健康・栄養科学シリーズ
生化学
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
監修 | : 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 |
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編集 | : 石堂一巳/福渡努 |
ISBN | : 978-4-524-24182-8 |
発行年月 | : 2019年9月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 326 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
健康・栄養科学シリーズ「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 総論・各論」が3分冊にリニューアル。本書「生化学」は、代謝の仕組みを特に丁寧に解説し、基礎栄養学や臨床栄養学などの関連科目のスムーズな理解を可能にするテキスト。図表も多く掲載し、キーワードの丸暗記ではなく文脈での理解を促す内容となっている。「解剖生理学」「臨床医学」との併用で、管理栄養士に必要な医学の基礎知識を完全網羅。
第1章 細胞の構造と機能
A 細胞の基本構造
B 生体膜
C 細胞の増殖と分化
第2章 糖質
A 糖質とは
B 単糖類
C 少糖類
D 多糖類
第3章 脂質
A 脂質とは何か
B 脂質の分類
第4章 タンパク質,アミノ酸
A われわれの体におけるタンパク質の働き
B タンパク質の性質に基づいたその他の分類
C タンパク質を構成するアミノ酸の構造と配列
D ペプチド
E タンパク質の構造形成
F タンパク質の折りたたみの失敗と凝集
G タンパク質の変性と安定性
第5章 核酸
A 核酸の構造
B DNA
C RNA
D ゲノムと遺伝子
E 遺伝子発現
E 補因子
第6章 酵素
A 酵素の働きによる分類
B 酵素のさまざまな性質と特異性
C 酵素反応の速度論
第7章 ビタミン
A ビタミンの定義と種類
B 脂溶性ビタミン
C 水溶性ビタミン
第8章 ミネラル
A ミネラルの定義と分類
B 多量ミネラル
C 微量ミネラル
D その他のミネラル
第9章 生体のエネルギー源と代謝
A 独立栄養と従属栄養
B エネルギーの種類
C 自由エネルギー
D 異化と同化
E ATPの役割
F ATPの合成と分解
第10章 生体酸化
A 酸化・還元
B 活性酸素
C 生命維持のための酸化
D 抗酸化作用
E 酸化ストレスと疾患
第11章 酸化的リン酸化
A 代謝燃料の生理的燃焼
B 電子伝達系(呼吸鎖)と酸化的リン酸化
C 脱共役剤
E 細胞質からの還元当量の輸送
第12章 糖質代謝
A 糖の吸収
B 解糖系
C クエン酸回路(TCA回路)
D ATPの生成
E グルコースの完全酸化
F ATP産生の収支
G グリコーゲンの合成と分解
H 糖新生
I ペントースリン酸経路
J グルクロン酸経路(ウロン酸経路)
K フルクトース・ガラクトースの代謝
L 血糖値の調節
第13章 脂質代謝
A 脂肪酸の代謝
B 不飽和脂肪酸
C トリグリセリドの代謝
D エイコサノイド・ケトン体の代謝
E コレステロール,胆汁酸,ヒタミンD,ステロイドホルモンの生合成
F 脂質の輸送
第14章 アミノ酸代謝
A タンパク質の分解
B アミノ酸の分解
C 窒素の代謝
D 炭素骨格の代謝
E 可欠アミノ酸の生合成
F アミノ酸に由来する生体内物質
G アミノ酸代謝の臓器による違い
第15章 核酸代謝
A プリンおよびピリミランの合成
B プリンおよびピリミランの分解
C プリンおよびピリミラン代謝異常
第16章 代謝の相互関係と環境応答
A 代謝の相互関係
B 代謝の環境応答
第17章 情報伝達
A 細胞間情報伝達
B 細胞内情報伝達
第18章 恒常性と生体防御
A 恒常性とフィードパック機構
B 体液・電解質パランス
C 酸塩基平衡
D 体温の調節
E 生体機能の周期性変化
F ストレス応答
G 特異的・非特異的防御機構
H 自己と非自己の認識
I 体液性免疫
J 細胞性免疫
第19章 赤血球と生体色素
A 赤血球
B 酸素と二酸化炭素の運搬
C 生体色素
第20章 器官の構造と機能
A 血液
B 肺
C 腎臓
D 肝臓
E 膵臓
F 筋肉
G 結合組織
H 脂肪組織
I 骨
J 神経
K 臓器連関
第21章 遺伝子解析でわかること
A ヒトゲノム
B 遺伝子操作と解析
C 疾患と遺伝子
第22章 生活習慣病(非感染性疾患(NCD)の生化学
A 肥満とメタボリツクシンドローム
B 糖原病
C 脂質異常症
D 高血圧症
E がん
索引
はじめに
生化学は、管理栄養士を志望する学生のみならず、医療系の職種を目指す学生の多くがもっとも苦手としている。生化学は「化学の言葉」(元素記号)を使い、生体内の諸要素の機能を化学的に研究する分野として生理学から独立した。その発展は目覚ましく、もっと小さな分子(塩基配列)を使って生理学・生物学を説明するために、生化学の中から「分子生物学」という分野も生まれた。
「化学の言葉」を使う意義は何か?それは、「化学の言葉」を使うと、生体内のさまざまな現象をより詳しく、かつより簡潔に説明できることにある。医療系において「化学の言葉」は異なる職種間における共通の言語である。管理栄養士であろうと、薬剤師であろうと、看護師であろうと、その共通の言語によって説明される事象は共通している。しかし、その事象にはどの職種でも知っているべき中心的な内容と、専門職ごとに理解すべき特別な内容が共存している。そのため、管理栄養士養成課程の学生は、管理栄養士に向けて取捨選択された生化学を学ぶことが望ましい。
“健康・栄養科学シリーズ”「生化学」は、管理栄養士国家試験出題基準(2019年改定)を網羅する形で、生体を構成する分子から始まり、栄養素の代謝、さらには生命現象までを記述している。管理栄養士になるためには、ヒトの構造と代謝を理解することが必要不可欠であることから、基礎栄養学との関連は特に重視した。さらに、臨床栄養学との連携のために重要な項目はコラムとして加えた。本書を編集するにあたり意識したことは、生化学に限らず基礎栄養学や応用栄養学、臨床栄養学のいずれにおいても、ヒトの身体で起こっていることを対象にしたひと続きの学問の流れの中に、管理栄養士の学修すべき内容があるということである。
本書を使って、ヒトの生体物質の化学、代謝、さらには生命現象が、基礎栄養学から臨床栄養学に至る大きな流れの中にあることを実感しながら、管理栄養士に求められる生化学を学んでいただくことを心から願っている。
2019年8月
編集者を代表して
石堂一巳