看護学テキストNiCE
病態・治療論[6] 血液・造血器疾患
編集 | : 安藤潔/横田弘子 |
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ISBN | : 978-4-524-23746-3 |
発行年月 | : 2019年5月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 206 |
在庫
定価2,200円(本体2,000円 + 税)
正誤表
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2023年10月25日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
専門基礎分野において疾病の病態・診断・治療を学ぶためのテキストシリーズ(全14冊)の血液・造血器疾患編。第一線で活躍する医師と看護師の共同編集により、看護学生に必要な知識を網羅。(1)さまざまな症状が理解できる、(2)診断の進め方、考え方がわかる、(3)臨床看護に結びつく知識が得られる、の3点を重視してビジュアルに構成している。
序章 なぜ血液・造血器疾患について学ぶのか
1 医師の立場から
2 看護師の立場から
第I章 血液・造血器の機能と障害
1 血液の構造と機能
1 血液とは何か
2 血液細胞の形態と機能
2 造血のしくみ
1 骨髄の構造と機能:造血の場所
2 血液細胞の産生と造血因子:造血の調節
3 ヘモグロビンの生成と代謝:赤血球産生の材料
4 まとめ
3 血液・造血機能の異常と症状
1 赤血球の異常と症状
2 白血球の異常と症状
3 血小板の異常と症状
4 骨髄の異常と症状
第II章 血液・造血器疾患の診断・治療
1 血液疾患の主な症状と診断・治療
1 貧血
2 紫斑・止血困難(出血傾向)
3 リンパ節腫大
4 脾腫
5 発熱
2 血液・造血器の検査
1 末梢血検査
2 血小板・凝固機能の検査
3 生化学検査
4 免疫機能検査
5 染色体・遺伝子検査
6 骨髄検査
7 リンパ節生検
8 画像診断
3 血液・造血器疾患の治療
1 化学療法
2 分子標的治療薬
3 免疫抑制療法
4 輸血
5 放射線療法
6 造血幹細胞移植
7 よく使用される薬剤
第III章 血液・造血器疾患 各論
1 貧血性疾患
1 再生不良性貧血
2 鉄欠乏性貧血
3 骨髄異形成症候群
4 溶血性貧血
5 巨赤芽球性貧血
6 血球貪食症候群
2 白血病と骨髄増殖性疾患
1 急性白血病
2 慢性骨髄性白血病
3 真性赤血球増加症(真性多血症)
4 原発性骨髄線維症
3 リンパ・免疫系疾患
1 悪性リンパ腫
2 成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)
3 多発性骨髄腫
4 ワルデンストレームマクログロブリン血症
5 アミロイドーシス
4 出血性疾患
1 特発性血小板減少性紫斑病
2 血栓性血小板減少性紫斑病と溶血性尿毒症症候群
2-1 血栓性血小板減少性紫斑病
2-2 溶血性尿毒症症候群
3 播種性血管内凝固症候群
5 小児に特有な血液・造血器疾患
1 小児急性白血病
2 原発性免疫不全症候群
2-1 重症複合免疫不全症(SCID)
2-2 X連鎖無γグロブリン血症(XLA)
2-3 ヴィスコット・オールドリッチ症候群(WAS)
2-4 慢性肉芽腫症(CGD)
2-5 原発性免疫不全症候群の患児とその家族への教育・注意点
3 先天性再生不良性貧血
3-1 ファンコニ貧血(FA)
3-2 先天性角化不全症(DKC)
3-3 ダイアモンド・ブラックファン貧血(DBA)
3-4 先天性再生不良性貧血の患児とその家族への教育・注意点
4 血友病
略語一覧
索引
序文
血液疾患の多くは稀少疾患であり、総合病院であっても血液疾患の診療を行っていない病院も多い。それにもかかわらず、看護師が血液疾患について学ぶことの意義は何だろうか。
血液は全身を巡り、すべての臓器への酸素供給、栄養供給、ホルモン・サイトカインの運搬を行っており、生体を病原微生物やがんなどから守り、止血・線溶機構により循環系を維持している。このことから血液疾患では全身のさまざまな症状を引き起こす。また同時に多くの臓器疾患が血液に異常をきたす原因となり、貧血、易感染性、出血傾向などの血液症状を引き起こす。したがって血液疾患の病態生理を理解することは看護の基礎知識となる。
一方で、血液疾患の診断・治療法は専門性の高いものが多く、初学者には敷居が高く感じられることも事実である。化学療法、輸血療法、感染症治療、緩和療法などは臨床腫瘍学に必須の知識である。また科学の進展を反映して、診断法、治療法が目まぐるしく変化している。たとえば、分子生物学の成果である分子標的治療により悪性腫瘍の予後が著しく改善している。幹細胞生物学の成果である造血幹細胞移植は再生医療の成功例となっている。分子標的治療も再生医療も未来の医学を先取りした治療法である。これらの医療は専門家によるチームワークなくして成功しない。患者を中心としたチーム医療を円滑に行う上で看護師の果たす役割は大きい。
『ケアの本質』(ミルトン・メイヤロフ著、ゆるみ出版、1987)では知識に関して次のように記載されている。「誰かをケアするためには、私は多くのことを“知る”必要がある。たとえば、その人がどんな人なのか、その人の力や限界はどれくらいなのか、その人の求めていることは何か、その人の成長のたすけになることはいったい何なのか、などを私は知らねばならない。そして、その人の要求にどのようにこたえるか、私自身の力と限界がどのくらいなのかを私は知らねばならない」。
本書で学ぶ知識はケアを行う看護師が必要とする知識のごく一部であるが、必須の知識でもある。本書ではこれらの知識を理解し身につけやすいように、図を多用することをはじめとして多くの工夫が取り入れられている。医療技術の進歩と看護の心をどのように融和させることができるのか。本書が新しい時代の看護師の要望に応えることができれば幸いである。
2019年4月
編集者を代表して
安藤潔