書籍

心臓血管外科専門医認定試験 過去問題集2016〜2020

監修 : 3学会構成 心臓血管外科専門医認定機構
編集 : コア・カリキュラム委員会
ISBN : 978-4-524-23409-7
発行年月 : 2022年3月
判型 : B5
ページ数 : 232

在庫僅少

定価7,150円(本体6,500円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

2017年に刊行された,心臓血管外科専門医認定機構(胸部外科学会・心臓血管外科学会・血管外科学会の3学会で構成)監修,コア・カリキュラム委員会編集の『心臓血管外科専門医認定試験 過去問題集2012〜2015』の続編.2016〜2020年の5年間で実際に出題された問題から選定された481問とその解答を掲載した受験者必携の一冊.

【目 次】

 新専門医制度と改訂コア・カリキュラム
 発刊にあたって
 コア・カリキュラム一覧

必修問題
 総論

選択問題
 虚血性心疾患
 弁膜症
 先天性心疾患
 大血管疾患
 末梢血管疾患

解答





【コア・カリキュラム一覧】

■総論
 総論
 A.心臓血管外科に必要な基礎医学
  1.心臓血管外科に必要な基礎医学-解剖
  2.心臓血管外科に必要な基礎医学-生理
  3.心臓血管外科に必要な基礎医学-薬理
  4.心臓血管外科に必要な基礎医学-その他
 B.心臓血管疾患の常識的疫学
  1.心臓血管疾患の常識的疫学-先天性
  2.心臓血管疾患の常識的疫学-後天性
  3.心臓血管疾患の常識的疫学-その他
 C.補助循環
  1.人工心肺
  2.低体温
  3.PCPS/ECMO
  4.IABP
  5.その他の補助循環
 D.心筋保護
 E.医療材料
  1.人工血管
  2.人工弁
  3.その他の医療材料
 F.検査
  1.画像診断
  2.血液検査
  3.その他の検査
 G.感染症,感染予防
 H.薬物治療
  1.ヘパリン・プロタミン
  2.ワルファリン,その他の抗凝血薬
  3.抗血小板薬
  4.血栓溶解療法
  5.プロスタグランジン
  6.循環作動薬(カテコラミン,β遮断薬など)
  7.スタチン
  8.抗不整脈薬
 I.外科医が知っているべき内科的治療
  1.PCIなどの冠動脈カテーテル治療
  2.TAVI,MitraClipなどのカテーテル治療
  3.ペースメーカなどのデバイス治療
  4.デバイス,リード抜去
 J.医療安全
  1.院内安全管理体制
  2.院内感染
  3.高難度新規医療技術
  4.医療事故調査制度
 K.チーム医療
  1.看護師の業務
  2.臨床工学技士の業務
 L.倫理など
  1.医療倫理
  2.患者の権利
  3.学会発表・論文投稿の倫理
 M.医療制度
  1.医療保険制度
  2.保険医の義務
  3.DPC
  4.先進医療
  5.高額療養費制度
 N.外科医教育・研修制度
  1.心臓血管外科専門医制度
  2.Non-technical skill
  3.Off the Job Training
 O.呼吸器または縦隔外科
  1.肺癌
  2.縦隔腫瘍
  3.気胸・血胸
 P.その他

■虚血性心疾患
 A.術前術後管理
  1.検査
  2.画像
  3.感染
 B.虚血性心疾患
  1.外科的冠血行再建(CABG)
  2.診断と手術適応
  3.手術手技
  4.術前・術中・術後管理
  5.早期・遠隔成績
  6.疫学
 C.機械的合併症に対する外科手術
  1.左室自由壁破裂
  2.心室中隔穿孔
  3.僧帽弁乳頭筋断裂
  4.虚血性僧帽弁閉鎖不全(慢性)
  5.左心室瘤
 D.他臓器血管病変を合併した虚血性心疾患の治療戦略
  1.脳血管病変
  2.腹部大動脈瘤
 E.外傷・心膜・腫瘍
  1.心臓損傷
  2.収縮性心膜炎の外科治療
 F.重症心不全に対する治療
  1.IABP/PCPS
  2.体外設置型補助人工心臓
  3.植込型補助人工心臓
  4.左室形成術
  5.心臓移植
 G.心筋症
  1.拡張型心筋症
  2.肥大型心筋症
  3.虚血性心筋症
 H.冠動脈瘤
  1.川崎病の冠動脈瘤
  2.動脈硬化による冠動脈瘤

■弁膜症
 A.弁膜症外科総論
  1.代用弁の種類とその選択
  2.弁置換術と弁形成術
  3.弁置換術後管理
 B.大動脈弁疾患
  1.大動脈弁狭窄症
  2.狭小弁輪症例に対する術式と選択
  3.大動脈弁閉鎖不全症
  4.カテーテル弁置換術(TAVR)
 C.僧帽弁疾患
  1.僧帽弁狭窄症
  2.僧帽弁閉鎖不全症
 D.連合弁膜症
 E.三尖弁疾患
  1.三尖弁閉鎖不全症
  2.三尖弁形成術
  3.三尖弁置換術
 F.感染性心内膜炎
 G.手術適応ガイドライン
 H.不整脈に対する外科治療
  1.心房細動に対する外科治療
  2.メイズ手術
  3.左心耳閉鎖
 I.低侵襲心臓手術
  1.胸腔鏡下心膜弁膜症手術
  2.ロボット支援心膜弁膜症手術
 J.心臓腫瘍
  1.良性心臓腫瘍
  2.悪性心臓腫瘍

■先天性心疾患
 A.2心室修復術が目標となる非チアノーゼ性心疾患
  1.動脈管開存症
  2.心房中隔欠損,部分肺静脈還流異常
  3.心室中隔欠損
  4.房室中隔欠損
  5.先天性僧帽弁疾患
  6.先天性大動脈弁疾患(弁上,弁下を含む)
  7.先天性冠動脈異常
  8.大動脈縮窄・離断
  9.血管輪,肺動脈スリング(気管形成を含む)
  10.大動脈肺動脈窓
  11.右肺動脈大動脈起始,その他肺動脈起始異常
  12.バルサルバ洞動脈瘤
 B.2心室修復術が目標となる複雑心疾患
  1.Fallot四徴症
  2.肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損,MAPCA
  3.総肺静脈還流異常
  4.完全大血管転位
  5.修正大血管転位
  6.両大血管右室起始
  7.総動脈幹症
 C.1心室修復術が目標となる疾患
  1.左心低形成症候群
  2.単心室
  3.三尖弁閉鎖
 D.条件によって目標(1心室/2心室)が変わる疾患
  1.純型肺動脈閉鎖,重症肺動脈弁狭窄
  2.Ebstein病
  3.Shone complex, HLHS 類似疾患
 E.成人先天性心疾患
  1.未手術
  2.手術後
 F.主な手術方法の適応・血行動態・合併症・再手術
  1.右心バイパス手術
  2.その他
 G.その他の知っておくべき小児心臓外科の知識
  1.心臓腫瘍
  2.低侵襲手術,カテーテル治療
  3.重症心不全,移植,補助人工心臓
  4.周術期管理,補助循環
  5.人工材料
  6.遺伝疾患,染色体異常
  7.感染性心内膜炎・感染症

■大血管疾患
 A.非解離性大動脈瘤
  1.大動脈基部・上行大動脈瘤
  2.弓部大動脈瘤
  3.胸部下行・胸腹部大動脈瘤
 B.大動脈解離
  1.急性A 型大動脈解離
  2.急性B 型大動脈解離
  3.慢性A 型大動脈解離
  4.慢性B 型大動脈解離
 C.ステントグラフト治療
  1.下行大動脈瘤に対するステントグラフト治療
  2.弓部大動脈疾患に対するステントグラフト治療
  3.大動脈解離に対するステントグラフト治療
  4.腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療
  5.エンドリーク
 D.感染・炎症などによる大動脈疾患
  1.結合織・先天性大動脈疾患
  2.炎症性胸部大動脈疾患─高安動脈炎
  3.感染性大動脈瘤,人工血管感染
  4.大動脈食道瘻
  5.大動脈気管支瘻
 E.破裂・外傷
  1.破裂性大動脈瘤
  2.吻合部仮性大動脈瘤
  3.外傷性胸部大動脈瘤
 F.肺動脈血栓塞栓症
  1.急性肺血栓塞栓症
  2.慢性血栓塞栓性肺高血圧症

■末梢血管疾患
 A.腹部・末梢血管外科総論
  1.腹部・末梢血管外科の診断
  2.機能検査(動脈・静脈機能検査)
  3.画像診断
 B.腹部大動脈・腸骨動脈瘤
  1.非破裂
  2.破裂
  3.感染性
  4.炎症性
 C.末梢動脈瘤
  1.末梢動脈瘤(頚部・上肢・下肢)
  2.腹部内臓動脈瘤(腎動脈瘤を含む)
 D.下肢動脈閉塞性動脈硬化症
  1.無症候,間欠性跛行
  2.重症下肢虚血
  3.バイパス治療
  4.EVT
  5.大動脈腸骨動脈閉塞症(AIOD)
 E.腹部内臓動脈閉塞性疾患(腎動脈を含む)
  1.腹部内臓動脈急性閉塞(腸間膜動脈血栓症,NOMI,上腸間膜動脈解離)
  2.腹部内臓動脈慢性閉塞(腎血管性高血圧症,腎動脈狭窄症,腹腔動脈狭窄)
 F.頚動脈,上肢動脈閉塞性疾患
  1.頚動脈狭窄症
  2.胸郭出口症候群,鎖骨下動脈盗血症候群
  3.Raynaud 病・症候群,Blue toe症候群
  4.四肢急性動脈閉塞症(塞栓症・血栓症)
 G.その他の末梢動脈疾患
  1.バージャー病
  2.血管炎症候群と膠原病関連の末梢動脈疾患
  3.膝窩動脈捕捉症候群,膝窩動脈外膜嚢腫
  4.遺残坐骨動脈
  5.高安動脈炎
  6.ベーチェット病
  7.Ehlers-Danlos症候群
 H.静脈,リンパ,血管腫
  1.下肢静脈瘤
  2.深部静脈血栓症
  3.慢性下肢静脈不全
  4.上大静脈症候群
  5.Budd-Chiari 症候群
  6.リンパ浮腫
  7.血管腫・血管奇形
 I.透析,外傷,合併症
  1.バスキュラーアクセス
  2.血管外傷
  3.吻合部動脈瘤
  4.大動脈消化管瘻
  5.人工血管感染
  6.下肢切断,創処置
  7.糖尿病性足病変,フットケア

●新専門医制度と改訂コア・カリキュラム

 『心臓血管外科専門医認定試験過去問題集2012〜2015』が発刊されてから5年が経過し,updateされたものを発刊することになりました.充実した問題集をお届けできるようになりましたこと,関係者の皆さまに感謝申し上げます.

 この5年間にもっとも変わったことと言えば,一般社団法人日本専門医機構が認定する専門医の制度が始まったことであろうと思います.2018年に行われた医療法及び医師法の一部改正によって,専門医の育成については厚生労働大臣の意見を聞くことが必須となり,厚生労働省医道審議会医師分科会医師臨床研修部会の関与が大きくなってきていることは皆さまもご存知のことでしょう.そのなかで,遅れがちになりながらも一階部分である外科専門医制度は現在4年目を走っており,昨年の春には第一期生(2016年医学部卒業者)が外科専門研修を終えるところまで進んでいます.一方ではサブスペシャルティ専門医は連動研修などの問題で紆余曲折ありましたが,内科8領域,外科5領域,放射線科2領域の合計15領域に連動研修を認める形で,本年の4月から正式にスタートすることになりました.

 心臓血管外科領域専門医制度は,連動研修可能なサブスペシャルティの一つとして認められてはいますが,いくつかの点で日本専門医機構から制限がかかっています.例えば研修年限について,従来は3年以上としておりましたが,最長年限も切るように指導があり,9年を最長としています.これに伴って専攻医が必要症例を満たすのに時間的な無理がある可能性を危惧して,新規専門医申請に術者症例50例を求める中で,同一症例は一術式に限って20例まで(現行の学会認定では10例まで)カウント可能とする措置をとります.またキャップ制といって,単年でクレジットとしてカウントできるのは必要症例の半分までということになっています.また,試験についても研修修了から5年以内に専門医試験に合格しないと研修実績を含めて全てリセットされるという,専攻医にとっては大変厳しいルールを適用するようにとの指示を受けています.

 サブスペシャルティとしての心臓血管外科領域専門医制度は従来の3学会構成心臓血管外科専門医認定機構認定(いわゆる学会認定)の専門医の時と同じく,カリキュラム制としておりますが,将来的には専門医制度の理想とされるプログラム制に進むべく,今回から施設群を形成していただくようにお願いしております.一施設のみで研修を積む方もおられるでしょうが,出来れば複数の施設で経験を積んで幅広い知識と技量を身につけてもらいたいと考えています.

 今般,新田隆委員長を中心としたコア・カリキュラム委員会で慎重かつ詳細な検討が進められ,心臓血管外科専門医となるに過不足のないコア・カリキュラム改訂となりました.学習の基本は成書による系統的学習と文献等からの情報ですが,本書の中には過去問題を含めて重要な「傾向と対策」が詰まっていますので,専攻医の皆さまがしっかりと力をつけて心臓血管外科専門医試験に臨まれるための重要な道標となると考えています.試験の合格ラインについては概ね80点前後としています.従って,相対評価ではなく,専門医として十分な知識と見識を持つと判断された方には合格判定を出すことになっていますので,安心して学力の獲得に努めてください.

 最後になりましたが,新田隆コア・カリキュラム委員長,および志水秀行試験委員長,松宮護郎副試験委員長をはじめとした試験委員会の先生方,また出版にご尽力くださった事務方の皆さま,出版社の皆さまにも,そのご尽力に対して改めて感謝申し上げます.

2022年2月
3学会構成心臓血管外科専門医認定機構
心臓血管外科領域専門医検討委員会
代表幹事
(川崎医科大学心臓血管外科学教授)
種本和雄



●発刊にあたって

 本問題集は2017年に発刊された『心臓血管外科専門医認定試験過去問題集2012〜2015』の続編で,2016年から2020年までの専門医認定試験で出題された問題が収載されている.前版の過去問題集の発刊に際しては,三澤吉雄コア・カリキュラム委員会前委員長を中心として心臓血管外科専門医試験のためのコア・カリキュラムが作成された.コア・カリキュラムの設定と過去問題集の発刊により,それまでは受験者の臨床経験や自主的学習,あるいは指導者や同僚からの耳学問に頼っていた専門医認定試験対策が,より合理的かつ客観的な教材に基づいて行うことが可能となった.

 今回の続編の編集に先だって,2019年からコア・カリキュラムの改訂作業が行われた.心臓血管外科の総論,虚血性心疾患,弁膜症,先天性心疾患,大血管疾患,末梢血管疾患の各分類を大項目として各項目内をさらに広く網羅するように中項目と小項目に細分類して,それぞれに6桁の分類コードを振った.これにより,問題作成と編集作業において,心臓血管外科の諸問題を重複を避けつつ広く網羅することが合理的に行えるようになった.

 今回の続編では,過去5年間に出題された合計700問から重複あるいは類似問題などを差し引いた問題を掲載した.上述した改訂コア・カリキュラムの中項目はアルファベットで,小項目は数字で表記し,過去に出題のなかった項目も項目名を記載した.専門医試験の受験者にとって,さらに合理的かつ系統的な学習と準備が可能になったものと期待している.問題の掲載は可能な限り出題されたままとしたが,出題後に明らかになった新しい知見やガイドラインの変更に基づいた校正を一部の問題に対して行った.

 委員の先生方には,最新のガイドラインなどを確認してこの校正作業を行っていただいた.この場を借りて深謝申し上げる.試験問題の内容や正答は,新しい知見の出現や治療技術の登場はもちろんのこと,社会情勢の変化によっても変わりうることをご理解いただきたい.

 受験される先生方には,本過去問題集を参考に,単に問題を解くだけでなく正答の根拠となっているエビデンスを教科書あるいは論文で確認することで疾患や治療法の根本的概念を理解するようにしていただきたい.専門医試験に合格することがもちろん一番の目的であるが,試験の準備を通して,心臓血管外科の日常臨床の現場で行われている手術適応や治療方針の判断などが,これまでに蓄積された臨床経験の客観的分析や基礎実験に基づいた科学的エビデンスに立脚したものであることを再認識していただきたい.また,このエビデンスも時代の変化や新しい治療法の出現により変化しうることもご理解いただき,専門医取得後も臨床研鑽をさらに積み重ねるとともに常に新しい知識を取り入れる努力を継続していただきたい.

 最後に,各分野の委員の先生方には,毎年の作問と編集作業から本過去問題集の編集に至るまで長時間にわたる大変な作業をご担当いただきました.重ねて厚く御礼申し上げます.

2022年2月
心臓血管外科専門医認定機構コア・カリキュラム委員会
委員長
(日本医科大学名誉教授)
新田 隆

 今回発刊された『心臓血管外科専門医認定試験過去問題集2016〜2020』は,2012〜2015年版の続刊である.前版から5年が経過し,心臓血管外科領域の専門医制度がサブスペシャリティとしてスタートした.そして,本年12月には2016年度医学部卒業生が卒後臨床研修を終え,3年間の外科専門医研修と2年間の連動型の心臓血管外科修練を選択した場合,最初の心臓血管外科専門医認定試験が行われることになる.
 サブスペシャリティとしての心臓血管外科修練は3年以上,最長9年という制限があり,さらに心臓血管外科専門医認定試験についても修練終了から5年以内に合格しなければならない規則となってる.また,今後の心臓血管外科専門医制度は修練施設群の中でのカリキュラム制に移ることになる.本書は,3学会構成心臓血管外科認定機構代表幹事・種本和雄先生監修のもと,コア・カリキュラム委員会委員長・新田隆先生をはじめ,多くのコア・カリキュラム委員の先生方のご尽力により,受験者が改定コア・カリキュラムに沿って合理的かつ系統的に学習しやすい内容に大きく改訂されている.
 本書には,過去5年間に出題された合計700問の中から,総論からなる必修問題(109題)と,虚血性心疾患(64題),弁膜症(68題),先天性心疾患(70題),大血管疾患(66題),末梢血管疾患(104題)からなる選択問題の,計481題掲載されている.そして,これらの問題は改定コア・カリキュラムの項目順に載っているため,受験者にとってたいへんみやすく学習しやすくなっている.専門医試験の問題数は全100問であり,必修問題を30問,選択問題を110問中70問解くことになる.2022年心臓血管外科専門医認定試験委員会からのお知らせによると,試験問題は過去問題集の内容に準じて作成された問題が一部出題されるとなっており,合格ラインは80点以上が目安とのことである.必修問題は専攻分野に関係なく心臓血管外科医の基本的知識を問うもので,どの医師も80%程度を正答するレベルとされている.選択問題は選択一般問題と選択臨床問題で構成され,臨床経験から得られた専門的知識・臨床判断力・問題解決力を問う問題とされ,専門医として習得していることが望ましいレベルとされている.
 本書は試験対策としての目的だけではなく,系統的に心臓血管外科学のさまざまな領域の基礎的知識を理解するために有用であり,問題にかかわる周辺知識やエビデンスを教科書やガイドラインなどで掘り下げて学習することで,自己研鑽に大きく役立つと思われる.*印がついた問題については,3学会構成心臓血管外科専門医認定機構のホームページで解説を公開している.前版も併せて勉強される先生もおられると思うが,本書と類似あるいは同一の問題が含まれていることにお気づきになると思う.これらの問題は,重要な知識に関する問題が再出題されているということと,本書の発刊にあたって校正段階で出題後に明らかになった新しい知見やガイドラインの変更に基づいた校正が一部の問題に加えられており,コア・カリキュラム委員会の試験委員の先生方のご尽力をうかがうことができる.
 最後に,本書は受験される先生方にとって,あくまで心臓血管外科医としての通過点である専門医試験合格という目標の達成に大きな味方となるだけではなく,専門医取得後の先生方や指導医の先生方にとっても修練医教育の場で大きく役立つことを確信している.

胸部外科75巻12号(2022年11月号)より転載
評者●弘前大学胸部心臓血管外科教授・皆川正仁

9784524234097