テキスト健康科学改訂第3版
監修 | : 佐藤祐造 |
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編集 | : 柴田英治/松原達昭/八谷寛 |
ISBN | : 978-4-524-23448-6 |
発行年月 | : 2024年9月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 320 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
大学の教養課程における健康科学の教科書.健康は様々な人々の職業活動のうえに成り立っているという視点を育てることを重視し,健康を,心,環境,経済などの様々な視点から解説している.今版では,近年の法規・制度・統計数値等の反映に加え,新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえ「第3章 感染症の脅威」「第5章 世代と健康」を新設した.コラムも豊富に掲載し,学生にとって身近な事例を盛り込んだ.
第1章 現代の健康観と健康問題概観
1 健康の定義(健康の概念)
2 現代の健康問題
3 生活習慣病
4 胎児プログラミング仮説とトラッキング
5 喫煙
6 飲酒
7 社会的な健康規定要因
8 ヘルスプロモーション(健康づくり)
9 環境整備と積極的な健康づくり施策
10 行動科学
11 新たな健康問題
12 災害と健康
13 健康を守る社会のしくみ:社会保障制度
14 公衆衛生とは
15 口腔とからだの健康
第2章 人の心身と健康を知る
A 身体と健康
1 身体の構造と機能
B 心と健康
1 心の健康・不健康とは
2 心の不健康
3 薬物(物質)依存
C 遺伝情報と健康
1 遺伝情報の担い手DNA
2 ヒトゲノムの多様性
3 遺伝性疾患の分類
4 遺伝と体質
5 オーダーメイド医療とファーマコゲノミクス
6 ゲノム研究の潮流
第3章 感染症の脅威
A 感染症との戦いの歴史
B 感染症を征圧するための公衆衛生
1 わが国での公衆衛生
2 EBPHとEBMの違いについて
C ウイルス感染症
1 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
2 その他のウイルス感染症
D 細菌感染症
1 細菌の学名
2 細菌の生育環境
3 細菌の大きさや形態
4 細菌の構造
5 通性嫌気性グラム陽性球菌
6 通性嫌気性グラム陰性球菌
7 通性嫌気性グラム陰性桿菌
8 好気性グラム陰性桿菌
9 グラム陰性らせん菌
10 グラム陽性抗酸性桿菌
11 偏性嫌気性グラム陽性桿菌 有芽胞菌
E 真菌感染症
1 真菌の分類
2 酵母様真菌
3 糸状菌
4 二形成真菌
F 寄生虫感染症
1 寄生虫感染症とは
2 吸虫
3 条虫
4 線虫
5 原虫
第4章 人間の活動と健康
A 環境と健康
1 環境と人間の健康との関係
2 物理的環境と健康
3 化学物質と健康
B 栄養と健康
1 栄養素の機能
2 栄養・健康に関する社会的諸問題
C 運動と健康-運動の効果
1 安静の弊害
2 身体運動とエネルギー代謝
3 生活習慣病と身体運動-疫学的研究成績
4 生活習慣病に対する運動療法の効果
5 運動処方の実際
D 運動と健康-運動による障害
1 運動器の傷害
2 運動器以外の傷害
E 睡眠・休養と健康
1 睡眠の量と質
2 睡眠不足・睡眠負債,交代勤務の健康影響
3 主な睡眠障害(不眠症,睡眠時無呼吸症候群)
4 健康づくりのための睡眠ガイド
5 休養をとれている国民の割合
第5章 世代と健康
A 乳幼児・小児の健康
1 からだの健康@─妊娠・出産の過程と胎児の発育
2 からだの健康A─乳幼児の正常な発育
3 こどものこころと社会性の発達
4 こどもの権利と虐待
5 こどもの死因と事故
6 こどもの事故予防
7 思春期の諸問題
8 バーチャル(仮想的)な社会
9 発達障害
B 児童・生徒・学生の健康
1 学校保健活動の意義
2 学校環境の安全と健康
3 学校における感染症対策
4 学校における健康診断
5 学校における健康教育
6 学校における心の健康
7 性の発達・性的マイノリティ
C 働く人々の健康
1 職場の健康障害因子
2 職場と健康
3 集団の健康を守るために
D 高齢者の健康
1 加齢と老化
2 高齢者の定義
3 老化の特徴
4 老化と疾患
5 老年症候群
6 認知症
7 認知症の予防
8 フレイルとサルコペニア
9 フレイル・サルコペニアの予防
10 フレイル・サルコペニアへの栄養介入
11 介護保険制度
第6章 科学技術と健康
A 情報技術の革新と健康
1 情報技術の革新
2 情報機器作業者の健康影響
3 情報機器を用いた多様な働き方と人間工学的対策
B 交通・輸送の革新と健康
1 自動車中心の交通・輸送と車社会を取り巻く状況
2 交通事故の実態と交通安全対策
3 交通事故防止・対策を考える
4 自動車の運転と健康障害
5 自動車交通網の発達と環境問題
C 住宅と健康
1 住宅と健康の基本原則
2 衛生環境の向上
3 室内空気汚染
4 ユニバーサルデザイン
参考図書
索 引
本書改訂第 2 版が上梓されたのが 2017 年 2 月であった.第 2 版は医療,スポーツ科学,栄養,介護・福祉などを学ぶ学生,さらに社会人として必要な健康にかかわる幅広い視野を身につけようとする読者にご好評をいただいた.
その後世界の健康を巡る出来事として特筆しなければならないのは新型コロナウイルスの世界的な蔓延である.わが国では再三の緊急事態宣言により経済活動,人々の移動が制限された結果,これらが感染に加えて新たな心身の健康課題を生むなど社会全体が大きく揺さぶられることになった.このことは感染症が現在も人類にとって脅威であり,その克服が容易ではないこと,今後もその予防とパンデミック対策が極めて重要であること,さらにパンデミックが新たな健康問題を生むことを浮き彫りにした.
一方,この 7 年あまりの間に少子高齢化の進行,ICT 技術の発展,新たな国際紛争の発生など,国内のみならず世界的な情勢の変化も我々の心身の健康に直接的・間接的に影響を及ぼすことになった.
このような状況を受けて第 2 版の見直しを監修,編集担当の 4 名で 2022 年から始めた.第 2版の各執筆者の担当章・節は独立した内容としていたこともあり,通読するといくつかの重複があった.特に感染症に関連する健康問題については記述が散在することになり,系統的なものとは言い難かった.
改訂第 3 版ではこの点を改め,「感染症の脅威」として章を起こし,新型コロナウイルス感染症の報告からその後の社会的な感染対策を含めて詳述することとした.執筆者には当時の感染症対策専門家会議,アドバイザリーボードなど最前線で感染症対策にあたった専門家をお迎えした.その結果,本章の記述はわが国の新型コロナウイルス感染対策の貴重な記録としての資料的な価値を有するものになった.
今回の改訂で本書はより大部なものになり,入門書としてはもちろん,健康にかかわる諸分野の専門書としての性格も加わることになった.教科書として使用していただく場合には講義の構成,授業時間数,学生に求める学修内容などに合わせて取捨選択することも十分に可能である.これからのわが国の健康を巡る情勢の変化は加速することが予想され,発生する問題への対応を考えるうえで本書は繰り返し参照されるべきものとなるであろう.
最後に,ご多用中にもかかわらずご執筆をいただきました先生方に心より感謝申し上げる.また,改訂第 3 版刊行の実現をお引き受けいただいた南江堂,並びに編集作業に多大なお世話をいただいた内田慎平氏,野村真希子氏,松本岳氏に御礼申し上げる.
2024 年 7 月
監修者・編集者を代表して
柴田 英治