シンプル理学療法学シリーズ
内部障害理学療法学テキスト改訂第4版
監修 | : 細田多穂 |
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編集 | : 山ア裕司/川俣幹雄/丸岡弘 |
ISBN | : 978-4-524-23117-1 |
発行年月 | : 2022年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 512 |
在庫
定価5,720円(本体5,200円 + 税)
正誤表
-
2024年04月08日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
患者の障害像を理解することを大目的とし,全体を「循環器」「末梢循環」「腎機能」「呼吸器」「代謝」「がん」「患者教育」に分けて構成.重症度別の理学療法を示すことによって,個別疾患ごとに対応した理学療法があるのではなく,個別の病態に応じて理学療法は変化するものであることが理解できるよう工夫した.今改訂では各種診療ガイドラインや統計数値の更新,「理学療法士作業療法士国家試験出題基準令和6年版」にも対応した充実の改訂版.
【総 論】
1章 内部障害の理解
A 内部障害
1 内部障害とは
2 内部障害の推移
B 酸素搬送系の障害
C 廃用性変化による運動能力の低下
1 高齢者の身体予備力
2 廃用性変化の悪循環
D 内部障害と運動
1 運動が及ぼす影響
2 運動とリスク管理
3 理学療法士の役割
E 行動変容の必要性
【循環器障害】
2章 運動と循環
A 循環器系の役割
B 運動と循環器系の適応
1 心拍出量の増加
2 臓器血流の再分配
3 酸素摂取量の増加
C 循環器系の障害と運動制限
1 心拍出量の低下による運動制限
2 循環器系の障害
3章 循環器疾患の一般的治療
A 虚血性心疾患
1 疾患概要
2 急性心筋梗塞(AMI)
3 狭心症(AP)
B 慢性心不全
1 病態概要
2 治 療
C 不整脈
D 心肺蘇生の手順
4章 心ポンプ機能低下,心筋虚血,不整脈
A 心ポンプ機能
1 評 価
2 解釈,重症度
3 リスク管理
B 心筋虚血
1 評 価
2 解釈,重症度
3 リスク管理
C 不整脈
1 評 価
2 解釈,重症度
3 リスク管理
5章 運動耐容能
A 運動耐容能と身体活動能力
B 運動負荷試験の対象疾患
C 運動負荷試験の禁忌と中止基準
D 運動負荷試験の基礎的事項
E 運動負荷試験の目的と適応,指標
1 心肺運動負荷試験(CPXあるいはCPET)
2 嫌気性代謝閾値(AT)
3 最高酸素摂取量(peak VO2)
4 6分間歩行テスト(6MWT)
5 漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT)
6 身体活動能力質問表(SAS)
F 測定指標の臨床的意味や目的
6章 循環器障害のADLとQOL
A 心疾患患者のADL
1 ADL 障害の特性
2 ADL 評価法
3 ADL に影響を及ぼす因子
B 心疾患患者のQOL
1 QOL 障害の特性
2 QOL 評価法
3 QOL に影響を及ぼす因子
C 障害モデルからみた心機能障害,ADLとQOLの関係
D 運動療法のエビデンス
7章 心筋梗塞急性期の理学療法
A 心筋梗塞急性期における理学療法の目的
B 心筋梗塞急性期の障害像
C 心筋梗塞急性期の理学療法評価
1 情報収集
2 検査所見
3 投薬状況の確認
4 理学療法評価の留意点
D 心筋梗塞急性期の理学療法
1 急性期理学療法の目的
2 心筋梗塞の急性期理学療法プログラム
3 理学療法中のモニタリング
E 心筋梗塞急性期に関するエビデンス
8章 心筋梗塞回復期・維持期の理学療法
A 心筋梗塞回復期・維持期の理学療法の目的
B 心筋梗塞回復期の障害像
C 理学療法評価とリスクの層別化
1 冠危険因子
2 リスクの層別化
D 心筋梗塞回復期の理学療法
1 回復期理学療法プログラムの流れ
2 維持期理学療法プログラム
E 理学療法関連のエビデンス
9章 心不全の理学療法
A 理学療法に必要な心不全の障害像
1 心不全の定義
2 心不全の病態生理
3 心不全の重症度
B 理学療法の適応と禁忌
C 理学療法評価
1 評価の流れ
2 主な検査・測定と評価結果の解釈
D 急性心不全の理学療法プログラム
1 離床プログラム(早期離床)と廃用性変化の是正
2 基本的動作の獲得
3 運動プログラム
E 慢性心不全の理学療法プログラム
1 運動療法プログラム
F 疾病管理プログラムと心不全の自己管理(セルフケア)
G 在宅医療と地域包括ケアシステム
H 末期心不全に対する緩和ケア
I 理学療法関連のエビデンス
10章 その他の循環器疾患
10−1 |循環器疾患を合併した患者への対応
A 狭心症を合併した患者
1 狭心症の症状
2 心電図変化
3 理学療法実施にあたっての留意点
B 不整脈を合併した患者
1 心室期外収縮
2 上室期外収縮
3 鑑別の難しい上室期外収縮
4 発作性頻拍
5 心室細動
6 心房細動
7 心房粗動
8 洞不全症候群(SSS)
9 房室ブロック A-V block
10 WPW 症候群
C 血圧異常を合併した患者
1 高血圧患者への対応
2 起立性低血圧患者への対応
10−2 |大動脈疾患(大動脈瘤,大動脈解離)
A 大動脈疾患の概略
B 大動脈瘤および大動脈解離の診断と病態
1 大動脈瘤の診断と病態
2 大動脈解離の診断と病態
C 大動脈疾患の治療
1 大動脈瘤
2 大動脈解離
D 大動脈疾患の理学療法評価
1 一般的評価
E 大動脈疾患の理学療法プログラム
1 概 略
2 術後急性期
3 回復期
4 日常生活動作の指導
F 理学療法関連のエビデンス
【末梢循環障害】
11章 動脈系末梢循環障害の理解と理学療法
A 疾患の概略
B 診断と治療の概略
1 診断の概略
2 治療の概略
C 理学療法評価
1 問診項目
2 理学所見
3 間欠性跛行の評価
4 虚血性潰瘍の評価
5 QOL の評価
D 理学療法プログラム
1 運動療法
2 物理療法
3 装具療法
E 理学療法関連のエビデンス
12章 静脈・リンパ系末梢循環障害の理解と理学療法
A 静脈系末梢循環障害
1 四肢の静脈還流の特徴
2 静脈閉塞
3 静脈の逆流
B リンパ系末梢循環障害
1 リンパ系循環動態
2 リンパ浮腫の概要
3 鑑別診断
4 リンパ浮腫の経過
5 リンパ浮腫の評価
6 皮膚合併症
7 予防
8 治療
C 理学療法関連のエビデンス
【腎機能障害】
13章 腎機能障害の理解と理学療法
A 腎臓の機能と役割
1 腎臓の構造と機能
2 腎臓の血圧調整機能
B 腎機能検査
C 腎疾患の主要病型
D 腎機能障害
1 腎機能障害の分類
2 腎不全の症状
E 慢性腎臓病の治療戦略
1 食事療法
2 生活指導
3 薬物療法
4 透析療法(血液浄化療法)
5 腎移植
F 慢性腎臓病と運動
1 運動と腎機能
2 慢性腎臓病患者の運動機能
3 透析患者の運動機能
G 慢性腎臓病患者に対する理学療法
1 運動療法
2 運動療法施行時の注意点
H 運動療法のエビデンス
【呼吸器障害】
14章 運動と呼吸
A 呼吸器系の役割
B 運動と呼吸器系の適応
1 換 気
2 ガス交換
C 呼吸器系の障害と運動制限
1 換気障害
2 低酸素血症による運動制限
15章 呼吸器疾患の一般的治療
A 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
1 疾患概要
2 治 療
B 気管支喘息
1 疾患概要
2 治 療
C 拘束性肺疾患(肺結核後遺症)
1 疾患概要
2 治 療
D 拘束性肺疾患(間質性肺炎)
1 疾患概要
2 治 療
E 肺がん
1 疾患概要
2 治 療
F 慢性呼吸不全
1 疾患概要
2 治 療
G 市中肺炎
1 疾患概要
2 治 療
H 誤嚥性肺炎
1 疾患概要
2 治 療
I 睡眠時無呼吸症候群
1 疾患概要
2 治 療
16章 酸素化能,換気能力
A 酸素化能
1 酸素化能とは
2 動脈血ガス
3 パルスオキシメトリー
4 運動時低酸素血症
B 換気能力
1 換気能力とは
2 スパイロメトリー
3 呼吸筋力,呼吸筋疲労
4 肺・胸郭コンプライアンス
5 運動時換気障害の特徴
17章 運動耐容能,呼吸困難,栄養
A 呼吸器疾患患者の運動耐容能と身体活動量
1 運動制限要因
2 身体活動量
B 呼吸困難のメカニズム
1 モーターコマンド説
2 感覚受容器からの求心性入力
3 中枢—末梢のミスマッチ
C 栄養障害
1 呼吸器疾患患者の栄養障害の実態
2 栄養障害の原因
3 栄養障害と骨格筋
D 運動耐容能と身体活動量の評価
1 運動負荷試験
2 フィールドテスト
3 骨格筋筋力の評価
4 身体活動量の評価
E 呼吸困難(息切れ)の評価
1 間接的評価法
2 直接的評価法
F 栄養の評価
1 身体組成
2 生理学的評価
3 評価結果の解釈
18章 呼吸器障害のADLとQOL,その他
A 呼吸器疾患患者のADLとQOL
1 ADLの特徴
2 QOL,その他
B 呼吸器疾患患者のADL,QOLの評価
1 ADL評価
2 QOLの評価
3 その他
C 呼吸器疾患患者における地域連携
19章 慢性閉塞性肺疾患の理学療法
19−1 |軽症例
A COPD(軽症例)における換気運動の特徴
B COPDの臨床検査
1 肺機能検査
2 胸部X線写真とCT所見
3 血液・生化学検査
C 理学療法評価
1 問 診
2 身体所見
3 呼吸筋力
4 運動耐容能
5 ADLとQOL
D COPD(軽症例)の理学療法
1 包括的呼吸リハビリテーションと理学療法
2 理学療法の実際
3 運動療法:全身持久力トレーニング
4 運動療法:筋力トレーニング
5 運動療法:呼吸筋トレーニング
E 呼吸理学療法のエビデンス
19−2 |重症例
A COPD(重症例)における換気運動の特徴
B COPDの臨床検査
C 理学療法評価
1 身体所見
2 呼吸筋力
3 ADL評価
D COPD(重症例)の理学療法
1 リラクセーション
2 呼吸練習
3 胸郭可動域練習
4 排痰法
5 運動療法
6 ADLトレーニング
7 骨格筋電気刺激療法
E COPD(重症例)のリスク管理
20章 拘束性肺疾患の理学療法
20−1 |軽症例
A 疾患の概略
1 拘束性肺疾患(軽症例)における換気運動の特徴
2 拘束性肺疾患と運動耐容能,運動制限,運動時のリスク
B 理学療法評価
1 息切れとADL,APDL
2 運動耐容能と運動制限因子
3 筋 力
4 評 価
C 目標設定
D 理学療法プログラム
1 ADLトレーニング
2 全身持久力トレーニング
3 筋力トレーニング(上下肢,呼吸筋)
4 コンディショニング,呼吸法指導
5 リラクセーション
6 ストレッチによる柔軟,呼吸体操
E 理学療法関連のエビデンス
20−2 |重症例
A 拘束性肺疾患(重症例)における換気運動の特徴
1 肺・胸郭コンプライアンスの低下
2 換気駆動力の低下
3 重症拘束性肺疾患の特徴
B 理学療法評価
1 自覚症状
2 身体所見
3 胸郭可動性
4 換気能
5 換気予備能
6 咳嗽力の評価
7 身体運動機能とADLの評価
C 理学療法プログラム
1 呼吸困難の軽減
2 胸郭の可動性維持,改善
3 排痰のサポート
4 廃用症候群の予防・改善,ADLの向上
D 理学療法関連のエビデンス
21章 開胸術後の理学療法
A 開胸手術が生体に及ぼす影響
1 開胸術における術前合併症の危険因子
2 開胸術における術後合併症の発生因子
B 疾患(病態)別の開胸術の特徴
1 肺疾患
2 心疾患
3 食道がん
C 理学療法の構築
1 術前評価
2 術前理学療法
3 術後評価
4 術後理学療法
D 早期離床のエビデンス
E 運動療法のエビデンス
1 心疾患
2 肺疾患
22章 急性増悪例の理学療法
A 人工呼吸療法の適応
B 人工呼吸が生体に及ぼす影響
1 自発換気と人工換気の違い
2 人工呼吸のメリットとデメリット
C 人工呼吸器の基本と換気モード
1 人工呼吸器の基本:換気モード
2 人工呼吸器の装着方法
3 人工呼吸器からの離脱(ウィーニング)
D 急性増悪例の理学療法
1 理学療法の目的と適応
2 急性期の理学療法プログラム
3 回復期の理学療法プログラム
E 人工呼吸器装着患者の理学療法に関するエビデンス
23章 排痰法
23−1 |排痰法
A 排痰法とは
B 気道および肺の構造
C なぜ排痰法が必要か
D 分泌物を排出するために
E 気道内分泌物の位置の把握
F 体位排痰法
G 徒手的に分泌物を移動させる方法
1 呼気相に対する方法
2 吸気相に対する方法
3 咳を介助する方法
H 換気方法により分泌物を移動させる方法
I 器具や機器を用いて分泌物を移動させる方法
J 排痰法の適応基準
K 排痰困難な患者の障害像
L 効果判定の考え方とエビデンス
23−2 |気管吸引
A 気管吸引とは
1 目 的
2 適応,禁忌,合併症
B 気管吸引の実施前に
1 気管吸引の流れ
2 気管吸引実施における評価
3 モニタリング項目
C その他の注意点
1 感 染
2 カフ圧管理
3 患者への説明
D 気管吸引の実施手順
1 人工気道の吸引
2 口腔,鼻腔の吸引の手順
【代謝障害】
24章 運動と代謝
A 代謝系の役割
1 代謝系とは
B 糖質代謝
1 糖質とは
2 糖質の細胞への取り込み
3 乳酸の産生と再利用
C 脂質代謝
1 脂質とは
2 運動時の脂質の利用
3 糖質代謝と脂質代謝
4 ホルモンの作用
D アミノ酸代謝
E 代謝系の障害と運動制限
1 糖質代謝異常
2 合併症
25章 糖尿病の一般的治療
A 糖尿病の概要
1 糖尿病の診断
2 糖尿病の成因分類
3 糖尿病の病態(病期)分類
B 糖尿病の主な検査
C 糖尿病の治療
1 治療の目的と目標
2 運動療法
3 食事療法
4 薬物療法
5 ライフステージ別の治療
6 急性合併症の治療
26章 糖尿病の障害理解
A 急性合併症
1 低血糖
2 低血糖のリスク管理
B 慢性合併症
1 糖尿病性神経障害
2 糖尿病網膜症
3 糖尿病性腎症
C 糖尿病足病変
1 足壊疽の発症機序
2 足病変の評価
3 リスク管理
27章 糖尿病の理学療法
27−1|軽症例
A 軽症2型糖尿病の特徴
B 軽症2型糖尿病における理学(運動)療法の効果
1 インスリン非依存性血糖降下作用
2 インスリン依存性血糖降下作用の活性化
3 軽症例における効果の特徴
C 軽症2型糖尿病治療における理学療法士の役割
D メディカルチェック
1 メディカルチェックの目的
2 メディカルチェックの項目
E 理学療法評価(初期評価および定期的な再評価)
1 カルテ,メディカルチェック,他職種からの情報による評価
2 問診,視診,触診などによる基本的評価
3 運動器に関する検査および神経学的検査を用いた評価
4 運動負荷試験による運動強度の評価
5 日常生活における活動量の評価
6 運動習慣継続にかかわる諸因子の評価
7 運動による急性代謝効果と継続によるトレーニング効果の評価
8 評価における注意点
F 理学(運動)療法の実際
1 運動強度
2 運動持続時間,時間帯,頻度
3 運動量
4 運動の種類
G 運動処方と指導の実際
1 目標心拍数に相当する歩行速度の処方法
2 運動処方に有用な計算
3 運動処方箋の例
4 運動指導用ノートの例
5 運動処方と指導上の留意点
H 糖尿病教育入院
1 糖尿病教育入院の目的
2 糖尿病教育入院における理学療法士の役割
I 理学療法関連のエビデンス
27−2 |重症糖尿病合併例
A 障害像
B 重症糖尿病における理学療法の目的
1 身体機能・ADLの回復
2 糖尿病足病変の予防・改善
3 代謝状態の改善
C 理学療法評価
1 糖尿病網膜症の評価
2 糖尿病腎症の評価
3 糖尿病神経障害および糖尿病足病変(糖尿病性切断)の評価
4 移動能力およびADLの評価
D 理学療法プログラム
1 糖尿病網膜症を合併した患者における理学療法
2 糖尿病腎症を合併した患者における理学療法
3 糖尿病神経障害および糖尿病足病変(糖尿病性切断)を合併した患者における理学療法
4 移動能力低下およびADL制限の理学療法
E 理学療法関連のエビデンス
【が ん】
28章 がんの理学療法
28−1|疾患の概要
A がん(悪性腫瘍)とは
1 がんの特徴
2 がんの原因
B がんの分類
C がんの検査
1 血液検査
2 画像検査
3 内視鏡検査
4 病理検査
D がんの進行度判定(UICC TNM分類)
1 TNM 分類
2 臨床病期分類(ステージ分類)
E がんの治療
1 手術療法
2 放射線療法
3 薬物療法(化学療法・分子標的治療薬・ホルモン療法・免疫療法)
F 緩和ケア
G 理学療法の対象となる障害
H がん治療過程において生じる障害
28−2 |がんのリハビリテーション
A がん患者のリハビリテーション
1 ディーツ(Dietz)の分類(1969年)
2 がんのリハビリテーションにおける理学療法の目的と目標
B 理学療法評価
1 がんリハビリテーションにおける理学療法評価
2 身体機能評価(PS,KPS)
3 日常生活動作評価(BI,FIM)のがん患者における留意点
C 理学療法
1 理学療法を行ううえでのリスク管理
2 各原疾患別理学療法の概要
3 入院期〜在宅移行時のポイント
4 終末期患者に対する理学療法対応のポイントと緩和ケアチームにおける位置づけ
D 理学療法関連のエビデンス
【患者教育】
29章 患者教育と行動変容へのアプローチ
A 患者教育における行動変容の重要性
B 行動に関する一般的な考え方
C 行動の成立と消失の過程:ABC分析
1 後続刺激
2 先行刺激
D 行動変容の方法
1 適切な行動を引き出すには
2 注意による行動修正の問題点
3 適切な行動を定着させるには
E 理学療法関連のエビデンス
付録:症例問題
1 循環器疾患
2 呼吸器疾患
3 腎機能障害を合併した重症糖尿病
参考文献
索 引
『内部障害理学療法学テキスト』第4 版が5 年ぶりに発刊できた.主な改訂内容について紹介したい.
読者の理解を深めるため多くの章で新たな写真,図表が追加された.13 章「腎機能障害の理解と理学療法」の中では実際の透析療法中のシャント場面が,15 章「呼吸器疾患の一般的治療」では酸素療法で用いられる機器の写真が複数掲載されている.19 章「慢性閉塞性肺疾患の理学療法」ではCOPD 患者で観察されるフーバー徴候などの身体所見が写真で掲載され,よりリアルな患者像がイメージできるように配慮した.23 章「排痰法」の聴診音の分類では,肺雑音の発生機序が図によって説明され,呼吸のどの時期に肺雑音が聴取されるのかが明確になっている.27 章「糖尿病の理学療法」の「重症糖尿病合併例」の項では,足部保護の役割で用いられるオフロードデバイスが多数の図によって示された.これらは,臨床現場の理学療法士にも役立つ内容であろう.
近年,地域包括ケアの重要性が認識されている.9 章「心不全の理学療法」,18 章「呼吸器障害のADLとQOL,その他」の項には在宅医療と地域連携についての内容が加筆されている.
5 章「運動耐容能」と17 章「運動耐容能,呼吸困難,栄養」に記載されていた「運動耐容能の評価」については重複を避ける目的で5 章に統括した.このため5 章は大幅なボリュームアップとなっている.17 章は,「運動耐容能の評価」についての記述が減った分,呼吸困難,栄養の内容を充実させた.
初版から好評を得ていた巻末の症例問題には2 症例を追加した.がんの症例問題(症例8)と患者教育と行動変容へのアプローチが求められる症例問題(症例9)である.急増するがん患者に対応するため第4 版では28 章「がんの理学療法」の項が第3 版より7 頁ほど増頁となった.28 章で学んだ内容が症例問題を行うことでより臨床的な知識へ変換されるものと期待している.29 章「患者教育と行動変容へのアプローチ」は,対象者のコンプライアンスを引き出すことも理学療法士の役割と考える本書を特徴づける章である.症例問題を通じて,やる気の引き出し方の具体例が学べるはずである.
これまで同様,2020年から2022年にかけて内部障害に関連する各種ガイドラインの改定があった.第4 版でも最新のガイドラインに準じた内容に加筆・修正されていることを付け加えておく.
本書の改訂が進行中の昨年(2021 年)7 月に丸岡弘先生が本書の刊行を待たずしてご逝去された.初版よりともに本書を育ててこられた故丸岡弘先生のご冥福を祈り,これまでのご尽力に感謝の気持ちを捧げたい.
最後に本書が学校教育現場,臨床教育現場,そして臨床の理学療法士によって活用されることを願っている.
令和4 年11 月 編者を代表して 山ア裕司