健康・栄養科学シリーズ
食べ物と健康 食品の科学改訂第3版
監修 | : 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 |
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編集 | : 太田英明/白土英樹/古庄律 |
ISBN | : 978-4-524-22872-0 |
発行年月 | : 2022年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 352 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
食品の機能と分類,食品ごとの栄養成分・特性など,管理栄養士業務の基本となる知識をわかりやすく解説したテキストの改訂版.化学の知識を復習しながら理解できるよう構成.今改訂では管理栄養士国家試験出題基準(2019年改定)に準拠し,日本食品標準成分表2020年版(八訂)に対応.4色化に加えて紙面デザインをリニューアルし,レベルは維持しながら,読みやすく理解しやすい工夫を盛り込んだ.
【主要目次】
第1章 人間と食品(食べ物)
A.食文化と食生活
1 人類の誕生と食生活
2 出アフリカ(食料を求めて新天地へ)
3 ホモ・サピエンスの登場
4 狩猟採集生活から農耕牧畜生活へ
B.食物連鎖
1 食物連鎖と生態系
2 食物連鎖と生物濃縮
C.食生活と健康
1 健康寿命とQOL
2 食品の安全性
3 生活習慣としての食生活の質の向上
4 食育の必要性
D.食料と環境問題
1 食料自給率の低下
2 フード・マイレージ
3 地産地消
4 食品ロス,食品ロス率
練習問題
第2章 食品の一次機能
A.食品の一次機能とは
1 食品の3つの機能
2 栄養機能(一次機能)
B.水
1 食品と水分
C.たんぱく質
1 たんぱく質を構成しているアミノ酸
2 ペプチド結合
3 たんぱく質の構造
4 たんぱく質の種類と分類
5 たんぱく質の性質
6 たんぱく質の定量分析
7 たんぱく質の変性と凝集
8 たんぱく質の栄養性
9 酵素
D.炭水化物(糖質,食物繊維)
1 糖質
2 食物繊維
E.脂質
1 脂質の定義と種類
2 油脂の物理化学的性質
3 油脂の理化学的試験法
4 油脂の性質と加工
5 油脂の劣化
6 脂質の栄養
F.ビタミン
1 ビタミンの定義と分類
2 脂溶性ビタミン
3 水溶性ビタミン
G.ミネラル
1 ナトリウム
2 カリウム
3 カルシウム
4 マグネシウム
5 リン
6 鉄
7 亜鉛
8 銅
9 セレン
10 マンガン
11 クロム
12 ヨウ素
13 モリブデン
14 その他の元素
練習問題
第3章 食品の二次機能
A.食品の二次機能とは
B.色素成分
1 ポルフィリン系色素
2 カロテノイド系色素
3 フラボノイド系色素
4 その他の色素
C.呈味成分
1 甘味成分
2 酸味成分
3 塩(鹹)味成分
4 苦味成分
5 うま味成分
6 辛味成分
7 渋味成分
8 えぐ味成分
D.香気・におい成分
1 植物性香気成分・におい成分
2 動物性香気成分・におい成分
3 その他の香気・におい成分
E.食品の物性
1 コロイド
2 レオロジー
3 テクスチャー
F.官能評価
1 官能評価の目的と意義
2 官能評価の基本と方法
3 官能評価における留意事項
練習問題
第4章 食品の三次機能
A.食品の三次機能とは
B.消化管内で機能する成分
1 難消化性成分の機能
2 脂質の消化・吸収
C.抗酸化作用
1 活性酸素とは
2 抗酸化作用
3 抗酸化酵素
4 抗酸化ビタミン類
5 カロテノイド類
6 ポリフェノール類
7 その他の抗酸化物
D.免疫系で作用する成分
E.神経系で作用する成分
F.循環器系に作用する成分
1 高血圧予防
2 動脈硬化予防
3 血栓予防
G.代謝に作用する成分
1 代謝とは
2 代謝に着目した食品機能研究
3 ニュートリゲノミクス
H.骨・歯系に作用する成分
1 カルシウムの吸収機構
2 カルシウム吸収に関与する成分
3 骨の形成に関与する成分
4 むし歯予防に関与する成分
第5章 食品表示と規格基準
A.食品の表示の種類と規格基準
1 食品表示基準の概要
2 食品表示の種類と概要
B.健康や栄養に関する表示の制度
1 栄養表示制度
2 保健機能食品制度
3 特別用途食品
4 いわゆる健康食品の概略
C.規格基準
1 食品一般の規格基準
2 乳および乳製品の規格基準
練習問題
第6章 食品の分類と食品成分表
A.食品の分類
1 生産様式による分類
2 原料による分類
3 主要栄養素による分類
4 食習慣による分類
5 その他の分類
B.日本食品標準成分表の理解
1 はじめに
2 日本食品標準成分表2020 年版(八訂)の詳細
3 日本食品標準成分表2020 年版(八訂)アミノ酸成分表編の概要
4 日本食品標準成分表2020 年版(八訂)脂肪酸成分表編の概要
5 日本食品標準成分表2020 年版(八訂)炭水化物編の概要
練習問題
第7章 植物性食品の分類と成分
A.穀類
1 穀類の特徴
2 米
3 小麦
4 大麦
5 とうもろこし
6 そば
7 その他の穀類
B.いも類
1 生産と消費
2 栄養的・生理機能的特徴
3 主ないも類の種類
C.豆類
1 豆類の特徴
2 大豆
3 小豆
4 いんげん豆
5 えんどう
6 ささげ
7 そら豆
8 緑豆
9 その他の豆類
D.種実類
1 分類・成分特徴
2 生産・消費動向
3 主な種実類の特徴
E.野菜類
1 分類・成分特徴
2 生産・消費動向
3 主な野菜類の特徴
F.果実類
1 分類・特徴
2 生産・消費動向
3 主な果実類の特徴
G.きのこ類
1 生産と消費
2 栄養的・生理機能的特徴
3 種類(主なきのこ類の特徴)
H.藻類
1 生産と消費
2 栄養的・生理機能的特徴
3 主な藻類の特徴
練習問題
第8章 動物性食品の分類と成分
A.肉類
1 食肉の構造
2 食肉の化学成分
3 主な肉類の特徴
4 食肉の熟成と成分の変化
5 食肉中の機能性成分
6 加工食肉製品
B.魚介類
1 分類
2 魚肉の構造
3 成分
4 魚の死後の変化と鮮度保持
5 主な魚介類の特徴
C.乳類
1 乳牛の品種
2 牛乳の成分
3 主な牛乳・乳製品の特徴
4 牛乳・乳製品の三次機能
D.卵類
1 卵の種類と構造
2 卵の一般成分
3 卵の鮮度評価
4 卵の加工特性
5 卵の加工品
6 卵の三次機能
練習問題
第9章 油脂,調味料,香辛料,嗜好飲料の分類と成分
A.油脂類
1 食用油脂の分類
2 主な植物性油脂
3 主な動物性油脂
4 主な加工油脂
B.甘味料
1 甘味料の特性
2 天然甘味料
3 人工甘味料
C.調味料
1 食塩
2 酸味料
3 うま味調味料
4 みそ
5 しょうゆ
6 ウスターソース
7 ドレッシング,マヨネーズ
8 トマトケチャップ
D.香辛料
1 香辛料の特性
2 辛味作用
3 賦香作用
4 矯臭作用
5 着色作用
E.嗜好飲料
1 茶
2 コーヒー,ココア
3 嗜好飲料に含まれる機能性成分
4 JAS分類について
練習問題
第10章 微生物利用食品の分類と成分
A.アルコール飲料
1 醸造酒
2 蒸留酒
3 混成酒
B.発酵調味料
1 みそ
2 しょうゆ
3 食酢
4 みりん
C.その他の微生物利用食品
1 漬物
2 納豆
3 かつお節
D.微生物利用食品と関与する微生物
練習問題
参考図書
練習問題解答
索引
現代人の多くは,生産・加工・保存・流通を経て調理された食品を摂取して,日常の生命活動を支えている.食を支える産業は,食料生産を行う一次産業,食料の加工や輸送,貯蔵などに関わる二次産業,その販売,外食,金融や情報面を支える三次産業によって成り立っており,多くの方がこれらの食産業に従事している.
栄養士・管理栄養士養成課程の学生に対する栄養学・食品学は,生活習慣病の予防を目的に,五大栄養素とその摂取・代謝に重点を置いた基礎教育である.管理栄養士国家試験出題基準(2019 年改定)において,食品学関連分野(食べ物と健康)の出題のねらいには,「@食品の分類,成分及び物性を理解し,人体や健康への影響に関する知識を問う.」「A食品素材の成り立ちについての理解や,食品の生産から加工,流通,貯蔵,調理を経て人に摂取されるまでの過程における安全性の確保,栄養や嗜好性の変化についての理解を問う.」「B食べ物の特性を踏まえた食事設計及び調理の役割の理解を問う.」の3 点があげられて いる.他方,フードスペシャリストなど食の専門家を目指す学生も,主として食品の機能性に着目した栄養性(一次機能),嗜好性(二次機能),生理機能性(三次機能)を掲げた食品科学の教育を受けている.食の栄養面を強調したのが栄養科学,食の科学的側面を強調したのが食品科学であり,どちらも同じ「食べ物」を対象としている.
本書「食べ物と健康 食品の科学」の改訂第2 版の刊行から約4 年が経過したが,この間,日本食品標準成分表2020 年版(八訂),日本人の食事摂取基準(2020 年版),食品衛生法などが改訂・改正された.新たな保健機能食品である機能性表示食品も多数販売されて健康食品市場をけん引しており,食を取り巻く環境はさらに大きく変化している.これらの状況に鑑みて,新たに改訂第3 版を刊行することとした.
改訂第3 版ではこれまでと同様に,食品科学に軸足を置き,食品成分とその変化,食品の嗜好性に影響する色,におい,味,食感(口腔内触感)について最新の知見を盛り込んだ.表示や規格,官能評価などについても加筆し,食の専門家を目指す学生にも配慮した.なお,消費比率の5 割を占める加工食品と2 割を占める外食に関連する,食品の加工や貯蔵の原理,加工・貯蔵中の成分変化,個々の加工食品については,同時に改訂した姉妹書「食べ物と健康 食品の加工」で学習していただきたい.さらに,改訂第3 版ではシリーズ全体のリニューアル方針に従って紙面デザインを一新したほか,オールカラー化とともに第7 章以降には食品イラストを追加し,学習の一助とした.
執筆者はいずれもこの分野の専門家であるが,内容に不十分な点があった際は読者諸賢のご指摘・ご叱責を得てより良い教科書に改訂していきたい.最後に本書の刊行にあたり,企画段階からご尽力頂いた南江堂の内田慎平氏, 制作の労をとられた宮本博子氏をはじめ関係者に厚く感謝申し上げる.
2022 年1 月
編集者を代表して
太田英明