エキスパートをめざす循環器診療
2.不整脈
総編集 | : 井上博/増山理 |
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担当編集 | : 井上博 |
ISBN | : 978-4-524-24066-1 |
発行年月 | : 2006年6月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 266 |
在庫
定価8,800円(本体8,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
「循環器専門医研修カリキュラム」の達成目標に沿った構成の「エキスパートをめざす循環器診療シリーズ」の第二弾。本書では、シリーズの特徴である要点をまとめた「Check!!」、セルフチェックのための「診断知識のQ&A」、具体的な治療指針を示した「治療のケースアプローチ」などを盛り込み、難解な不整脈をやさしく、かつ実践的に解説する。
I エキスパートになるための基礎知識
1 イオン電流と活動電位を理解する
2 不整脈の分類と発症機序
II 不整脈の評価法・検査法
1 不整脈心電図の判読の基本
2 Holter心電図とは何か
3 電気生理検査を理解する
4 その他の検査法
III 不整脈の治療法
1 不整脈治療の基本方針
2 抗不整脈薬の使い方
3 除細動による不整脈治療
4 心臓ペースメーカーによる不整脈治療
5 植込み型除細動器による不整脈治療
6 カテーテルアブレーションによる不整脈治療
7 外科手術による不整脈治療
IV 各種不整脈の診断と治療
1 洞不全症候群
2 房室ブロック
3 上室性不整脈(1) 洞頻脈、心房期外収縮
4 上室性不整脈(2) 発作性上室頻拍
5 上室性不整脈(3) 心房細動・粗動
6 心室性不整脈(1) 心室期外収縮、心室頻拍
7 心室性不整脈(2) torsade de points、心室細動
8 心室内伝導障害
9 心臓性急死(心臓突然死)
10 合併症を有する不整脈
エキスパートをめざす循環器診療シリーズの第2巻として「不整脈」をここにお届けする。日本循環器学会認定循環器専門医をめざす若手医師が不整脈に関する基本的知識を勉強するのに手ごろな教科書である。
まず最低限必要な基礎知識として、第I章にイオン電流と活動電位、不整脈の発症機序をまとめた。日常診療の場では、これらの知識がただちに役立つことは実感できないであろう。しかし、これらの知識はさまざまな不整脈の病態を理解し、抗不整脈薬の作用を知るうえで基礎となるものである。不整脈に関する全体像がおぼろげながらでもわかった段階で改めてこの項を読むと、心臓電気生理の知識がいっそう深まり不整脈の診療が面白くなるものと思われる。
第II章には評価法・検査法が、第III章には治療法、そして第IV章で各種不整脈の診断と治療がわかりやすくまとめられている。循環器学会が要求している研修カリキュラムに記載されている不整脈の検査法、治療法、病態・疾患各論について、循環器専門医として知っておきたい知識が記載されているはずである。しかし不整脈のすべてを本書で網羅することは不可能である。本書はあくまでも広く循環器疾患の診療にあたる循環器専門医を育成するための教科書として編集されたものであり、不整脈、ペースメーカーあるいはアブレーションの専門家を育成することを目的としてはいない。抗不整脈薬について、ペースメーカーについて、あるいはアブレーションについてさらに深く知りたい諸君は、それぞれに関するさらに高度な専門書にあたっていただきたい。
若い医師諸君向けに、日常診療で陥りがちなピットフォールや注意点のアドバイスを随所に掲げ、知識の整理のためのQ&Aや症例提示を設けるなど、理解を助ける工夫を随所に凝らした。重要な大規模臨床試験のエビデンスについてもサイドメモ的に掲載した。若い諸君にはぜひとも本書を通読し、循環器専門医として必要な不整脈の基本的知識を習得していただきたい。本書により循環器専門医が1人でも多く増え、さらには不整脈に興味をもち、その専門家をめざす若手医師が現れれば編者として望外の喜びである。
2006年5月
井上 博