日本肝臓学会肝臓専門医認定試験問題・解答と解説 第6集
監修 | : 日本肝臓学会 |
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ISBN | : 978-4-524-23407-3 |
発行年月 | : 2022年6月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 156 |
在庫
定価6,050円(本体5,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
日本肝臓学会の監修により,肝臓専門医認定試験の過去問題とその解答・解説をまとめた第6集.問題は日本肝臓学会誌『肝臓』に2019〜2021年掲載のものから105題を収載した.第6集では,第5集に続き,疾患ごとに関連した知識が学びやすいような章立てとした.専門医認定試験対策だけではなく,肝臓診療に必須の知識を再確認できる一冊.
1 代謝・生化学
1.肝構成細胞
2.胆汁酸@
3.胆汁酸A
4.胆汁酸B
5.肝代謝@
6.肝代謝A
7.肝細胞代謝
8.エネルギー代謝
9.アミノ酸代謝
10.アルコール代謝@
11.アルコール代謝A
12.アルコール代謝B
13.ビリルビン代謝@
14.ビリルビン代謝A
15.鉄代謝
16.凝固因子
17.血清マーカー
18.PIVKA-U
2 肝炎ウイルス・肝炎
1.B型肝炎
2.HBV再活性化@
3.HBV再活性化A
4.HBV再活性化B
5.HBVワクチン@
6.HBVワクチンA
7.母子感染
8.サイトメガロウイルス肝炎
9.ウイルス性肝障害
10.非ウイルス性肝炎@
11.非ウイルス性肝炎A
12.NAFLD
3 薬物性肝障害
1.薬物性肝障害@
2.薬物性肝障害A
3.薬物性肝障害B
4 急性肝不全
1.肝不全
2.劇症肝炎
3.急性肝不全@
4.急性肝不全A
5.急性肝不全B
5 自己免疫性肝疾患
1.原発性胆汁性胆管炎@
2.原発性胆汁性胆管炎A
3.原発性胆汁性胆管炎,原発性硬化性胆管炎
4.オーバーラップ症候群
6 代謝性・遺伝性肝疾患
1.体質性黄疸
2.アルコール性肝障害@
3.アルコール性肝障害A
4.神経症状
5.ヘモクロマトーシス
6.遺伝性肝障害
7.小児肝疾患@
8.小児肝疾患A
9.糖原病
7 肝硬変と合併症
1.肝硬変合併症@
2.肝硬変合併症A
3.腹水
8 門脈圧亢進症
1.門脈圧亢進
2.門脈圧上昇
3.食道静脈瘤
9 肝腫瘍(肝癌以外)
1.肝腫瘍@
2.肝腫瘍A
3.肝腫瘍B
10 肝臓外科
1.肝臓外科@
2.肝臓外科A
3.肝臓外科B
4.肝切除@
5.肝切除A
6.肝切除B
7.肝外傷
11 肝移植
1.肝移植@
2.肝移植A
3.肝移植B
4.肝移植C
5.肝移植D
12 胆石,胆嚢・胆道疾患
1.胆道疾患@
2.胆道疾患A
3.胆道疾患B
4.胆道疾患C
5.急性胆嚢炎
6.急性胆管炎
7.胆管癌
8.原発性硬化性胆管炎
13 感染症
1.肝感染症@
2.肝感染症A
3.肝結核
4.肝膿瘍@
5.肝膿瘍A
6.肝単包虫症
14 画像
1.超音波検査@
2.超音波検査A
3.超音波検査B
4.MRI検査@
5.MRI検査A
6.MRI検査B
7.肝腫瘍@
8.肝腫瘍A
9.肝腫瘍B
10.肝腫瘍C
11.非腫瘍性疾患
15 病理
1.肝病理@
2.肝病理A
3.肝構造
4.肝解剖
5.肝組織像
6.免疫染色
7.自己免疫性肝炎
8.肝血管筋脂肪腫
専門医制度はこの数年で大きく変わりました.これまでの各学会による学会認定医制度から,日本専門医機構による機構認定医制度へ移行作業が順次進められています.消化器領域では,数多くの専門医のうち,消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会の3学会が機構認定医として認められています.即ち,若い先生方にとっても将来専攻医指導を行う上で肝臓学会の機構認定医を取得しておくことは非常に重要になってくると思われます.
日本肝臓学会の専門医制度は1988年に発足し,1993年に第1回の専門医認定試験が行われ,その後回数を重ね現在7,000名以上の肝臓専門医が全国の医療機関などにおいて診療および指導にあたっています.『日本肝臓学会肝臓専門医認定試験問題・解答と解説』は2004年の第1集からすでに第5集まで発行されており,今回第6集が3年ぶりに刊行されることになりました.本問題集は日本肝臓学会専門医認定試験に出題されたものから,雑誌『肝臓』に解答・解説と共に掲載された問題を中心に,時代の変化にあわせた良問がカテゴリー別にまとめられています.
前回の第5集の発行から数年間で肝疾患診療は大きな変化を遂げました.C型肝炎ウイルスに対しては非代償性肝硬変に対してもDAA製剤が認可され,臨床的有用性が示されつつあります.B型肝炎に関しても副作用対策を考慮するなど様々な核酸アナログが上市されています.肝癌に対しては,免疫チェックポイント阻害薬が使用可能となり,複数の分子標的治療薬と共に治療の選択肢が広がっています.一方で,これまでの薬剤とは異なる有害事象も生じることから患者さんの背景など様々なことを考えながら各種薬剤を使いこなすことが要求されています.また外科的治療やインターベンショナルラジオロジー(IVR)に関しても分子標的治療薬との集学的治療など様々な領域で大きく進歩しています.さらに,最近増加している非B非C肝疾患のうち,最大の要因であるアルコール性肝疾患に対する減酒療法など新しい概念を知っておく必要があり,今後の日常診療において肝臓専門医が果たす役割はますます大きくなってくるものと思われます.
本問題集は肝疾患に対する専門的な判断が要求される状況において,肝臓専門医としての必要な知識を学べると共に,肝臓病学の系統的な理解を助けるように構成されています.肝臓専門医認定試験の受験対策だけでなく,すでに専門医を有している先生方にも最新の知識を整理するために役に立つ一冊であると考えます.
本問題集の試験問題作成とその解答・解説にご協力頂きました先生方に深く感謝すると共に,本書がこれまでの第5集までと同様に広く多くの先生にご利用頂けることを願っています.
2022年5月
日本肝臓学会肝臓専門医制度審議会・肝臓専門医試験委員会委員長
吉治仁志
選び抜かれた良問を問題作成者自身が解説した,専攻医必読の書
読者の皆様もご存じのように,日本専門医機構と各学会との連携協力により,内科,外科などの基本領域に続き2022年度よりサブスペシャルティ領域の専攻医研修が開始された.消化器系専門医においては,肝臓領域は消化器内視鏡領域とともに,消化器内科領域の補完領域という位置づけになり,消化器内科専門医を取得した後に肝臓専門医に向けての研修が開始するという制度になっている.
このような専門医制度の大きな変革期においてタイムリーに,南江堂より『日本肝臓学会肝臓専門医認定試験問題・解答と解説 第6集』が上梓された.毎年秋に行われる肝臓専門医認定試験に出題された問題から,教育的見地で選ばれたものが日本肝臓学会機関誌「肝臓」に解答と解説つきで掲載されているが,本書ではさらにそのなかから疾病構造の変化や時代のニーズに沿った形で選び抜かれた良問がカテゴリー別に掲載されている.解答と解説も問題作成者自身が担当していることで,問題作成の意図や問題の重要性が読者に理解しやすい形となっている.肝臓専門医を目指す専攻医にとって,試験準備だけではなく,研修中に修得した知識や経験を確認するのにも本書は最適である.
今回の刊行までに第5集より3年の年月が経過している.第4集,第5集ではC型肝炎ウイルスがクローズアップされていたが,本書では肝疾患・胆道疾患の病態,診断法,治療法と全般にわたって問題が掲載されている.隔世の感があるが,そこには肝疾患や胆道疾患に関する学問や医療の今後の方向性を垣間みることができる.
一方,同じく南江堂より2020年11月に上梓された『肝臓専門医テキスト 改訂第3版』は,肝臓専門医を目指す若い先生方の教科書として日本肝臓学会が編集したものであり,肝臓・胆道の基本的事項である解剖,機能から,肝疾患・胆道疾患の病態生理,診断法,治療法までの最新情報が解説されている.また,『日本肝臓学会肝臓専門医認定試験問題・解答と解説 第6集』のカテゴリーにはない「行政と肝疾患診療」の章では,肝炎医療費助成制度をはじめとして肝臓専門医が果たすべき社会的な役割が紹介されている.そのため,『日本肝臓学会肝臓専門医認定試験問題・解答と解説 第6集』に掲載している問題や解説をさらに深く理解するうえで,また内容を補完する意味でも,『肝臓専門医テキスト 改訂第3版』は有用な成書である.
近年,疾病構造の中心がウイルス性肝疾患から生活習慣に関連する肝疾患にシフトしつつあるが,肝臓専門医への社会からのニーズ,期待度は今後もますます高くなることが予想される.一人でも多くの若い先生方が肝臓専門医の資格を取得し,より専門性の高い肝疾患診療を担っていただくことを願っている.
本書は,肝臓専門医を目指す専攻医,専攻医を教育する指導医に加え,肝臓専門医,さらには肝臓非専門医の先生方にもおすすめできる一冊である.『肝臓専門医テキスト 改訂第3版』と併せてお読みいただき,肝臓専門医資格の取得のみならず,日常の肝疾患診療にもお役立ていただくことを期待している.
臨床雑誌内科131巻1号(2023年1月号)より転載
評者●大阪中央病院 特別顧問,日本肝臓学会肝臓専門医制度審議会・肝臓専門医試験委員会 前委員長 佐々木 裕