根拠がわかる基礎・臨床看護技術
[1]日常生活援助[Web動画付]
| 編集 | : 櫻井美奈 |
|---|---|
| ISBN | : 978-4-524-23038-9 |
| 発行年月 | : 2026年4月 |
| 判型 | : B5判 |
| ページ数 | : 380 |
在庫
定価3,960円(本体3,600円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

実践シーンをイメージ化! 実習・学内演習に最適な技術テキスト「日常生活援助」編.豊富な写真・イラストや,複数のアングル(正面・背面・天井)から技術を立体的に捉えた100本以上の動画により,実践的なシミュレーション学習をサポートする.各手順に即して@根拠を丁寧に解説(コラム「教えて先生!」でさらに深堀り)し,A安全で効率のよい身体の動かし方(“ボディメカニクス”のポイント),B患者との信頼関係を築く“声かけ例”を紹介.看護技術の本質的理解と臨床判断能力向上をはかる一冊.
第1章 看護援助のための基本技術
1.援助のための環境調整
2.コミュニケーション
3.ボディメカニクス
4.日常生活における倫理的配慮
5.安全・安楽
5-1 看護援助と事故防止
5-2 看護援助と感染予防
5-3 安楽な看護援助
第2章 療養生活のための環境調整技術
1.療養環境
A.療養生活環境の構成要素
B.病床の環境調整
2.ベッドメイキング
3.臥床患者のリネン交換
第3章 活動援助技術
1.歩行・移動介助
A.歩行介助
B.T字杖による歩行介助
C.健側・患側のある人の階段昇降の介助
D.松葉杖による歩行介助
E.歩行器による介助
F.U字型歩行車による介助
2.車椅子移乗・移送
2-1 車椅子での移乗
A.ベッドから車椅子への移乗
B.車椅子からベッドへの移乗(全介助)
2-2 車椅子での移送
3.ストレッチャー移乗・移送
4.体位変換
4-1 仰臥位から端坐位へ
A.仰臥位から端坐位へ@ 自然な動き
B.仰臥位から端坐位へA 声かけによる介助
C.仰臥位から端坐位へB 部分介助
D.仰臥位から端坐位へC 全介助その1(自然な動きに沿った方法)
E.仰臥位から端坐位へD 全介助その2(いったん長坐位になる方法)
F.仰臥位から端坐位へE 全介助その3(一息に端坐位になる方法)
4-2 仰臥位から側臥位へ
A.仰臥位から側臥位へ@ 自然な動き
B.仰臥位から側臥位へA 部分介助(自然な動きを補助する方法)
C.仰臥位から側臥位へB 全介助
4-3 仰臥位から左右水平移動
A.仰臥位から左右水平移動@ 自然な動き
B.仰臥位から左右水平移動A 部分介助(自然な動きを補助する方法)
C.仰臥位から左右水平移動B 全介助その1(自然な動きに沿った方法)
D.仰臥位から左右水平移動C 全介助その2
E.仰臥位から左右水平移動D 全介助その3(和式布団などでの方法)
F.仰臥位から左右水平移動E 道具を用いる方法
4-4 仰臥位から上方水平移動
A.仰臥位から上方水平移動@ 自然な動き
B.仰臥位から上方水平移動A 部分介助(自然な動きを補助する方法)
C.仰臥位から上方水平移動B 全介助その1(自然な動きに沿った方法)
D.仰臥位から上方水平移動C 全介助その2(道具を用いる方法)
第4章 休息・安楽確保の技術
1.安楽な体位の調整
A.基本肢位と良肢位
B.安楽な体位のポイント
C.ポジショニングの評価と実施
2.褥瘡予防ケア
3.罨 法
第5章 食事の援助と口腔ケアの援助技術
1.食事介助
2.口腔ケア
第6章 排泄の援助技術
1.車椅子用トイレを利用する患者の援助
2.ポータブルトイレを利用する患者の援助
3.床上で排泄する患者の援助
第7章 清潔・衣生活の援助技術
1.寝衣交換
2.入浴・シャワー浴介助
3.足 浴
4.陰部の保清
5.清 拭
6.洗 髪
本書は,看護師の業の一つである「療養上の世話」となる日常生活援助に関わる看護技術についてとりまとめた,看護学生や新人看護師を主な読者とした技術書です.ここで取り上げる「療養上の世話」は食事や排泄,更衣,清潔,活動と移動,安楽,環境整備など人間が生活するうえで欠かせない営みへの援助であり,これらを初学者が理解しやすいよう基礎から解説しています.
わが国では,超高齢社会を迎えたことにより要介護高齢者人口も増加し,日常生活援助のスキルは介護に携わるすべての人に必要なものとなりました.保健師助産師看護師法が定める看護の対象は,「傷病者若しくはじよく婦」であり,看護師の行う援助には常に“病状の観察”を伴います.この点は看護における日常生活援助と,介護における日常生活援助との違いを示すものと考えますが,本質的には技術の原理原則に変わりはなく,本書は介護に携わる方にもぜひ手に取っていただきたい内容となっています.
本書を企画するにあたり,筆者らがとくに重視した点を2 つ挙げます.
まず,援助プロセスにおける「ボディメカニクス」の活用です.
腰痛は看護師においては職業病ともいわれます.全業種における腰痛発生件数は1978 年をピークに減少しているものの,医療保健業や社会福祉業を含む保健衛生業における腰痛発生件数は増加し続けており,腰痛発生率(死傷年千人率)は全業種平均の0. 1 を上回る0. 25 となっています(厚生労働省:腰痛予防対策,「腰痛発生件数の推移」).
腰痛の発生要因である「動作要因」「環境要因」「個人的要因」の3 つのうち,日常生活動作の援助においては,重量物を「持ち上げる」「押す」「引く」などの動作や中腰動作など「動作要因」にあたる作業・姿勢が多くあります.またベッド周りの作業場所が狭い,物品の配置が悪いなどの「環境要因」に加え,年齢・性別・体格など「個人的要因」もかかわってきます.それらのうち「動作要因」を軽減し,腰痛予防対策として有効なのが「ボディメカニクス」です.ボディメカニクスの学習は技術教育の基盤として行われ,その原則は広く浸透しながらも,活用は十分とはいえません.その理由の一つは,ボディメカニクスも技術であり,習得に時間を要するからでしょう.さらには,患者との体格の違いや個人の身体特性などの「個人的要因」を考慮しない,画一的な技術教育の存在もあると感じます.本書では,ボディメカニクスを意識した援助によって身体への負担が軽減することを実感してもらい,身体の使いかたのコツを身につけること,また日常のふとした動作のなかでも活用できることを目指します.
もう1 つ,本書において重視した点は「患者の自然な動き」を意識した援助です.少子超高齢社会に対応し,また高度急性期医療から在宅医療・介護へと,地域包括ケアシステムへの変遷が進む昨今では,「その人らしく生活すること」を支える看護がますます必要となります.看護師にとっての効率性だけではなく,身体の自然な動きを理解し,患者のセルフケアの状況に応じた援助を行うことが重要です.患者の強みを活かしながら,自立へ向け機能回復という視点を取り入れた援助を行うことで,患者の自己肯定感と生活する力を育み,患者の健康に資することができると考えます.
その他の特長についても紹介します.
紙面にはイラストや写真を多く配置し,技術を視覚的・実践的に理解できるように工夫しています.手順に沿って根拠やポイントを紹介することで,手順の背景にある本質的な理解をはかり,実習・演習の場で十分に活用・応用できることをねらいとしています.深く掘り下げたい事柄や学生の皆さんからよく質問を受ける内容についてはコラム「教えて先生!」で詳しく解説します.
加えて,手順に沿って患者への声かけ例を紹介しています.患者とのコミュニケーションは,援助を受ける患者の安心・安楽を促すだけでなく,たとえば患者をアセスメントする機会ともなります.本書の声かけ例を参考にしながら,患者の様子を観察するきっかけにもしてもらえればと考えます.
動画も充実させました(約100 動画).重要な技術については,いくつかの選択肢を紹介しており,たとえば体位変換では,患者の自立度に応じて複数のパターンを用意しています.また,動きを立体的に理解できるように,正面から・別角度から・天井からといった複数アングルから視聴できるようにしています.テキストとともに学習するのもよいですし,動画だけを繰り返し学習するのもお勧めです.
本書が,皆さんの援助の原理原則に対する理解を促し,患者の安全・安楽・自立,そして自身の身体を守りながら,無理なく健やかに援助を実践するための一助となることを願っています.最後になりましたが,本書企画から長きにわたり,辛抱強くご尽力くださった南江堂の梶村野歩雄氏に厚く御礼申し上げます.
2026 年2 月
櫻井 美奈

