新しい食品加工学改訂第3版
食品の保存・加工・流通と栄養
編集 | : 村仁知/森山達哉 |
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ISBN | : 978-4-524-22851-5 |
発行年月 | : 2022年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 234 |
在庫
定価2,750円(本体2,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
食品加工に関する全般的な知識をコンパクトにまとめた好評テキストの改訂版.豊富な図表と具体例を用いた解説で初学者にも配慮した構成が特徴.今改訂では日本食品標準成分表2020年版(八訂),改正食品表示法に対応したほか,管理栄養士国家試験出題基準(2019年改定)に準拠.
第1章 序論−食品加工の意義
第2章 食品保存(貯蔵)の原理
A 食品の劣化の原因
B 温度の制御による保存
C 水分の制御による保存
D 浸透圧を利用した保存
E 水素イオン濃度(pH)の調節による保存
F 殺菌による保存
G くん煙の利用による保存
H 放射線の利用による保存
I 環境ガスの調節による保存
J 食品添加物による保存
第3章 食品加工の原理
A 物理的操作
B 化学的操作
C 生物的操作
第4章食品の加工
1.農産物加工
A 穀類
B 豆類
C いも類
D 野菜類,きのこ類
E 果実類
2.畜産物加工
A 畜肉類
B 卵類
C 乳類
3.水産物加工
A 水産物加工の特徴
B 魚体の死後変化と鮮度判定法
C 魚介類の加工
D 海藻類
4.油脂
A 食用油脂の分類
B 植物・動物油脂
C 油脂の改変
D 油脂製品
5.多糖類
6.調味料および嗜好食品
A 調味料
B 甘味料
C うま味調味料と食塩
D 香辛料
E 嗜好飲料類
F 菓子類
7.新規加工食品(特別用途食品,保健機能食品など)
A 特別用途食品
B 保健機能食品
第5章 包装
A 食品包装の役割
B 食品包装材料
C 包装容器と包装方法
第6章 加工食品の規格・表示と安全性
A 品質の規格化と表示の制度化の意義
B 主要な規格・表示制度
C 加工食品の安全性とその評価
練習問題解答
索引
『新しい食品加工学 改訂第2 版』が出版されてから,すでに4 年が経過している.この間,社会や食に関連した領域において,様々なことが起こった.まず,2019 年の冬頃に顕在化し始めた新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行(パンデミック)という未曾有の問題が発生した.現時点ではいまだ終息の兆しはみえていない.その影響は広範囲に及び,食関連分野では,外食産業やその納入元が大きな損害を受けたほか,業務用酒類の需要が大きく減少した.これに対し,巣ごもり需要から,テイクアウトやデリバリーなどの中食が大きく伸びている.また,新型コロナウイルス感染症の影響で世界的な資源インフレが進行し,海外に大きく依存している食品原料や飼料・肥料などが値上がりしている.今後は,生鮮食品や加工食品の値上げが見込まれ,われわれの食生活に大きな影響をもたらすことが危惧される.しかし,このようなときこそ,安定した品質と価格で供給できる加工食品が真価を発揮できると考えられる.
また,3 つの法律に分かれていた食品表示に関する規定を統合し,原則,すべての加工食品に栄養成分表示を義務付けた「食品表示法」が2015(平成27)年4 月に施行されて以来,すでに7 年が経ち,ここ数年でこの新しい食品表示も定着したといえる.このとき,同時に発足した「機能性表示食品」は,その数や認知度などはすでに「特定保健用食品」を超えて普及している.また,2021(令和3)年6 月に発足した食品の自主回収(リコール)の届出制度,2022(令和4)年3 月に経過措置が終了するすべての加工食品を対象とする原料原産地表示制度など,食品表示に関する規定の改正が進んでおり,まだまだ十分とはいえないものの消費者の食品選択に資することが期待される.日本食品標準成分表に関しても,5 年ぶりに改訂され,2020 年版(八訂)が公開されている.
食品の生産・加工技術などの領域でも,「フード・テック」とも呼ばれる革新的な技術の進展と相まって,ゲノム編集食品や培養肉,プラント・ミート,昆虫食,完全栄養食などの新しい食の息吹を感じさせる話題も増えてきた.
このように,食を取り巻く状況は変化し続けており,食品加工学の学問領域においても従前の知識をもとに新しい展開を目指す“温故知新”の必要性が改めて認識される状況となっている.そこで今回,本書においても改訂第3 版の企画がなされ,このたび出版の運びとなった.
改訂第2 版まで本書の編集にあたられてきた小川正先生,的場輝佳先生に代わって,村仁知,森山達哉の両名が編集の任にあたることになった.著者陣も新しい先生方にご参加いただき,これまで同様,管理栄養士を目指す学生だけではなく,農学・工学・生活科学の各分野で食品科学を学ぶ学生全般にも広く使えるよう,また,なるべく新しい情報を盛り込めるよう編集を進めてきた.加工食品に関する正しい知識を身に付けた,社会で活躍できる人材の養成につながれば幸いである.
本書を刊行するにあたり,多大なご尽力をいただいた南江堂の諸氏に心から感謝します.
2022 年3 月
編者