看護学テキストNiCE
災害看護改訂第4版
看護の専門知識を統合して実践につなげる
編集 | : 酒井明子/増野園惠 |
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ISBN | : 978-4-524-23165-2 |
発行年月 | : 2023年2月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 408 |
在庫
定価2,970円(本体2,700円 + 税)
正誤表
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2024年01月24日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
災害看護の知識や考え方を学ぶ「総論」と,専門領域別に災害看護の実際を学ぶ「各論」の2部構成が好評のテキスト.今改訂では,全面的なアップデートに加え,災害現場における看護活動を紹介するコラム「現場発」では最新の事例を多数追加し,「各論」に「在宅看護と災害」の項を新設.「感染看護と災害」の項では新型コロナウイルス感染症対策を追加し,巻末付録に「災害看護関連用語集」を新たに収載.いっそう充実した.
目 次
第1部 総 論
第T章 災害および災害看護に関する基礎的知識
1 災害・災害看護の歴史
A .歴史の中で,人々は災害をどのようにとらえたか
B .近代・現代の災害と医療・看護活動
C .世界の災害と看護
D .今後の課題
2 災害・災害看護の定義
A .災害の定義
B .災害看護の定義
3 災害の種類,疾病構造,災害サイクル,災害関連死
A .災害の種類
B .災害種類別の疾病構造
C .災害サイクル
D .災害関連死
4 要配慮者
A .要配慮者とは
B .避難行動要支援者の定義
C .避難行動要支援者への支援
D .在留外国人・訪日外国人への支援
5 災害における連携
A .連携とは
B .災害対応における連携のしくみ
C .災害時の連携における看護職の役割
D .地域住民との連携
第U章 災害発生時の社会の対応やしくみ
1 災害に関する制度――災害対策基本法・災害救助法・防災計画など
A .災害対策基本法および防災行政の基本制度
B .災害の予防に関する法律と制度
C .災害応急対策に関する法律と制度
D .災害救助法
E .災害復旧と復興に関する法律と制度
F .災害時の活動の保険制度
2 災害情報と伝達のしくみ
A .災害情報とは
B .災害医療活動のための情報体制
C .災害時の通信手段
3 災害関係各機関の支援体制
A .日本の災害関係各機関の支援体制
B .海外における災害関係各機関の支援体制
C .災害時の国際協力の実際
4 災害時のボランティア活動
A .ボランティア活動とは―活動前の準備
B .創造力と柔軟性を備えたボランティア活動とは
C .減災サイクルを生みだすボランティア活動とは
D .新たな制度の導入によって期待されるボランティアの増大
E .今後の課題
第V章 災害時の被災者および援助者の心理
1 被災者および援助者が抱えるストレスとその過程
A .災害はストレス事態である
B .被災者と援助者のストレスとその反応
2 被災者および援助者のこころのケア
A .被災者への心理的援助
B .援助者のストレス軽減法
第W章 災害各期における看護活動
1 災害サイクル各期における看護活動
A .超急性期(災害発生〜72時間)
B .急性期(災害発生後72時間〜7日間)
C .亜急性期(災害発生後7日〜1 ヵ月間)
D .慢性期(復旧復興期)(災害発生後1 ヵ月〜3年)
E .静穏期(災害発生後3年〜)
2 避難所・応急仮設住宅・災害公営住宅における看護
A .避難所における看護
B .応急仮設住宅の看護
C .災害公営住宅の看護
第X章 災害時に必要な技術
1 トリアージ
A .トリアージとは
B .具体的なトリアージ方法
C .トリアージタグ
2 治療・搬送
A .治 療
B .搬 送
第Y章 病院における災害看護
1 病院における災害への備え,災害訓練
A .病院における災害への備え
B .災害訓練
2 病院における災害時の初動体制
A .初動のポイント
B .災害対策本部の初動
C .災害対策本部のすべきこと
D .病棟の初動
第Z章 災害看護における倫理・教育・理論
1 災害看護における倫理原則
A .自律尊重の原則
B .無害の原則
C .善行の原則
D .正義の原則
2 災害看護における教育
A .災害看護のために必要な能力
B .看護基礎教育課程における災害看護の教育
C .継続教育,専門教育としての災害看護の教育
D .教育の手法
3 災害看護における理論
A .災害看護における活動理論
B .災害看護における時間論
第2部 各 論
第[章 対象別にみた災害看護の実践
1 地域看護と災害
A .平常時からの災害に対する予防活動
B .予防活動を地域で展開するために看護職に求められる内容
C .地域において展開する災害時の看護活動の特徴と役割
D . 地域の保健活動拠点(市町村,保健所,都道府県(本庁))における災害時の健康支援体制
2 母性看護と災害
A .災害時に遭遇した妊産褥婦と児の心身の状態と健康問題
B .避難生活環境と母子
C .災害に遭遇した妊産褥婦への看護
D .母性看護と災害への備え
E .さまざまなライフステージにある女性への支援
3 小児看護と災害
A .災害が子どもに及ぼす影響と対応
B .災害時の子どもへの対応
C .災害と子どものこころにもたらす影響とケア
D .被災した子どもの家族・養育者への援助
E .復興期・静穏期の子どもにかかわる防災に関する看護活動
F .今後の課題
4 高齢者看護と災害
A .日常生活上の問題と看護
B .健康問題と看護
5 精神看護と災害
A .被災者に起こるこころの問題とそのケア
B .被災者支援をする人へのケア(支援者支援)
C .災害時における精神障がい者のケア
6 慢性看護と災害
A .慢性疾患看護と災害看護のかかわりの特徴
B .災害時の慢性疾患患者への看護のポイント
C .災害時における慢性肺疾患をもつ人への看護
D .災害時における糖尿病をもつ人への看護
E .災害時における慢性腎不全をもつ人への看護
F .災害時におけるがんをもつ人への看護
G .災害時における循環器系障害をもつ人への看護
7 在宅看護と災害
A .在宅療養者の特徴と災害
B .医療依存度の高い在宅療養者への看護
C .在宅療養者を支える事業所における災害時対応
8 感染看護と災害
A .災害レベルの感染症大流行(パンデミック)と危機管理
B .災害と感染症
C .災害時における感染症対策の基本
D .発災後に注意すべき感染症
E .災害における感染看護の実際
日本において看護基礎教育に災害看護が本格的に導入されたのは2009(平成21)年施行のカリキュラム改正においてである.本書は,このカリキュラム改正に対応するテキストとして2008年に初版を出版した.その特長は,災害および災害看護教育の基本的知識を紹介する総論と,看護学の各専門領域での災害看護にかかわる実践を紹介する各論の二部構成となっていることである.災害看護は,災害サイクル全般において,個人,集団,コミュニティ,社会を対象に,災害の及ぼす生命や健康生活への被害を極力小さくし,生活する力を整えられるようにする活動であり,災害にかかわる看護独自の知識や技術を体系的に用いつつ,他の職種と連携・協力することが必要である.『災害看護―看護の専門知識を統合して実践につなげる』という題には,災害看護に必要な素養を培いつつ,同時に現場感覚のある実践力を身につけてもらいたいという本書の発行に携わったすべての関係者の思いが反映されている.
本書は初版以降変わらず,学生にわかりやすい言葉で,そして災害看護に関心のある看護職にも活用してもらえる本づくりを目指してきた.2014年の改訂第2版では,今後予想されている南海トラフ地震や首都直下地震などにも応用できるよう,実践的な学びを深められる「演習問題」を追加した.2018年の改訂第3版では,医療ニーズの高い在宅療養者,心身に障がいをもつ人などの要配慮者に対する災害時のケアや備え,生活支援活動などの内容を充実させた.さらに,看護師国家試験出題基準にも対応できるよう,国家試験を意識した「練習問題」を巻末に収載した.今回の改訂第4版では,避難所運営や仮設住宅などでの被災者の生活再建や地域コミュニティ形成の支援など,中・長期の支援に関する内容を充実させた.さらに,2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて,災害レベルの感染症大流行(パンデミック)と危機管理についても内容を追加した.なお,災害現場の実際を伝えるコラム「現場発」では改訂を重ねるたび,その間生じた災害をふまえて差し替え・追加を行い充実させている.
世界的に甚大な被害をもたらす自然災害が増加しており,新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受けて,国際的にも国内においても災害・健康危機における看護の役割に関心が高まり,期待も大きくなっている.関心と期待の高まりに応えるためにも,学生や看護職が発展していく災害看護を学び,災害看護への関心を持ち続けることに本書が役立つことを期待している.
最後に,本書の改訂にあたっては,災害および災害看護の実践・教育・研究に精通した多くの執筆者の方々にご参画いただいた.お忙しい中ご協力いただいた執筆者の方々に心から感謝申し上げる.
2023年1月
編集者を代表して
増野園惠