教科書

看護学テキストNiCE

地域・在宅看護論U 支援論改訂第3版

暮らしの場における多様な支援を考える

編集 : 石垣和子/上野まり/コ田真由美/辻村真由子
ISBN : 978-4-524-23128-7
発行年月 : 2024年2月
判型 : B5判
ページ数 : 376

在庫あり

定価3,300円(本体3,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

地域・在宅における療養支援を支える看護技術や,疾患・対象に応じた看護を具体的に解説したテキスト.新カリキュラムの「地域・在宅看護論」に対応し,前版『NiCE在宅看護論 改訂第2版』から全面リニューアル して2分冊化. 在宅看護で遭遇する頻度が高い場面や重要な課題について具体的な事例をもとに看護過程を展開.

目 次
第T章 暮らしの場で実践する生活援助・医療処置技術
1 食の支援と栄養の管理
 A.食の支援と栄養の管理の意義・目的
 B.食の支援と栄養の管理を必要とする在宅療養者の特徴
 C.アセスメントの視点
 D.支援・看護技術
  1●栄養状態の把握
  2●食事の支援・援助
  3●嚥下訓練
  4●経管栄養
  5●輸液栄養(経静脈栄養)
 E.多職種連携・協働のポイント
2 排泄の支援・管理
 A.排泄の支援・管理の意義・目的
 B.排泄の支援・管理を必要とする在宅療養者の特徴
 C.排尿障害(下部尿路機能障害)と排便障害の分類
  1●排尿障害(下部尿路機能障害)の分類
  2●排便障害の分類
 D.アセスメントの視点
 E.支援・看護技術
  1●尿閉への支援
  2●尿失禁への支援
  3●便失禁への支援
  4●便秘への支援
  5●排泄補助用具の種類と選択方法
  6●ストーマケア
  7●腹膜透析への支援
 F.多職種連携・協働のポイント
3 清潔・整容の支援
 A.清潔・整容の支援の意義・目的
 B.清潔・整容の支援を必要とする在宅療養者の特徴
 C.アセスメントの視点
 D.支援・看護技術
  1●入浴・シャワー浴
  2●ベッド上での清拭
  3●ベッド上での洗髪
  4●フットケア
  5●整 容
  6●多職種との連携・制度の活用
 E.多職種連携・協働のポイント
4 移動・活動と休息の支援
 A.移動・活動と休息の支援の意義・目的
 B.移動・活動と休息の支援を必要とする在宅療養者の特徴
 C.アセスメントの視点
 D.支援・看護技術
  1●移動補助用具の種類と選択方法
  2●家庭内生活における移動動作改善のための環境整備の支援
  3●移動動作の自立・維持のための機能訓練
  4●移動時の安全の確保
 E.多職種連携・協働のポイント
5 受診・服薬の支援
 A.受診・服薬の支援の意義・目的
 B.受診・服薬の支援を必要とする在宅療養者の特徴
 C.アセスメントの視点
 D.支援・看護技術
  1●自己注射の指導・支援
  2●通院・療養の指導・支援
  3●服薬の指導・支援
 E.多職種連携・協働のポイント
6 呼吸の管理
 A.呼吸の支援の意義・目的
 B.呼吸の支援を必要とする在宅療養者の特徴
 C.アセスメントの視点
 D.支援・看護技術
  1●在宅酸素療法
  2●在宅人工呼吸療法
  3●呼吸リハビリテーション
  4●排痰ケア
 E.多職種連携・協働のポイント
7 循環の管理
 A.循環の管理の意義・目的
 B.循環の管理を必要とする在宅療養者の特徴
 C.アセスメントの視点
 D.支援・看護技術
  1●心不全
  2●脳血管疾患
  3●慢性腎臓病(CKD)
 E.多職種連携・協働のポイント
8 皮膚・創傷の管理
 A.皮膚・創傷の管理の意義・目的
 B.皮膚・創傷の管理を必要とする在宅療養者の特徴
 C.アセスメントの視点
 D.支援・看護技術
  1●褥瘡の予防方法
  2●褥瘡発生後のケア
  3●スキン-テアのケア
 E.多職種連携・協働のポイント
9 疼痛管理  平野和恵
 A.疼痛管理の意義・目的
 B.疼痛管理を必要とする在宅療養者の特徴
 C.アセスメントの視点
 D.支援・看護技術
  1●薬物療法
  2●非薬物療法
  3●非がん疾患の疼痛管理
 E.多職種連携・協働のポイント

第U章 さまざまな対象者への在宅看護
1 要支援高齢者への在宅看護
 A.要支援高齢者をとりまく現状
コラム:介護サービス情報公表システム
 B.療養者の理解
 C.療養者の家族の理解
 D.倫理的課題
 E.安全管理
 F.要支援高齢者への看護
コラム:介護保険区分支給限度額と訪問看護
 G.多職種連携・協働のポイント
2 要介護高齢者への在宅看護
 A.要介護高齢者をとりまく状況
 B.療養者の理解
 C.療養者の家族の理解
 D.倫理的課題
 E.安全管理
 F.要介護高齢者への看護
 G.多職種連携・協働のポイント
3 認知症高齢者への在宅看護
 A.認知症高齢者をとりまく状況
 B.療養者の理解
 C.療養者の家族の理解
 D.倫理的課題
 E.安全管理
 F.認知症高齢者への看護
 G.多職種連携・協働のポイント
4 慢性疾患を有する療養者への在宅看護
 A.慢性疾患を有する療養者をとりまく状況
 B.療養者の理解
 C.療養者の家族の理解
 D.倫理的課題
 E.安全管理
 F.慢性疾患を有する療養者への看護
 G.多職種連携・協働のポイント
5 がん療養者への在宅看護
 A.がん療養者をとりまく状況
 B.療養者の理解
 C.療養者の家族の理解
 D.倫理的課題
 E.安全管理
 F.がん療養者への看護
 G.多職種連携・協働のポイント
6 神経系難病の療養者への在宅看護
 A.神経系難病の療養者をとりまく状況
 B.療養者の理解
 C.療養者の家族の理解
 D.倫理的課題
 E.安全管理
 F.神経系難病の療養者への看護
 G.多職種連携・協働のポイント
7 疾病や障害を有する小児への在宅看護
 A.在宅で療養する小児をとりまく状況
 B.療養者の理解
 C.療養者の家族の理解
 D.倫理的課題
 E.安全管理
 F.重症心身障害や疾病を有し,在宅で療養する小児とその家族への看護
  1●呼 吸
  2●栄 養
  3●排 泄
 G.多職種連携・協働のポイント
8 精神疾患を有する療養者への在宅看護
 A.精神疾患を有する療養者をとりまく状況
 B.療養者の理解
 C.療養者の家族の理解
 D.倫理的課題
 E.安全管理
 F.精神疾患を有する療養者への看護
 G.多職種連携・協働のポイント
9 異文化を背景とする療養者への在宅看護
 A.異文化を背景とする療養者をとりまく状況
コラム:浜松市の例
 B.療養者の理解
 C.療養者の家族の理解
 D.倫理的課題
 E.安全管理
 F.異文化を背景とする療養者への看護
 G.多職種連携・協働のポイント

第V章 暮らしの場における看護過程の展開
1 在宅看護におけるアセスメント
 A.在宅看護に求められるアセスメント
  1● 療養者や家族に対する心理・社会的側面からの注目:在宅療養への決意と期待
  2● 限定的な訪問回数,滞在時間への注目:予測的なフィジカルイグザミネーション
  3●在宅療養を囲む人的・物的環境への注目:家族や住居など
  4●在宅ケアチームとの連携・協働への注目
 B.身体的状況のアセスメント:フィジカルイグザミネーション
  1●看護師の五感の活用
  2●フィジカルイグザミネーションの位置づけ
 C.心理的状況のアセスメント
  1●療養者の望む生活の把握
  2●心理的状況の変化
 D.生活状況のアセスメント
 E.介護力のアセスメント
  1●家族による介護状況
  2●在宅サービスの利用状況
 F.家族のアセスメント
  1●家族の身体的状況
  2●家族の心理的状況
  3●家族の生活状況
2 暮らしの場における看護過程の考え方
 A.初回面接(インテーク)
 B.情報収集
  1●初回面接時
  2●初回訪問時
コラム:デマンズとニーズ
 C.アセスメント
  1●アセスメントとは
  2●身体面のアセスメント
  3●心理面のアセスメント
  4●生活面のアセスメント
  5●介護・家族面のアセスメント
 D.計画立案
  1●看護目標
  2●看護計画
 E.実 施
   ●看護記録
 F.評 価
 G.再アセスメント
 H.計画修正
   ●地域包括ケアシステムにおける看護過程の展開
3 暮らしの場における看護過程の一例
 A.初回面接・訪問・情報収集
 B.アセスメント
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と半年後の評価
 E.看護課題の見直しと看護計画の修正
  1●Kさんと家族の状況を踏まえたサービス担当者会議の開催
  2●看護課題・長期目標の見直し・修正
  3●短期目標・看護計画の見直し・修正

第W章 事例でみる暮らしの場における看護の実際
1 独居高齢者で要支援1のAさんの療養環境の調整
 A.初回面接・訪問・情報収集
コラム:ケアマネジメントとサービス担当者会議
 B.アセスメント
コラム:日常生活動作(ADL)の掘り下げ
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と半年後の評価
 E.看護課題の見直しと看護計画の修正
  1●Aさんと家族の状況を踏まえたサービス担当者会議の開催
  2●看護課題・看護計画の振り返り
2 デイサービスを活用しながら,日中の意識状態の改善を目指すBさんへの支援
 A.初回面接・訪問・情報収集
 B.アセスメント
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と半年後の評価
 E.看護課題の見直しと看護計画の修正
  1●Bさんと家族の状況を踏まえたサービス担当者会議の開催
  2●看護課題・長期目標の見直し・修正
  3●短期目標・看護計画の見直し・修正
3 レビー小体型認知症により,在宅での療養が難しくなったCさんへの支援
 A.初回面接・訪問・情報収集
 B.アセスメント
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と半年後の評価
 E.看護課題の見直しと看護計画の修正
  1●Cさんと家族の状況を踏まえたサービス担当者会議の開催
  2●看護課題・長期目標の見直し・修正
  3●短期目標・看護計画の見直し・修正
4 COPDにより入退院を繰り返すDさんへの在宅移行支援
 A.初回面接・訪問・情報収集
 B.アセスメント
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と半年後の評価
 E.看護課題の見直しと看護計画の修正
  1●Dさんと家族の状況を踏まえたサービス担当者会議の開催
  2●看護課題・長期目標の見直し・修正
  3●短期目標・看護計画の見直し・修正
5 糖尿病の血糖コントロール不良が心配されるEさんへの支援
 A.初回面接・訪問・情報収集
 B.アセスメント
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と半年後の評価
 E.看護課題の見直しと看護計画の修正
  1●Eさんの家族の状況を踏まえたサービス担当者会議の開催
  2●看護課題・長期目標の見直し・修正
  3●短期目標・看護計画の見直し・修正
6 難病を患うFさんの意思表示に戸惑う家族への支援
 A.初回面接・訪問・情報収集
 B.アセスメント
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と半年後の評価
 E.看護課題の見直しと看護計画の修正
  1●Fさんと家族の状況を踏まえたサービス担当者会議の開催
  2●看護課題・長期目標の見直し・修正
  3●短期目標・看護計画の見直し・修正
7 苦痛の訴えが強いがん末期のGさんへの支援
 A.初回面接・訪問・情報収集
 B.アセスメント
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と評価
 E.看護課題の見直しと看護計画の修正
  1●終末期〜看取り期を迎えた,サービス担当者会議の開催
  2●看護課題・長期目標の見直し・修正
  3●短期目標・看護計画の見直し・修正
 F.修正した看護計画の実施の経過と振り返り
  1●実施の経過
  2●実施の振り返り
8  医療的ケアを必要とするHちゃんの在宅移行および就学への支援
 A.初回面接・訪問・情報収集
 B.アセスメント
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と半年後の評価
9 精神科訪問看護とデイケアを活用しながら社会復帰を目指すIさんへの支援
 A.初回面接・訪問・情報収集
 B.アセスメント
 C.看護課題の明確化と計画立案
  1●看護課題と長期目標
  2●短期目標と看護計画
 D.実施の経過と半年後の評価
 E.看護課題の見直しと看護計画の修正
  1●Iさんと家族の状況を踏まえたサービス担当者会議の開催
  2●看護課題・長期目標の見直し・修正
  3●短期目標・看護計画の見直し・修正

はじめに

 今日,在宅看護の発展は目覚ましく,訪問看護利用者数はここ10年で3倍になり,その年齢幅や重症度および対象疾患の多様性も大幅に増しています.訪問看護師への期待はますます大きなものとなっています.

 2020 年に,保健師助産師看護師学校養成所指定規則上の「在宅看護論」という科目は名称が「地域・在宅看護論」に変更され,基礎看護学の次に位置づけられ単位数も4 単位から6 単位に増加しました.それを受けてこのテキストは,2011 年発行の『NiCE 在宅看護論』初版,2016 年発行の同改訂第2 版を土台にしながら2 名の新編集者を加え,書名を『NiCE地域・在宅看護論T 総論/U 支援論』の2分冊に改めて発刊するものです.

 『NiCE 地域・在宅看護論T 総論─地域における暮らしと健康の理解を深める』では,看護の対象となる地域で暮らす多様な人々をより広い視野で捉え,その文化や生活に合わせた看護を展開するための基礎的な学習内容を提供しています.それを受け,本書『NiCE 地域・在宅看護論U 支援論─暮らしの場における多様な支援を考える』では,『T 総論』の学びをより実践に即して考え,看護師の行動として具現化できることを目指しました.したがって机上での学習だけでなく,地域・在宅看護実習の場においても,本書は大いに役立つものと考えます.

 在宅看護の場は,疾患だけでなく地域の気候,風土,文化,時代背景,そして家族構成も個別性が高く,疾患以外の多様な条件が,そこで暮らす人々の心身の健康面に影響していることがわかります.看護師には,患者さん一人ひとりの過去の暮らし,そして現在の暮らしを理解し,共に未来を思い描きながら常に伴走者でいることが期待されています.そのため初学者の皆さんには,より具体的な在宅看護技術や在宅看護過程を示すことが重要と考え本書を編集しました.

 本書には経験豊富なたくさんの看護実践者による多様な事例が掲載されています.看護に唯一の正解や100 点満点の正解はありません.地域・在宅看護実習においては,本書にある事例をその都度参考にしながら,それぞれの地域,文化や生活背景に合わせ,さらに学生の強みでもある柔軟な発想力を加えて,伸び伸びと個別性の高い在宅看護過程を展開してほしいと願っています.

 これから看護職となる皆さんには,どのような場で働こうとも,誰もが地域・在宅で主体性をもって自分らしく暮らしているという事実を大切にし,支援していただきたいと思います.そして地域・在宅で自分らしい暮らしの継続を願う人々の笑顔を引き出し,より幸せな時間を届けることのできる看護専門職に育っていかれることを,心より期待しています.

2023年12月
石垣  和子
上野  まり
コ田 真由美
辻村 真由子

9784524231287