根拠がわかる母性看護技術[Web動画付]
編集 | : 中村幸代 |
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ISBN | : 978-4-524-23026-6 |
発行年月 | : 2024年7月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 216 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
正誤表
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2024年10月15日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
母性看護学の実習・学内演習に最適な技術参考書.妊娠期・分娩期・産褥期・新生児期の「観察技術」「ケア技術」「サポート技術」を,豊富な写真・イラスト・Web動画とともに解説.手順の理解だけでなく,背景にある具体的な根拠・ポイントをていねいに示し「考える」母性看護技術の実現をめざす.実施前の受け持ち妊婦へのあいさつ,実施中の声かけ例,実施後の実習指導者への報告などのコミュニケーション方法も紹介.限られた実習時間のなか,着実な看護実践能力向上に役立つ1冊.
第1章 母性看護技術の考え方
A.母性看護学の5 つの特徴
B.母性看護技術の特徴
C.母性看護過程の全体像と3 つのつながりを意識して母性看護技術をとらえる
第2章 妊娠期
1.妊娠期のケアの特徴
2.妊娠期の看護技術
■受け持ち妊婦が決まった初日の挨拶,実習終了時の挨拶,スタッフへの報告の仕方
A.観察技術
■尿蛋白・尿糖の検査
■レオポルド触診法
■子宮底長の計測
■腹囲の測定
■浮腫の観察
■冷え症の有無の確認
■胎児心拍数の計測
■ノンストレステスト(NST)
■超音波検査
■胎児の発育:バイオフィジカルプロファイルスコア(BPS)
B.ケア技術
■肩や下肢のマッサージ
■足浴
■内診介助
C.サポート技術
■冷えとりエクササイズ
■会陰マッサージ
■バースプランニング
第3章 分娩期
1.分娩期のケアの特徴
2.分娩期の看護技術
2-1.正常分娩
■受け持ち産婦(分娩開始前もしくは前駆期であれば妊婦)が決まった初日の挨拶,実習終了時の挨拶,スタッフへの報告の仕方
A.観察技術
■陣痛の観察
■子宮口開大度の測定
■胎児下降度の測定
■分泌物,羊水の性状,破水の有無の観察
■食事・排泄・休養・疲労・冷えの有無の観察
■産痛の観察
■胎児心拍数陣痛図(CTG)の読み取り方
B.ケア技術
■環境整備(音や照度など)
■産痛の軽減
■陣痛の促進
■栄養補給,水分補給
■排泄の介助
■清潔8
■早期母子接触
C.サポート技術
■家族の立ち会い
2-2.無痛分娩
■受け持ち妊婦(分娩開始前)もしくは産婦が決まった初日の挨拶,実習終了時の挨拶,スタッフへの報告の仕方
A.観察技術
■麻酔薬・陣痛促進剤の投与量の調節と分娩進行の評価
■胎児心拍数陣痛図(CTG)による胎児の健康状態と陣痛の管理
■血圧の管理
B.ケア技術
■導尿
■体位変換
C.サポート技術
■ストレスや不安の緩和
■バースプランの実施
第4章 産褥期
1.産褥期のケアの特徴
2.産褥期の看護技術
2-1.正常分娩
■受け持ち褥婦が決まった初日の挨拶,実習終了時の挨拶,スタッフへの報告の仕方
A.観察技術
■子宮収縮状態の観察
■悪露・外陰部の観察
■乳房・乳輪の状態・乳汁分泌状態の観察
■全身状態の観察
■精神状態の観察
B.ケア技術
■子宮の輪状マッサージ
■バースレビュー
C.サポート技術
■授乳指導
■産褥体操
■退院後の生活を見据えた指導
2-2.帝王切開術
A.観察技術
■子宮収縮状態の観察
■悪露の観察
■乳汁分泌状態の観察
■全身状態の観察(創部を含む)
■精神状態の観察
■活動拡大状態の観察
B.ケア技術
■授乳姿勢(添い寝授乳)の介助
C.サポート技術
■授乳指導
2-3.産後健診
A.観察技術
■メンタルヘルスの観察
B.サポート技術
■授乳指導
■予防接種の進め方の指導
■現在の生活に対する指導
column 外国人妊産婦を受け持つ際のコミュニケーションのポイント
第5章 新生児期
1.新生児期のケアの特徴
2.新生児期の看護技術
A.観察技術
a.出生直後のケア
■アプガースコアの測定
■初期蘇生
■その他の児の評価の指標: シルバーマンスコア(リトラクションスコア)の測定
■標識装着
■臍処置
■点眼
b.新生児の身体計測
■頭位測定
■胸囲測定
■身長測定
■体重測定
c.バイタルサイン測定
■呼吸測定
■心拍測定
■体温測定
d.フィジカルアセスメント
■全身の観察
■頭部の観察
■顔面(眼・鼻・口腔・耳)の観察
■頸部・胸部の観察
■腹部の観察
■背部・臀部の観察
■外陰部の観察
■股関節・四肢の観察
■皮膚の観察
■原始反射の観察
■哺乳状態の観察
■排泄状態の観察
e.経皮ビリルビン値の測定
f.体重測定
B.ケア技術
a.環境整備
■室内の環境整備
■ベビーコットの環境整備
b.移送
c.沐浴(含臍処置)・ドライテクニック
■沐浴
■ドライテクニック
d.更衣
e.おむつ交換
f.抱っこ(横抱き)
g.児を落ち着かせるスキル
h.哺乳瓶による授乳
i.早期母子接触
C.サポート技術
a.母子同室への支援
■産婦への説明方法
b.退院後の生理的変化についての指導
■産婦への説明方法
column HUG Your Baby育児支援プログラム
付録
妊娠期
産褥期
新生児期
参考文献
索引
はじめに
近年,看護学生は,母性看護学実習をイメージすることが難しい状況にあります.身近に妊産婦や新生児が存在しないことが一因として挙げられます.また,社会的な変化と役割の複雑化により,その多様性に対応することが求められていることもその理由です.上記に加え,昨今,母性看護学実習に変化が見られます.特に,様々な感染症の影響により,常に身近であった臨地での実習が貴重なものとなりました.このような状況下で,貴重な臨地実習をより身近に感じ,効果的に実施することが重要となっています.
本書は,このような課題に対し,限られた臨地での実習時間を最大限に活かすための母性看護技術の書籍です.本書の特徴は,実習での1 つ1 つの場面で最大限の学びができるよう,実習場面を想定した構成としている点であり,事前に実習のイメージ化を図れる工夫を多くしています.
例えば,豊富な写真と動画を使用しています.写真はビジュアル面を重視し,読者が母性看護の実践シーンをイメージしやすくするために大きめに掲載されています.また,動画も撮影し,読者が実際のケアシナリオを視覚的に体験できるようにしています.加えて本書では,『根拠がわかる母性看護過程』(南江堂,2018 年)との連動を重視しています.母性看護学実習の理論的な背景と実践的な技術を相互に補完させることで,学習効果が最大化されます.さらに,各章は,母性看護過程(妊娠期−分娩期−産褥期−新生児期)に沿って,独立して利用できるため,読者のニーズに合わせて柔軟に活用することができます.そして,他の類書にはない内容として,看護学生が必ず実施するべき受け持ち妊婦への挨拶や実習指導者への報告の仕方,執筆者の専門性に基づいたケア技術(冷えとりエクササイズ,会陰マッサージ,HUG Your Baby 育児支援プログラムなど),昨今の周産期医療・看護の特徴である無痛分娩,産後のメンタルヘルス,外国人妊産婦とのコミュニケーションなども含まれています.
最後に,母性看護学は,幾多も芽吹くいのちをつむぐ学問です.新しく産まれるいのちは様々です.幸せで満ち足りたいのちもあれば,不安を抱えたいのちや,果ててしまいそうないのちも存在します.このような多様ないのちに寄り添いながら,個々のいのちを大切に育むサポートが看護師に求められます.このためには,まず客観的な根拠に基づく高度な専門的な知識や技術,応用力が必要です.しかし,これだけでは十分ではありません.母性看護技術の根幹として,人間としての「こころ」を伝えることを忘れてはなりません.母性看護技術は単に技術を実践するだけでなく,実施者の「こころ」を伝えることが重要です.このことが,人工知能(AI)では代替できない,母性看護技術の本質であると考えています.
本書は,必要な内容が凝縮されており,自信を持ってお勧めできるものです.学生はもちろん,大学や専門学校の教員や実習指導者にも幅広く活用していただけることを願っています.
2024 年5 月
中村 幸代