Interventional EUS[web動画付]
基本と実践テクニック
監修 | : 山雄健次 |
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編集 | : 入澤篤志/糸井隆夫 |
ISBN | : 978-4-524-24168-2 |
発行年月 | : 2021年11月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 256 |
在庫
定価11,000円(本体10,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
Interventional EUSの技術習得は容易ではなく,自在に使いこなせるようになるには,優れた指導医のもとトレーニングを積むことが重要である.本書は近年ニーズが高まっているコンベックス型EUSを用いた胆・膵の診断・治療手技を,豊富な動画を用いて網羅的に解説.国内屈指のエキスパートがInterventional EUSのあらゆるテクニック,「私のやり方」を紹介する.胆膵内視鏡診療に携わり,Interventional EUSを学ぶ医師必携の一冊.
第T章 超音波内視鏡下穿刺吸引法の歴史的変遷
第U章 コンベックス走査式EUS を使いこなす
A 各メーカーのコンベックス走査式EUS の特徴
B コンベックス走査式EUS による走査の基本,胆膵領域の解剖と走査
C コンベックス走査式EUS による縦隔の解剖と走査
D コンベックス走査式EUS による直腸周囲の解剖と走査
第V章 診断的穿刺術
A EUS-FNA の準備─これから始める方へ─
B EUS-FNA 穿刺針の種類と選択
C 病理医が求める採取検体─よい検体と悪い検体─
D EUS-FNA の基本手技
Dr.入澤のやり方
Dr.糸井のやり方
Dr.安田のやり方
E 採取検体処理の方法
Dr.安川のやり方
Dr.能登原のやり方
Dr.山口のやり方
F 消化管粘膜下腫瘍性病変へのEUS-FNA
G 膵腫瘤性病変へのEUS-FNA
H 腫大リンパ節へのEUS-FNA
I 胆道系病変(乳頭部を含む)へのEUS-FNA
J その他のEUS-FNA
1 肝臓へのアプローチ
2 副腎へのアプローチ
3 脾臓へのアプローチ
4 腹水へのアプローチ
第W章 治療的穿刺術
A Walled-off necrosis/膵仮性囊胞の治療
1 基本知識
2 治療手技
Dr.糸井のやり方
Dr.入澤のやり方
Dr.岡部のやり方
B Walled-off necrosis に対するネクロセトミー
1 基本知識
2 治療手技
Dr.糸井のやり方
Dr.入澤のやり方
Dr.今津のやり方
C 閉塞性黄疸に対する治療(EUS-BD)
1 基本知識
2 治療手技@:EUS-CDS
Dr.入澤のやり方
Dr.原のやり方
Dr.中井のやり方
3 治療手技A:EUS-HGS
Dr.伊佐山のやり方
Dr.糸井のやり方
Dr.潟沼のやり方
4 治療手技B:EUS-AG
Dr.岩下のやり方
Dr.糸井のやり方
5 治療手技C:EUS-RV
Dr.岩下のやり方
Dr.糸井のやり方
Dr.伊佐山のやり方
D 胆囊に対する治療(EUS-GBD)
1 基本知識
2 治療手技
Dr.北野のやり方
Dr.糸井のやり方
E 膵管に対する治療(EUS-PD)
1 基本知識
2 治療手技
Dr.糸井のやり方
Dr.入澤のやり方
F 腹腔神経叢破壊術・ブロック(EUS-CPN)
1 基本知識
2 治療手技
Dr.土井のやり方
Dr.北野のやり方
G その他のEUS 下治療について
1 抗腫瘍療法
2 胃空腸吻合術(EUS-GJ)
3 胃静脈瘤治療
4 EUS 下マーキング
監修の序
先ず、入澤、糸井両先生に本書の完成・発刊を心からお祝い申し上げると同時に深い感謝の意を表したい。私自身、監修者として直接関わらせて頂いたので、これらの言葉をお二人に申し述べるのは必ずしも適切でないかもしれない。しかし、本書の作成にあたり可能な限り自分達二人で企画構成、執筆、動画作製までを行うと決意し、完成させたことに両人の強い意志と本書の意義を感じている。
読者の皆さんには本書を手にとって頂くとお分かり頂けると思うが、実に多くの項目や動画は彼ら二人の手によるものである。勿論、その他の項目は彼らの人脈が大いに活かされ、
その道の最高のエキスパートにご執筆を頂いていることは言うまでもない。更に付け加えると、入澤先生が師と仰ぐBhutani 先生、糸井先生が師と仰ぐHawes 先生からの推薦の言葉を皆さんは目にすることができる。
監修者の立場で申し上げれば、本書はInterventional EUS のバイブル、或いは教科書として位置づけられる本である。それ故に、正確性と分かり易さが最重要と考え、編集者を通じて執筆者には大変なご無理を申し上げた。正確性の意味からは医療機器・器材やメーカーの正式名称の訂正を迫り、また分かり易さの観点からは統一感を持たせるためにモデル原稿に沿っての執筆や修正を求めたが、執筆者の先生には多大な労力と時間を費やして頂いたことに感謝するとともにお詫びを申し上げたい。
本書は入澤先生と私が編集した『EUS 下穿刺術』(南江堂、2011 年刊行)の改訂版、というより新版である。内容的には、最近になって著しく進歩・発展した治療的穿刺術が半数以上のボリュームを占める。また、各項目にはtips and tricks もあり、何より面白いのは複数の項目で同一のテーマでの「Dr. ○○のやり方」の記述があることである。動画は閲覧速度の変更も可能である。
初学者には全ての内容を徹底的に読み込んで理解して欲しい。一方である程度、慣れた先生は「Dr.○○のやり方」と自分の方法を比較し、「良いとこ取り」するもよし、tips and tricks だけを集中的に読むもよし、動画を2 倍速で観るもよし、まさに本書は良いとこ尽くし、至れり尽くせりなのである。一点、注意点を申し上げるとすればコンベックスEUS の標準的描出法のビデオに関しては、入澤先生を中心に作成されたオリンパス社から提供される『超音波内視鏡下穿刺術のためのコンベックス走査式超音波内視鏡による標準的描出法 改訂第2 版』をそばに置いて勉強して欲しい。
皆さんには是非、本書を手に取ってテキストと動画でInterventional EUS の基本から最新の臨床応用までを習得して欲しい。十分な知識を得た後に疑問点があれば、臆する必要はない、本書の超一流の執筆陣の施設に押し掛けて見聞を広め(Seeing is believing:百聞は一見にしかず)、然る後は自施設に戻り鍛錬(Practice makes perfect:習うより慣れろ)に励んで欲しい。神津照雄が1991 年に世界に先駆けて実施したEUS-FNA が日本人の手により本邦のみならず世界で更に普及・発展することを切に希望し、稿を終える。
2021 年9 月
山雄健次
このたび,『Interventional EUS:基本と実践テクニック』が南江堂から刊行された.近年,消化管内視鏡領域では,画像強調内視鏡や拡大内視鏡による精緻な診断学に加えて,ESDを機軸とする内視鏡治療が進歩・普及している.一方,胆膵内視鏡領域においては,この十数年間でinterventional EUSが飛躍的に発展してきた.本書は,この領域を常にリードしてきた3名の医師が渾身の力と情熱を込めて企画・編集された書籍である.
「第T章 超音波内視鏡下穿刺吸引法の歴史的変遷」は,監修者である山雄健次先生自身が,本邦におけるEUS—FNA黎明期から今日までの超音波内視鏡下治療の発展と保険収載に至る経過,時代とともに苦労されてきた多くの研究者の業績を紹介されている.日本消化器内視鏡学会の歴史に残すべき貴重な資料である.いかなる分野でも歴史に学ぶことは重要であり,自分が今やっていることが,どのような先人のどのような業績を引き継いでいて,何を目指すべきものか,考える必要がある.これから次世代を担う若い先生は,今どこに立ち,どこに向かっていくべきかを知るうえで,この章をよく読まれてほしい.
「第U章 コンベックス走査式EUSを使いこなす」「第V章 診断的穿刺術」「第W章 治療的穿刺術」と構成されているが,編集者である入澤篤志先生と糸井隆夫先生のお二人が,約半数の分担項目を執筆しており,編集者としての強い意気込みが感じられる.本書の特徴は,第V章と第W章の多くで動画を閲覧することができる点にある.すなわち,QRコードを読み込むことにより,関連する動画を再生しながら,解説を読むことで知識と手技の理解を深めることができる.また,他の書籍ではみられない構成として,同一の手技に関するテーマで「Dr. ○○のやり方」が多数の項目で配列されていることもユニークであり,読者はそれぞれのエキスパートの手技を比較しながら,学ぶことができる.
冒頭で推薦の言葉を寄せているRobert Hawes氏は,私の長年にわたる友人の一人であるが,かつて“日本の若い内視鏡医はESDに対する関心に集中し過ぎる傾向があるので,多岐にわたる内視鏡治療,とくに胆膵内視鏡分野の新規治療法の動向にも注目をしていくように”とアドバイスをいただいたことがある.本書は,胆膵内視鏡を始めようとする初学者から,日常の現場でEUSを実践している専門医・指導医の先生のみならず,上部・下部消化管内視鏡を専門とする内視鏡医にもぜひ読んでいただき,参考にしていただきたいと願っている.
臨床雑誌内科129巻6号(2022年6月号)より転載
評者●世界内視鏡学会(WEO)President,日本消化器内視鏡学会特別顧問(前理事長) 田尻久雄