看護ケアのための摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに関する診療ガイドライン
監修 | : 公益社団法人 日本看護科学学会 |
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編集 | : 看護ケア開発・標準化委員会 |
ISBN | : 978-4-524-23227-7 |
発行年月 | : 2021年6月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 136 |
在庫
定価2,530円(本体2,300円 + 税)
正誤表
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2022年02月24日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
看護研究成果を臨床実践に還元することを目的に作成された日本看護科学学会による初のガイドライン.Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017に準拠.病院・療養施設・在宅の場で重要な摂食嚥下時の誤嚥,咽頭残留のアセスメントや看護ケアについて,臨床上の疑問をCQ(clinical question)で表し,それぞれのエビデンスと推奨度の強さを提示した.誤嚥性肺炎を予防する標準的な摂食嚥下ケアを導く1冊.
序文
診療ガイドライン概要
1.ガイドライン名
2.目的
3.トピック
4.想定される利用者
5.構成組織
6.組織の各構成メンバーと役割
7.利益相反 (Conflict of Interest:COI)
8.診療ガイドライン作成方法
9.クリニカルクエスチョンと推奨文サマリー
10.用語集
11.診療ガイドラインがカバーする範囲と注意点
12.既存の診療ガイドラインとの関係
13.外部評価の結果と診療ガイドラインへの反映
14.パブリックコメントと診療ガイドラインへの反映
15.資金源
16.監査基準
17.本診療ガイドラインの普及/導入に関して
18.公開後の取り組み
Part 1.摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留の基本的特徴
1.臨床的特徴
2.疫学的特徴
3.摂食嚥下ケアの国際的潮流
4.摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留のアセスメントと看護ケア
5.摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留のアセスメントに基づく看護ケア選択
Part 2.各CQ の推奨文とシステマティックレビュー
1.CQ 1
2.CQ 2
3.CQ 3, CQ 4, CQ 5
4.CQ 6
5.CQ 7
6.CQ 8
7.CQ 9
8.CQ 10
9.一般向けサマリー
付録
1.クリニカルクエスチョンの設定表
2.データベース検索式,エビデンスの評価シート,エビデンスの統合シート
3.診療ガイドライン作成者の利益相反状況に関する一覧表
公益社団法人 日本看護科学学会は,“Nursing Science” の構築と発展を基盤として国内外への社会貢献を行うことを使命としている.2017 年,当時の鎌倉やよい理事長が看護研究成果( エビデンス) を臨床実践に還元する仕組みづくりを構築し,それを所掌する委員会として看護ケア開発・標準化委員会を設立した.初代の委員長には真田弘美が着任し,2019 年から須釜淳子が委員長を引き継いだ.この委員会の主要な活動が,「看護ケアのための摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに関する診療ガイドライン」の作成であった.まず,当学会での診療ガイドラインの対象となるトピックスを検討した結果,基本的な療養生活の支援に焦点化する,つまり,人の生活の基本となる,眠る,食べる,排泄するに関わる看護ケアを標準化することとした.最初に喫緊の課題となっている高齢者の誤嚥に関わる摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに着手した.
この診療ガイドラインは,日本医療研究開発機構( AMED) のMedical Artsの創成に関する研究(外科,がん,看護,リハビリ等の新たな医療技術やソフトウェアの開発) 分野1 医療技術開発に採択され,2016〜2018 年度に実施された「アドバンストな看護技術を導入した在宅・介護施設療養者の摂食嚥下・排便を支える多職種連携システムの構築( 研究開発代表者 真田弘美 東京大学教授)」の成果の一部を,対象となる人々や看護を実践する看護職者に還元する目的で作成されることが前理事会で承認された.AMED で開発された技術は,住み慣れた生活の場で,高齢者が最後まで自立して「食べること」を支えることを目標とした,超音波診断装置あるいは内視鏡を用いた看護アセスメント技術と,ICT( Information and Communication Technology) を用いた遠隔での医師の診断・治療の連携による在宅・介護施設–病院との多職種連携システムである.
本診療ガイドラインは,「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に従い,Part 1( 摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留の基本的特徴),Part 2 (各CQ の推奨文とシステマティックレビュー) の二部構成となっている.「各CQ の推奨文とシステマティックレビュー」のPart 2 は,摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに絞って,AMED で開発された技術と従来から行われていた身体診査技術やスクリーニングテストで構成されている.
さらに,本診療ガイドライン作成は,研究者ネットワークの構築と若手研究者の育成も担っている.診療ガイドライン作成に重要なシステマティックレビュー作業において,当学会の若手会員を積極的に加え,レビュー論文の執筆・投稿支援も行ってきた.そして本診療ガイドライン作成のプロセスをモデルケースとして,既に,失禁や便秘のアセスメントなどの次の診療ガイドラインの作成が始まっている.
診療ガイドラインの作成を通して,看護ケアの標準化が進み,そのエビデンスが現場で使われることにより,科学的な看護ケアが推進されるばかりでなく,新しい技術開発へと繋がり,看護研究がますます推進されることを願ってやまない.
最後に,日本看護科学学会で初の試みとなる診療ガイドライン作成にあたり,ご指導ご支援をいただいた,統括委員会,診療ガイドライン作成グループ,システマティックレビューチームの皆様のご貢献に感謝するとともに,日本看護科学学会 鎌倉やよい前理事長,理事,監事,公表前の段階で査読いただきご助言いただいた関連学会,関係各位,パブリックコメントに意見を寄せていただいた日本看護科学学会会員各位に改めて深謝申し上げる.
そして何よりも本診療ガイドラインが今後の摂食嚥下ケアの発展に貢献できれば幸いである.
2021 年3 月
公益社団法人 日本看護科学学会 理事長 前 看護ケア開発・標準化委員会 委員長
真田 弘美
看護ケア開発・標準化委員会 委員長
須釜 淳子