栄養看護 専門病態栄養看護師ガイドブック
編集 | : 日本病態栄養学会 |
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ISBN | : 978-4-524-22994-9 |
発行年月 | : 2021年7月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 144 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
日本病態栄養学会が新たに創設した「専門病態栄養看護師」のためのテキスト.受験者には,認定試験の受験資格を得るために必要なセミナーの必須テキストとして,またNST活動における知識の更新・レベル向上に役立ち,実地臨床での教育ツールとしても活用できる.日常の栄養管理業務にも役立つように配慮され,栄養管理に携わる看護師にとって必携の一冊.
T章 専門病態栄養看護師とは
1.栄養看護
A 看護師の専門性
B 栄養管理における看護
2.栄養管理における看護師の役割と専門病態栄養看護師の役割
A 栄養管理の各プロセスにおける看護師の役割
B 退院支援における看護師の役割
C 栄養看護
D 専門病態栄養看護師の役割
3.専門病態栄養看護師制度
4.本テキスト以外の必要知識
U章 各種状態における栄養学的特徴
1.小 児
A 糖質の消化・吸収
B 糖質代謝の特徴
C たんぱく質の消化・吸収
D アミノ酸代謝の特徴
E 脂質の消化・吸収
F 脂質代謝の特徴
G 体液の特徴
H 摂食・嚥下機能の発達
I 栄養評価
J 日本人の食事摂取基準(2020 年版)
K 小児の栄養必要量
2.高齢者
A 高齢者特有の身体的特徴
B 高齢者の栄養に関わるエネルギー代謝
C 高齢者の栄養評価
D 高齢者の栄養状態と健康障害
E 高齢者の栄養状態を左右する要因
F フレイル・サルコペニアの問題
G 高齢者の抱える疾病と食事(栄養)療法
3.るい痩
A るい痩とは
B るい痩の基本像と悪液質
C るい痩(マラスムス)にみられる代謝変動
D 骨格筋量減少の悪影響
E 疾患に伴うるい痩(悪液質)
4.肥 満
A 肥満の定義・診断
B 肥満症の減量目標・治療目標
C 肥満症の治療
D サルコペニア肥満
E obesity paradox
V章 看護師の専門性と栄養看護
1.体重減少
A 集中的な観察と医学的根拠に基づく栄養状態の判断
B 病態および栄養状態に関する患者の不安・悩みに対する相談と安心の提供
2.摂食不良・食欲不振
A 食べられない・食べない患者に対する看護ケア
B 食欲調整のメカニズム
C 集中的な観察と医学的根拠に基づく栄養状態の判断
D 必要な栄養量の投与,摂取障害要因の排除・改善
E 患者の生活・価値観を注視した栄養療法の実施
F 摂食不良・食欲不振の改善
3.食嚥下障害
A 集中的な観察と医学的根拠に基づく栄養状態の判断
B 専門的知識に基づく安全な栄養療法の実施
C 必要な栄養量の投与,摂食障害要因の排除・改善
D 患者の生活・価値観を注視した栄養療法の実施
4.褥瘡予防と治癒促進
A 褥瘡とは
B スキン- テアとは
C 集中的な観察と医学的根拠に基づく栄養状態の判断
D 必要な栄養量の投与,摂取障害要因の排除・改善
E 病態および栄養状態に関する患者の不安・悩みに対する相談と安心の提供
5.がん(薬物療法・放射線療法・終末期)
A 集中的な観察と医学的根拠に基づく栄養状態の判断
B 専門的な知識に基づく安全な栄養療法の実施
C 必要な栄養量の投与,摂取障害要因の排除・改善
D 患者の生活・価値観を注視した栄養療法の実施
6.周術期
A 集中的な観察と医学的根拠に基づく栄養状態の判断
B 専門的な知識に基づく安全な栄養療法の実施
C 術前・術後の摂取障害要因の排除・改善
7.身体機能改善リハビリテーション
A リハビリテーション看護
B 栄養看護
C 集中的な観察と医学的根拠に基づく栄養状態の判断
D 専門的な知識に基づく安全な栄養療法の実施
E 身体機能改善リハの栄養管理における看護師の役割
8.栄養投与デバイス管理(カテーテル・胃瘻)
8-1.静脈栄養デバイス
A 専門的な知識に基づく安全な栄養療法の実施
8-2.経腸栄養デバイス
A 専門的な知識に基づく安全な栄養療法の実施
B 必要な栄養量の投与,摂取障害要因の排除・改善
C 患者の生活,価値観を注視した栄養療法の実施
D 栄養療法に起因する安楽障害の発見と対応
E 病態および栄養状態に関する患者の不安・悩みに対する相談と安心の提供
9.意思決定支援
A 患者の生活・価値観を注視した栄養療法の実施
10.在宅栄養管理
A 在宅療養者および介護者の生活・価値観を注視した栄養療法の実施
B 専門的な知識に基づく安全な栄養療法の実施
C 病態および栄養状態に関する療養者の不安・悩みに対する相談と安心の提供
わが国の医療現場にチーム医療の重要性が認識され,今世紀に入ってその流れが一気に加速しました.特に栄養管理領域はその原動力となり,実践部隊である多職種メンバーによる「栄養サポートチーム(nutrition support team:NST)」結成の機運が全国的に高まることになりました.また,栄養管理の必要性が評価された証拠として平成18 年度の診療報酬改定により「栄養管理実施加算」が,平成22 年度には「栄養サポートチーム加算」が新設され現在に至っており,チームには医師,管理栄養士,薬剤師に加え看護師メンバーの在籍が必要です.
チーム医療に望まれるものは,チームメンバーで一緒になって院内を闊歩することではありません.それぞれのチームメンバーが患者さんに直接向き合って,傾聴と思いを共感するところから始め,各職種なりの専門性を生かした診療提案をする.それをチームメンバー同士でお互いに敬意を払いながら共有し,最終的な診療方針の決定をしていくこと,また現場へできる限りのQuick Response で対応してフィードバックすることがチーム活動のあるべき姿です.
日本病態栄養学会では,今までにNST 活動を担う各職種の専門性向上を支援するために「病態栄養専門医」,「病態栄養専門管理栄養士」,「NST コーディネーター」などの認定制度を整備するとともに,『病態栄養専門医テキスト』,『認定NST ガイドブック』,『病態栄養専門管理栄養士のための病態栄養ガイドブック』などのテキストを刊行してきました.一方,日本看護協会の認定看護師制度のなかに分野がない栄養領域では,現在までその専門性を支援するための仕組みがわが国では存在しませんでした.
NST チーム活動の質向上が求められるなかで,最も患者さんに接する時間が長い看護職にとって,わが国で初めての専門性支援の試みが「日本病態栄養学会認定専門病態栄養看護師」制度であります.今回,その認定に必要な知識を得るための教科書として『栄養看護―専門病態栄養看護師ガイドブック』の出版を実現することができました.よりよい栄養管理を実践するにあたっての「栄養看護」の概念,NST チーム活動のなかでの看護師の役割,専門病態栄養看護師制度の説明などに始まって,各種状態における栄養学的特徴,看護師の専門性と栄養看護などを網羅し,丁寧に書き下ろしたものです.
本テキストが,すべての患者さんの日常診療で必須となる栄養管理の基礎を学ぶとともに,「栄養看護」を理解し,看護師の専門性を生かしたNST 活動の質向上につながること,「専門病態栄養看護師」の認定資格取得の教科書として大いに活用されることを期待しています.ぜひご精読いただき,本書の内容について現場からの忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いです.
令和3 年5 月
ぎふ綜合健診センター所長・岐阜大学名誉教授
日本病態栄養学会理事・専門病態栄養看護師委員会委員長
村上 啓雄