シンプル生化学改訂第7版
監修 | : 林典夫/廣野治子 |
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編集 | : 野口正人/五十嵐和彦 |
ISBN | : 978-4-524-24659-5 |
発行年月 | : 2020年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 438 |
在庫
定価3,190円(本体2,900円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
初版から四半世紀以上にわたり改訂を重ねてきた生化学の好評教科書。成書では詳しすぎる、入門書では物足りないというニーズに応える。単調な知識の羅列ではなく、文章構成に流れがあり、初学者でも無理なく読み進められる。今改訂では新知見の加筆・修正を行ったほか、章・項目の順序を大きく入れ替え、より流れを意識して学べる構成となった。
1 序論
1-1 生物と生化学
1-2 生体成分
1-3 物質代謝とエネルギー代謝
1-4 細胞の基本構造
2 糖質
2-1 糖質の定義
2-2 糖質の分類
2-3 単糖類
2-4 オリゴ糖類
2-5 多糖類
3 脂質
3-1 脂質の定義と分類
3-2 脂肪酸
3-3 単純脂質
3-4 複合脂質
3-5 その他の脂質
3-6 リポタンパク質と血清脂質
4 タンパク質
4-1 アミノ酸
4-2 タンパク質
5 核酸
5-1 核酸の基本構造
5-2 ヌクレオシドとヌクレオチド
5-3 DNAとRNAの構造
6 酵素
6-1 酵素の特徴
6-2 酵素反応の特徴
6-3 酵素の分類と命名
6-4 酵素活性の測定
6-5 酵素の構造と活性中心
6-6 酵素反応速度論
6-7 酵素反応の阻害
6-8 酵素活性の調節
6-9 酵素の細胞内分布
6-10 酵素欠損症
7 ビタミン
7-1 脂溶性ビタミン
7-2 水溶性ビタミン
7-3 ビタミン様作用物質
8 生体膜
8-1 生体膜の構造
8-2 生体膜における輸送
9 消化と吸収角田洋一
9-1 消化管における消化と吸収
9-2 消化管上皮細胞膜の物質輸送
9-3 消化の調節と消化管ホルモン
9-4 各栄養素の消化と吸収
10 糖質の代謝柿崎育子
10-1 代謝とは
10-2 糖質の代謝
10-3 解糖
10-4 グリコーゲン合成と分解
10-5 クエン酸回路
10-6 糖新生
10-7 ペントースリン酸経路
10-8 フルクトース,ガラクトースおよびマンノースの代謝
10-9 グルクロン酸経路
10-10 複合糖質の代謝
10-11 糖質代謝異常症
11 脂質の代謝
11-1 脂肪酸の貯蔵と動員
11-2 脂肪酸の分解
11-3 ケトン体の生成と利用
11-4 脂肪酸の生合成
11-5 リン脂質の代謝
11-6 ステロイド化合物の代謝
11-7 脂質代謝異常症
12 アミノ酸の代謝
12-1 アミノ酸の分解
12-2 アミノ酸から合成される代表的な生体物質
12-3 アミノ酸の生合成
12-4 アミノ酸代謝経路の異常
13 モノヌクレオチドの代謝
13-1 新生経路によるヌクレオチドの合成
13-2 デオキシリボヌクレオチドの合成
13-3 プリンおよびピリミジン合成の阻害剤
13-4 ヌクレオチドの代謝分解と再生経路
13-5 酵素異常と疾患
14 ポルフィリンとその代謝産物
14-1 ヘムの生合成と分解
14-2 ポルフィリンおよびビリルビンの代謝異常
15 生体と酸素
15-1 生物学的酸化還元反応
15-2 ATPと高エネルギーリン酸化合物
15-3 酸化還元酵素の種類と性質
15-4 活性酸素
16 エネルギー代謝
16-1 ミトコンドリアの構造
16-2 電子伝達系
16-3 酸化的リン酸化の機構
16-4 呼吸の調節
16-5 ミトコンドリア内膜における物質輸送
16-6 グルコースの完全酸化によるATP合成の収支
17 代謝の相互関係と調節
17-1 糖質代謝,脂質代謝およびアミノ
17-2 酸代謝の相互作用と調節
17-3 コレステロール代謝の調節
18 ミネラルの代謝
18-1 ミネラル
19 情報伝達とホルモン
19-1 情報伝達システム
19-2 ホルモンの定義および分類
19-3 ホルモンによる生体調節機構
19-4 各内分泌腺より分泌される
19-5 プロスタノイド
19-6 神経伝達物質
20 核酸およびタンパク質の合成
20-1 DNAの複製
20-2 DNAの校正と修復
20-3 RNAの合成
20-4 タンパク質の生合成と代謝
20-5 ミトコンドリアのDNAとタンパク質合成の特徴
21 細胞増殖とがんの生化学315
21-1 細胞増殖
21-2 細胞周期
21-3 アポトーシス
21-4 がんと代謝
22 免疫の生化学
22-1 自然免疫と獲得免疫
22-2 サイトカインと免疫応答
22-3 免疫と疾患
23 ゲノムの生化学
23-1 遺伝子の生化学的研究
23-2 ゲノムと遺伝子とプロテオーム
23-3 遺伝情報発現の調節
23-4 クロマチンとエピジェネティクス
23-5 ゲノムと疾患
23-6 遺伝子操作・解析法
24 器官の生化学
24-1 血液
24-2 肺
24-3 腎臓
24-4 肝臓
24-5 膵臓
24-6 筋
24-7 結合組織
24-8 脂肪組織
24-9 硬組織
24-10 神経
25 栄養の生化学
25-1 栄養素の代謝とエネルギー
25-2 栄養状態の判定
25-3 タンパク質の栄養価
25-4 日本人の食事摂取基準
参考文献
索引
和文索引
欧文索引
改訂第7版の序
本書は、前回の改訂から6年が経ち、この度、改訂第7版を上梓することとなった。
生化学を含む生命科学の分野は、20世紀後半から分子生物学的な知識や技術の進歩とともにその発展が加速され、21世紀に入ってもますます急速に前進し続けている。本書の初版刊行以来32年、この間に蓄積された新しい知識は膨大なものとなり、その医学・医療に与える影響は著しいものがある。例えば、最近の各種幹細胞における進歩も勿論その1つである。一方、生化学の中心テーマの1つである代謝に関する従来の理解は、代表的な代謝経路とそこで働く酵素に注目して行われ、正常・異常における体内の代謝状況の実態を必ずしも正確に把握できているとはいえないのが実情であった。しかし、各酵素遺伝子の詳細な発現状況の把握や、メタボローム研究のような細胞全体の代謝状態をより精細に把握する手法の発展などによって、各臓器組織の正常代謝およびがん細胞を含む異常組織の代謝の特徴に対する理解が、近年急速に深まりつつある。
本書は医学や医療を学ぶ学生が生化学の基本原理を理解し、基礎知識を修得するための教科書として作られたものであるが、そのためには上述のような新しい研究成果のエッセンスを取り込むことも重要であり、本改訂でもそのような視点は維持された。しかし、本書の目指すものは、新しい知識の断片的、表面的な理解ではなく、医学・医療の領域に日々取り入れられている新しい研究成果を正しく理解し、それに適切に対応できるような生化学的基礎能力を身につけることであり、これもこれまでの版と変わりはない。本書が読者の方々の理解の一助になれば幸いである。
本書は初版より読んで分かりやすいことも目標にしてきたつもりであるが、版を重ねるにつれ冗長な部分も増えてきており、今回もその是正に留意したが、不十分な点もあるのではないかと危惧している。これからも従来通り読者の方々にご指摘や忌憚のないご意見をお願いし、改善を積み重ねていきたい。
最後に、これまでに読者の皆様から頂いた多大なご支援に感謝し、さらに、今改訂のために忍耐強くご尽力下さった南江堂出版部の諸氏に衷心より御礼申し上げる。
2020年2月
林典夫
廣野治子