看護学テキストNiCE
病態・治療論[4] 消化器疾患
編集 | : 津田泰宏/鈴木久美 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-23744-9 |
発行年月 | : 2019年2月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 328 |
在庫
定価2,640円(本体2,400円 + 税)
正誤表
-
2024年05月07日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
専門基礎分野において疾病の病態・診断・治療を学ぶためのテキストシリーズ(全14冊)の消化器疾患編。医師と看護師の共同編集により、看護学生に必要な知識を網羅。(1)さまざまな症状を理解できる、(2)診断の進め方、考え方がわかる、(3)臨床看護に結びつく知識が得られる、の3点を重視して構成している。疾患ごとに「どのような症状から疑われるか」を図を多用して解説している。
序章 なぜ消化器疾患について学ぶのか
1 医師の立場から
2 看護師の立場から
第I章 消化器の機能と障害
1 消化器の構造と機能
2 消化・吸収・排泄のしくみ
3 消化器の障害と症状
1 各機能障害からみた症状
2 臓器別にみた障害と症状
第II章 消化器疾患の診断・治療
1 消化器症状からの診断過程
2 消化器の検査
3 消化器疾患の治療
1 食事・栄養療法
2 薬物療法
3 手術療法
4 内視鏡治療
5 インターベンショナルラジオロジー(IVR)
6 放射線治療
第III章 消化器疾患 各論
1 上部消化管疾患
1 食道アカラシア
2 食道静脈瘤
3 食道がん
4 胃食道逆流症(GERD)
5 バレット食道
6 マロリー-ワイス症候群
7 急性胃炎・急性胃粘膜病変(AGML)
8 慢性胃炎
9 ヘリコバクター・ピロリ感染症
10 胃・十二指腸潰瘍
11 機能性ディスペプシア(FD)
12 胃がん
13 胃ポリープ
2 下部消化管疾患
1 急性虫垂炎
2 潰瘍性大腸炎
3 クローン病
4 感染性腸炎
5 虚血性大腸炎
6 薬剤性腸炎
7 大腸がん
8 大腸ポリープ
9 腸閉塞
10 消化管憩室
11 過敏性腸症候群(IBS)
12 腹膜疾患,急性腹膜炎
13 肛門疾患
3 肝疾患
原因による分類
1 ウイルス性肝炎
2 アルコール性肝障害
3 脂肪肝,非アルコール性脂肪肝炎
4 薬物性肝障害
5 自己免疫性肝疾患
病型による分類
1 劇症肝炎,急性肝不全
2 急性肝炎
3 慢性肝炎
4 肝硬変
5 門脈圧亢進症(特発性門脈圧亢進症を中心に)
6 原発性肝がん
7 肝膿瘍
4 胆・膵疾患
1 胆石症
2 急性胆嚢炎,急性胆管炎
3 胆道ジスキネジー
4 胆嚢切除後症候群
5 胆道がん
6 急性膵炎
7 慢性膵炎
8 膵がん
9 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN[嚢胞性膵疾患])
5 その他の消化管疾患
1 吸収不良症候群
2 腹部外傷
索引
はじめに
腹痛は病院を受診する理由として非常によくみられる症状の1つであり、消化器疾患は医療者が臨床において日常的にもっとも遭遇する疾患である。その対象となる臓器には消化管から肝臓などの実質臓器まで含まれる。したがってここで学ぶ疾患は非常に多くなるが、いずれも重要な疾患ばかりである。
第I章では消化器疾患に関係する主要臓器の構造、機能、そしてそれらが障害されるとどのような症状が現れるのかを順に記載している。とくに、症状別にどのような疾患が考えられるのかと、各臓器が障害されるとどのような症状が出現するのかを分けて記載しているため、実習や実臨床で遭遇した症状を本書で調べる場合は是非とも両方を読んでほしい。つまり、その臓器特有の症状から疾患を推論するときは、その臓器の疾患の症状であると決めてかからず、他の疾患が隠れている可能性を考えることが重要であり、それが実践力につながると考えられる。また、どの部分から読み始めてもある程度内容が理解できるように記載した。そのため最初から通読すると内容が重複する部分も存在しているが、重複している部分は重要であるともいえる。
第II章では症状からの診断過程と各種検査・治療について述べている。前述の通り多くの臓器が対象となるため、検査の数も多く多彩である。対象となる患者を理解するためには、診断にはどのような検査が必要なのか、またその検査がどのような方法で行われているのか、そして患者にかかる負担はどのようなものなのかという知識が必要となる。また治療薬に関しても同様に、なぜこの薬が処方されているのかを理解するためには、その作用機序まで知っておく必要がある。この章ではそのことを踏まえてやや詳細に記載している。
第III章は各論として各臓器別に疾患の概念、疫学、発生機序、症状、診断の進め方、主な治療法、予後、退院支援と患者教育の順に記載した。症状から可能性のある疾患が思い浮かぶか否かで、その後の対応やケアに差があらわれる。「どのような症状から本疾患が疑われるか」という点を強調しているのは本書の特徴といえる。
近年は疾患の病態に対する研究や検査機器の進歩が著しいため、疾患概念や治療薬が急速に変化してきている。本書ではできる限り新しい知見を記載し、また現在増えてきている、あるいは今後増えてくるであろう疾患を重視して記載した。本書が消化器疾患を学ぶすべての人々の役に立ってくれればと願っている。
2018年12月
津田泰宏
鈴木久美