病態栄養専門管理栄養士のための病態栄養ガイドブック改訂第7版
編集 | : 日本病態栄養学会 |
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ISBN | : 978-4-524-23244-4 |
発行年月 | : 2022年5月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 416 |
在庫
定価4,290円(本体3,900円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
日本病態栄養学会による「病態栄養専門管理栄養士」認定のための教育セミナー指定テキスト.今改訂では主に2019年以降の新しい病態概念や治療の考え方を提示し,診断基準やガイドラインの記述更新を行った.超高齢社会に突入したわが国の医療環境を栄養管理の面から支える医療スタッフにとって,資格取得・更新および継続的な知識の維持・向上に必携の一冊.
第1章 日本病態栄養学会の高度専門職業人認定とチーム医療
1.病態栄養学の必要性
2.栄養管理の高度専門職業人の役割と責任
3.栄養サポートチーム(NST)の意義・課題と展望
第2章 病態栄養の基礎知識
1.栄養素の代謝と生理機能
2.腸管機能と栄養
3.生体のコントロールシステム―神経・内分泌・免疫―
4.健康食品の効用と問題点―薬物との相互作用を含めて―
第3章 栄養アセスメントと栄養ケアプラン
1.栄養スクリーニング,低栄養と過栄養
2.栄養必要量の算出
3.栄養食事調査
4.身体計測(体組成)の評価
5.身体所見と臨床検査値の見方と栄養管理への活用
6.診療録の読み方・書き方と症例のまとめ方
7.栄養・食事教育の計画・実施と評価―個人と集団―
8.栄養カウンセリング
第4章 栄養補給法
1.治療食と調整食
2.栄養補給法とその選択
@静脈栄養
A経腸栄養
3.ライフステージ別の栄養補給の特徴と問題点
@新生児・低出生体重児
A小児
B高齢者
第5章 病態栄養と栄養療法
1.消化器疾患
@食道・胃・腸疾患
A肝疾患
B胆・膵疾患
2.代謝疾患
@糖尿病
A脂質異常症
B肥満症
C高尿酸血症と痛風
D骨粗鬆症
E先天性代謝異常
3.呼吸器疾患
@慢性閉塞性肺疾患
A誤嚥性肺炎
4.循環器疾患
@高血圧
A動脈硬化
B虚血性心疾患
Cうっ血性心不全
5.腎疾患
@慢性腎臓病と急性腎障害
A保存期慢性腎不全
B腎代替療法
C糸球体腎炎とネフローゼ症候群
D糖尿病性腎症
6.メタボリックシンドローム
7.血液疾患
8.その他の疾患
@内分泌疾患
A摂食障害(神経性食欲不振症,神経性過食症)
B摂食嚥下障害
C食物アレルギー
D褥瘡
Eがん
9.周産期医療
@妊産婦―妊娠高血圧症候群
A妊産婦―糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病
10.集中治療における栄養管理
11.リハビリテーションと栄養
12.地域包括ケアシステムと管理栄養士の役割
13.外科疾患と栄養―周術期の栄養管理―
14.緩和医療と栄養
15.臨床研究・倫理指針
資料
輸液剤と経腸栄養剤
巻頭言
わが国は世界で最も高齢化が進み,国民の健康寿命の延伸が大きな課題となっています.栄養療法はすべての治療の根幹であるため,増加するサルコペニアやフレイルの対策に有益であり,健康寿命の延伸に必要不可欠です.特に栄養療法は費用対効果が非常に優れるため,医療費が続伸するわが国で推進すべき予防・治療法として重要基盤に位置づけられています.そのため各学会の診療ガイドラインでは,疾患と重症化の予防とともにADL の維持・向上に着目した栄養療法の指針が検討されています.しかるに,どの個人やチームでも疾患栄養治療に一定の成果をあげうるとは限りません.そこで本学会では,2002 年より「病態栄養専門管理栄養士」制度を立ち上げ,栄養管理において高度な専門的技能を有する人材育成を行い,これまで4,193 名を輩出しています.病態栄養専門管理栄養士は,生活習慣病をはじめNST の中核的な役割を担い,適切な栄養療法の確立と均てん化の推進など,その活躍の成果が報告されています.2016 年の診療報酬改定では,その成果より22 年ぶりに栄養指導料の増点と対象疾患の拡大をもたらし,これは病態栄養専門管理栄養士の自立
自存のための歴史的な出来事といえます.
今日,医療の高度化と並行して栄養療法もまた激流のごとく深化しています.わが国は高齢化が急速に進行したため,学問の発展が追いつかずに栄養療法に係わる対策が遅れていることが大きな課題です.また,わが国を含むどの先進国でも高齢者に対する栄養推奨量に明確な科学的根拠はなく,疫学をもとに設定されていることも課題です.特に高齢の担がん患者や糖尿病,腎臓病の罹患者は極めて多く,本学会では幅広い疾患栄養治療に対応できる「病態栄養専門管理栄養士」の上位資格として,がん・糖尿病・腎臓病の専門領域に特化した認定を2013 年より開始しています.2022 年診療報酬改定では,外来化学療法に係る栄養管理の充実として,外来栄養食事指導料が認められ,算定要件の専門的な知識を有する管理栄養士として「がん病態栄養専門管理栄養士」が記載されました.これからも最新かつ適切な栄養療法を国民に提供するため,これらの課題に対応できる病態栄養専門管理栄養士の活躍が期待されます.
本書は多領域の疾患における疫学と基礎医学,また科学的根拠に基づいた栄養療法の知識の整理や最新知見を学べるよう集約したベストプラクティスです.後世を担う病態栄養専門管理栄養士の栄養療法バイブルとして活用いただけることを祈念します.
2022 年春
日本病態栄養学会 理事長
清野 裕