教科書

老年看護学技術改訂第4版

最後までその人らしく生きることを支援する

編集 : 真田弘美/正木治恵
ISBN : 978-4-524-23317-5
発行年月 : 2023年3月
判型 : B5
ページ数 : 512

在庫あり

定価3,740円(本体3,400円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

高齢者への看護実践に必要な解剖・病態生理や加齢変化,高齢者に特徴的な老年症候群の知識と,それらが高齢者の生活に及ぼす影響をふまえたアセスメント・介入・評価を解説.また,代表的な疾患の事例を通して,治療や健康レベルに応じた看護技術の展開を具体的に提示.今改訂では,今後ますます重要になる高齢者の「自立・自律」「セルフケア」の支援に欠かせないウェルネスの視点を一層充実させた.

目 次
第T章現代の高齢者とその理解
 1 高齢者の理解
  A.高齢者の発達的特徴
  B.高齢者と環境
  C.高齢者の健康
 2 高齢者の看護
  A.老年看護の理論と原則
  B.老年看護の特徴
  C.老年看護の目標
  D.老年看護を構成する要素
  E.老年看護の技術

第U章老年看護の基本技術-ヘルスアセスメント
 1 ヘルスアセスメントとは
  A.老年看護におけるヘルスアセスメントの意義
  B.高齢者の示す症状の特徴
 2 ヘルスアセスメントの実際
  A.高齢者への面接の進め方
  B.面接の構造と老年看護におけるポイント
  C.身体所見のとり方と老年看護におけるポイント
  D.看護問題の確定と看護計画の立案
  E.高齢者総合機能評価

第V章高 齢者の生活と看護-加齢変化とフィジカルアセスメントの技術
 1 呼 吸
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 2 循 環
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 3 食 事 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 4 排 泄 
 4-1 排 尿
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 4-2 排 便
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 5 動作と移動  
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 6 睡 眠 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 7 体 温 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 8 清 潔
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 9 コミュニケーション
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
 10 性 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開

第W章高齢者に特徴的な症状と看護  老年症候群
 1 起立・歩行障害 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習@)
 2 感覚機能障害 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習A)
 3 摂食・嚥下障害
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習B)
 4 脱 水  松本佐知子
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習C)
 5 低栄養
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習D)
 6 皮膚瘙痒感 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習E)
 7 痛 み 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習F)
 8 褥 瘡 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習G)
 9 尿失禁 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習H)
 10 便秘・下痢  
 10-1 便 秘
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
 10-2 下 痢
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習I)
 11 不 眠 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習J・K)
 12 う つ 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習L)
 13 寝たきり
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習M)
 14 せん妄
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習N)
 15 転 倒 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習O)
 16 骨 折 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習P)
 17 感染症 
  A.基礎知識
  B.看護実践の展開―予防と治療
  C.実践におけるクリティカル・シンキング(演習Q)

第X章高齢者に特徴的な疾患と看護  事例による展開
 1 急性期の看護(胃がん) 
  事例1  Aさん(80歳,男性)
  A.胃がんとは
  B.胃がん術後(周手術期)の急性期の看護
 2 リハビリテーション看護(大腿骨頸部骨折) 
  事例2  Bさん(80歳,女性)
  A.大腿骨頸部骨折とは
  B.大腿骨頸部骨折のリハビリテーション看護
 3 慢性期の看護(慢性閉塞性肺疾患)
  事例3  Cさん(71歳,男性)
  A.慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
  B.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の看護
 4 慢性期の看護(慢性心不全)
  事例4  Dさん(80歳,男性)
  A.慢性心不全とは
  B.慢性心不全の看護
 5  認知機能障害の看護(アルツハイマー病) 
  事例5  Eさん(80歳,女性)
  A.アルツハイマー病とは
  B.アルツハイマー病の看護
 6  緩和ケア(大腸がん)
  事例6  Fさん(75歳,男性)
  A.大腸がんとは
  B.進行・終末期大腸がんの緩和ケア
 7 パーキンソン病の看護
  事例7  Gさん(72歳,男性)
  A.パーキンソン病とは
  B.パーキンソン病の看護
 8 薬物療法を受ける高齢者の看護
  事例8  Hさん(87歳,男性)
  A.病態と治療 
  B.薬物療法を受ける高齢者への看護
  事例9  Iさん(77歳,男性)
  C.病態と治療
  D.薬物療法を受ける高齢者への看護

第Y章老年看護技術の新たな動向と課題
 1 感染症をめぐる新たな動向と課題
  A.新興・再興感染症と老年看護のあり方
  B.新型インフルエンザとパンデミックに対する老年看護のあり方
 2  老年看護の将来に向けた看護技術の動向  
  A.ブロッティング技術の応用
  B.ロボティックマットレス

付録 評価スケール・アセスメントツール
付録1 バーセルインデックス(Barthel Index)
付録2 IADL尺度
付録3 老研式活動能力指標
付録4 FIM(機能的自立度評価表)
付録5 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準
付録6 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
付録7 HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)
付録8 FAST(Functional Assessment Staging)
付録9 NRS(数字評価尺度)
付録10 VAS(視覚アナログ尺度)
付録11 フェイス・スケール
付録12 日本語版アビー(Abbey)痛みスケール(APS-J)
付録13 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)
付録14 GDS-15
付録15 日本語版GDS-5

 前回の改訂から3 年が経過した. この間に起きた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行は,人々の生活を激変させた.とくに高齢者は,感染による健康への影響にとどまらず,自粛生活に起因する,運動不足による身体機能の低下や人と会う機会が減ることによる記憶力の低下,さらには生きがいの喪失に至るまで大きな影響を受けている.また,医療の在り方も変化を余儀なくされた.とくに遠隔医療をはじめ,AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)等のICT(情報通信技術)の重要性が注目されるようになった.
 本書は2011 年に刊行されて以来,解剖・病態生理から学び,根拠に基づいて示した看護実践,新しく開発された看護技術の実装という点を大切にしてきた.このようなコンセプトが,学生にとって,変わりゆく社会のニーズに適用し,最適な看護技術を提供できる基礎力を修得する一助となることを願っている.
 今回の改訂ではウェルネス,自立(自律),セルフケアの視点をいっそう大切にした.フレイルの概念は可逆的で,良い状態を維持しようという考えに基づいており,本人の努力やケアで健康を取り戻すことができることを意味する.これからの老年看護は,自立・自律に向けた支援,在宅で生きていくための支援,セルフケア(セルフマネジメント)支援がますます重要になるといえよう.
 また,看護師国家試験出題基準を踏まえ,第V章「高齢者の生活と看護—加齢変化とフィジカルアセスメントの技術」では「循環」の節,および「清潔」の節内に「衣生活」の視点を,第X章「高齢者に特徴的な疾患と看護—事例による展開」では「慢性心不全」の節を追加した.さらに,各種データや厚生労働省等の指針,各学会のガイドラインの更新を反映した.
 最後に,本書の企画にご賛同いただいた執筆者の方々,改訂にご尽力いただいた南江堂の皆様に心から感謝を申し上げるとともに,本書を通して,高齢者の自己実現の大切さがより多くの学生に伝わり,誰もが幸せに老いることができる社会の実現に寄与できれば幸いである.

2023年1 月
真田弘美
正木治恵

9784524233175