造血細胞移植看護基礎テキスト
編集 | : 日本造血・免疫細胞療法学会 |
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ISBN | : 978-4-524-22827-0 |
発行年月 | : 2021年7月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 232 |
在庫
定価4,180円(本体3,800円 + 税)
正誤表
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2022年02月24日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
造血細胞移植に関する疾患,治療の基礎ならびに看護について,日本造血・免疫細胞療法学会としてのスタンダードを示した公式テキスト.同学会編集の姉妹書「同種造血細胞移植後フォローアップ看護」は上級編とし, 本書は基礎編として初学者にもわかりやすく解説.血液造血器疾患患者を看護する看護師必読の一冊.研修会のテキストとして是非ご活用ください.
第1章 造血細胞移植の基礎知識
1. 正常細胞のしくみ
2. 移植の対象となる血液疾患の病態
3. 移植療法の概要
4. 移植免疫
5. 輸血療法
6. 小児の移植療法
第2章 造血細胞移植前の支援
1. 不妊対策
2. 就労・就学支援
A. 就労支援
B. 就学支援
3. 患者・家族・ドナーの自律した意思決定支援
4. 家族支援(重要他者も含む)
A. 家族支援とは
B. 小児の移植における患者・家族に起こる問題と対処・支援
C. がんを家族に伝える
第3章 造血細胞移植の実際
1. 造血細胞採取の実際とフォローアップ
2. ドナーコーディネート過程
3. 前処置
A. 抗がん薬の管理
B. 抗がん薬の種類・特性
C. 全身放射線療法
D. 移植前処置と支援
4. 輸注
第4章 合併症予防と看護
1. 感染管理
A. 移植経過に伴う主な感染症の病態と対処
B. 標準予防策,感染経路別予防策,処置別予防策
2. GVHD
A. 移植後免疫反応の概要
B. 急性GVHDの支援
C. 慢性GVHDの支援
3. その他の臓器障害
A. 呼吸器障害
B. 肝機能障害
C. 腎機能障害
D. 心機能障害
E. 脳・神経障害
4. 支持的ケア
A. 口腔ケア
B. スキンケア
C. 身体機能の維持・回復促進
第5章 移植経過に沿った患者教育とセルフケア支援の実際
1. 自家移植の場合
2. 同種移植の場合
付録 造血細胞移植看護にかかわる看護師のクリニカルラダーVer3
付録 GVHD 判定スケールほか
造血細胞移植は,様々な難治性血液疾患を治癒に導く有力な治療法です.日本では1974年にはじめての造血細胞移植が施行されました.その後,骨髄バンク・臍帯血バンクといった移植に用いる幹細胞を提供する組織の整備,ハプロ移植などの新たな移植法の導入などによってその実績は着実に増加し,現在では年間5,000を超える移植が実現しています.さらに,CAR-T細胞といった細胞自体を医薬品とする細胞創薬の時代を迎えたことで,造血細胞移植には更なる発展が期待されています.
一方,造血細胞移植は組織や薬品の発展のみによるのではありません.内科学の父と呼ばれたウイリアム・オスラーは「医学はサイエンスであるが,医療はエビデンスに基づいたアートである」と述べました.換言すれば,事後的にデータを分析する科学ではなく,目の前の患者さんと全人格的に向き合い,回復を目指す人倫の営みと言えるでしょう.それは医師の独力では成し得ません.造血細胞移植においても,移植医だけでは医療は成り立ちません.移植の成功のためには,医師に加えて様々な職種が互いに支え,協力するチームプレーが不可欠であり,その質が結果を左右するといっても過言ではありません.その中で,看護師の役割は重要です.なぜなら,看護師は常にそばに立つことで,メンタルや体調といった現状を把握する患者さんの一番の理解者となり,そして移植の際にはご家族,関係者を含めすべてのチーム医療のplayerをつなぐ要という重要な役割を担うからです.そのため,チーム医療に精通した看護師の育成こそが,造血細胞移植の次世代での発展の鍵といっても大言とはならないでしょう.
チーム医療にかかわる看護師の方々への一助として,日本造血・免疫細胞療法学会(旧 日本造血細胞移植学会)は,これまでに『チーム医療のための造血細胞移植ガイドブック』,『同種造血細胞移植後フォローアップ看護』といった書籍を編纂してきました.しかし,これらはすでに造血細胞移植にかかわる方々のステップアップを指針としており,基礎となるテキストではありませんでした.そこで,これから造血細胞移植看護を志す,あるいは新たに造血細胞移植チームに加わった方々が造血細胞移植におけるチーム医療と看護をよりよく理解していく指針とすべく,本書『造血細胞移植看護 基礎テキスト』を編集しました.本書が造血細胞移植とチーム医療に携わる次世代の看護師育成の一助となれば幸いです.
令和3年4月吉日
日本造血・免疫細胞療法学会 前理事長
慶應義塾大学医学部 名誉教授
岡本 真一郎