆にあたりご指導、ご援助を頂いた全国柔道整復学校協会の先生方、南江堂の担当者各位に厚くお礼を申し上げる。
2019年2月
有沢治