消化器内視鏡の登竜門
内視鏡診断のすべてがわかる虎の巻
監修 | : 田尻久雄 |
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編集 | : 井上晴洋/斎藤豊 |
ISBN | : 978-4-524-24177-4 |
発行年月 | : 2018年11月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 210 |
在庫
定価6,380円(本体5,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
消化器内視鏡の診断スキルを磨き上げたいフレッシュドクターへ贈るchallengingな一冊。上部〜下部の全消化管を収載し、的確な内視鏡診断のノウハウから、その後の治療の進め方、病理診断までがこの一冊でわかる。エキスパートである先輩ドクターからの金言が散りばめられ、これ一冊を読み通せば内視鏡医としてワンランクアップできること間違いなし!選りすぐりの症例クイズがあなたを待ち構えています。さあ登竜門へ、いざ挑まれたし!
其の壱「心」の章〜立身のための心構え〜
一流の消化器内視鏡医を目指す皆さんへ
其の弐「知」の章〜押さえておくべき必須知識〜
1.検査の基本,観察の進め方
a)上部消化管
b)下部消化管
2.内視鏡機器の基礎知識
3.解剖知識と正常像
a)咽喉頭・食道
b)胃・十二指腸
c)大腸
4.内視鏡分類の基礎知識
a)食道
b)胃
c)大腸
其の参「技」の章〜挿入・観察の極意,治療の基礎〜
1.咽喉頭・食道観察の極意
2.胃・十二指腸観察の極意
3.大腸挿入・観察の極意
4.内視鏡治療の基礎
a)上部消化管
b)大腸
其の四「消化器内視鏡の登竜門」〜精選症例クイズで開眼すべし!〜
1.咽喉頭・食道の登竜門
Case 1
Case 2
Case 3
Case 4
Case 5
Case 6
Case 7
Case 8
先達の苦い経験から学ぶ〜咽喉頭・食道編〜
2.胃・十二指腸の登竜門
Case 1
Case 2
Case 3
Case 4
Case 5
Case 6
Case 7
Case 8
Case 9
Case 10
先達の苦い経験から学ぶ〜胃・十二指腸編〜
3.大腸の登竜門
Case 1
Case 2
Case 3
Case 4
Case 5
Case 6
Case 7
Case 8
先達の苦い経験から学ぶ〜大腸編〜
消化器内視鏡医を目指す若い先生へ
索引
監修の序
この度、「消化器内視鏡の登竜門」が南江堂から発刊されることになった。編集にあたられた井上晴洋先生と斎藤 豊先生は、日本を代表して世界中の消化器内視鏡学会、ライブデモ、セミナーなどで大活躍しているスーパースターである。そのお二人がセンター長を務められている昭和大学江東豊洲病院消化器センターと国立がん研究センター中央病院内視鏡センターは、ともに世界のトップレベルの消化器内視鏡センターであり、常に数多くの国内外の研修医が集まっている。本書は、両施設の精鋭スタッフが叡智を結集して執筆された渾身の一冊である。本書の主な特徴として、以下の点があげられる。
(1)消化器内視鏡医を目指す若手医師、対策型胃内視鏡検診に取り組む医師にとって“虎の巻”となるように、全体構成が工夫されている。すなわち、最初の“登竜門”である通常内視鏡(白色光)を中心に、その基礎知識から挿入・撮像テクニック、治療指針にいたるまで順序よく整理・網羅されている。
(2)原則的に2つの施設だけの内視鏡エキスパートが執筆しており、診断から治療にいたる基本方針、用語、定義などが、ぶれずに統一性がもたれている。
(3)本書の後半には、前半で学んだ基礎知識や治療指針を繰り返し学習できるように精選症例の鮮明な内視鏡像からなるクイズ集がおさめられている。
(4)クイズ集の解説は通常内視鏡の詳細な解説に加え、拡大内視鏡像に関する知識がピンポイントで学べるように配慮されている。また、解説では組織学的構築から内視鏡像を理解できるよう、数多くの組織写真が掲載されている。
編集者の井上晴洋先生が、立身のための心構え“一流の消化器内視鏡医を目指す皆さんへ”の中で、「すべての基本はスクリーニングの内視鏡にある」と強調されている。近年、消化器内視鏡は、ESD、POEM、Interventional EUSなどで代表される非侵襲的な治療を行う医療分野として著しく飛躍し、発展を続けているが、消化器内視鏡医を目指す若手医師にとって、その第一歩は変わることなく、“正確な診断能力”を身につけることにある。先に述べたような特徴で編集された本書を読み進めることで、消化器内視鏡の診断力は確実に鍛えられ、日常診療のなかで、即、お役に立てるものと確信している。次世代を担う消化器内視鏡医の先生方には、診断力を鍛え、内視鏡の技を磨きあげ、これから多くの仲間を増やしていっていただきたい。そして日本のみならず、アジア諸国ならびに世界中の人々に最高の医療を提供していけるように切に願っている。
最後に大変お忙しいなか、執筆を引き受けていただいた諸先生方に厚く御礼申し上げるとともに、編集の労をとっていただいた南江堂編集部の達紙優司氏、制作部の一條尚人氏に感謝申し上げます。
2018年10月
田尻久雄
待望の実践書の上梓である。編者の辞によれば、どうやら田尻久雄前日本消化器内視鏡学会理事長の肝煎りの成書であるようだ。世界に冠たる日本の消化器内視鏡であるが、その将来を担う若手内視鏡医を対象に、本書はまず内視鏡検査における心構えや基本を示し、その後、成長の階段を順序よく上るべく誘導し、最終的に無事登竜門を通過するよう計画されている。つまり、本書を読み進めば、自然と内視鏡医として大成するための正しい路程を見出すことができるわけである。それも最短距離で登竜門を通り切れるよう工夫されている。
編者は2019年5月に日本消化器内視鏡学会理事長に就任された昭和大学江東豊洲病院の井上晴洋教授と、これも同月、日本消化器内視鏡学会関東支部長に就任された国立がん研究センター中央病院の斎藤 豊科長である。今を時めく消化器内視鏡学のトップランナーのお二人である。
本書の特徴を次に示す。
1)相撲道における「心技体」、すなわち心;心構え、技;技術、体;体力(医師の体力は知識)であるが、本書も、『其の壱「心」の章』、『其の弐「知」の章』、そして『その参「技」の章』と、順序だてて示されている。「心技体」の充実こそが内視鏡医の基本であり、本書の到達目標となっている。
2)編者、執筆者が、昭和大学江東豊洲病院と国立がん研究センター中央病院の二施設からなり、内視鏡診断における定義や治療に関する方針が統一されていて読みやすい。
3)B5判210頁のコンパクトな成書で、きれいな内視鏡写真や組織写真をふんだんに掲載し、随所にイラストを用い理解を助けている。
4)その四「精選症例クイズ」として、咽喉頭〜食道から8問、胃・十二指腸から10問、そして大腸から8問と、それぞれ白色光観察、色素内視鏡、NBI併用拡大内視鏡写真を示し、次の頁にその解説と組織像、最終病理診断を示している。さらに各設問に文献を示しており、解説内容の確認においてとても助かる。自身の「内視鏡力」の整理に大変役立つセルフトレーニング集である。
このように、従来にない、コンパクトでありながら、その壱「心構え」、その弐「知識」、そしてその参「技術」で内視鏡医としての「心技体」の基礎力を固め、その四「精選症例クイズ」で総合的な判断力を身に付ける、よく企画された指南書である。脇目も振らず登っていけば、必ずや最短距離で「消化器内視鏡の登竜門」を通過できるものと確信している。
本書の最後に田尻久雄先生の「消化器内視鏡医を目指す若い先生へ」とのご寄稿がある。先生のこれまでの歩みから、若き内視鏡医への熱い思いが語られている。ぜひご一読いただきたい。
臨床雑誌内科125巻2号(2020年2月号)より転載
評者●佼成病院 副院長/杏林大学 特任教授 高橋信一