看護学テキストNiCE
病態・治療論[14] 小児疾患
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 真部淳/松藤凡/小林京子 |
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ISBN | : 978-4-524-23755-5 |
発行年月 | : 2019年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 380 |
在庫
定価2,860円(本体2,600円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
専門基礎分野において疾病の病態・診断・治療を学ぶためのテキストシリーズの小児疾患編。医師と看護師の共同編集により、看護学生に必要な小児に代表的・特徴的な疾患の知識を網羅。(1)病態と症状を理解できる、(2)診断の進め方、考え方がわかる、(3)臨床看護に結びつく知識が得られる、の3点を重視して構成。成長・発達の視点で障害をとらえて解説している。
序章 なぜ小児疾患について学ぶのか
1 医師の立場から
2 看護師の立場から
第I章 小児の発達と障害
1 神経・精神の発達と障害
1 神経・運動発達と障害
2 精神発達と障害
2 神経の発達と障害
1 運動神経
2 感覚神経
3 免疫の発達と障害
4 内分泌・成長の発達と障害長沖優子,伊藤純子
1 内分泌と成長
2 内分泌の作用と障害
5 呼吸・循環の発達と障害
第II章 小児疾患の診断・治療
1 小児の外来診療における診断・トリアージ
1 トリアージ
2 トリアージ後の外来診療の実際
3 診断
2 小児の診察技術
1 実際の診察のポイント
2 子どもの診察の特徴
3 フィジカルアセスメント
3 小児の検査
1 説明と同意
2 検査の実際
3 鎮静
4 小児の薬物療法
1 小児の薬用量
2 薬剤の剤形
3 有害事象の見方
5 小児の手術
6 小児の麻酔
第III章 小児疾患 各論
1 染色体異常による疾患
1 先天異常
2 染色体異常
3 代表的な染色体異常
3-1 ダウン症候群
3-2 18トリソミー
3-3 ターナー症候群
3-4 クラインフェルター症候群
4 遺伝カウンセリング
2 新生児の疾患
1 新生児仮死
2 新生児呼吸器疾患
2-1 呼吸窮迫症候群(RDS)
2-2 新生児一過性多呼吸(TTN)
2-3 胎便吸引症候群(MAS)
2-4 慢性肺疾患(CLD)
2-5 新生児無呼吸発作
2-6 新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)
3 新生児中枢疾患
3-1 頭蓋内出血
3-2 脳室周囲白質軟化症(PVL)
3-3 軟部組織の損傷
4 消化管疾患
4-1 新生児壊死性腸炎(NEC)
5 新生児感染症
5-1 新生児敗血症
5-2 TORCH症候群
5-3 新生児TSS様発疹症(NTED)
6 新生児代謝疾患
6-1 新生児黄疸
6-2 新生児低血糖症
3 代謝性疾患
先天性代謝異常症
1 金属代謝異常症
1-1 ウィルソン(Wilson)病
1-2 メンケス(Menkes)病
2 ライソゾーム病
2-1 ゴーシェ(Gaucher)病
2-2 ハーラー(Hurler)症候群
3 ミトコンドリア病
3-1 ミトコンドリアDNA枯渇症候群
4 ペルオキシソーム病
4-1 副腎白質ジストロフィー
5 糖質代謝異常症
5-1 糖原病1型(フォン・ギールケ[von Gierke]病)
6 アミノ酸代謝異常症
6-1 フェニルケトン尿症(PKU)
6-2 メープルシロップ尿症
6-3 リジン尿性タンパク不耐症
7 脂肪酸代謝異常症
7-1 中鎖脂肪酸脱水素酵素欠損症(MCAD)
7-2 カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2型(CPT2)欠損症
後天的な代謝性疾患
8 糖尿病
9 低血糖症
10 アセトン血性嘔吐症
4 内分泌疾患
1 成長ホルモン分泌不全性低身長症
2 尿崩症
3 甲状腺機能低下症
4 甲状腺機能亢進症
5 副甲状腺機能低下症
6 偽性副甲状腺機能低下症(PHP)
7 副甲状腺機能亢進症
8 副腎機能低下症
9 副腎機能亢進症
10 思春期早発症
11 思春期遅発症
12 性分化疾患(DSD)
5 脳神経疾患
1 熱性けいれん
2 てんかん
3 脳性麻痺
4 髄膜炎
5 急性脳症・急性脳炎
6 小児期水頭症
7 もやもや病
6 運動器疾患
1 筋ジストロフィー
2 重症筋無力症
3 発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)
4 小児の骨折
7 精神・心理・社会的問題
1 虐待
2 発達障害
3 摂食障害
4 不登校
8 アレルギー
1 気管支喘息
2 食物アレルギー
9 免疫疾患
1 全身性エリテマトーデス(SLE)
2 若年性突発性関節炎(JIA)
3 免疫不全
4 自己炎症性疾患
10 感染症
1 ウイルス感染症
1-1 麻疹(はしか)
1-2 風疹
1-3 流行性耳下腺炎
1-4 突発性発疹
1-5 伝染性紅斑
1-6 水痘(みずぼうそう),帯状疱疹
1-7 単純ヘルペス感染症
1-8 伝染性単核球症
1-9 エンテロウイルス感染症(手足口病,ヘルパンギーナ)
1-10 アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱)
1-11 ウイルス性肝炎
1-12 ウイルス性胃腸炎
1-13 インフルエンザ
2 細菌感染症
2-1 百日咳
2-2 破傷風
2-3 溶連菌感染症
2-4 結核
3 寄生虫感染症
3-1 蟯虫症
3-2 回虫
3-3 イヌ回虫,ネコ回虫
3-4 トキソプラズマ
11 呼吸器疾患
1 急性上気道炎
2 急性咽頭・扁桃炎
3 先天性喘鳴
4 クループ症候群
5 急性気管支炎
6 急性細気管支炎(RSウイルス感染症を含む)
7 急性肺炎
8 気胸
12 循環器疾患
1 先天性心疾患
1-1 心室中隔欠損症(VSD)
1-2 心房中隔欠損症(ASD)
1-3 動脈管開存症(PDA)
1-4 肺動脈狭窄症
1-5 大動脈縮窄症(CoA)
1-6 ファロー四徴症(TOF)
1-7 三尖弁閉鎖症(TA)
1-8 総動脈幹症(TAC)
1-9 完全大血管転位症(TGA)
1-10 総肺静脈還流異常症(TAPVR)
1-11 エブスタイン奇形
2 後天性心疾患
2-1 感染性心内膜炎(IE)
2-2 心筋炎
3 そのほかの循環器疾患
3-1 川崎病(KD)
3-2 不整脈
3-3 起立性調節障害(OD)
13 腎・泌尿器疾患
1 急性糸球体腎炎(AGN)
2 慢性糸球体腎炎(CGN)
2-1 IgA腎症
2-2 紫斑病性腎炎(HSPN)
3 ネフローゼ症候群
4 水腎症
5 先天性腎尿路異常(CAKUT)
6 慢性腎臓病(CKD)
7 尿路感染症(UTI)
14 消化器疾患
1 腹膜・腹壁疾患
1-1 臍帯ヘルニア
1-2 外鼠径ヘルニア
2 横隔膜疾患
2-1 先天性横隔膜ヘルニア
3 消化管感染症
3-1 感染性胃腸炎
4 上部消化管疾患
4-1 先天性食道閉鎖症
4-2 先天性食道狭窄症
4-3 胃食道逆流症(GERD)
4-4 肥厚性幽門狭窄症
4-5 胃軸捻転
4-6 先天性十二指腸閉鎖症・狭窄症
4-7 小腸閉鎖症・狭窄症
5 下部消化器疾患
5-1 便秘
5-2 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病)
5-3 メッケル憩室
5-4 腸回転異常症
5-5 ヒルシュスプルング病
5-6 鎖肛
5-7 腸重積症
5-8 虫垂炎
5-9 肛門周囲膿瘍
6 肝臓・胆道疾患
6-1 胆道閉鎖症
6-2 先天性胆道拡張症
15 血液疾患
1 鉄欠乏性貧血
2 好中球減少症
3 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
4 血友病
5 後天性ビタミンK依存性凝固因子欠乏症
6 白血病
7 悪性リンパ腫
16 腫瘍疾患
1 小児がん総論
2 神経芽腫
3 ウィルムス腫瘍(腎芽腫)
4 肝芽腫
5 胚細胞腫瘍
6 骨肉腫
7 横紋筋肉腫
8 ユーイング(Ewing)肉腫
9 血管性腫瘍・血管奇形
17 事故・外傷
1 事故・外傷
索引
はじめに
本書を上梓するにあたって、すべての原稿を読み直しました。さすがに小児科の領域は広いです。執筆者のみなさんにはお忙しい中、丁寧に対応していただき、感謝の念にたえません。
この本は、これから看護師になる学生のみなさんに、まず前半に総論として小児疾患の病態の特徴を成人疾患との対比の中で学んでもらおうと思いました。そのため、従来の教科書とは方針を変えて、臓器別の解説というよりも、精神とこころの発達と障害、免疫の発達と障害など、まだ成長発達の途中である小児のからだに疾患が起こることの意味をまとめました。ついで、小児特有の診察方法、検査方法、薬物療法などを述べました。
後半は各論です。小児疾患をどの程度細かく取り上げるかについては編集部と何度も議論しました。簡単にいうと、小児には成人疾患と同様の疾患がほとんどすべてみられますが、それに加えて小児期にしかみられない疾患が、まれな症候群などを含めれば無数にあるということです。結果的には各領域において、患者数が多い代表的な疾患と、患者数は多くないが小児特有の問題をもつという意味で重要な疾患に絞りました。そこには小児ならではともいえる遺伝相談、新生児疾患、虐待、事故・外傷も含まれます。
このような多岐にわたる項目の要望に応えてくれる執筆者の選定は簡単ではありませんでした。今回の執筆者の多くは一緒に回診をしたり、症例検討会をもったりしたことのある同じ釜の飯を食った仲間たちです。彼らとこうして書籍を作り上げられたことをうれしく思うとともに、このような素敵な書籍を企画してくださった南江堂の山口慶子さん、山本奈々さんに深謝します。
最後に、医学教育の基礎を築いたウイリアム・オスラーの言葉を示して序文を終わります。私はこの言葉を先年亡くなられた日野原重明先生に教えられました。日野原先生は“日本のオスラー”ともいうべき先生でしたが、臨床医として教えられることは多かったです。「われわれは患者とともに学びを始め、患者とともに学びを続け、患者とともに学びを終える」(講演「病院は大学である」1903年より)。
2019年2月
真部淳
松藤凡
小林京子