柔道整復
生理学改訂第4版
監修 | : 全国柔道整復学校協会 |
---|---|
編集 | : 彼末一之 |
ISBN | : 978-4-524-24029-6 |
発行年月 | : 2020年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 280 |
在庫
定価6,600円(本体6,000円 + 税)
正誤表
-
2024年06月11日
第 1 刷〜第 5 刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
柔道整復師養成課程向けに、生理学の知識を、理解を助ける豊富な図表を多用し、わかりやすく解説したテキスト。柔道整復師にとって必須である神経、筋の項目は十分に解説。よりやさしく理解しやすい内容とするために全面改訂を実施。また、柔道整復師養成カリキュラムの改正に伴い、高齢者及び競技者の生理学的特性・変化に関する項目を追加した。
1 生理学とは
A 細胞の構造と機能
1 細胞膜
2 核
3 染色体と遺伝
4 細胞内小器官
B 組織・器官と生体の機能系
1 組織
2 器官系
3 植物性機能と動物性機能
C 生体の恒常性と統合機能
1 生体の恒常性
2 フィードバック
D 体液の区分と組成
1 体液区分と水分バランス
2 体液のイオン組成
2 筋の生理
A 骨格筋
1 骨格筋の構造
2 骨格筋の収縮と弛緩
3 骨格筋と張力の関係
4 筋電図
B 心筋
1 心筋の構造
2 心筋の性質
C 平滑筋
1 平滑筋の構造
2 平滑筋の性質
3 神経の生理
A 神経信号の伝達
1 神経系の構成要素
2 静止膜電位,活動電位
3 活動電位の伝導
4 シナプスにおける興奮伝導
5 神経伝達物質と受容体
B 神経系の構成
1 中枢神経系
2 末梢神経系
C 脳の高次機能
1 脳の構造
2 大脳皮質の機能局在
3 連合野の統合機能
4 睡眠と覚醒
5 脳波でみる睡眠
6 学習と記憶
D 内臓機能の調節
1 自律神経とは
2 交感神経と副交感神経
3 自律神経系の構成
4 自律神経系による調節
5 反射のレベル
4 運動の生理
A 運動の調節
1 運動に関係する主な中枢神経
B 運動神経と運動単位
1 運動ニューロンと筋の接続
2 力の調節
C 脊髄による反射とその調節
1 受容器
2 伸張反射とγ系
3 誘発筋電図
4 複雑な反射
D 脳幹による運動調節
1 姿勢反射
2 歩行
3 脳幹によるその他の反射
E 高次運動機能
1 一次運動野
2 運動前野,補足運動野など
3 大脳基底核
4 小脳
5 運動関連脳部位間の接続
5 感覚の生理
A 感覚の一般的な特性
1 感覚の分類
2 感覚受容器
3 感覚の順応
B 特殊感覚
1 視覚
2 聴覚
3 平衡感覚
4 味覚
5 嗅覚
C 体性感覚
1 皮膚感覚
2 深部感覚
D 内臓感覚
1 臓器感覚
E 痛覚
1 原因による痛みの分類
2 発生部位による痛みの分類
3 発痛物質
4 痛みの伝導路
5 疼痛の抑制システム
6 内分泌
A 内分泌腺とホルモン
1 細胞間の情報伝達の種類
2 内分泌腺の種類
3 ホルモンの分類
4 ホルモン分泌の調節
5 ホルモンの作用機序
6 ホルモンの作用
B それぞれの内分泌腺とホルモンのはたらき
1 視床下部のホルモン
2 下垂体前葉のホルモン
3 下垂体後葉のホルモン
4 甲状腺のホルモン
5 副甲状腺のホルモン
6 副腎皮質のホルモン
7 副腎髄質のホルモン
8 腎臓のホルモン
9 膵臓のホルモン
10 精巣のホルモン
11 卵巣のホルモン
C ホルモンによる内部環境の恒常性維持
1 血圧調節
2 血糖調節
7 生 殖
A 性分化
1 生殖器と脳の胎生期における性分化
2 思春期に現れるからだの性差
B 男性生殖器
1 男性生殖器の構造と機能
2 精子形成
3 勃起と射精
C 女性生殖器
1 女性生殖器の構成
2 性周期
D 妊娠と分娩
1 受精
2 着床
3 妊娠
4 胎盤の形成と機能
5 分娩
6 乳汁分泌
8 血 液
A 血液の成分と組成伊藤俊之
1 血漿
2 赤血球
3 白血球
4 血小板
5 血球の分化
B 止血
1 局所的血管収縮
2 血小板凝縮
3 血液凝固
4 線維素溶解
C 血液型
1 ABO式血液型
2 Rh式血液型
D 免疫渡邊達生
1 免疫系器官
2 免疫担当細胞のはたらき
3 生体防御
9 骨の生理
A 骨の構造
1 骨の分類
2 骨組織の種類
3 長管骨の構造
B 骨の成長
1 骨の形成過程
2 骨形成と骨吸収
3 骨のカルシウム代謝の調節
4 骨年齢
10 循 環
A 心臓
1 心臓の機能的解剖
2 心臓の電気的活動
3 心電図
4 心臓の活動周期
B 血管
1 弾性血管系(大動脈)
2 抵抗血管系(細動脈)
3 交換血管系(毛細血管)
4 容量血管系(静脈)
C リンパ系
1 リンパ管の解剖
2 リンパの流れと役割
D 循環調節
1 動脈圧を決める因子
2 動脈圧の調節
11 呼吸の生理
A 呼吸器系の構造
1 肺,気道
2 胸郭
B 換気
1 呼吸筋
2 換気のしくみ
3 換気量と残気量
4 肺胞換気量と死腔
5 呼吸筋の仕事量に影響を与える因子
C ガス交換と運搬
1 肺でのガス交換
2 血液によるガス運搬
D 呼吸周期の調節
1 呼吸の神経支配経路
2 化学受容器
12 尿の生成と排泄
A 腎臓の構造と機能
1 腎小体
2 尿細管
3 血管系
B 尿の生成
1 糸球体での濾過
2 尿細管での再吸収
3 尿細管での分泌
4 尿の成分
C 腎血流量
1 腎血流量と尿量の変化
2 クリアランスによる腎機能の測定
D 排尿
1 排尿にかかわる筋
2 蓄尿
3 排尿
E 腎臓による体液の調節
1 ホルモンによる調節
2 飲水での調節
3 pHの調節
13 栄養と代謝
A 生体に必要な栄養素
1 糖質
2 タンパク質
3 脂質
4 ミネラル(無機質)
5 ビタミン
6 水
B エネルギー代謝
1 ATPの構造とはたらき
2 ATPの生成
C 栄養素の代謝
1 糖質の代謝
2 タンパク質の代謝
3 脂質の代謝
D 食物と栄養
1 エネルギー代謝量の測定法
2 エネルギー代謝の内訳
14 消化と吸収
A 消化器系の構成とはたらき
1 消化器系とは
2 消化と吸収
3 消化管壁の微細構造
4 消化管運動
5 消化液分泌
6 神経とホルモンにおける消化管機能の調節
B 食物の消化と吸収
1 食物の流れの時間経過
2 口腔
3 胃
4 小腸
5 大腸
6 肝臓
C 各栄養素の消化と吸収
1 糖質の消化と吸収
2 タンパク質の消化と吸収
3 脂質の消化と吸収
4 食物繊維の吸収と代謝
5 ビタミンの吸収
6 ミネラルの吸収
7 水とナトリウムの吸収
15 体温とその調節
A 体温
1 体内の温度分布
2 体温の生理的変動
B 熱産生
1 ふるえ
2 非ふるえ
C 熱放散
1 熱放散の物理的しくみ
2 熱放散の生理学的しくみ
D 体温調節
1 行動性体温調節
2 自律性体温調節
3 体温調節中枢
E 気候順化
1 暑熱順化
2 寒冷順化
F 発熱とうつ熱
1 発熱
2 うつ熱
16 高齢者の生理学的特徴・変化
A 細胞・組織の加齢現象
1 細胞の加齢現象
2 生体膜と細胞内小器官の変化
3 体内水分量の変化
B 高齢者の生理的特徴
1 加齢による臓器機能の変化
2 高齢者に多い疾患・障害
C 運動と加齢
1 歩行機能
2 平衡機能
3 反応時間
17 発育と発達および競技者の生理学的特徴・変化
A 成長に伴うからだや運動能力の発達
1 小児期から青年期の発育曲線
2 小児期から青年期の発育の特徴
3 小児期から青年期の呼吸循環系機能と運動
4 発育期の運動不足・過運動(オーバートレーニング)の影響
5 運動の発達と習熟
B 競技者の生理学的特徴・変化
1 トレーニングによる筋・心肺機能の適応的変化
2 トレーニングによる神経機構の変化
3 トレーニングによる姿勢調節能力の変化
4 眼球運動と姿勢制御
索引
改訂第4版の序文
本書は根来英雄・貴邑冨久子の両先生のご執筆で1995年に初版が刊行されて以来、長年にわたって柔道整復師養成課程で用いられてきた。この度、柔道整復師学校養成施設指定規則の改正にともない、内容と執筆者を全面的に改め、第4版を刊行することとなった。
特に強い要望があったのが“分かり易い記述”である。生理学は解剖学とともに生体(人体)を理解するための基礎となる学問である。特に将来、外傷・障害の治療にあたる柔道整復師を目指す学生さん達にとっては、正常機能を理解することは障害の理解にもつながり、この科目の学習は避けては通れない。ところが、学生さん達からはとかく生理学は「とっつきにくい」、「むずかしい」と敬遠されてしまう。そこで、著者一同この点を心に留めて改訂に取り組んだ。ところが出来上がった初稿をご覧いただいた学校協会の先生方からは「記述が細部にわたるので生体の基本的な機能のみを押さえた解説としてほしい」とのご意見をいただいた。そこで南江堂の宮下直紀氏が学習者の代表という立場で全章に目を通されて表現・構成を手直しされた。その原稿を元に著者一同が再度見直し、さらに学校協会のご意見もいただき、ようやく本改訂版が完成した次第である。このような事情で、当初の予定より1年遅れでの刊行となってしまった。これはひとえに編者の責任であり、この場をお借りしてお詫びを申し上げたい。
全国柔道整復学校協会教科書委員会からの要望で、第4版では「高齢者」、「発育・発達と競技者」という視点からの生理学的特徴をまとめた16章、17章が新しく加わった。いうまでもなく昨今の高齢化社会の広がり、そして東京オリンピック・パラリンピックを契機とするスポーツ人口の増加と人々の関心の高まりを考えたとき、2つの章は実にタイムリーなものといえよう。
学生さん達にはこの教科書による学習で生理学の面白さを是非見つけてもらいたい。この本の内容は決して遠い宇宙の話ではない。皆さん達の体の中の話である。それでも、もし「どこの世界の話?」との印象を持たれたら、まだまだ記述が分かり難いということである。これからもよい教科書にするために学生さん達、そして先生方の忌憚のないご意見をお寄せいただきたい。
最後に、改訂にあたって、多大のご尽力を頂いた全国柔道整復学校協会教科書委員会の先生方、南江堂の松本岳氏、そして宮下直紀氏に心よりお礼を申し上げる。
2020年2月
編集者 彼末一之