非悪性呼吸器細胞診アトラス
肺癌との鑑別に悩んだときに
編集 | : 佐藤之俊/塩澤哲 |
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ISBN | : 978-4-524-24667-0 |
発行年月 | : 2020年2月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 224 |
在庫
定価8,250円(本体7,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
肺癌との鑑別に悩んだ際に役立つ細胞診アトラスとして、上気道から気管支、肺における代表的な非悪性病変に焦点を当て、細胞像に画像診断を含めた鑑別の要点を、呼吸器細胞診の最前線で活躍する執筆者によって解説。呼吸器細胞診に従事するすべての医療者にとって、日常の細胞診断業務における安全な診断と的確な診療に役立つ一冊である。
I 総論
1.呼吸器細胞診と正常細胞
2.悪性と診断しやすい反応性異型細胞
3.検体処理法
4.免疫染色と遺伝子検査
5.画像診断の基本:特徴的な画像所見と鑑別疾患
II 各論
1 上部気道
1)鼻腔・副鼻腔の炎症(鼻炎,副鼻腔炎)
2)鼻腔・副鼻腔の肉芽腫性炎症[多発血管炎性肉芽腫症(GPA)]
3)鼻腔・副鼻腔の腫瘍
(1)外向性乳頭腫
(2)内反性乳頭腫
4)喉頭結節
5)異形成
2 下部気道
1)腫瘍性病変
(1)硬化性肺胞上皮腫
(2)乳頭腫
(3)ciliated muconodular papillary tumor
(4)間葉系腫瘍
i)肺過誤腫
A)淡明細胞腫
B)炎症性筋線維芽細胞腫
C)肺類上皮性血管内皮腫
(5)リンパ組織球系腫瘍
i)肺Langerhans細胞組織球症
A)粘膜関連リンパ組織型(MALT)リンパ腫
(6)その他
i)唾液腺型腫瘍(多形腺腫)
A)髄膜腫
2)感染症
(1)細菌[抗酸菌(結核,NTM),放線菌]
(2)真菌
i)アスペルギルス
A)ムコール
B)クリプトコッカス
C)ニューモシスチス
(3)ウイルス
i)サイトメガロウイルス
A)ヘルペスウイルス
(4)マイコプラズマ
(5)寄生虫[肺吸虫症(ウェステルマン肺吸虫症)]
3)その他の非腫瘍性肺疾患
(1)サルコイドーシス
(2)肺梗塞
(3)気管支喘息
(4)間質性肺炎
(5)器質化肺炎
(6)好酸球性肺炎
(7)肺膿瘍(肺化膿症)
(8)肺胞蛋白症
(9)アミロイドーシス
(10)びまん性肺胞出血
(11)珪肺症
(12)石綿肺
3 縦隔
1)炎症
(1)縦隔炎
2)腫瘍
(1)デスモイド
(2)胚細胞腫瘍(成熟奇形腫)
(3)縦隔内副甲状腺腫
(4)パラガングリオーマ
4 体腔液,胸膜
1)胸膜炎
(1)胸膜炎総論
(2)反応性中皮
2)孤在性線維性腫瘍
3)リンパ脈管筋腫症(LAM)
5 その他
1)喀痰細胞診における偶発発見症例
2)希少良性腫瘍症例の画像と細胞診
(1)diffuse pulmonary meningotheliomatosis(DPM)
(2)神経節細胞腫
(3)Sjogren症候群
(4)乳頭腺腫
3)尋常性天疱瘡
索引
発刊にあたって
この度、『非悪性呼吸器細胞診アトラス〜肺癌との鑑別に悩んだときに〜』が上梓されました。本書の作成にご協力いただいた執筆者に対し心から感謝申し上げます。
呼吸器領域における細胞診は、予防医学から診断、治療医学まで幅広い領域をカバーしています。そして現在、肺癌は日本におけるがん死亡の第一位を占めており、予防、早期診断、そして早期治療が求められていますが、進行した状態で診断される場合が少なくなく、満足のいく治療結果が得られているとはいいがたい状況です。ご存じのように、呼吸器細胞診の多くはこの肺癌の発見や診断に深く関わっています。しかし、その鑑別診断として良性腫瘍であったり、炎症性疾患であったり、あるいはびまん性疾患や再生変化などであったりすることが以前から問題となっています。
こうした背景から、2017年5月の第58回日本臨床細胞学会総会春期大会(会長:植田政嗣先生、大阪にて開催)においてワークショップ「知って得する呼吸器疾患の細胞診と画像診断」を開催したところ、思いのほか反響があり、本書の企画を思いつきました。呼吸器細胞診に欠かせないのは、細胞形態の正確な把握はもとより、蛋白発現と免疫染色、遺伝子レベルの知識、そして進歩の著しい画像診断であると考えられます。そこで本書では、上記ワークショップの演者を主体とした呼吸器細胞診の最前線で活躍する執筆者によって、肺癌との鑑別に悩んだ際に役立つ細胞診アトラスとして、上気道から気管支、肺における代表的な非悪性病変に焦点を当てて、細胞像に画像診断を含めた鑑別の要点を解説しました。鑑別に問題となる疾患のすべては網羅していませんが、呼吸器細胞診の診断に悩んだときに参考になることを期待します。そして本書が、日常の細胞診断業務において、安全な診断と的確な診療に役立てば幸いです。
最後に、本書の企画、編集に多大なるご尽力を頂いた南江堂の皆様に深謝いたします。
2019年12月
佐藤之俊
塩澤哲