白内障 七人のサージャン[Web動画付]
編著 | : 鈴木久晴/大内雅之 |
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著 | : 秋元正行/松島博之/柴琢也/西村栄一/飯田嘉彦 |
ISBN | : 978-4-524-23226-0 |
発行年月 | : 2022年6月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 212 |
在庫
定価11,000円(本体10,000円 + 税)
正誤表
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2022年07月26日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
白内障手術のエキスパート7人が,「匠の技」を116本の動画付きで余すことなく伝える.細部のこだわり,難症例への対応,合併症対策におけるオリジナルのアイデアなどを収載し,各サージャンのアプローチの違いを客観的に学べる,臨床で真に役立つ手術書.互いの技,施設の裏話などを実際に議論した「誌上討論会」では,エッセンスが浮き彫りになり,手技への理解をさらに深める.
第1章 基本手技
1.セッティング
〇セッティングの仕方で手術難易度は変わる
〇手術は,手じゃなく上体でやる
〇執刀医は主演かつ,監督,脚本,美術,照明
〇手術しやすい環境を確保する―術前診察から手術は始まっている
〇セッティングから手術は始まっている
〇術前のセッティング
〇術者と患者が楽な姿勢を
2.切開創
〇球体を切っていることを意識せよ
〇切開創が閉じにくいときの必殺技
〇たかが切開,されど切開
〇美しい白内障手術のための基本手技
〇理想の切開創とは
〇耳側角膜切開創作製
〇トンネルの長さを意識して切開する
3.CCC
〇眼球を鑷子で固定して中心と瞳孔縁との距離を意識せよ
〇前囊平面で.各ストロークの鑷子刺入角度がキモ
〇チストトームでの前囊切開―動作は分割,支点・力点・作用点を意識
〇CCCは前囊鑷子を活用
〇CCCの重要性
〇チストトームによるCCC
〇CCCのラインを頭で描く
4.核分割・処理
〇分割は核の線維構造を意識せよ
〇核が回れば,勝ったも同然
〇分割は手段であり目的ではない.横振動と縦振動では戦略が異なる
〇核の硬さを考えて対応する
〇核分割を確実に
〇PEAの設定と破囊を予防する操作
〇ハイドロダイセクションの徹底,時にOVDを活用する
5.皮質吸引
〇一括して皮質は除去
〇I/Aは効率を考えろ
〇I/Aは後囊研磨中心
〇ハンドピースの使い方を理解し,上方吸引針を活用する
〇侮れない皮質吸引
〇皮質吸引チップ
〇連続して効率よく吸引する
6.IOLの選択・挿入
〇IOL挿入後はチップを抜く前にハイドレーションせよ!
〇極小切開からのインジェクター挿入と破囊時の囊内固定のコツ
〇眼内レンズの基本性能は差がなくなってきている.挿入方法にはそれぞれに注意点
〇目的に合った眼内レンズを使いこなす
〇IOLを正しく挿入するために
〇切開創に優しいIOL挿入
〇ワンアクションで挿入できるときはワンアクションで
第2章 難症例・合併症対処
1.小瞳孔・術中虹彩緊張低下症候群
〇補助器具の用意は必須! 迷わず使用せよ!
〇まず頭を整理せよ
2.チン小帯脆弱
〇CTRを活用する
〇前眼部アプローチによるチン小帯脆弱・断裂の対処法
〇リトラクターとOVDを駆使してチン小帯に負荷をかけにくい操作を
3.角膜混濁
〇見えれば怖くない
〇前房内照明を用いた対処法
〇前囊染色と幅広のスリット照明を活用する
4.ホワイトCAT・硬い核
〇1動作ずつ1分割ずつを確実に実施していく
〇前囊染色を活用したCCCとマシン設定の工夫が大切
〇前囊切開を鬼門にしないために
5.角膜内皮脆弱
〇最初に入れたOVDはIOL挿入後まで前房内に残せ!
〇DCC & endophaco ― 一手法における角膜内皮保護テクニック
6.破囊処理
〇見えない敵,硝子体をイメージせよ
〇予防,予習(シミュレーション)が大切.慌てずに冷静に
〇破囊状況に応じて冷静に戦略を立てる
7.術野環境の工夫
〇緊張の強い方,認知症の方への対応はどうするか?
〇身体的な難症例も基本に徹する
〇コラム1:鎮静目的のための点滴(ドルミカム)利用
〇コラム2:deep set eye(奥目)患者への対応・ポイント
〇コラム3:医療機器の警告音は,時に雑音になる
〇コラム4:術中の音楽
第3章 エキスパートが本音で討論〜難症例・合併症の対処について,それぞれの立場から〜
超音波白内障手術は完成された術式であると言われて久しいが,その術式のなかにもそれぞれの教育施設や術者によって様々なバリエーションがあり,学会等で異なる術式を目にすると翌日から自分の手術が劇的に変わることをよく経験する.しかし,これらの多くは,成書や型どおりの教育的講演以外の場,すなわちパーソナルなコミュニケーションで得られることが多い.そこで今回,それぞれ異なる施設で教育を受け,手技にこだわりを持つ7人の白内障サージャンに,白内障手術の基礎から自身の持つコツ,難症例へのこだわりまでを披露していただき,前述のコミュニケーションを再現する書を企画した.
まず第1章では,セッティングから眼内レンズ挿入までの各段階における自身の手技を理論的に,さらにポイントを図と動画を用いて解説する.手術の各プロセスにおいて,7人のサージャンがまったく異なるアプローチをしている部分も無論あるし,一見重複するような内容をそれぞれ違った視点から解説している場面もあり,興味深い仕上がりになっている.すべてを読むことで,各人のこだわりがさらに深く理解できると思われる.
第2章は難症例と合併症の解説にあて,1つの項目につき2〜3人のサージャンが担当した.日常の手術において,しばしば遭遇する難局面をいくつか抜粋し,各サージャンがどのような理由でその術式を選択しているのか,詳細な解説とそのコツを披露している.また,合併症の代表格である後囊破損に関しては,従来の教科書どおりの手法だけでなくオリジナルのアイデアも供覧している.
最後の第3章では7人が一堂に集まり,これらの難症例・合併症例に関して,第2章で解説できなかった内容を補足するとともに,裏技はもちろん,さらにはそれぞれの施設による制約などの裏話も混ぜながらディスカッションを行った.大学病院,総合病院,個人クリニックといった施設環境の違いが,どのように手術の違いとして出るのかまで深く掘り下げた議論である.本音も垣間見られ,成書や講演では得られないエッセンスを含んだ貴重な内容となっている.
7人のサージャン達は,日頃から学会をはじめとした学術活動,さらにはプライベートの時間も共有していることから阿吽の呼吸で編集が進み,「初心者だけでなく,中上級者,特に指導医やクリニックで孤軍奮闘している開業医の先生方にも役立つ」 まさにわれわれが欲しかった,実践的かつユニークな手術書が出来上がった.読者の皆様にも,この息づかいを感じていただきたい.
2022年6月
鈴木 久晴
大内 雅之