看護学テキストNiCE
成人看護学 急性期看護II クリティカルケア改訂第4版
編集 | : 佐藤まゆみ/林直子 |
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ISBN | : 978-4-524-23288-8 |
発行年月 | : 2023年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 408 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
ICUや救急外来における看護を解説したテキストの改訂第4版.主要な急性症状・緊急度の高い疾患について、11の事例を通して,患者の受け入れ時の看護、ICU移送までの看護、ICUにおける看護を,実際の診療の流れに沿って解説.今版では、ICUや救急外来における生命の危機状態にある患者の看護をクリティカルケアとしてとらえ直して再編.アセスメントや臨床判断の解説がさらに充実した.
目 次
第1部 クリティカルケアとは
第T章 クリティカルケアとは何か
1 クリティカルケア/クリティカルケア看護の歴史
2 クリティカルケア看護とは
A.クリティカルケア看護の定義
B.クリティカルケア看護と関連諸領域の看護との関係
C.クリティカルケア看護の場
第U章 集中治療の現状
1 集中治療の歴史と動向
A.集中治療の成り立ち
B.集中治療の質の向上のための取り組み
C.集中治療における看護の専門性
2 集中治療の種類と場の特徴
A.集中治療の種類
B.集中治療の場の特徴
3 多職種連携によるチーム医療
A.関連する職種
B.多職種チーム
第V章 救急医療の現状
1 救急医療の歴史と動向
A.日本における救急医療対策の始まり
B.救命率の向上に向けた取り組み
2 救急医療体制
A.救急医療施設
B.救急搬送
C.救急情報
3 プレホスピタルケア
A.プレホスピタルケアとは
B.救命の連鎖
C.プレホスピタルケアにおいて市民(バイスタンダー)が担う役割
D.救急救命士制度とプレホスピタルケア
4 救急医療と関連法令
A.救急医療に関する法令の意義
B.専門職に関する法令
C.施設とシステムに関する法令
D.費用に関する法令
E.緊急時の専門職間の連携
F.救急医療にあたって注意すべき法的考え方の基本
第W章 集中治療・救急医療における倫理
1 集中治療・救急医療における倫理
A.医療倫理概説
B.集中治療・救急医療における倫理と看護師の役割:意思決定場面を中心に
第2部 クリティカルケアの実際
第X章 ICU・救急外来で治療を受ける患者と家族の特徴
1 ICU入室患者と家族の特徴
A.ICU入室患者とは
B.患者の身体的特徴
C.患者の心理的特徴
D.家族の特徴
2 救急外来受診患者と家族の特徴
A.救急医療を必要とする患者とは
B.患者の身体的特徴
C.患者の心理的特徴
D.家族の特徴
第Y章 ICUにおける看護
1 ICU入室患者に対するアセスメント
A.情報収集の手段
B.アセスメントの方法
C.緊急度・重症度のアセスメント
2 ICU入室患者に対する看護の実際
A.呼吸機能の維持
B.循環機能の維持
C.苦痛の緩和
D.せん妄と看護
E.急性期のリハビリテーション
F.栄養管理
G.体温管理
H.清潔の保持
I.排泄の援助
J.ICU環境の調整
K.事故防止
L.感染対策
M.心理・精神的支援
N.人間性の尊重
3 ICU入室患者の家族に対する看護
A.情報提供と情緒的支援
B.患者のそばですごすことを支援する
C.終末期におけるケア
第Z章 救急外来における看護
1 救急患者に対するアセスメント
A.アセスメントの基本
B.情報収集の手段
C.情報収集・アセスメントの実際
2 救急患者に対する看護の実際
A.患者の受け入れ準備
B.感染対策
C.受け入れ時の対応
D.身体的援助
E.心理的援助
F.救急外来から関連部署への看護の継続
G.帰宅する患者への教育的支援
3 救急患者の家族に対する看護
A.家族の看護援助
第[章 急変した入院患者への看護
1 急変した入院患者への看護
A.急変した入院患者への対応
B.急変の対応に必要な物品の整備と教育
C.SBARによる報告
D.緊急の報告が必要な病態
E.院内の急変体制
第\章 救命救急処置―心肺蘇生と生命維持
1 救命救急処置―心肺蘇生と生命維持
A.心肺蘇生と救命処置
B.一次・二次およびその他の救命処置
第]章 クリティカルケアにおけるターミナルケア/エンドオブライフケア
1 クリティカルケアにおけるターミナルケア/エンドオブライフケア
A.クリティカルケアにおけるターミナルケア/エンドオブライフケアとその特徴
B.ターミナルケア/エンドオブライフケアで見られる患者・家族らの様態
C.患者・家族らへのターミナルケア/エンドオブライフケア
D.ターミナルケア/エンドオブライフケアにおける看護師の役割と倫理的姿勢
第Ⅺ章 脳死状態に陥った患者と臓器移植
1 脳死状態に陥った患者と臓器移植
A.脳死および脳死判定とは
B.脳死下臓器提供の概要
C.脳死下臓器提供における家族の思い
D.脳死下臓器提供における看護師の役割
第Ⅻ章 事例で考えるクリティカルケア
バイタルサイン・各種検査 基準値一覧
1 激しい胸痛―急性心筋梗塞
事例の概要❶ 救急隊からの情報
A.胸痛の病態・診断・治療
B.胸痛を訴える患者への看護
事例の概要❷ 診断 急性心筋梗塞
C.急性心筋梗塞の病態・診断・治療
D.急性心筋梗塞患者に対する救急外来での看護
E.ICUにおける看護
コラム 心臓リハビリテーション
2 激しい頭痛―くも膜下出血
事例の概要❶ 救急隊からの情報
A.頭痛の病態・診断・治療
B.頭痛を訴える患者への看護
事例の概要❷ 診断 くも膜下出血
C.くも膜下出血の病態・診断・治療
D.くも膜下出血患者に対する救急外来での看護
E.ICUにおける看護
3 呼吸困難―気管支喘息
事例の概要❶ 救急外来受診時の情報
A.呼吸困難の病態・診断・治療
B.呼吸困難を訴える患者への看護
事例の概要❷ 診断 気管支喘息
C.気管支喘息の病態・診断・治療
事例の概要❸入院から急変時までの様子
D.気管支喘息患者の急性増悪からICU入室までの看護
E.ICUにおける看護
4 急性腹症@―急性大動脈解離
事例の概要❶ 救急隊からの情報
A.腹痛の病態・診断・治療
B.腹痛を訴える患者への看護
事例の概要❷ 診断 急性大動脈解離
C.急性大動脈解離の病態・診断・治療
D.急性大動脈解離患者に対する救急外来での看護
E.ICUにおける看護
5 急性腹症A―尿路結石
事例の概要❶ 救急外来受診時の情報
A.腹痛の病態・診断・治療
B.腹痛を訴える患者への看護
事例の概要❷ 診断 尿路結石
C.尿路結石の病態・診断・治療
D.尿路結石患者に対する救急外来での看護
E.救急外来から帰宅する患者に対する看護
6 意識障害―低血糖
事例の概要❶ 救急隊からの情報
A.意識障害の病態・診断・治療
B.意識障害のある患者への看護
事例の概要❷ 診断 低血糖
C.低血糖の病態・診断・治療
D.低血糖状態にある患者に対する救急外来での看護
E.救急外来から帰宅する患者に対する看護
7 ショック―アナフィラキシー
事例の概要❶ 救急隊からの情報
A.ショックの病態・診断・治療
B.ショック状態にある患者への看護
事例の概要❷ 診断 アナフィラキシーショック
C.アナフィラキシーショックを起こした患者に対する救急外来での看護
D.入院後に帰宅する患者に対する看護
8 体温異常―熱中症
事例の概要❶ 救急隊からの情報
A.体温異常の病態・診断・治療
B.体温異常が疑われる患者への看護
事例の概要❷ 診断 熱中症
C.熱中症の病態・診断・治療
D.熱中症患者に対する救急外来での看護
E.ICUにおける看護
9 外傷―胸部外傷
事例の概要❶ 救急隊からの情報
A.外傷の病態・診断・治療
B.外傷のある患者への看護
事例の概要❷ 診断 胸部外傷(肺挫傷,血気胸,フレイルチェスト)
C.胸部外傷の病態・治療
D.胸部外傷患者に対する救急外来での看護
E.ICUにおける看護
10 熱傷―広範囲熱傷
事例の概要❶ 救急隊からの情報
A.熱傷の病態・診断・治療
コラム 重症熱傷患者に対する多面的ケアの必要性
B.熱傷のある患者への看護
事例の概要❷ 診断 広範囲熱傷
C.広範囲熱傷患者における救急外来での看護
D.ICUにおける看護
11 中毒―睡眠薬中毒
事例の概要❶ 救急隊からの情報
A.中毒の病態・診断・治療
B.中毒が疑われる患者への看護
事例の概要❷ 診断 睡眠薬中毒
C.睡眠薬中毒の病態・診断・治療
D.睡眠薬中毒患者に対する救急外来での看護
E.ICUにおける看護
このたび『看護学テキストNiCE 成人看護学 急性期看護U クリティカルケア(改訂第4 版)』を刊行する運びとなりました.わが国では2020 年初めごろから新型コロナウイルス感染症が問題になり,現在もまだその流行は続いております.この間,人々の命を救う砦として集中治療・救急医療に大きな注目が集まり,患者や家族に寄り添い,医師とともに懸命にケアを行う看護職に大きな期待が寄せられました.高齢化の進展とも相まって,集中治療・救急医療への国民のニーズはますます高まるといえます.看護基礎教育課程にある学生には,こういった医療の変化に対応するための基礎的な知識・技術の習得が求められます.
第4 版は,初版以来の編集方針である「看護基礎教育課程にある学生にとって必要な内容を厳選」「丁寧でわかりやすい記述」「救急外来からICU へなど臨床の実際の流れに即した事例展開」を引き継ぎつつ,内容のさらなる充実を図りました.
まず第3 版から構成を大きく変更しております.本書は救急看護とクリティカルケアが1 つのテキストのなかで学べることが長所ではありますが,本書をご利用いただいている教育機関の皆様から「救急看護とクリティカルケアで,共通の内容で書かれている箇所と,どちらか一方の内容で書かれている箇所があり,初学者にとっては構成がわかりにくい」といった意見をいただきました.そこで,第4 版では救急看護の大部分がクリティカルケアに包含されると考え,書名を「救急看護・クリティカルケア」から「クリティカルケア」に変更するとともに,クリティカルケアを主軸に構成を再編成しました.
具体的には,第1 部に「クリティカルケアとは何か」の章を設け,クリティカルケアの定義やクリティカルケアと救急看護,周手術期看護それぞれとの関係を整理しました.また,第2 部では,ICU 入室患者の「特徴(X章)」「アセスメントと看護の実際(Y章)」,救急患者の「特徴(X章)」「アセスメントと看護の実際(Z章)」と章立てし,それぞれの理解が深まる構成としました.特に,ICU 入室患者にも救急患者にも共通する急性重症患者のアセスメントの内容を「ICU 入室患者のアセスメント」として示し,「救急患者のアセスメント」を救急患者に特化した内容にしぼることで,2 つのアセスメントの特徴を明確にしました.
さらに,「ICU 入室患者に対するアセスメント」「看護の実際」および救急外来での「感染対策」は,新型コロナウイルス感染症流行の影響をうけて内容の充実を求める声も多く,大幅に加筆を行いました.その他,昨今の社会情勢・医療情勢をふまえて「多職種連携によるチーム医療」「ICU における臨床推論・臨床判断」「救急外来における臨床推論」「救急外来から関連部署への看護の継続」の項を新設いたしました.また,好評の第Ⅻ章「事例で考えるクリティカルケア」は,最新の内容になるよう,本書の特長である関連図も含め全体にわたって確認し,改訂しました.第4 版も学生の皆さん,ならびに教員の方々のお役にたてることを願っています.
最後に第Ⅻ章に関して,第2 版,第3 版に引き続き医学監修を行っていただいた自動車事故対策機構千葉療護センターの小林繁樹センター長に心より感謝を申し上げます.
2023 年1 月
佐藤まゆみ
林 直子