シンプル理学療法学シリーズ
運動療法学テキスト改訂第3版
監修 | : 細田多穂 |
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編集 | : 植松光俊/大川裕行/大工谷新一 |
ISBN | : 978-4-524-24621-2 |
発行年月 | : 2019年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 414 |
在庫
定価5,500円(本体5,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
運動療法にかかわる生理学や病理学の基礎知識をおさえ、障害別の講義の前段階として運動療法の全体像を体系的に学べるテキスト。フルカラーの豊富な図と写真で、基本的な運動療法の目的と方法をイメージして理解できる。今改訂ではエビデンスを中心に新知見を追加。章立ての変更や、片麻痺患者の基本的動作訓練についての解説の充実で、さらに理解しやすい教科書となった。
第I部 運動療法学総論
1 運動療法とは
A 定義・歴史・目的・対象
B 運動の手段,方法
C 運動療法の分類
D 運動療法の特性と実施主体
E 運動療法の禁忌
F インフォームドコンセント(説明と同意)
2 運動の必要性と効果
A 運動の必要性
B 運動の効果
3 運動療法の順序
A 運動療法の開始
B 運動療法と姿勢変換
C 運動療法の進め方と内容
4 トレーニングの基礎的原理
A 安全管理
B ストレスと適応
C トレーニングの基礎理論
D 運動処方
第II部 機能個別訓練
運動の全身的影響と運動療法/リラクセーション訓練
5 ストレスと生体反応
A ストレスと生体反応
B 運動とストレス対処
C ストレスとリラクセーション
D リラクセーション訓練
6 実習1:リラクセーション訓練
A リラクセーションの評価
B リラクセーション訓練
運動の全身的影響と運動療法/全身調整訓練
7 姿勢変化と生体反応
A 全身調整訓練
B 姿勢変化と生体反応
8 実習2:姿勢変化と生体反応の実際
A ヘッドアップベッドを用いた段階的座位負荷
B ティルトテーブルを用いた起立負荷
C 長下肢装具を用いた起立・歩行訓練
D 自転車エルゴメータを用いた最大下運動負荷試験
運動の全身的影響と運動療法/全身持久力訓練
9 運動と生体反応
A ワッサーマンの歯車
B 運動と呼吸
C 運動と循環
D 運動と代謝
E 運動処方
10 実習3:運動療法による持久力の維持と改善
A 持久力の評価(運動負荷試験)
B 実習:運動負荷試験
C 持久力維持・改善のための運動処方
運動の局所的影響と運動療法/関節可動域訓練
11 関節の機能と障害
A 骨の構造と機能
B 骨の細胞成分
C 軟骨の構造と機能
D 骨,軟骨の障害と修復
E 関節の機能
F 四肢の動きと関節運動
G 関節の障害と対策
12 関節可動域訓練
A 関節可動域訓練とは
B 維持を目的とした関節可動域訓練
C 改善を目的とした関節可動域訓練(伸張訓練)
13 実習4:運動療法による関節可動域の維持と改善
A オリエンテーション
B 維持を目的とした関節可動域訓練の実際
C 改善を目的とした関節可動域訓練(伸張訓練)の実際
運動の局所的影響と運動療法/筋力・筋持久力訓練
14 筋の機能と障害
A 骨格筋の構造と機能
B 筋収縮の種類
C 筋の損傷と修復
D 筋萎縮
E 筋出力と疲労
F 神経障害分類別筋出力と維持・増強効果
15 筋力増強訓練
A 筋力増強訓練とは
B 筋力を決定する因子
C 筋力増強のメカニズム
D 筋力に影響を及ぼす因子
E 筋力増強訓練の基本原則
F 筋力増強訓練の各種方法論
G 筋力増強訓練実施上の留意事項
16 実習5:運動療法による筋力の維持と増強
A 情報収集
B 評価
C 訓練の実施
17 筋持久力増強訓練
A 筋持久力とは
B 筋持久力を決定する要因
C 筋持久力に影響を与える因子
D 筋持久力の評価
E 筋持久力増強訓練の基本原則
F 筋持久力増強訓練のプログラム作成
G 筋持久力増強訓練によって起こる骨格筋の変化
H 病院や施設での筋持久力増強訓練
I スポーツ選手や競技者などにおける筋持久力増強訓練
J 筋持久力訓練と筋疲労回復
18 実習6:運動療法による筋持久力の増強
A 準備
B 評価
C 訓練
運動の局所的影響と運動療法/呼吸訓練
19 呼吸の機能と障害
A 換気と呼吸
B 呼吸パターン
C 呼吸機能障害と人工呼吸療法
20 呼吸訓練
A 呼吸機能障害と必要な運動療法
B 評価の視点
C 呼吸機能障害の患者に対する運動療法
運動の局所的影響と運動療法/協調性訓練
21 神経系の機能と障害
A 協調性運動障害の概念
B 協調性運動に関与する神経機構
C 運動失調の原因分類
D 協調性運動障害の症状
22 協調性訓練
A 協調性運動とは
B 協調性運動にかかわる各器官の機能と役割
C 運動制御・学習における神経生理学的メカニズム
D 臨床でみられる障害像の分類とその特徴
E 協調性訓練:理学療法による介入
第III部 特殊訓練
23 障害別の治療体操
A 体幹機能障害に対する体操
B 協調性運動障害に対する体操
C 末梢循環障害に対する体操
D 肩関節障害に対する体操
E パーキンソン病に対する体操
24 神経筋再教育
A 神経筋再教育とは
B 神経生理学的アプローチ
C 固有受容性神経筋促通法
D ボバース概念
E 神経生理学的アプローチの理論と課題について
25 水中運動療法
A 水の特性
B 水中運動の運動生理学
C 水中での姿勢・運動制御
D 水中運動療法の目的と効果
E 水中運動療法の具体的方法論
第IV部 機能統合訓練
26 機能統合訓練の位置づけ
A 運動療法
B 機能統合訓練
C 座位移動,四つ這い移動
D 起立基本動作
E 立位保持基本動作(立位バランスの獲得)
F 歩行基本動作
G ADL
H 大腿骨頸部・転子部骨折者の機能統合訓練
27 障害別機能統合訓練(1)片麻痺
A 脳血管障害の病型
B 脳血管障害の主な症状
C 理学療法における主な評価
D 運動療法の基本的考え方
28 実習7:片麻痺者の基本的動作訓練
A 片麻痺者の基本的姿勢,動作訓練の実際
29 障害別機能統合訓練(2)対麻痺・四肢麻痺
A 対麻痺,四肢麻痺者の疫学
B 随伴症状と合併症
C 評価(対麻痺者と四肢麻痺者の分類)
D 運動療法の流れ
E 対麻痺,四肢麻痺者の運動特性について
30 実習8:対麻痺・四肢麻痺者の基本的動作訓練
A ベッド上動作
B 移乗動作
C 車いす操作
参考文献
索引
改訂第3版の序
本書は、運動療法学の治療対象となる運動器(広義)の障害像を概説し、障害別の講義に入る前段階で運動療法の全体の流れを学べる教科書として、2010年の初版刊行以来、多くの支持を得ている。
改訂第2版の刊行から5年近くが経過したことから、この度、運動療法の治療対象となる運動器(広義)の障害像を明確にしながら概説し、障害別の講義に入る前段階に運動療法の全体の流れを学べるという初版以来の基本方針を踏襲しつつ改訂版を出版することとした。第3版では、章どうしのつながりを意識しやすい構成としたほか、運動療法のエビデンスの記載を充実させるとともに、アンケートを実施し運動療法学の講義担当教員の意見を盛り込むことによって一層使い勝手のよい教科書を目指した。改訂第3版の主な改訂ポイントは以下のとおりである。
1。本シリーズのコンセプトである「理解して覚える」ことをさらに容易にするため紙面のフルカラー化を行った。
2。全30章の構成は維持しつつ、新しい知見の追加や古くなった記述の圧縮を実施し、理解がより深まるように章項目の再配置を行った。例えば、「運動と呼吸」「運動と循環」「運動と物質代謝」の項目は「運動と生体反応」として9章にまとめた。また18章として新たに「実習6:運動療法による筋持久力の増強」を設けた。
3。運動療法のエビデンスの記載がなかった章においては、可能な限り加筆いただくとともにその引用文献を2〜3編加えてもらい、採用校アンケートで得られたご指摘・ご要望に対しては、それぞれの執筆者に必要に応じて加筆いただいた。
4。読者が学習をより進めやすくなるよう、章どうしのつながりを意識しやすい目次構成にするとともに、巻頭にカリキュラムマップとしての「本書の使い方」をフローチャート形式で示した。
利用者にとってよりシンプルに理解しやすい、使いやすい「運動療法学」の標準的な教科書となるよう編集したつもりであるが、十分でない箇所もあろうかと思う。講義される先生方や学生諸君には是非とも忌憚のないご意見・ご批評をいただければと切にお願いするところである。
最後に、刊行にあたり、編集のお手伝いをいただいた南江堂の諸氏に感謝の意を表したい。
令和元年11月
編者を代表して 植松光俊