シンプル理学療法学シリーズ
高齢者理学療法学テキスト改訂第2版
監修 | : 細田多穂 |
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編集 | : 山田和政/小松泰喜/木林勉 |
ISBN | : 978-4-524-22824-9 |
発行年月 | : 2021年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 268 |
在庫
定価4,620円(本体4,200円 + 税)
サポート情報
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2021年12月03日
学習到達度自己評価問題の解答
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
高齢者に対する理学療法を実施するうえで必要な知識をコンパクトにまとめたテキスト.高齢患者の理学療法への理解を深めるため,老年期に発症しやすい疾患に対する理学療法の具体例を提示.さらに今後の超高齢社会における理学療法士の役割などについても記載した.今改訂では老年学の内容を充実させたことにくわえ,フルカラー化により視覚的に理解しやすく使いやすい教科書となった.
1 ライフステージと高齢者像
A 老化とは
1.加齢と老化
2.生理的老化と病的老化
3.老化のメカニズム
B 高齢者のイメージ
1.老いから想像するもの
2.世代ごとの高齢者像
3.高齢者の定義と分類
C 老年期の発達課題と「老い」の受容
1.老年期の発達課題
2.「老い」の受容
D 高齢者の心理
1.身体的変化の視点からみた高齢者の心理
2.社会的・経済的変化の視点からみた高齢者の心理
3.家庭内の変化の視点からみた高齢者の心理
4.過去への執着
5.老年期の不安感・喪失体験
E 高齢者に理学療法を実施するうえでの心構え
2 加齢に伴う身体機能・精神機能の変化
A 高齢者の身体的特徴
1.身体(形態)構造
2.運動機能
3.感覚機能
4.生理機能
B 高齢者の精神(認知)的特徴
1.精神と認知の関係
2.知能
3.記憶
4.感情
5.人格
6.意欲,生きがい
3 老年症候群
A 高齢者疾患の特徴
B 老年症候群の概要
1.老年症候群とは
2.老年症候群の分類
3.老年症候群と生活機能障害
C 代表的な老年症候群
1.フレイル・サルコペニア
2.認知障害をきたすもの
3.移動能力の障害をきたすもの
4.栄養・摂食障害をきたすもの
5.失禁をきたすもの
D 高齢者がかかりやすい疾患
1.大腿骨頸部骨折
2.変形性膝関節症
3.脳血管障害(脳卒中)
4.パーキンソン病
5.糖尿病
6.心疾患(心筋梗塞,狭心症)
7.呼吸器疾患
8.悪性腫瘍(がん)
4 高齢者の生活機能評価
A 運動機能の評価
1.30-seconds chair-stand test(CS-30)
2.5回いす立ち上がりテスト
3.片脚立位テスト
4.ファンクショナルリーチ
5.Sort Physical Performance Battery(SPPB)
6.Timed "Up and Go" test(TUG)
7.2.4m歩行速度
8.6分間歩行距離
9.転倒スコア(FRI-21,FRI)
10.The 25-question Geriatric Locomotive Function Scale(GLF-25)
11.握力
B 生活環境の評価
1.cost of care index(CCI)
2.Zarit介護負担尺度(ZBI)
C 日常生活動作の評価
1.障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準
2.Barthel Index(BI)
3.機能的自立度評価法(FIM)
4.基本チェックリスト
D 認知・精神機能の評価
1.ミニメンタルステート検査(MMSE)
2.改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
3.モントリオール認知評価試験(MoCA)
4.Wechsler成人知能検査第3版(WAIS-V)
5.Wechsler記憶検査(WMS-R)
E QOLの評価
1.Mos short-form-36-item(SF-36v2)
2.高齢者うつ尺度(GDS)
3.意欲の指標(VI)
5 高齢者の理学療法を実施するうえでの留意事項
A 高齢患者の一般的特徴
B 安静の弊害と廃用症候群(生活不活発病)
C 高齢者の理学療法に伴うリスク管理
1.血圧,不整脈
2.リハビリテーション安全ガイドライン
3.その他の注意すべきリスク
D 低・過栄養と栄養管理
1.エネルギーバランス
2.低栄養の評価,把握
E 運動と負荷量設定方法
1.効果的な運動とは
2.運動強度の設定方法
F NCDs(非感染性疾患)の理解
1.NCDsとは
2.身体活動の重要性
3.行動への介入
6 高齢者の骨・関節障害と理学療法@ 大腿骨頸部骨折
A 疾患の概要
1.障害像
2.症状
B 治療の概要
C 理学療法の概要
1.術前
2.術後から退院まで
3.退院後
症例検討
1.患者プロフィール
2.理学療法経過
7 高齢者の骨・関節障害と理学療法A 変形性膝関節症
A 疾患の概要
1.障害像
2.症状
B 治療の概要
1.保存療法
2.手術療法
C 理学療法の概要
1.保存療法
2.手術療法
症例検討
1.患者プロフィール
2.理学療法経過
8 高齢者の中枢神経障害と理学療法@ 脳血管障害(脳卒中)
A 疾患の概要
1.障害像
2.病態
B 治療の概要
1.脳梗塞
2.脳出血
3.くも膜下出血
C 理学療法の概要
1.急性期
2.回復期
3.生活期
症例検討
1.患者プロフィール
2.理学療法経過
9 高齢者の中枢神経障害と理学療法A パーキンソン病
A 疾患の概要
1.障害像
2.症状
B 治療の概要
C 理学療法の概要
症例検討
1.患者プロフィール
2.理学療法経過
10 高齢者の代謝障害と理学療法 糖尿病
A 疾患の概要
1.障害像
2.症状(高齢糖尿病患者の特徴的症状)
B 治療の概要
C 理学療法の概要
1.理学療法開始時
2.理学療法実施から退院まで
3.退院後
症例検討
1.患者プロフィール
2.理学療法経過
11 高齢者の循環障害と理学療法 心疾患
A 疾患の概要
1.障害像
2.症状
B 治療の概要
C 理学療法の概要
1.急性期
2.回復期
症例検討
1.患者プロフィール
2.理学療法経過
12 高齢者の呼吸器障害と理学療法 呼吸器疾患
A 疾患の概要
A-1. 慢性閉塞性肺疾患
1 障害像
2 症状
A-2. 肺炎
1.障害像
2.症状
B 治療の概要
B-1. 慢性閉塞性肺疾患
B-2. 肺炎
C 理学療法の概要
C-1.慢性閉塞性肺疾患
1.リラクセーション
2.気道クリーニング
3.呼吸練習
4.呼吸筋トレーニング
5.ストレッチング
6.運動療法
7.日常生活活動の指標
C-2. 肺炎
症例検討
1.患者プロフィール
2.理学療法経過
13 高齢者の悪性腫瘍(がん)と理学療法
A 疾患の概要
1.がんの障害像
2.がんの進行と病期・ステージ
B 治療の概要
1.がんの治療
2.高齢がん患者の特徴と評価
C 理学療法の概要
症例検討
1.患者プロフィール
2.理学療法経過
14 地域在住高齢者と理学療法士
A リハビリテーションマネジメントの概念
1.基本的な考え方
2.リハマネジメントのSPDCAサイクルと理学療法におけるEPDCAサイクル
3.地域特性の把握
4.施設サービスにおけるリハマネジメント
5.エビデンスに基づくリハマネジメントに向けた取り組み
B 理学療法士がかかわる入所リハビリテーションサービス
1.入所リハビリテーションサービスの概要
2.入所リハビリテーションサービスの対象と理学療法士の役割
3.入所リハビリテーションサービスの実際
C 理学療法士がかかわる通所リハビリテーションサービス
1.通所リハビリテーションサービスの概要
2.通所リハビリテーションサービスの対象と理学療法士の役割
3.通所リハビリテーションサービスの実際
D 理学療法士がかかわる訪問リハビリテーションサービス
1.訪問リハビリテーションサービスの概要
2.訪問リハビリテーションサービスの対象と理学療法士の役割
3.訪問リハビリテーションサービスの実態
15 高齢者の健康寿命の延伸
A 高齢社会の現状
1 わが国の高齢化の変遷
2 高齢化の地域差
3 世帯構成の変化
B 地域包括ケアシステムと理学療法士の役割
1 地域包括ケアシステム
2 高齢社会における理学療法士の役割
C 介護予防の取り組み
1 介護予防
2 介護予防の実際
参考文献
索引
改訂第2版の序
厚生労働省が発表した「令和2年簡易生命表の概況」によれば,我が国の平均寿命は,男性81.64歳,女性87.74歳と報告されている.また,同省による2021年9月15日時点での「全国の100歳以上の高齢者数」は,86,510名とされており,統計を取り始めた1963年の153名から指数関数的に増加し続けている.人生50年の時代ははるか昔の話である.男性では81歳を,女性では87歳を超え,男女ともにより長く人生を楽しむことができる時代になったともいえる.しかし,高齢者は罹患しやすく,心身の老化も重なり,疾患の重症化や障害の重度化を招くことが多く,理学療法の現場では高齢患者を担当する機会が増える中,治療プログラムを進めるうえで難渋するケースも多い.
2017年3月,高齢者に対する理学療法を実施するうえで必要な知識をコンパクトにまとめたテキスト「高齢者理学療法学テキスト」が刊行され,この間,本書をご活用の先生方から様々な意見を頂戴した.今回,いただいた貴重な意見を踏まえて第2版の改訂を行った.大きな改訂は以下の通りである.
・第2章では,高齢者をより理解するため,「老年学gerontology」の内容を膨らませ,排尿・排便,体温調節,睡眠,免疫,内分泌における加齢変化についても追加し充実させた.
・第3章では,老年症候群を新たに分類分けして解説した.また,第6〜第13章の疾患別理学療法で扱う疾患の理解を深めるため,それらの発生率,死亡順位,要介護の原因などについて記載した.
・第4章では,特に,運動機能の評価についてCS?30,片脚立位テストなど臨床で頻繁に用いられる評価法について追加した.
・疾患別理学療法について臨床現場で関わる機会の多くなった悪性腫瘍を取り上げ,「高齢者の悪性腫瘍(がん)と理学療法」として新たに章を設けた(第13章).
・第14章では,タイトルを「地域在住高齢者と理学療法士」に変更し,リハビリテーションマネジメントの概念について解説を加えた.
・第15章は,旧第5章のタイトルである「高齢者の健康寿命の延伸」とし,旧第5章と旧第15章の内容を併せて記載した.
・章立ては全15章のままとし,統計数値は可能な限り最新のものに書き換えた.
本書が,学生諸君にとって高齢患者の臨床場面において安全で効果的な理学療法を実施するための学びの書となることを期待したい.また,引き続き,本書を活用して講義を担当される先生方や学生諸君からの忌憚のない意見やご批判をいただければ幸いである.
最後に,本書の改訂にあたり,精力的に改訂作業に取り組んでいただきました執筆者の皆様と編集作業のお手伝いをいただきました南江堂の内田慎平氏,吉野正樹氏に,編者を代表して感謝の意を表します.
令和3年10月
編者を代表して 山田 和政