整形外科専門研修マニュアル
監修 | : 松本守雄 |
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編集 | : 森岡秀夫 |
ISBN | : 978-4-524-24125-5 |
発行年月 | : 2018年7月 |
判型 | : B6 |
ページ数 | : 448 |
在庫
定価4,950円(本体4,500円 + 税)
正誤表
-
2019年05月07日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
2018年春より施行される新専門医制度のために日本整形外科学会が策定した「整形外科専攻医研修マニュアル」の「整形外科専門研修カリキュラム」の構成に完全準拠した専攻医向けのポケットマニュアル。慶應義塾大学整形外科教室および関連病院の医師による執筆で、記載の水準等も統一されている。評価の際に具体的な到達水準の参照が容易であり、専攻医にも指導医にもきわめて効率のよい参考書となっている。
第1部 総論
I.医師の法的義務と職業倫理
1 法律について
1)医師法
2)医療法
3)個人情報保護法
4)医療行為に関するその他の法律(健康保険法・薬機法など)
2 医療倫理と医療安全
1)医療倫理(Declaration of Helsinki:DOH)・医の倫理綱領など
2)医療安全
II.運動器の基礎知識
1 骨代謝の概略
1)概要
2)骨の生理的な代謝・リモデリング・カップリング
3)骨代謝の恒常性破綻
2 骨折治癒過程
3 軟骨代謝の概略と軟骨修復
1)概要
2)軟骨修復
4 神経の変性と再生
5 関節症と関節炎(その病態の違い)
6 運動器のバイオメカニクスの概略
III.診断基本手技
1 病歴聴取〜信頼関係の構築〜
2 身体計測
1)主な関節可動域(range of motion:ROM)測定
2)四肢長
3)四肢周囲径
3 関節の身体所見
1)視診
2)触診
3)関節運動性の診察
4)聴診
5)各関節の評価スコア
4 脊椎の身体所見
1)身体所見
2)姿勢
3)歩容異常
4)誘発テスト
5 神経学的所見
1)徒手筋力テスト(manual muscle testing:MMT)
2)感覚
3)反射
6 X線検査
1)各部位の撮像法
2)病的X線所見
7 CT検査(適応と読影)
8 MRI検査(適応と読影)
9 骨シンチグラフィーとPET
10 電気生理学的検査(筋電図)
1)神経伝導検査
2)針筋電図
11 骨量測定(概要)
1)dual-energy X-ray absorptiometry(DEXA)
2)その他の骨量評価
12 超音波検査
13 関節造影,脊髄造影
1)関節造影
2)脊髄造影
14 組織生検の適応と手技
1)組織生検の適応
2)組織生検の実際の注意点
3)組織生検後の注意点
IV.治療基本手技
1 基本的創傷処置
1)ブラッシング
2)デブリドマン
3)創管理
2 骨折と脱臼の整復
3 固定法(副子,ギプスなど)と牽引療法
1)固定法
2)牽引療法
4 清潔操作(関節穿刺・直達牽引)
1)関節穿刺・薬剤注入
2)直達牽引
5 麻酔法(局所麻酔,伝達麻酔,腰椎麻酔,硬膜外麻酔)
1)局所麻酔
2)伝達麻酔
3)腰椎麻酔
4)硬膜外麻酔
6 神経ブロック,硬膜外ブロック
1)トリガーポイント注射
2)上腕骨外側上顆のブロック
3)腱鞘炎へのブロック
4)硬膜外ブロック
5)椎間関節ブロック
6)選択的神経根ブロック
7 薬物治療と医薬品副作用被害救済制度
1)薬物治療
2)医薬品副作用被害救済制度
8 麻薬管理に関する法律
1)免許申請と届け出
2)保管
3)施用
4)記録
9 術後合併症とその予防的管理
1)術後感染
2)疼痛管理
3)深部静脈血栓症
4)神経損傷
5)出血
6)血腫
7)全身麻酔に伴う合併症
8)せん妄
9)その他
10 患者・家族への治療に関するインフォームドコンセント
V.小児
1 小児のX線像(各部位における発育)
1)股関節
2)膝関節
3)肘関節
4)その他
2 小児運動器疾患に対する装具療法
1)装具療法の考え方
2)小児整形外科疾患の代表的な装具療法
3)装具療法のポイント
3 骨成長障害に対する外科治療
1)概要
2)骨成長障害とその原因
3)保存治療
4)外科治療
4 被虐待児症候群
1)概念
2)整形外科医の役割
3)必要な検査と診断のポイント
4)治療
5 乳幼児の運動発達遅延
1)概念
VI.スポーツ
1 スポーツ医学の概念
2 運動負荷試験と運動処方
1)概要
2)運動負荷試験
3)運動処方
3 スポーツ障害の種目特性
1)上肢
2)下肢
3)頚部
4)腰部
4 発育期のスポーツ障害
1)発育期の運動器の特徴
2)発育期スポーツ障害の診断・治療
3)代表的な発育期スポーツ障害
5 中高年者のスポーツ障害
1)中高年者の健康スポーツの重要性と意義
2)中高年者の運動器の特徴
3)中高年者のスポーツの留意点
6 女性の身体的特徴と関連したスポーツ障害
1)女性の身体的特徴
2)女性とスポーツ
3)女性のスポーツ障害
7 アスレティックリハビリテーション
1)アスレティックリハビリテーションの目的
2)アスレティックリハビリテーションの準備および実施
3)アスレティックリハビリテーションで行われる手法
8 アンチ・ドーピング
1)歴史
2)ドーピング検査の種類
3)ドーピング禁止薬物
4)治療目的使用の除外措置(TUE)
5)市販薬に含まれる禁止薬物
9 スポーツ現場での救急医療
1)救急処置上の注意事項
2)整形外科関連の緊急処置
10 テーピング処置・ブレースの処方
1)テーピングの目的
2)テーピングの効果
3)ブレースの有効性
11 障害者スポーツ
1)パラリンピックの歴史
2)障害者スポーツの特徴
VII.リハビリテーション
1 「リハビリテーション」の概念
2 ICFの概念を用いた医学的リハビリテーションのプログラム
3 リハビリテーション専門職(PT,OT,ST,MSWなど)の職務,専門性,役割
1)PT
2)OT
3)ST
4)MSW
4 高齢者・障害者に対する社会福祉制度
1)高齢者に対する社会福祉制度
2)障害者に対する社会福祉制度
5 運動器不安定症(MADS)
1)概念
2)診断基準
3)予防と治療
6 機能評価尺度(Barthel Index,FIM,ロコモ25,JKOM,RDQなど)を用いた運動機能評価
1)Barthel Index(バーセル指数)
2)Functional Independence Measure(FIM:機能的自立度評価法)
3)ロコモ
4)日本語版変形性膝関節症機能評価尺度(Japanese Knee Osteoarthritis Measure:JKOM)
5)Roland-Morris Disability Questionnaire(RDQ)
7 ロコモティブシンドローム
1)概略
2)ロコモの指標
3)ロコモ度テスト
8 運動器疾患に対する運動療法・作業療法・義肢装具療法・物理療法
1)運動療法
2)作業療法
3)義肢装具療法
4)物理療法
VIII.地域医療
1 病診連携・病病連携
1)概要
2 地域医療を支える職種
1)ソーシャルワーカー
2)ケアマネージャー
3 医療保険制度,公費負担制度,介護保険制度
1)医療保険の仕組み
2)医療保険の種類
3)公費負担制度
4)高額療養費制度
5)介護保険制度
IX.外傷(救急医療)
1 救急医療に関する法律
1)医師法19条 医師の応召義務
2)医師法21条 異常死の届出義務
2 救命処置
1)第一印象
2)primary survey
3)secondary survey
3 多発外傷における重要臓器損傷とその症状
1)頭部外傷
2)胸部外傷
3)腹部外傷
4 外傷の重症度評価
5 トリアージ
6 骨折と脱臼
1)肩関節部
2)上腕骨骨幹部
3)肘関節部
4)前腕骨
5)手関節・手部
6)胸郭
7)脊椎
8)骨盤
9)股関節部
10)大腿骨骨幹部
11)膝関節部
12)下腿骨
13)足関節・足部
7 開放骨折
8 軟部組織損傷
1)創処置
2)筋・腱断裂,靱帯損傷
3)血管損傷
4)末梢神経・腕神経叢損傷
5)頚椎捻挫
6)脊髄損傷
X.医療記録
1 診療記録
2 記載方法の基本
3 運動器疾患の病歴
4 運動器疾患の身体所見
5 検査結果と症状,経過
6 検査,治療行為に対するインフォームドコンセントの記載
7 手術記録
1)手術・麻酔に関する記録事項
2)手術記録
8 紹介状,依頼状
1)診療情報提供書に必要な情報
9 障害認定(労災,身体障害者,交通災害,年金)と診断書の種類と内容
1)労災保険制度
2)身体障害者手帳
3)自動車損害賠償責任保険
4)障害年金
XI.研究・発表
1 研究テーマの立案と研究プロトコール作成
1)妥当性と信頼性
2)研究の倫理
2 文献検索と引用
1)文献検索
2)論文の引用
3 統計学的検定手法
4 研究成果の発表(学会発表と論文作成)
第2部 運動器疾患各論
I.軟部組織・骨・関節の感染症
1)骨髄炎
2)化膿性関節炎
3)壊死性筋膜炎
4)ガス壊疽
5)破傷風
6)化膿性腱鞘滑膜炎,結核性腱鞘滑膜炎
7)ネコひっかき病,梅毒
8)真菌性関節炎,結核性骨関節炎,非結核性抗酸菌症
9)人工関節置換術後感染
II.慢性関節疾患
1)変形性関節症(膝関節)
2)痛風
3)偽痛風(CPPD結晶沈着症)
4)滑液包炎
5)神経病性関節症
6)血友病性関節症
7)血液透析と骨・関節症(アミロイド骨関節症)
8)アルカプトン尿性関節症
9)ヘモクロマトーシス,Wilson病
10)肺性肥厚性骨関節症
11)異所性骨化(骨化性筋炎)
III.四肢循環障害
1)閉塞性動脈硬化症
2)閉塞性血栓血管炎
3)静脈血栓塞栓症
4)静脈瘤
5)Raynaud現象
6)区画(コンパートメント)症候群
7)Volkmann拘縮
IV.骨系統疾患
1)FGFR3異常症[軟骨無形成症,軟骨低形成症,致死性骨異形成症]
2)短肋骨異形成症[軟骨外胚葉性異形成症]
3)多発性骨端異形成症
4)偽性軟骨無形成症
5)骨幹端異形成症[Schmid型骨幹端異形成症など]
6)点状軟骨異形成症
7)II型コラーゲン異常症[先天性脊椎骨端異形成症,Kniest骨異形成症,Stickler症候群I型など]
8)骨変形を伴わない骨硬化性疾患[大理石骨病,濃化異骨症]
9)骨形成不全症
10)多発性異骨症[ムコ多糖症IV型(Morquio症候群)など]
11)鎖骨頭蓋異形成症
V.先天異常症候群
1)手の先天異常[形成障害,分化障害,重複,指列誘導異常など]
2)足の先天異常[形成障害,分化障害,重複,趾列誘導異常など]
3)その他の先天異常症候群[先天性結合組織病,進行性骨化性線維異形成症など]
VI.代謝性骨疾患
1)骨粗鬆症
2)くる病,骨軟化症
3)上皮小体機能異常[原発性上皮小体機能亢進症,続発性上皮小体機能亢進症,三次性上皮小体機能亢進症,特発性上皮小体機能低下症,続発性上皮小体機能低下症,偽性上皮小体機能低下症]
4)甲状腺機能異常[甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症]
5)成長ホルモン異常[先端巨大症,巨人症,Cushing症候群]
6)骨Paget病
VII.神経疾患,筋疾患
1)脳性麻痺,脳血管疾患
2)運動ニューロン疾患[筋萎縮性側索硬化症,脊髄性進行性筋萎縮症]
3)変性疾患[Parkinson病,脊髄小脳変性症]
4)脱髄疾患[多発性硬化症など]
5)単神経障害,多発性単神経障害,多発神経障害
6)筋疾患[多発性筋炎,封入体筋炎,進行性筋ジストロフィー]
VIII.リウマチ
1)関節リウマチ
2)悪性関節リウマチ,若年性関節リウマチ,成人発症Still病,回帰性リウマチ,リウマチ性多発筋痛症
3)強直性脊椎炎
4)反応性関節炎(Reiter症候群),乾癬性関節炎,掌蹠膿疱症性骨関節炎
5)サルコイドーシス,Jaccoud関節炎
6)線維筋痛症
IX.腫瘍
1)良性骨腫瘍1[骨軟骨腫,内軟骨腫]
2)良性骨腫瘍2[骨巨細胞腫]
3)良性骨腫瘍3[類骨骨腫]
4)骨腫瘍類似疾患1[非骨化性線維腫]
5)骨腫瘍類似疾患2[単純性骨.腫]
6)骨腫瘍類似疾患3[線維性骨異形成症]
7)骨腫瘍類似疾患4[Langerhans細胞肉芽腫症]
8)骨腫瘍類似疾患5[動脈瘤様骨.腫]
9)骨腫瘍類似疾患6[骨線維性異形成,骨内ガングリオン]
10)良性軟部腫瘍あるいは腫瘍類似疾患1[脂肪腫,線維腫]
11)良性軟部腫瘍あるいは腫瘍類似疾患2[腱鞘巨細胞腫,色素性絨毛結節性滑膜炎]
12)良性軟部腫瘍あるいは腫瘍類似疾患3[血管腫]
13)良性軟部腫瘍あるいは腫瘍類似疾患4[神経鞘腫,神経線維腫]
14)良性軟部腫瘍あるいは腫瘍類似疾患5[弾性線維腫,粘液腫]
15)良性軟部腫瘍あるいは腫瘍類似疾患6[平滑筋腫,グロムス腫瘍]
16)良性軟部腫瘍あるいは腫瘍類似疾患7[ガングリオン]
17)原発性悪性骨腫瘍1[骨肉腫]
18)原発性悪性骨腫瘍2[軟骨肉腫]
19)原発性悪性骨腫瘍3[悪性線維性組織球腫]
20)原発性悪性骨腫瘍4[Ewing肉腫(PNET)]
21)原発性悪性骨腫瘍5[悪性リンパ腫]
22)原発性悪性骨腫瘍6[脊索腫]
23)原発性悪性骨腫瘍7[骨髄腫]
24)悪性軟部腫瘍1[線維肉腫,粘液線維肉腫,未分化多形肉腫]
25)悪性軟部腫瘍2[脂肪肉腫]
26)悪性軟部腫瘍3[平滑筋肉腫]
27)悪性軟部腫瘍4[横紋筋肉腫]
28)悪性軟部腫瘍5[血管肉腫,胞巣状軟部肉腫,類上皮肉腫,明細胞肉腫]
29)悪性軟部腫瘍6[滑膜肉腫,悪性末梢神経鞘腫瘍]
30)悪性軟部腫瘍7[骨外性Ewing肉腫,骨外性骨肉腫]
31)軟部の良悪性中間病変1[デスモイド型線維腫症]
32)軟部の良悪性中間病変2[隆起性皮膚線維肉腫]
33)転移性骨腫瘍
X.上肢
1.肩関節
1)腱板断裂
2)凍結肩(五十肩)
3)反復性肩関節脱臼
4)石灰性腱炎
5)肩関節の先天異常
6)動揺性肩関節
7)上腕二頭筋長頭腱断裂
8)上腕二頭筋長頭腱炎
9)三角筋拘縮症
2.肘関節
1)肘内障
2)上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(野球肘外側型),上腕骨内側上顆骨端核裂離障害(野球肘内側型)
3)変形性肘関節症
4)上腕骨外側上顆炎(テニス肘),上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
5)内反肘,外反肘
6)肘関節遊離体
3.手および手関節
1)腱鞘炎
2)手の変形性関節症
3)手のスポーツ外傷
4)手の拘縮と変形
5)石灰沈着性腱炎
6)手の骨壊死
7)Guyon管症候群
8)手関節靱帯損傷
4.末梢神経
1)橈骨神経麻痺,正中神経麻痺,尺骨神経麻痺
2)前骨間神経麻痺,後骨間神経麻痺
XI.下肢
1.股関節
1)変形性股関節症
2)単純性股関節炎
3)大腿骨頭壊死症
4)発育性股関節形成不全
5)Perthes病
6)大腿骨頭すべり症
7)化膿性股関節炎
8)急速破壊型股関節症
9)石灰沈着性腱炎
2.膝関節および下腿
1)半月板損傷
2)変形性膝関節症
3)Osgood-Schlatter病
4)ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
5)前十字靱帯損傷,後十字靱帯損傷
6)膝蓋骨脱臼
7)小児の膝変形[反張膝,内反膝,外反膝など]
8)離断性骨軟骨炎
9)有痛性分裂膝蓋骨
10)Sinding-Larsen-Johansson病
11)ランナー膝(腸脛靱帯炎)
12)内側側副靱帯損傷
13)膝蓋大腿関節障害[膝蓋軟骨軟化症,滑膜ひだ障害]
14)膝の特発性骨壊死,ステロイド関節症
15)滑膜(骨)軟骨腫症
16)過労性脛部痛(シンスプリント),脛骨疲労骨折
17)腓腹筋肉離れ(テニスレッグ),慢性労作性下腿区画症候群
3.足関節および足
1)扁平足
2)変形性足関節症
3)外反母趾
4)アキレス腱断裂
5)アキレス腱炎・腱周囲炎
6)先天性内反足
7)麻痺足
8)母趾種子骨障害
9)外脛骨障害
10)三角骨障害
11)絞扼性神経障害
12)骨端症
13)外傷性足部障害
14)足底腱膜炎
XII.脊椎・脊髄
1)頚椎椎間板ヘルニア,頚椎症
2)骨粗鬆症性椎体骨折
3)腰椎椎間板ヘルニア,腰痛症
4)腰部脊柱管狭窄症
5)後縦靱帯骨化症
6)脊柱側弯症
7)脊椎分離症[スポーツによる第5腰椎疲労骨折など]
8)脊椎すべり症
9)変形性脊椎症
10)環椎・後頭骨癒合症,頭蓋底陥入症
11)脊髄空洞症
12)環軸関節回旋位固定
13)リウマチ性脊椎炎,透析性脊椎関節症
14)二分脊椎
15)化膿性脊椎炎,結核性脊椎炎
16)脊椎・脊髄腫瘍
17)斜頚
資料
(資料1)日整会各種機能評価判定基準
(資料2)骨移植とバイオマテリアルの種類
(資料3)Barthel Index,FIM,ロコモ25,JKOM,RDQ
(資料4)介護保険申請書類
(資料5)Basic Life Support(BLS)とAdvanced Life Support(ALS)
(資料6)身体障害者手帳の申請
(資料7)整形外科専攻医研修マニュアルweb入力用チェック欄
索引
序文
社会の高齢化とともに運動器疾患患者が増えており、整形外科医の果たす役割、社会からのニーズは年々大きくなってきている。これに応えるために、基本をしっかりと身につけた整形外科医の育成が不可欠になっている。2017年より日本整形外科学会は専門医研修の暫定プログラムをスタートさせ、2018年にいよいよ日本専門医機構による専門研修プログラムが正式に始まった。本プログラムの目的は国民および社会に信頼される標準的な知識と技術を身につけた専門医を養成することにあり、整形外科専門医を目指す医師は約年間にわたりプログラム内の複数の施設で研修を受け、上記を達成することになる。
慶應義塾大学整形外科には約50の関連施設があり、それぞれの施設が有機的に連携をしながらこれまで多くの整形外科専門医を育成してきた。どの施設にも指導に熱心な上級医がいて教育・指導にあたってきたが、標準的な知識を専攻医に身につけてもらうには指標となるマニュアルが必要であろうということになった。そこで南江堂の協力を得て今般『整形外科専門研修マニュアル』を上梓することになった。
本書は、専攻医の指導を実際に担当している当科および関連施設のスタッフが執筆者となり、それぞれが専門とする分野を分担執筆しているが、整形外科専門医として身につけておくべき基本的な事項を網羅的にpoint by pointで解説している。読者は本書を通読していただいてもよいし、傍らに置いて調べたい事項があった場合に辞典のように使用していただいてもよい。また、専門研修中のみならず、初期研修医あるいは研修を終えて専門医になったあとにも参照いただける内容になっている。
本書を傍らに専門研修を行い、国民および社会に信頼される整形外科専門医が多く誕生することを願っている。
2018年6月
慶應義塾大学整形外科 教授・教室主任
松本守雄
日本整形外科学会では、紆余曲折がありながらも2017年より専門医研修の暫定プログラムをスタートさせました。2018年からは日本専門医機構による専門研修プログラムが正式にはじまり、多くの専攻医が未来へ大きく羽ばたく自分の姿を夢みながら整形外科専門研修を開始しています。整形外科専門制度の理念は、「医師として必要な臨床能力および運動器疾患全般に関する基本的・応用的・実践能力を教育し、国民の運動器の健全な発育と健康維持に貢献できるようにすること」であり、その使命は「生活習慣や災害、スポーツ活動によって発生する運動器疾患と障害の発生予防と診療に関する能力を備え、社会が求める最新の医療を提供し、地域住民の運動器の健全な発育と健康維持に貢献し、運動器疾患全般に関して、早期診断、保存的および手術的治療ならびにリハビリテーション治療などを実行できる能力を備え、運動器疾患に関する良質かつ安全で心のこもった医療を提供すること」です。
この理念や使命を実践するために整形外科専門医を目指す専攻医は整形外科研修カリキュラムに沿って研修し、あらゆる運動器に関する科学的知識と幅広い基本的な専門技能を身につけなければなりません。一方、現在の超高齢化社会の到来とともに増加している変性性運動器疾患、骨粗鬆症、若年者を中心に生じるスポーツ傷害、リハビリテーションなど、整形外科医が扱う疾患範囲は非常に広く、また患者数も飛躍的に増加しております。運動器に関する科学的知識と幅広い基本的な専門技能を身につけることは決して容易ではありません。
このような状況の中、2018年7月、松本守雄教授(慶應義塾大学)を監修者として『整形外科専門研修マニュアル』が上梓されました。このマニュアルは序文にもありますように、「慶應義塾大学整形外科およびその関連施設のスタッフが執筆者となり、整形外科専門医として身につけておくべき事項を網羅的にpoint by pointで解説したもの」であります。まさに時宜を得た整形外科研修マニュアルです。
本書第1部の総論では、医師の法的義務と職業倫理にはじまり、診断基本手技、治療基本手技、小児やスポーツ疾患、リハビリテーションの総論的事項、地域医療や救急医療まで整形外科医として身につけておかなくてはならない基本的な知識や技術について必要十分な内容が述べられています。疾患の解説以外にも、診療録や手術記録、紹介状の書き方などまで丁寧に記載されています。その他、専攻医にとっても必要な研究テーマの立案、プロトコル作成、文献検索や引用の方法、学会発表と論文作成など重要な項目に関してわかりやすく記載されていることも特筆すべきことであり、専攻医研修に幅広く役立つものと確信します。
第2部の運動器疾患各論では、軟部組織・骨・関節の感染症、変形性関節症や痛風などの慢性関節疾患、骨系統疾患、先天性異常症候群、骨粗鬆症やホルモン異常などの代謝性疾患、関節リウマチ、腫瘍、各関節疾患や脊椎・脊髄の疾患、整形外科領域においても鑑別疾患として重要な四肢循環障害までup-to-dateな内容が網羅的に解説されています。最後には日本整形外科学会各種機能評価判定基準、骨移植とバイオマテリアルの種類、barthel indexやFIM、ロコモ25などの資料、身体障害者手帳の申請や整形外科専攻医研修マニュアルweb入力用チェック欄もまとめられています。
監修者の松本守雄先生も書かれていますが、本書は広く網羅的に知識を得るために通読されてもよいですし、診療の傍において辞書のような使用も可能です。また、サイズもたいへんコンパクトですので、こっそり(?)白衣のポケットに忍ばせることも可能でしょう。専攻医のみならず専門医の先生方にも有効にお使いいただける一冊です。ぜひご購入をおすすめいたします。整形外科研修プログラムの責任者の先生方には、プログラム参加者へのプレゼントに最適ではないでしょうか。
臨床雑誌整形外科70巻1号(2019年1月号)より転載
評者●広島大学整形外科教授 安達伸生