教科書

地域リハビリテーション学テキスト改訂第4版

監修 : 細田多穂
編集 : 備酒伸彦/樋口由美/対馬栄輝
ISBN : 978-4-524-23216-1
発行年月 : 2023年2月
判型 : B5
ページ数 : 386

在庫あり

定価4,950円(本体4,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

医療・福祉の観点から地域リハビリテーションについて解説した,高齢者・障害者の生活自立支援に必要な知識・技術を習得するためのテキスト.地域リハビリテーションの現場で求められる知識が充実しているのが特徴.今改訂では,「安全管理」「災害時の理学療法(JRATの活動)」について,また演習・ケーススタディにて「訪問リハビリテーション」「通所リハビリテーション(デイケア)」を新たに盛り込んだ.「理学療法士作業療法士国家試験出題基準令和6年版」に対応.

総 論
 1 地域リハビリテーションの考え方
  A ノーマライゼーションnormalization(等生化)
  B 地域リハビリテーションの定義
  C 理学療法士が担う役割の範囲
  D 時代とともに変わる高齢者リハビリテーションと介護
  E 地域リハビリテーションで求められる考え方と姿勢
  F まとめ
 2 制度の変遷
  A 制度を知ることの意義
  B 制度の変遷
  C まとめ
 3 介護保険サービス概論(介護保険の仕組み)
  A 保険者と被保険者
  B 申請から受給まで
  C 制度の現状と今後
  D 福祉用具と介護保険
 4 地域包括ケアシステムのなかでの理学療法士の役割
  A 人口構造の変化と社会保障への影響
  B 地域包括ケアシステムと地域リハビリテーション
  C 地域リハビリテーションに関連する主な政策の動向
  D 地域リハビリテーションにかかわるリハビリテーション職に期待される役割
  E おわりに
 5 地域支援事業のなかでの理学療法士の役割
  A 地域支援事業創設の背景と見直しの方向性
  B 総合事業の概要と理学療法士の役割
  C 地域ケア会議推進事業の概要と理学療法士の役割
  D 在宅医療・介護連携推進事業の概要と理学療法士の役割
  E おわりに
 6 事業企画に携わる理学療法士
  A 本章の趣旨
  B 企画に携わる理学療法士に求められるもの
  C 具体的事業の実例
  D ケア論が制度論を築く
 7 地域リハビリテーションにおける関連職種の紹介
  A 定義からみた連携の重要性
  B 連携する主な専門家
各 論
 8 安全管理の基礎知識
  A リスク管理の考え方
  B 標準的な感染対策
  C 急変時対応
 9 介護保険サービス下(生活支援場面)での理学療法(士)
 9—1|生活支援にかかわる理学療法士の役割
 9—2|介護老人保健施設
  A 介護老人保健施設の機能
  B 理学療法士の役割,業務
  C 今後の課題
 9—3|介護老人福祉施設(特別養護老人 ホーム)
  A 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の機能
  B 理学療法士の役割,業務
 9—4|訪問リハビリテーション
  A 訪問リハビリテーションの機能
  B 訪問リハビリテーションのサービスの実際
  C 訪問リハビリテーションの目的再考
 9—5|通所リハビリテーション(デイケア)
  A 通所リハビリテーション(デイケア)の機能
  B 理学療法士の役割,業務
  C まとめ
 9—6|通所介護(デイサービス)
  A 通所介護の機能
  B 通所介護における理学療法士の役割,業務
 10 介護予防と健康増進
 10—1|介護予防と健康増進の概念
  A 介護予防
  B 健康増進
 10—2|これまでの介護予防事業のあり方
  A 介護予防事業
 10—3|介護予防・日常生活支援総合事業の実際
  A 介護予防・日常生活支援総合事業について
  B 介護予防の推進と生活支援の充実
 10—4|[事例]兵庫県洲本市の取り組み
  A 洲本市いきいき百歳体操(住民主体の通いの場)
  B 洲本市自立支援型地域ケア個別会議
 10—5|健康増進を目指す取り組み
  A 理学療法士の健康増進へのかかわり
  B 青・壮・中年期について
 11 リハビリテーション介入の効果判定
  A 何をもって効果判定とするか
  B 介入効果を調べる
  C 効果の判定
  D 具体的な効果判定の解釈例
 12 住環境整備
 12—1|福祉用具の導入による生活環境整備
  A 理学療法士養成における生活環境学
  B 生活環境改善の手法
  C 福祉用具導入の視点とポイント
 12—2|生活環境改善に必要な建築用語の知識
 13 障がい者スポーツ
  A 障がい者スポーツとは
  B パラスポーツの大きな特徴「障害区分classification」
  C パラスポーツの紹介
  D パラスポーツと地域リハビリテーション
 14 災害時の理学療法(JRATの活動)
  A JRATとは
  B 災害時の支援活動の実際
 15 対人援助技術
  A 対人援助とは
  B ケースワークとは
  C ケースワークの原則
  D エンパワメント
  E コミュニケーション技法
  F 対人援助における面接技法
  G マッピング技法
 16 認知症
  A 認知症とは
  B 疾患の特徴と治療および対処法
  C 認知症の本人どうしの支え合い(ピアサポート)
  D 家族の介護負担の軽減
  E 地域の協力
 17 精神領域(統合失調症,双極性障害)
  A 精神疾患とは
  B 精神疾患の状態像と治療
  C 精神疾患に対する適切なリハビリテーション
  D 精神疾患における日常生活の障害
  E 精神領域における理学療法の役割
 18 発達障害
  A 発達障害とは
  B 発達障害の特性と二次障害
  C 発達障害の支援―運動療法を中心に
  D 児童発達支援・放課後等デイサービスにおける理学療法士の実際
 19 慢性呼吸不全
  A 慢性呼吸不全とは
  B 疾患の概説
  C 呼吸リハビリテーション
  D 呼吸理学療法
  E 在宅酸素療法(HOT)
  F 在宅人工呼吸療法(HMV)
 20 口腔・嚥下機能低下
  A 嚥下の仕組み
  B 加齢による口腔・嚥下機能の低下
  C 口腔・嚥下機能の評価
  D 口腔・嚥下機能低下に対する理学療法
 21 ターミナルケア
  A ターミナルケアとは
  B 日本人の死因と亡くなる過程
  C がん患者のターミナルケア
  D 非がん患者のターミナルケア
  E リスク管理
  F 在宅ターミナルケアを取り巻く現状と課題演習・ケーススタディ
 22 実際の事例
 22—1|訪問リハビリテーション
  A 事例紹介
  B 本事例への介入
 22—2|通所リハビリテーション(デイケア)
  A 事例紹介
  B 本事例への介入
 22—3|脳卒中
  A 事例紹介
  B 本事例への介入
 22—4|進行性の難病
  A 事例紹介
  B 本事例への介入
 22—5|精神疾患
  A 事例紹介
  B 本事例への介入
 22—6|認知症
  A 事例紹介
  B 本事例への介入
 22—7|重症心身障害
  A 事例紹介
  B 本事例への介入
参考文献
索 引

改訂第4版の序

 私が担当するコミュニケーション論という科目で学生諸君の自己紹介を兼ねたプレゼンテーションを聞く機会がある.彼らがいうメディアが新聞やテレビ・ラジオでないことは知っていたつもりだが,「推し」しかもそれが2.5次元で,そのことが当たり前に共有される情報空間があることは私の概念を飛び越えている.
 「時代とともに変わる地域リハビリテーションのニーズに応える」,「ケアの常識を疑い,今求められるものを創る」と意気込んでいる私にとってこの経験は衝撃的で,ややもすると立ち止まりがちな私の思考を蹴飛ばして目覚めさせてくれる.
 地域リハビリテーションを学び実践するためには,歴史を知り,普遍的な知識や技術を身につけることが欠かせない.ただしそのことに固執した途端,地域リハビリテーションを必要とする個々人の顔や,取り巻く環境の多様性が見えなくなって(見なくなって)しまい,結果的に役に立たないばかりか,ときに人の暮らしに不要な制限を加えることにさえなりかねない.
 生命科学の知識・技術を不可欠としながら,人文科学に根ざした思考を必須とする地域リハビリテーションを学ぶことの奥深さにあらためて思いをいたすところである.
 本書はこの度の改訂にあたり,地域リハビリテーションを推進するために必要な歴史や普遍的な事柄,制度(変更)に基づく実際のサービス提供に関する事柄,個々の対象や環境に対する視点の持ち方などについて丁寧に示すことを心がけた.また,教科書であることから国家試験への対応についてもあらためて検討した.
 これらを受けて今版では,理学療法士の活動が具体化し定着するにいたった「災害時の理学療法」を新たに章立てし,理学療法士作業療法士国家試験出題基準令和6年版に則した「安全管理の基礎知識」を加えた.また,通所・訪問リハビリテーション実習に対応する「通所リハビリテーション(デイケア)」と「訪問リハビリテーション」の項目を加えることとした.
 本書を世に出し改訂を重ねるたびに,ご執筆いただく先生方の教育・研究・実践に対する情熱を実感する.編集者としてその熱量を少しでも多くの方々にお伝えできることを願うばかりである.

   令和4年12月
編者を代表して 備酒 伸彦

9784524232161