はじめての講義
リハビリテーションのための薬理学・臨床薬理学
編集 | : 梅村和夫/木聖 |
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ISBN | : 978-4-524-23118-8 |
発行年月 | : 2025年1月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 246 |
定価4,180円(本体3,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
やさしい記述とわかりやすい図表でリハビリテーション職を目指す学生 や医療従事者に必要な薬と疾患の知識を解説した教科書.医師と理学療法士による複眼的な視点で編集され, 薬の作用機序から 薬物療法の知識までをコンパクトにまとめ,初学者でも無理なく学習できる構成となっている.また,リハビリテーションと関連が深い疾患には,実習や臨床の場でも役立つ「リハビリテーション実施上の注意点」を盛り込んだ.
第1章 薬理学・臨床薬理学を学ぶ前に
A リハビリテーションになぜ薬理学・臨床薬理学が必要か
B 薬理学・臨床薬理学とは梅村和夫
1 薬理学
2 臨床薬理学
C 薬と薬物療法梅村和夫
1 薬とは
2 薬物療法の目的
3 その他,治療との関わり
練習問題
第2章 薬理学の基礎
A 薬の作用点(標的)とは〜薬が働く場所とは〜
1 作用点(標的)の役割と種類
2 受容体
3 酵 素
4 イオンチャネル
B 薬に影響を及ぼす要因
1 血中薬物濃度
2 薬と神経伝達物質(興奮性シグナル/抑制性シグナル)
C 薬の体内動態
1 薬物動態〜薬が作用点にどのように到達するか〜
D 薬のリスクと薬害
1 副作用(有害反応)
2 薬 害
3 薬物乱用,薬物依存
4 ポリファーマシー
5 服薬アドヒアランス
E 薬に関する法律・規則
1 医薬品に関する法律
2 麻薬や向精神薬に関する法律
3 処方箋の読み方
F 薬,漢方薬,サプリメント
1 漢方薬
2 薬とサプリメント
練習問題
第3章 神経に作用する薬
A 神経の働き
1 神経系の分類
2 中枢神経の役割と構成要素
3 末梢神経の役割
B 自律神経系に作用する薬
1 自律神経作用薬の分類
2 交感神経刺激薬
3 交感神経遮断薬
4 副交感神経刺激薬
5 副交感神経遮断薬
C 筋弛緩薬・抗痙縮薬
1 筋弛緩・筋痙縮とは
2 中枢性筋弛緩薬
3 末梢性筋弛緩薬
リハビリテーション実施上の注意点
D 抗てんかん薬
1 てんかんとは
2 部分発作に使う抗てんかん薬
3 全般発作に使う抗てんかん薬
4 その他の抗てんかん薬
E 抗パーキンソン病薬
1 パーキンソン病とは
2 ドパミン補充療法
3 ドパミン作用増強薬
4 ドパミン系以外のパーキンソン病治療薬
リハビリテーション実施上の注意点
F 抗うつ薬
1 うつ病とは
2 三環系抗うつ薬
3 四環系抗うつ薬
4 選択的取り込み阻害薬
5 その他の抗うつ薬
6 気分安定薬
G 統合失調症治療薬
1 統合失調症とは
2 定型抗精神病薬
3 非定型抗精神病薬
H 認知症治療薬
1 認知症とは
2 認知症治療薬
リハビリテーション実施上の注意点
I 睡眠薬・抗不安薬
1 不眠症・不安神経症とは
2 ベンゾジアゼピン系薬物
3 非ベンゾジアゼピン系薬物
4 メラトニン受容体刺激薬
5 オレキシン受容体遮断薬
6 バルビツール酸
7 その他の睡眠薬・抗不安薬
8 薬物治療における注意点
リハビリテーション実施上の注意点
練習問題
第4章 脳血管障害治療薬
A 脳血管障害の分類
1 脳血管障害とは
2 脳血管障害の疫学
B 脳梗塞の原因
1 ラクナ梗塞
2 アテローム血栓性脳梗塞
3 心原性脳塞栓症
C 脳梗塞急性期治療薬
1 血栓溶解療法
2 抗血小板療法
3 抗凝固療法
4 脳浮腫管理
5 脳保護薬
6 血管内治療
リハビリテーション実施上の注意点
D 脳梗塞慢性期治療薬
1 非心原性脳梗塞(抗血小板療法)
2 心原性脳塞栓症(抗凝固療法)
3 脳循環代謝改善薬
リハビリテーション実施上の注意点
E 脳出血治療薬
1 止血薬
2 脳浮腫・頭蓋内圧亢進の管理
3 くも膜下出血治療薬
リハビリテーション実施上の注意点
練習問題
第5章 循環器(心臓・血管)に作用する薬
A 心臓と血管
1 心臓の構造と機能
2.血管の構造と機能
B 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)治療薬
1 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)とは
2 狭心症治療薬
3 冠攣縮性狭心症
4 急性心筋梗塞
リハビリテーション実施上の注意点
C 心不全治療薬
1 心不全とは
2 急性心不全治療薬
3 慢性心不全治療薬
リハビリテーション実施上の注意点
D 抗不整脈薬
1 不整脈とは
2 抗不整脈薬
3 心房細動
リハビリテーション実施上の注意点
E 降圧薬
1 高血圧とは
2 降圧薬
リハビリテーション実施上の注意点
F 末梢動脈疾患治療薬
1 急性下肢動脈閉塞治療
2 慢性下肢動脈閉塞治療
リハビリテーション実施上の注意点
G 静脈血栓症治療薬
1 静脈血栓症の病態と症状
2 静脈血栓症治療
リハビリテーション実施上の注意点
練習問題
第6章 痛みと炎症に作用する薬
A 痛みと炎症とは
1 痛みの伝達路
2 炎症による痛みの増強
3 鎮痛薬の分類と位置づけ
B 解熱鎮痛薬(NSAIDs・アセトアミノフェン)
1 概 要
2 解熱鎮痛薬
リハビリテーション実施上の注意点
C ステロイド
1 ステロイド(糖質コルチコイド)
リハビリテーション実施上の注意点
2 ステロイド製剤
3 合成酵素阻害薬
D 麻酔薬
1 概 要
2 適用法
3 局所麻酔薬
リハビリテーション実施上の注意点
E 麻薬性鎮痛薬(オピオイド)
1 概 要
2 麻薬性オピオイド鎮痛薬
3 非麻薬性オピオイド鎮痛薬
4 オピオイド拮抗薬
F 神経障害性疼痛緩和薬
1 神経障害性疼痛とは
2 神経障害性疼痛緩和薬
リハビリテーション実施上の注意点
G 関節リウマチ治療薬
1 関節リウマチとは
2 従来型抗リウマチ薬(csDMARD)
3 生物学的製剤(bDMARD)
4 ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
5 補助的治療薬
リハビリテーション実施上の注意点
練習問題
第7章 抗アレルギー薬
A 免疫系とは
1 免疫反応とは
2 自然免疫と獲得免疫
B アレルギーとは
1 アレルギーの定義
2 アレルギーの病型
3 炎症性メディエーター
C 抗アレルギー薬
1 ケミカルメディエーター遊離抑制薬
2 抗ヒスタミン薬
3 トロンボキサン抑制薬
4 ロイコトリエン抑制薬
5 Th2サイトカイン抑制薬
リハビリテーション実施上の注意点
練習問題
第8章 感染症治療薬
A 感染症とは
1 感染と感染症
2 感染経路と外因性・内因性感染
3 感染症に伴う諸症状と感染症の治療戦略
B 抗菌薬(抗生物質,合成抗菌薬)
1 細菌の構造
2 抗菌薬の基本的作用
3 細胞壁合成阻害薬
4 タンパク合成阻害薬
5 核酸合成阻害薬
6 葉酸合成阻害薬
7 細胞膜障害薬
8 その他の抗菌薬
9 耐性菌の出現とその対応
C 抗ウイルス薬
1 ウイルスの構造と生活環
2 ウイルス感染の治療戦略
3 抗インフルエンザウイルス薬
4 抗ヘルペスウイルス薬
5 HIV感染症(AIDS)治療薬
6 抗新型コロナウイルス薬
D 抗真菌薬
1 真菌の構造と主な抗真菌薬の作用点
2 細胞膜合成阻害薬
3 細胞膜安定化阻害薬
4 核酸合成阻害薬
5 細胞壁合成阻害薬
E 感染症の予防と消毒薬
1 医療関連感染
2 感染予防
リハビリテーション実施上の注意点
練習問題
第9章 抗がん薬
A 悪性腫瘍とは
1 悪性腫瘍の概要
2 悪性腫瘍の治療
B 化学療法薬
1 化学療法薬とは
2 代謝拮抗薬
3 白金製剤
4 アルキル化薬
5 抗腫瘍性抗生物質
6 トポイソメラーゼ阻害薬
7 微小管阻害薬
リハビリテーション実施上の注意点
C 分子標的薬
1 分子標的薬とは
2 EGF受容体阻害薬
3 HER2阻害薬
4 非受容体チロシンキナーゼ阻害薬
5 セリン・スレオニンキナーゼ阻害薬
6 抗細胞表面抗原抗体薬
7 免疫チェックポイント阻害薬
8 血管新生阻害薬
リハビリテーション実施上の注意点
D ホルモン療法薬
E がんによる痛みの治療薬
練習問題
第10章 呼吸器に作用する薬
A 呼吸器の働き
1 呼吸器の構造と働き
2 呼吸機能の指標
3 気管支の収縮・拡張
4 呼吸機能の障害
B 気管支喘息治療薬
1 気管支喘息とは
2 発作治療薬と長期管理薬
C 慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬
1 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
2 慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬
リハビリテーション実施上の注意点
D 肺炎治療薬
1 肺炎とは
2 感染性肺炎治療薬
3 肺結核症治療薬
練習問題
第11章 代謝に作用する薬
A 代謝とホルモン
1 内分泌とホルモン
2 ホルモンの過剰症,欠乏症
B 糖尿病治療薬
1 血糖の維持
2 糖尿病とは
3 糖尿病の合併症
4 糖尿病治療薬の概要
5 糖尿病治療薬(インスリン製剤)
6 糖尿病治療薬(経口血糖降下薬)
リハビリテーション実施上の注意点
C 骨粗鬆症治療薬
1 骨粗鬆症とは
2 骨粗鬆症治療薬
リハビリテーション実施上の注意点
D 脂質異常症治療薬
1 脂質異常症と動脈硬化性疾患とは
2 コレステロール合成と代謝経路
3 脂質異常症治療薬
リハビリテーション実施上の注意点
E 痛風治療薬
1 痛風とは
2 痛風治療薬
練習問題
第12章 消化器に作用する薬
A 消化器の働き
1 消化器とは
2 消化器に作用する薬
B 消化性潰瘍治療薬
1 消化性潰瘍とは
2 胃酸の分泌機構
3 攻撃因子・防御因子と消化性潰瘍の発症
4 ストレス・傷害増強因子による消化性潰瘍の発症・悪化
5 消化性潰瘍の治療
6 消化性潰瘍治療薬
7 ヘリコバクター・ピロリの除菌療法
C 制吐薬
1 悪心・嘔吐とは
2 嘔吐の発症機序
3 制吐薬
D 便秘・下痢の治療薬
1 便秘治療薬(下剤)
2 止痢薬(下痢止め)
3 過敏性腸症候群治療薬
E 炎症性腸疾患治療薬
1 炎症性腸疾患とは
2 炎症性腸疾患の治療
練習問題
第13章 その他の治療薬
A 皮膚外用剤
1 形 態
2 創傷治療薬
3 炎症性疾患治療薬
4 感染症治療薬
B 点眼薬,点鼻薬
1 点眼薬
2 点鼻薬
練習問題
薬剤一覧表
索 引
「はじめての講義 リハビリテーションのための薬理学・臨床薬理学」へようこそ.
本書は,リハビリテーション分野における薬理学・臨床薬理学を学ぶためのはじめての試みとして,理学療法士や作業療法士を目指している学生諸君や臨床現場で活躍している理学療法士や作業療法士の方々に向けて特化した内容を提供します.これまで,医師,看護師,薬剤師などの医療従事者を目指している学生向けの薬理学や臨床薬理学に関する教科書は数多く存在してきましたが,リハビリテーションに特化したものは非常に限られていました.そのギャップを埋めるため,読者に役立つ知識を,より実践的かつ明確に提供することを本書は目指しています.
リハビリテーションの現場では,患者が服用している薬剤の効果や副作用,相互作用などに精通することが重要です.特に,薬剤が運動機能や認知機能,精神的な状態にどのように影響を及ぼすかを理解することは,質の高いリハビリテーションを提供するために不可欠です.本書では,薬理学・臨床薬理学の基礎的な知識に加え,リハビリテーションにおける薬剤使用の注意点を,多くの薬剤に関して具体的に記載しています.これにより,患者一人ひとりに合わせた適切なリハビリテーション計画を立てる際の助けとなるでしょう.
さらに,本書はコアカリキュラムや理学療法士作業療法士国家試験出題基準に準拠した内容となっており,国家試験対策としても活用できます.各章では,試験に出題されやすい項目や重要なポイントを明確に示し,学習の理解を深めるための工夫を凝らしています.また,薬物の作用機序や適用,副作用を,豊富な図表を用いてわかりやすく解説し,視覚的な理解もサポートします.図表の活用により,複雑な内容を整理し,学習者が効率的に知識を身につけることができるよう配慮しています.
最後に,本書が皆様の学びをサポートし,リハビリテーション分野での専門性をさらに高める一助となることを心より願っております.初版であるため,改善の余地があるかもしれませんが,その際には是非ご意見をお寄せください.本書を通じて,リハビリテーションにおける薬理学・臨床薬理学の理解が深まり,よりよい治療・ケアが提供されることを期待しています.
2024年12月
梅村和夫
木 聖