神経内科学テキスト改訂第5版
編集 | : 江藤文夫/飯島節/伊東秀文 |
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ISBN | : 978-4-524-22891-1 |
発行年月 | : 2023年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 416 |
在庫
定価5,500円(本体5,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
難解と敬遠されがちな神経内科学を,図表を多数用いてわかりやすく解説.「神経内科学総論」「神経診断学」「神経疾患各論」の3部からなり,系統的な知識の整理が可能である.医療系学生にとって重要な,神経内科学からつながる「リハビリテーション」に関する記述が充実.最新の情報に更新するとともに,練習問題,指定難病対象疾病(神経・筋疾患)一覧,略語一覧を新たに追加した充実の改訂版.
I 神経内科学総論
A. 神経内科学とは
B. 神経・筋疾患とリハビリテーション
C. 神経解剖学の基礎
1 神経系の起源と区分
2 神経系の細胞構築と化学的神経回路
3 ニューロンの細胞体と線維の分布
4 脊髄と脊髄神経
5 脳幹と脳神経
6 小 脳
7 間 脳
8 大脳基底核
9 大脳皮質
10 機能系
11 脳と脊髄への血液供給
D.神経生理学の基礎
1 静止電位
2 活動電位
3 シナプス
E.神経薬理学の基礎
1 薬物作用機序の概要
2 薬物動態
3 神経系に作用する薬物
F.分子遺伝学の基礎
1 メンデルの法則と遺伝子
2 遺伝子とDNA
3 遺伝子発現
4 DNAの変異と神経疾患
5 染色体
6 遺伝子異常と病気
7 原因遺伝子同定のアプローチ
8 倫理的配慮
G.神経免疫学の基礎
1 神経内科学における免疫学の重要性
2 免疫系のなりたち
3 胸腺内選択,腸管免疫と自己免疫
4 まとめ
H.神経系の発達と加齢
1 神経系の発達
2 神経系の加齢
II 神経診断学
A.神経診断学とは
1 病歴のとり方
2 神経学的診察法
B.各機能の診かた
1 意識障害
2 高次脳機能障害
3 脳神経
4 運動系
5 感覚系
6 自律神経系
7 反 射
C.検査法
1 画像診断
2 電気生理学的検査
3 筋生検・神経生検
4 脳脊髄液検査
5 自律神経機能検査
III 神経疾患各論
A.脳血管障害
1 脳血管障害とは(分類)
2 疫 学
3 脳血管の解剖と生理
4 脳出血
5 くも膜下出血
6 脳梗塞
7 一過性脳虚血発作
8 高血圧性脳症
9 脳静脈・静脈洞血栓症
10 無症候性脳血管障害
B.変性疾患
1 変性疾患とは
2 大脳基底核障害を示す疾患
3 脊髄小脳変性症
4 運動ニューロン疾患
C.脱髄疾患
1 脱髄疾患とは
2 多発性硬化症
3 視神経脊髄炎
4 急性散在性脳脊髄炎
5 白質ジストロフィー
D.末梢神経障害(ニューロパチー)
1 末梢神経障害(ニューロパチー)とは
2 末梢神経障害各論
E.筋疾患(ミオパチー)
1 筋疾患(ミオパチー)とは
2 筋疾患各論
F.神経筋接合部疾患
1 神経筋接合部疾患とは
2 重症筋無力症
3 筋無力症候群
G.脳腫瘍
1 脳腫瘍総論
2 脳腫瘍各論
H.脊髄疾患
1 脊髄障害による神経症候
2 脊髄血管障害
3 脊椎疾患
4 脊髄・延髄空洞症
5 脊髄炎
6 放射線脊髄症
7 脊髄腫瘍
I.感染性疾患
1 髄膜炎
2 脳 炎
3 遅発性ウイルス感染症
4 急性灰白髄炎
5 後天性免疫不全症候群(エイズ)
6 HAM
7 脳膿瘍
8 神経梅毒
J.先天異常,脳性麻痺
1 先天異常総論
2 先天異常による疾患各論
3 脳性麻痺
4 分娩時損傷
5 二分脊椎症
K.代謝,中毒性疾患,内科疾患による神経障害
1 全身疾患
2 欠乏症
3 中毒性疾患
L.外 傷 中村 健
1 外傷性脳損傷
2 外傷性脊髄損傷
3 外傷性末梢神経損傷
M.自律神経疾患
1 自律神経障害をきたす疾患
N.機能性疾患
1 てんかん
2 頭 痛
3 めまい
4 睡眠障害
O.認知症疾患
1 認知症とは
2 疫 学
3 診 断
4 認知症疾患各論
5 認知症疾患の治療・介護・リハビリテーション
付 録
参考図書
索 引
改訂第5版の序文
本書が理学療法士,作業療法士をはじめリハビリテーション医療に携わる専門職を目指す学生ならびに臨床家のためのテキストとして刊行されて以来22年が過ぎた.この間に,医学研究の進歩に合わせて神経内科学と神経科学に関する新しい知見は,各領域にわたり日々増大し続けている.そのため,テキストの有用性を高めるために今回も全体の構成を見直し,各領域の新しい知見を加筆し,改訂を行った.そして,今回から編者として和歌山県立医科大学脳神経内科学講座の伊東秀文教授にご参加いただいた.
改訂第5版においても,学生のために理学療法士作業療法士国家試験出題基準に則した項目を取り上げるように配慮し,各疾患の項では,治療に加えリハビリテーションに関する記述を含めるよう努めた.また,学習意欲の向上とより効率のよい学習支援のため,各項の冒頭で「学習目標」を設定するとともに,復習と確認のために各項ごとに「練習問題」を加えた.
神経疾患の病理が明らかになりつつあることに伴い,薬物治療の選択肢も拡大することが期待される.また,損傷された神経機能の可塑性に着目して,構造的修復をめざした機能回復訓練手技の開発にも熱心に取り組まれるようになった.さらに細胞レベルでの機能強化や修復を目指して,細胞を基盤とした再生医療の研究も展開しつつある.
一方,臨床現場では神経疾患による固有の症状の管理と,疾患に関連した日常生活や社会生活における制限や制約の解消が最大の関心事である.医学的診断に始まり,障害の評価に基づき,各専門職種による適切な対応があって,患者の健康回復とQOLの向上が達成される.日常生活での自立と社会参加の実現を支援するリハビリテーション医療では,複数の専門職が連携して取り組む必要がある.そこではそれぞれの立場からの発言が求められ,事例検討における意思の疎通を高めるため,医師を含め各種専門職にとっては,疾患の確実な理解と専門用語の共有が大切である.その目的でも本書は最適である.
本書の各執筆者は臨床の最前線で診療や研究に携わりつつも,医療職を目指す学生の教育にも熱心にかかわり,学生の学習意欲の向上にも努めておられる方々であることから,本書が学生にとって勉学のためのよき伴侶として役立つことを確信している.学生諸君が,このテキストを活用して,神経内科学と脳神経内科診療に慣れ親しみ,知識を確実なものとするだけでなく,神経学の面白さに目覚め,より専門的興味を抱いて,リハビリテーション領域の神経学を発展させる人材となっていくことを期待している.
2023年1月
江藤 文夫
飯島 節
伊東 秀文