ナースビギンズ
安心・安全 自信がもてる輸液管理
編著 | : 雀地洋平 |
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ISBN | : 978-4-524-24662-5 |
発行年月 | : 2021年5月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 130 |
在庫
定価2,420円(本体2,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
輸液管理において,ビギナーナースが「安全に対応できる」ことを目指し,根拠を示しながら技術を解説した実践書.輸液のキホンとなる浸透圧や電解質などの考え方もわかりやすく紹介.身近でよく遭遇する15のトラブル事例にそってイザというときの対処方法もとり上げた.看護師自身が“安心”して“自信”をもってケアできるための一冊.写真・図も豊富で,わかりやすい!
第1章 輸液はなんのため?
輸液の3つの目的
A 目的1 水分・電解質を正常化する
1.水分を正常化する
2.電解質を正常化する
B 目的2 栄養状態を改善する
1.エネルギー
2.栄養摂取の方法
3.末梢静脈栄養と中心静脈栄養
4.維持輸液はどんなときにする?
5.輸液製剤にはどんなものがある?
C 目的3 薬剤を投与する
第2章 看護師は何をする?
A 看護師の役割@ 患者からの情報収集と医師への伝達
1.輸液前―ふだんからしっかり患者をアセスメントしよう
2.輸液中・輸液後―自覚症状などのバイタルサインに注意しよう
B 看護師の役割A ルートの管理
1.輸液速度・時間・ルート選択の確認
2.自己抜針の予防
3.事故抜去(配置の工夫)
C 看護師の役割B 医療事故の防止―徹底した防止策を!
1.医療事故につながる場面とは
2.6Rを徹底する
第3章 輸液の実際
A 輸液の準備
1.投与方法と物品の選択
2.輸液の混合(ミキシング)の方法
B 静脈ラインの確保
C 点滴静脈内注射の手順
D 輸液ポンプの使用手順
1.開始の手順
2.終了の手順
E シリンジポンプの使用手順
1.開始の手順
2.終了の手順
F 急速輸液
1.急速輸液はどんなときにする?─急速輸液が必要な病態
2.投与製剤
3.投与速度,量
4.温度(温める,冷やす)
第4章 トラブルシューティング
シーン1 輸液ポンプのルートセット間違え@
シーン2 輸液ポンプのルートセット間違えA
シーン3 末梢ルートが閉塞?
シーン4 CVが閉塞?
シーン5 開通忘れ
シーン6 患者間違
シーン7 点滴ルート内が白濁
シーン8 点滴のチャンバーが空気だけ
シーン9 輸液ポンプ使用時の閉塞アラーム
シーン10 輸液ポンプ使用時にアラームが止まらない
シーン11 輸液ポンプ使用時の気泡アラーム
シーン12 輸液残量が予想外に多い
シーン13 輸液ポンプ使用時の確認もれ
シーン14 液面の上昇
シーン15 CVの自己抜去
索引
まずは,多くの輸液に関する書籍の中,本書を選択いただきありがとうございます.
本書の表題になっている“輸液管理”ですが,ナースビギンズシリーズのすべてに共通する,【一人前をめざすナースのための明日から使える看護手技】というテーマに基づいて内容を熟考しました.その際には,自分の経験だけではなく,ヒヤリハット報告の内容,一人前になりたてのスタッフの意見も参考にしました.それは,おもに新人のナースに,よりリアルに,すぐに役立つかたちで臨床で活用してもらいたいと思ったからです.
輸液管理は,病院での治療だけではなく,クリニック,在宅医療などでも実施されます.また病院内においても,一般病棟だけではなく,外来,手術室,透析室,ICU などのユニットの違いや,急性期,慢性期,終末期など分野の違いに関係なく実施されます.ということは,私たち看護師が,必ず身に付ける必要のある手技ということになります.そしてこの手技は,バイタルサイン測定や清拭などの生活援助と同様に,毎日の業務の中でも実施する頻度が多いものです.そのため,比較的早い段階で習得する必要があります.
では何から学ぶ必要があるのでしょうか.ただ単に医師から指示された内容だけを,またお決まりの手順だけを見よう見まねで実施するのであればそれほど時間はかからないと思います.ですが,そのような方法では,根本を理解していないぶん応用もきかず,結果的に大きな事故につながってしまうことがあります.投与する輸液がどのような効果や副作用があるか,またそれはなぜか.使用する医材が適切かどうか,なぜ適切といえるか.投与する手順や医材の使用方法が正しいかどうか,またなぜ正しいか.これらを理解しているかどうかでは,安全性は大きく違ってきますし,自信をもって輸液管理を実施することができます.
また患者さんに何か質問されたことを想像してみて下さい.例えば,「この点滴はどんな効果がありますか?」「この装置(輸液ポンプなど)は,何か注意することがありますか?」などです.この場面でしっかり説明ができないようであれば,輸液を実施される患者さんは不安になり治療を受けられません.患者さんが安心して治療を受けられるためには,輸液の種類や基本的な効果,使用する医材や医療機器の正しい使用方法や管理方法を学ぶ必要があります.その結果,“自信をもって”“安全”に実施することができ,患者さんの“安心”につながると私は思います.
学びを深め安全に実施できるように努めても,問題が発生する場合があります.それは,様々な要因から,何らかのエラーが発生することがあるからです.その際には,早急に対応し患者さんへの影響を最小限に止める必要があります.
私は20 数年臨床現場にいるので,新人や若手看護師が実際に経験したエラーも数多く見てきました.“こんなことが発生するかも”とあらかじめ予想することができれば,より注意しようと思いますし,万が一の対処方法も確認して対応できるように準備できるようになると思います.そのような経験にもとづく“よくあるエラー”も紹介しますので,皆さんはこれらの情報も事前に把握しておくことでより安全に輸液を実施できると思います.
以上の内容を,本書を通して少しでもお伝えできればと思っております.皆さんの施設でも,輸液に関する手順書やヒヤリハット報告などあると思います.それらと一緒に活用していただき,臨床実践の一助になれば幸いです.
最後に,本書の刊行にあたって企画案の検討や長時間の撮影にご尽力いただいた,鈴木健太郎氏,鶴ヶ崎礼美氏,長野詩織氏,南江堂の皆様に心より感謝致します.
2021年4月
雀地 洋平